日本の空港(にほんのくうこう)では日本国内における公共の用に供する飛行場 である空港とその他の飛行場(併せて空港等)について述べる。
日本の空港は、空港法に基づき、空港の果たしている機能と設置・管理主体によって区分されており、基本施設(滑走路、誘導路、着陸帯、エプロン)と附帯施設(排水施設、照明、護岸、道路、駐車場など)の工事費用や災害復旧費用の負担ルールなどが定められている。また、旅客ターミナルや貨物取扱施設、給油施設などは、空港を設置する国や地方公共団体が、建設・管理する者を指定して行わせることができる。2013年には、民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律(民活空港運営法)が制定され、国や地方公共団体が設置している空港の運営を、民間事業者に一体的に行わせることが可能となった。
空港の区分は、2008年の空港法改正により、それまでの第一種空港・第二種空港・第三種空港から変更され、次のように区分されている。各区分の空港名と位置は、空港法と空港法施行令で定められている。
空港法第4条第1項で定める「国際航空輸送網又は国内航空輸送網の拠点となる空港」で、航空行政上「拠点空港」と呼ばれる。会社管理空港、国管理空港、特定地方管理空港があり、2008年の空港法改正までの旧第一種空港(国際航空路線に必要な飛行場)と旧第二種空港(主要な国内航空路線に必要な飛行場)が該当する。
空港法第5条で定める「国際航空輸送網又は国内航空輸送網を形成する上で重要な役割を果たす空港」で、地方公共団体が設置・管理する。基本施設の工事費用は、国と地方が100分の50ずつ負担。附帯施設は地方公共団体が負担するが、国が工事費の100分の50まで補助することができる。北海道、沖縄、奄美地方、離島の空港については、空港法や地域特別法などにより、国が負担・補助する工事費の割合が高くなっている。旧第三種空港(地方的な航空運送を確保するため必要な飛行場)に該当する。54か所。
上記の区分のいずれにも該当しない空港(空港法第2条に規定する空港のうち、拠点空港、地方管理空港及び公共用ヘリポートを除く空港)。ただし、このうち八尾空港は、「当分の間、国管理空港とみなす」との経過措置が設けられている。7か所。
空港法附則第2条第1項における「自衛隊の設置する飛行場及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第2条第4項(a)の規定に基づき日本国政府又は日本国民が使用する飛行場であつて公共の用に供するものとして政令で定めるもの」で分類される空港で、自衛隊が設置・運用する飛行場もしくは在日米軍が使用している飛行場で、公共の用に供する空港。自衛隊の設置する共用空港のうち5か所 については、空港として使用するために工事する場合は、附帯施設の工事費用は全額を国が負担し、基本施設は3分の2を国が、3分の1を地方公共団体が負担する。このうち北海道の空港 については、基本施設の工事費用に対する国の負担割合が100分の85となっている。8か所。
空港法第2条における空港(公共の用に供する飛行場)に分類されるヘリポートで、不特定多数のヘリコプターが離着陸するために整備された施設。13箇所。
空港以外の施設には、航空法に基づき、国土交通大臣の許可を得て設置する次の飛行場などがある。
空港法以外に、出入国、輸出入に関する法律において指定された空港に限り、出入港や外国貿易を行うこととしているものがある。
狭隘かつ急峻で島嶼の多い国土をもつ日本における空港の特徴として、海外の基幹空港と比較して国土面積当たりの空港数が多いこと、滑走路の本数が少ないこと、また滑走路の長さが短いことが挙げられる。空港内のターミナルビルも数が少ない傾向にある。
日本でよく見られる中規模クラスの空港は市街地からも近いことが多く、利用者にとっての利便性は高いものの、需要の集約が難しく就航路線の採算性が低下しやすい。また、中規模クラスの空港が乱立したために投資が分散し、仁川国際空港やチャンギ国際空港のようなハブ空港と言えるクラスの大規模な空港を建設することが出来ていない。
また、日本の空港の着陸料は世界で比較的高い水準にあるが、利用料の多くを直接負担するのは航空会社である。一方、欧米の空港は乗客が支払う施設利用料が高額に設定されており、空港利用料の大半を旅客が直接負担する。
国内線に関しては、東京の都市圏からのアクセスが良好な東京国際空港(羽田空港)、及び大阪の都市圏から最も近い大阪国際空港(伊丹空港)を拠点に全国各地へ路線網が張り巡らされている。全国各地の地方空港ではこの二つの空港の片方、若しくは両方との路線があることが多い。ただし羽田・伊丹は日本航空・全日本空輸のような旧来から存在するフルサービスキャリア(FSC)がメインであり、新興の格安航空会社(LCC)は前者の二空港よりややアクセスの悪い成田国際空港・関西国際空港を主に使用する。一方、門限が設けられている成田・伊丹・福岡などでは特に顕著だが空港周辺における騒音問題があるほか、用地確保の難しさもあり、都市部における空港インフラが不足し慢性的な容量不足となっているという課題がある。2019年時点で、成田国際空港、東京国際空港(羽田)、関西国際空港、大阪国際空港(伊丹)、福岡空港の5空港が国土交通省により混雑空港に指定されている。
大都市圏以外の空港では、東北地方、中国・四国地方、九州地方などでは各県に1つ以上の空港が設置されていることが多いが、空港が乱立しているために需要不足に陥る空港も少なくない。
また東京都島嶼部・長崎県・鹿児島県・沖縄県などでは離島空港が多く設置されており、その多くは小型機専用の短い滑走路をもつものである。近年の航空機の大型化に対応できなかったり、搭乗率が低迷したりなどで定期路線が運航出来ていない空港も幾つか存在する。
国際線に関しては、離島空港を除くほとんどの空港に国際線就航の要件となるCIQ(税関、出入国管理、検疫)の設備がある。しかしながら国際線の就航便数の割合は一部の拠点空港に大幅に偏っており、2019年に国土交通省が発表したデータでは、便数基準で国際線定期路線全体の50%弱を東京国際空港(羽田空港)及び成田国際空港が占め、75%以上はこの二空港に関西国際空港と中部国際空港を加えた四空港が占める。この他では新千歳空港、福岡空港、那覇空港において国際線の路線が多く就航しているものの、ここまでに挙げた七空港以外の国際便は全て合計しても日本に就航する国際線定期便全体の5%程度のみである。
羽田・成田・関空・中部の四空港以外での国際線は東アジア地域(台湾・韓国・中国・香港等)との近距離路線が主であり、新千歳・福岡・那覇の三空港では東南アジアやハワイのような中距離路線も就航している。
また日系航空会社が運航する国際線は、その殆どが羽田・成田を発着するものに限られる。
なお、一部の空港では正式な名称とは別に愛称を付与している。各空港の愛称については下記の「日本の空港分類」および「地域一覧」を参照のこと。
空港名に付記した括弧内の呼称は、通称・愛称などである。
※現在日本の実効支配下にない北方領土に存在する空港は除外する。
新千歳と丘珠の両空港(飛行場)は、特定の航空会社によりマルチエアポートとして対応がなされている。
羽田と成田の両空港は、国際航空運送協会 (IATA) 公認のマルチエアポートとして対応がなされている。
中部と小牧の両空港(飛行場)は IATA 公認のマルチエアポートとして対応がなされている。
このほか2009年4月1日から2016年3月31日まで特定の航空会社により富山・小松・能登の3空港をマルチエアポートとして扱っていた。
伊丹・関西・神戸の関西三空港は、IATA 公認のマルチエアポートとして対応がなされている。
広島と岩国の両空港(飛行場)は特定の航空会社によりマルチエアポートとして対応がなされている。
福岡・北九州・佐賀の3空港は特定の航空各社によりマルチエアポートとして対応がなされている。
自衛隊・在日米軍が使用する、いわゆる軍用飛行場(三沢飛行場などの軍民共用の飛行場も含む)
空港名に付記した括弧内の呼称は使用者による呼称(基地名)を示す。また、括弧内の使用者略称は以下の凡例をもって示す。
廃港(廃止)後の跡地は、再開発・転用されたもののほか、ヘリポートとしてヘリコプターの離着陸に特化したものもある。
2019年現在、沖縄本島キャンプ・シュワブ辺野古(普天間飛行場機能の移転)を除き、新規建設中の空港はない。
元のウィキデータクエリを参照してください.
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