『静かなるドン』(しずかなるドン)は、新田たつおによる日本の漫画。
1988年の11月15日号より2013年1月8日号まで実業之日本社の『週刊漫画サンデー』にて連載された。漫画サンデーの最終号に特別編として『賑やかなるドン』が掲載された。
第42回日本漫画家協会賞大賞受賞。2023年5月時点で紙の書籍の累計発行部数は4600万部を突破している。ストーリー全体は巨大暴力団の興亡を軸にシリアスに展開するが、絵柄や描写には新田の出身ジャンルであるナンセンスギャグマンガの手法がかなり混入されている。単行本は108巻が発行されており、週刊連載は1000回をこえている。
1991年からOVA・オリジナルビデオが制作され、1994年に日本テレビ系列でドラマ化された。2000年と2009年には映画版が公開、2010年にはドラマCDが発売されるなど様々なメディア展開が行われている。
連載完結後も電子書籍での売上が好調で、2020年だけで6億円に上る。新田はその売上で東京都世田谷区豪徳寺にある「世田谷イチ古い洋館」(旧尾崎テオドラ邸)の保存運動の支援を行った。
2022年、「世田谷イチ古い洋館に来た静かなるドン」のタイトルで、山下和美の『世田谷イチ古い洋館の家主になる』の特別編の位置づけとなる作品として、9年振りに本作の読み切りが制作され、『グランドジャンプ』(集英社)21号に掲載された。
2023年、「静かなるドン-もうひとつの最終章-」のタイトルで、『グランドジャンプ』(集英社)17号より連載。
主人公の近藤静也は昼間、下着会社プリティの冴えないデザイナーだが、実は1万人の子分を持つ広域暴力団新鮮組の総長の一人息子。二代目総長が敵対組織に撃たれて、新鮮組内の二大勢力である肘方と生倉のどちらが継いでも内部抗争になることを恐れた母である近藤妙は静也を三代目総長とする。そんな近藤静也のカタギ人生とヤクザ人生の奮闘を描いていく。
以下は新鮮組陣営に所属する人物である。新鮮組は関東一円を取り仕切る暴力団であり、構成員の数は1万人を数えるという設定になっている。現在では横浜を除く東日本全ての暴力団をその傘下にしている。近藤家は代々、犯罪者の家系であり静也の先祖は幕末の有名な侠客である。祖父は戦後の闇市で新鮮組の基礎を築き父は全国組織にまで発展させた。続編の「静かなるドン-もうひとつの最終章-」では2023年時点で組員の数が2千人を割り、弱体化が見られる。
新鮮組最大派閥だが、結束力も弱く組員の質も低い数だけの弱小組織。主に地上げや脅しなどがシノギであり、たまに政治家から政敵を貶める依頼を受ける。
生倉会に匹敵する対抗勢力だが、中身も五十歩百歩の組織。
新鮮組最精鋭の武闘派集団。組長への忠誠が厚く結束力も強い(ただし最強の「鳴戸うずしお軍団」は鳴戸の言うことしか聞かない)。数々の抗争で組員は全滅した。
以下は近藤が勤める下着会社プリティに所属する人物である。プリティは単行本41巻にて、ライバル社の社員から「東証二部にも上場していない会社のくせに」と言われる。ラムール・エテルネル社と合併し秋野が社長に就任した。
以下は鬼州組陣営に所属する人物である。鬼州組は関西の暴力団であり、3万人の組員を擁するという設定で、東西戦争前は横浜を含め西日本全ての暴力団を傘下におさめている。敵対組織は傘下にしない方針だが、龍馬はその慣例を破った。 続編の「静かなるドン-もうひとつの最終章-」では山野以下多数の組員が離脱して「真・鬼州組」を結成し、分裂している。
台湾、香港、中国などのマフィアを吸収しアジア全土に構成員50万人を持つ巨大組織。幹部のジュチ・ヨンピルがクーデターを起こして長老たちを皆殺しにし実権を握ろうとするが、組織を掌握できず群雄割拠状態になった。
作中では、シシリア島民500万人の半数がマフィアに関係するとされ、無限に戦闘員を補給できるためどの犯罪組織も抗争を避けている。世界皇帝リチャード・ドレイク5世の陰謀によって鬼州組と全面戦争に突入する。
作中に登場するアメリカンマフィアは、シシリアにルーツを持つイタリア系アメリカ人の犯罪組織。構成員は全米で二千人ほどだがアレキサンダー全盛期には、コロンビアマフィア、チャイニーズマフィアを従え、小型核兵器を自力で開発し軍隊並みの装備を持つ武装勢力だった。
作中に登場するロシアンマフィアは、世界中に犯罪ビジネスのネットワークを築き、麻薬、武器、人身売買、殺人などなんでもする犯罪者集団。
実質的に世界を支配する二つの一族、グリードキン家とドレイク家の指導者の称号。グリードキン家は、アメリカを拠点に多国籍企業群をもち、海賊が先祖のドレイク家は、イギリスを拠点に世界の金融を支配している。両家とも何世紀も続く大財閥であり自らの利益のために戦争をおこし国家元首ですら抹殺する。
1991年4月12日、OVAがリリースされた。本作の最初の映像化作品である。現在、DVD化はされていない。
1991年 - 1996年、2000年 - 2001年まで映画版を間に挟む形で12作品、『新・静かなるドン』シリーズ(ケイエスエス、主演:竹下宏太郎)としてリニューアルされたものが1997年 - 1998年で6作品、『静かなるドン 新章』シリーズ(クロックワークス、主演:袴田吉彦)が2011年で2作品、それぞれ出されている。
映画版(2009年)とオリジナルビデオ(2011年版)では、近藤静也:袴田吉彦、鳴戸竜次:永倉大輔、猪首硬四郎:勝矢が共通キャストとなっている。
1994年10月21日 - 1995年3月17日に日本テレビ系列で放映。全19回、平均視聴率13.4%。1995年9月23日に「静かなるドンRETURNS」、1996年4月12日に「静かなるドンFOREVER」としてスペシャル版が放映。
番組開始時のキャッチフレーズは「昼は3枚目、夜は3代目」。
敵対組織との抗争など任侠作品の王道的展開も描きつつ、原作のアウトロー色は抑えられており、ヤクザの立場から市井の様々なトラブルや事件を解決する探偵ドラマの要素が盛り込まれている。静也が猪首以外の新鮮組幹部には全て敬語で話す、静也が成り行きで思い付いた「新鮮太郎」という偽名を名乗ったり、秋野が静也の正体に気付く場面が異なるなどのアレンジも加えられている。当時低迷状態にあった金曜8時連続ドラマ枠では久々のヒット作となったが、本作を最後に『太陽にほえろ!』から続いてきた同枠は終了となった。当時、主演の中山が司会を務めた同局の『TVおじゃマンボウ』(関東ローカル)では、前回のダイジェストと次回予告が放送されていた。
2000年公開。監督・脚本は鹿島勤。配給はケイエスエス。
『静かなるドン 新章』のタイトルで2009年9月5日公開。監督は城定秀夫。配給はクロックワークス。映画版(2009年)とオリジナルビデオ(2011年版)では、近藤静也:袴田吉彦、鳴戸竜次:永倉大輔、猪首硬四郎:勝矢が共通キャストとなっている。
ほか
2023年5月12日より、『静かなるドン 前編』(第1章・第2章)『静かなるドン 後編』(第3章・第4章)として2週連続劇場公開。監督は山口健人。配給はティ・ジョイ。近藤静也を伊藤健太郎が演じる。
月蝕歌劇団によって舞台化。脚本・演出:高取英、音楽:J・A・シーザー。
2010年1月28日発売。発売元はキャラモモ。販売元はアルドゥール。
2011年8月26日より配信。発売元はサイバード・実業之日本社。Mobageによるソーシャルゲーム。アイテム課金制。
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