東信地方(とうしんちほう)とは、長野県の東部を指す。千曲川(信濃川)の流域で、東信州(ひがししんしゅう)や上田・佐久地方(うえださくちほう)と呼ばれることもある。
北を浅間山(関東山地)に、南を八ヶ岳に、東を碓氷峠(関東山地)に、西を和田峠(北八ヶ岳、美ヶ原)に挟まれた地方である。明治初期の小県郡・佐久郡に相当する。
上信越自動車道・国道18号・北陸新幹線の沿線であり、佐久地方では、中部横断自動車道の整備が進められている。水系は、佐久地方のいくつかの市町村に太平洋側の地域があるが、その他の地域は日本海側に属する。気候については、殆どの地域で内陸性気候を呈しているが、一部地域は日本海側気候で豪雪地帯となっている。それ以外の地域は中央高地式気候で、全国的に見ても年間降水量は少なく、軽井沢、野辺山などの高原地帯では寒さが厳しい。
長野県立高校の第2学区の区域に該当する。
※ 市町村合併により、各地域が必ずしも自治体単位となっていない場合がある。
東信地方における都市雇用圏(10% 通勤圏)。一般的な都市圏の定義については都市圏を参照のこと。
国土交通省が基準として定めている都市圏では以下の市町村が含まれる(2000年現在)。
朝日新聞社発行の「民力」で定義されている都市圏は以下の通り(2015年現在)。
2020年国勢調査によれば、昼夜間人口比が100%を超え、流入超過となっている自治体は上田市(101.56%)、軽井沢町(121.73%)、南牧村(110.98%)、小海町(104.45%)、川上村(100.64%)となっている。
国土交通省の「全国幹線旅客純流動調査」(第6回、2015年度)の生活圏間流動において、上田を出発地とする目的地は以下のようになっている。ただし、同調査では同じ都道府県内の生活圏へのデータがないため、それらを除く。
佐久地方は、国道18号を北上した日本海側(北信地方、上越地方)と、碓氷峠を越えた群馬県との繋がりが深い。一方で中日本の中心地である愛知県とを間を直通で結ぶ交通機関はない。
又、宇都宮~高崎~小諸~山梨県(韮崎・甲府)~駿河湾岸(清水・富士)を結ぶ、碓氷峠・千曲川・富士川ルートが、東京とその近辺で災害や渋滞が起こった際の「迂回路」として機能している。将来、中部横断自動車道が静岡市まで全通するとこのルートは全て高速自動車道でつながる予定である。かつては、清水と直江津の間で小中学生の交流会が開かれており、この清水⇔直江津を往復する際には、佐久地方を経由するルートが利用された。
戦国時代までは東山道の沿線として、江戸時代には中山道の沿線として発展した。戦国時代までの東山道は、松本から上田を経て碓氷峠に抜けるルートであった。一方で、江戸時代の中山道は、塩尻から和田峠を経て碓氷峠に抜けるルートとなっており、追分宿(軽井沢郊外)に、中山道と北国街道の分岐点が設けられた。
明治の鉄道敷設は、当初、中山道幹線が北国街道の田中宿から中信の松本まで保福寺峠経由の経路で計画されたが、その後の情勢変化で頓挫した。その結果、明治期に追分宿と下諏訪宿を結ぶ中山道(国道142号)の沿線に鉄道が敷設されず、大正・昭和戦前期の南信の茅野と田中を結ぶ佐久諏訪電気鉄道の敷設計画や上信電鉄上信線(1897年開業)の羽黒下への延伸構想も頓挫した。
従って、現在の上田・佐久地方の交通網は、内陸ルートで関東と近畿を結ぶ性格が失われ、関東と日本海側を結ぶルート(国道18号、JR信越本線、上信越道、北陸新幹線)が東西を横断し、甲信直結ルート(国道141号、JR小海線)が南北を縦貫するという性格が濃くなっている。
東信地方では他に、局地的鉄道として布引電気鉄道、草軽電気鉄道、上田丸子電鉄が通じたが、上田電鉄別所線以外は廃止されている。
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