グウェンドリン・マキシン・"グウェン"・ステイシー(Gwendolyn Maxine "Gwen" Stacy)は、 マーベルコミックスが出版するコミック作品に登場する架空のキャラクターである。
大学生であるグウェンはピーター・パーカーが彼女の友人でライバルでもあるメリー・ジェーン・ワトソンと交際する前の恋人であり、本気で愛した最初の女性である。本項では、関連の深いスパイダーグウェン(Spider-Gwen)についても説明する。
2007年の映画『スパイダーマン3』ではブライス・ダラス・ハワード、リブートされた2012年の映画『アメイジング・スパイダーマン』及び2014年の続編『アメイジング・スパイダーマン2』ではエマ・ストーンが演じた。
ライターのスタン・リーとアーティストのスティーヴ・ディッコにより創造された彼女は『アメイジング・スパイダーマン』第31号(1965年12月)で初登場した。
彼女はジェリー・コンウェイ脚本の『アメイジング・スパイダーマン』第121号(1973年6月)でグリーン・ゴブリンによって殺害されてしまう。彼女の死とそれを描いたマーベルの方針はコミックのファンダムの世界に大きな影響を与えた。彼女以前にはスーパーヒーローは誕生譚以外では破滅的な失敗をせず、またスーパーヒーローの恋人が予告なしに突然死することはなかったのである。このストーリー展開はスパイダーマン、そしてアメリカン・コミックス史においての重要点となり、シルバーエイジの終焉を指すと認識されている。
グウェン・ステイシーは彼女は『アメイジング・スパイダーマン』第31号(1965年12月)で初登場した。ピーター・パーカーとグウェンは両者がエンパイア・ステート大学の学部生であった時に出会った。当初ピーターはグウェンに声をかけられた際、病院のメイおばさんが気がかりであったために無視してしまう。激怒した彼女はフラッシュ・トンプソンやハリー・オズボーンとデートする。しかしながら両者は徐々に恋愛関係となり、グウェンはピーターの知的な個性を評価するようになる。
グウェンの父親であるジョージ・ステイシーが洗脳されてピーターと戦うと、それを見ていたグウェンはピーターが父を襲ったのだと勘違いし別れてしまう。グウェンは後に真実を知ると2人は和解して関係を修復するが、父がスパイダーマンとドクター・オクトパスの戦いに巻き込まれて死亡するとより複雑化する。グウェンは父の死の原因がスパイダーマンにあると考えて非難する。後にまたよりを戻し、傷心を癒すためにヨーロッパへと旅立つ。彼女はピーターと結婚することを望むが、彼は罪の意識からプロポーズをするのを止める。
ピーターはグウェンに会うためにロンドンへと向かうが、スパイダーマンとしての活動を強いられ、彼女に会えずに去ってしまう。ピーターとスパイダーマンが同時にロンドンに現れたことは、グウェンが結論を出すには容易であった。グウェンは自分がピーターに結婚するプレッシャーをかけたことで非があったことを悟る。彼女はニューヨークに戻り、関係を修復した。
『アメイジング・スパイダーマン』第121号(1973年6月)でグウェンはスパイダーマンの正体がピーター・パーカーであることを知ったグリーンゴブリン(ノーマン・オズボーン)によってジョージ・ワシントン・ブリッジのタワーに捕らわれる。スパイダーマンはグリーンゴブリンと戦うために現れ、グリーンゴブリンがグウェンを橋から投げ捨てるとスパイダーマンはウェブで彼女の足を捉えてキャッチする。スパイダーマンはグウェンが助かったと思い橋の上に引き上げるが、彼女は既に死亡していた。ピーターはグウェンが橋から落ちる前の段階で既に死亡していたのか、それとも彼女を助けようとした際に衝撃で首の骨が折れたのか疑問を抱き続けるのであった。
グウェンの死は架空世界に大きな影響を与えた。メリー・ジェーン・ワトソンがグウェンの死を重く受け止め、より成熟した思いやりのある人物となった。彼女の死によってメリージェーンとピーターはより友情を育み、最終的に恋愛関係となった。グウェンの教授の1人でありかつて恋人であったマイルズ・ウォーレンは彼女の死後に狂気を増し、ジャッカルとなった。
死亡から約2年後、健康な状態ではあるが、死亡後の記憶を持っていないグウェン・ステイシーが『アメイジング・スパイダーマン』第144号で登場した。このグウェンはジャッカルが作り出したものであり、1回目のクローン・サーガでスパイダーマンを翻弄するために利用された。このストーリーの結末でグウェンは新しい自分の人生を探すために去って行った。
J・マイケル・ストラジンスキーが『アメイジング・スパイダーマン』第509-514-号(2004年8月 - 2005年1月)で執筆したストーリー「Sins Past」で、グウェン・ステイシーは生前に密かにノーマン・オズボーンとのあいだに双子をもうけ、フランスで出産していたことが明らかとなった。グウェンの2人の子供であるガブリエルとサラはノーマン・オズボーンによって育てられ、ノーマンの強化された血液の影響により通常の2、3倍の速さで成人となった。ノーマンはピーターが本当の父親であり、母親の死の原因は彼にあると子供たちに伝えた。
「エイジ・オブ・アポカリプス」の世界ではグウェン・ステイシーは死亡しておらず、マイティ・ソーとならなかったドナルド・ブレイクのボディガードをしている。
スカーレット・ウィッチが創造したマグニートーが世界を支配する平行世界「ハウス・オブ・M」ではグウェンは死亡しなかった。彼女はピーター・パーカーと結婚し、息子を1人もうけていた。彼女は科学者、実業家、平和運動家であり、化学兵器開発者のノーマン・オズボーンとは敵対関係にあった。メリー・ジェーン・ワトソンは人気女優であり、スパイダーマンの伝記映画が製作された際には彼女がグウェン役を務めた。グウェンとその父のジョージは正史世界で自分たちが死亡していることが書かれたピーターの日記を読むが、彼らはそれが精神を病んだピーターの妄想であると考える。
リミテッドシリーズ『Marvel Zombies Return』で登場した「アースZ」の世界のグウェンは友人のメリー・ジェーンやハリー・オズボーンと共にまだ大学生であった。ゾンビ化したスパイダーマンがこの世界を訪れ、シニスター・シックスを殺し始めるが、その後ゾンビ化した彼らによりグウェンたちは襲われ、死亡する。
アルティメット・マーベルでは、『アルティメット スパイダーマン』第14号(2001年12月)でピーターの高校でティーンエイジャーの少女として初登場した。グウェンはアーティストのマーク・バッグリーによって初期のマドンナに影響を受けた容姿に描かれ、パンク系の服を着て、反抗的な性格となっている。
「スパイダーグウェン」の世界ではピーター・パーカーではなく、グウェン・ステイシーがクモに噛まれてスーパーパワーを身に着けた結果、彼女がスパイダーウーマンとして活躍する姿が描かれている(「スパイダーグウェン」はあくまでも読者から見た呼称であり、劇中で名乗っているわけではない)。
初出は『エッジ・オブ・スパイダーバース』#2(2014年11月)。その後、単独のシリーズでも刊行された。2018年刊行のクロスオーバー『スパイダーゲドン』の中で、彼女独自のヒーロー名として「ゴーストスパイダー」を名乗るようになった。
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