『紫頭巾』(むらさきずきん)は、寿々喜多呂九平原作による日本の時代劇作品である。また、時代劇『江戸を斬る』シリーズに登場する謎の覆面剣士の名称としても使用されている。
紫頭巾は1923年(大正12年)7月、マキノ映画製作所製作・牧野省三・金森万象共同監督、市川幡谷主演による映画『浮世絵師 紫頭巾』が最初であり、この作品の脚本がこれがデビュー作となる寿々喜多呂九平であったため、以後も紫頭巾各作品は「原作:寿々喜多呂九平」となっている。
舞台は江戸時代の天明期、老中・田沼意次が幕政を主導していたいわゆる田沼時代。市民を困らせる金権政治を展開し、意次は息子の意知と共に悪徳老中親子としてその名は江戸市中に轟いていた。その汚れた世の中を正さんと、秘剣術『修羅八双』を以ってして悪人たちを成敗する正義の味方『紫頭巾』が現れ、その活躍ぶりは庶民の間で評判になり、紫頭巾は浮世絵師・狩田秀麿と人気を二分する存在となった。その秀麿こそ、紫頭巾の仮の姿だった。
紫頭巾の映画作品は『浮世絵師 紫頭巾』(1923年)、『佐平次捕物帖 新釈紫頭巾』(1926年)、『佐平次捕物帳 紫頭巾』(1949年)、『紫頭巾』(1958年)、『変幻紫頭巾』(1963年)が製作されている。
1923年7月9日公開。寿々喜多呂九平脚本,金森万象監督,市川幡谷主演。製作はマキノ・プロダクション(等持院撮影所)。画面展開のスピード感,物語の怪奇ロマン的魅力,虚無的な人物像の生々しさ、真剣を用いた立回りの迫真性などあらゆる点で新鮮さに満ち、大ヒットとなった。
1958年10月29日公開。配給は東映。
1961年9月21日 - 同年12月28日に関西テレビ系列・フジテレビ系列の毎週木曜18:15 - 18:45で放送。全15回。モノクロ放送。任天堂の一社提供。唯一の在阪準キー局制作で、児童向け作品として製作された。
本作では紫頭巾は、危機一髪のシーンに尺八を持った謎の虚無僧として現れ、その尺八の音を前ぶれとして紫頭巾に変わり、痛快な活躍を見せるという内容。
なお主演の夏目俊二は、後述の1972年版でも第23話でゲスト出演している。
毎週木曜日20:00~20:56の枠で放送。全26話、カラー放送。主人公の仮の姿の絵師の名前は狩田秀麿であるが、もう一つの名前は「扇喬之介」となっている。
第14話から本作のタイトルが『紫頭巾事件帖』(むらさきずきんじけんちょう)と改題。これと共に、狩田秀麿の役設定が「瓦版屋お抱えの挿絵描き」という形に若干変更されている。
フジテレビの『時代劇スペシャル』の枠で、1982年2月19日に『紫頭巾 黄金の秘密』(むらさきずきん おうごんのひみつ)、1982年11月5日に『紫頭巾 京洛の大粛清』(むらさきずきん きょうらくのだいしゅくせい)のそれぞれのタイトルで、2作放映された。
本作では、それまで江戸で現れていた紫頭巾が大阪に現れるという物語。大阪では豪商の浪花屋が、公家の姉小路、大阪城代の出雲守と組み、市中で権力を振るっていた。年貢米の代わりに高利で金を借りるなどしていたため、破産寸前の大名も出ていた。そんな世の中を正すため、紫頭巾が乗り込んだ。
本作では主人公の名前は「響竜太郎」、仮の姿の絵師の名前は「尾形梅雪」となっている。
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