ゲームオーバー (英: game over) は、主にコンピュータゲームでゲームがその時点で終了することを示す。
「ゲームオーバー」は辞書によって和製英語やそうではない英語だと説明が分かれているが、1950-60年代のアメリカ製アーケードゲームでは「GAME OVER」は使われており、和製英語とされることもあるのは米国製アーケードゲームがあまり日本で知られていないことや、ソフトウェア→ソフト、キャラクター→キャラ、タイム イズ アップ→タイムアップ、のように略称としての和製英語のように見えた可能性がある。コンピュータ用では1973年登場の101 BASIC Computer Gamesで使用例は「GAME IS OVER」を含めて極少数で「YOU WON!!!」「I WON!!!」がよく使われ、理由としてアーケードではゲーム盤面やスコアボードの中にスコアやゲームオーバーの表示部分が個別に組み込まれて状況をリアルタイムに確認できたが、BASICはリアルタイムの入力出力を想定せず、状況変化はプレイヤーの入力確定後の応答で表示されるものでしかわからず、ゲーム画面がないためどこに何が表示されるかは水平位置程度しかなく、ゲーム終了時に重要なのはスコアや結果であり、終了のみを表すメッセージはあってもなくてもよかったとみられる。
初期のコンピュータゲームでは、全ステージをクリアした際に難易度を上げて最初のステージにループさせる形式を採用していたが、特にアーケードゲームにおいて店舗の収入面の都合により、エンディングを迎えて終了させる形式が主になり、「敗北」ではなく「試合終了」を意味する場合にも使われるようになった。日本で「ゲームオーバー」に否定的、特に敗北の意味として使われるようになったのは『スペースインベーダー』がきっかけとされ、それまでのアーケードゲームのコンピュータはプレイヤーが得点するのを妨害していたのに対して、同作ではプレイヤーを打ち負かしゲームを終了させるための妨害となっている。そのスリルがブームを巻き起こして大反響を呼んだが、それゆえ「敗北=ゲームオーバー」になった。また、過去のアーケードゲームでは機械は稼働しているがプレイされていないことを示すためにゲームオーバーの表示を使っていたが、インベーダーではゲーム終了時に一文字ずつゆっくり表示されるささやかな演出が取り入れられ、プレイヤーの悔しさを増幅させ継続プレイさせる気を起こさせた。
アーケードでは1990年以降、記録カードやネットワークの導入によりプレイヤースキルに関わらず1プレイの時間があまり変動しないゲームが成立し、これらはミスによるプレイ時間への影響はなく腕の立つプレイヤーへのご褒美もプレイ時間延長とは違う形になったことで「ゲームオーバー=敗北」のような否定的なイメージにはあまりならず、この言葉を表示させる理由も薄らいだとの見方もある。一方で、ボーカロイドのプロデューサーであるタイニーPは「幾度もリバイバルされている名作レトロゲームやレトロ風新作ゲームでは健在であり、まだ死語になる言葉でもない」としている。
フロー上のゲームオーバー処理にはゲームを正常に終わらせ、またリセットさせる役割もある。しかしゲーム進行上の手詰まりや、操作不能を生じるスタック(いわゆるハマり)などのバグによっては、プレイを正常に続行できなくなっているにもかかわらずゲームオーバー処理がおこなわれず、プレイヤーが自主的にゲームを終了・リセットせざるを得なくなる場合もある、同じ場面で無限にゲームオーバーを繰り返してしまう、或いはゲームオーバーよりさらに質が悪い状態などに気づかずにプレイしてしまう場合もある。
「ゲームオーバー」という言葉は、元々の意味では単に「ゲームが終わる」という意味でしかない。本来の意味では目的を達成し、エンディングやスタッフロールにまでたどり着いた場合も「ゲームオーバー」と称する。
ジャンル別でのゲームオーバーの条件としては主に以下のような例が存在する。ゲームによっては同じジャンルでもゲームオーバーの条件が大きく変わることや、同じゲームでも特定の場面では追加のゲームオーバー条件が設定されることなどがしばしばあるため、あくまでも基本的な例である。
なお、1980年代中ごろまでのアクション・シューティングゲームにおいては、特にプレイヤーに明確な目的がなく、自機・主人公をすべて失いゲームオーバーとなるまでひたすらゲームが続く方式のものが多かった(いわゆる永久パターンと呼ばれるもので、特にファミリーコンピュータのゲームに多く見られた)。『ファイアーホーク』では前作『テグザー』がそうなっていることを逆手に取り、前作の主人公が自機を破壊されるところから物語が始まっている。
1980年代から1990年代にかけてのアーケードゲームなどにおいては、デモプレイ中であることを示すために画面中央に、また複数人同時プレイ可能なゲームでの途中参加待ち 状態で、プレイしていない方のスコア表示部にそれぞれ「GAME OVER」と表示される作品が多く見られたが、ゲームオーバーの本来の意義を成さないとのことで、2000年代現在の作品では一部を除き、前者は「DEMONSTRATION」「DEMO PLAY」、後者は「INSERT COIN(S)」「PLEASE WAIT」といった表現に替えられている。
これとは別に『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』で、オープニングの後に主人公の部屋に現れたドラえもんの頼みを断り続けるとドラえもんがいじけるという、一種のギャグとしてのゲームオーバーが稀に存在する。主人公に協力を求める依頼に対する選択肢で「いいえ」を選択した場合に同じメッセージが繰り返されない珍しい例でもある。同じようなもので『たけしの挑戦状』ではゲームを始めてもいないのにゲームオーバーとなる選択肢が存在している。
プレイ中のゲームが不正ソフト(コピーソフト=海賊版や改造、改竄、盗品など)、未承認ハード(コピー突破ツールやアクションリプレイ、互換機など)、チートなどを感知すると、強制的にゲームオーバーになったり、ソフトやハードが使用不能になる例がある。
また、ゲームオーバーの意味を『単にゲームが終わる』という元々の意味に近い形で捉えている作品もある(例『バンジョーとカズーイの大冒険』シリーズ、『ドンキーコング64』など)。
中にはクリアをしてもエンディングの画面でゲームオーバーとテロップが表示されるゲームもある(例『ミシシッピー殺人事件』『グーニーズ2 フラッテリー最後の挑戦』『電車でGO!』『デイトナUSA』など)。前述の通り、目的を達成したという本来の意味での「ゲームオーバー」では誤りではない。因みに、大方のゲームでは「CONGRATULATION」と祝福を表すメッセージを表示させることが多い。また逆にプレイヤーが目的未達の「ゲームオーバー」になった時でも「THE END」と表示される作品も存在する(1980年代前半のSNK製アーケードゲーム、『マッハライダー』『カラテカ』『アルゴスの戦士』など)。
音楽ゲームなどストーリーの要素が薄い作品などは、ゲームの結果に関わらず「THANK YOU FOR PLAYING」などと表示される作品もある。
特定の条件に当てはまると残りのプレイヤーストックやライフが一瞬で全てなくなり即ゲームオーバーになる「即死」が採用されているゲームもある。
ゲームオーバーになった箇所の直前、もしくはゲームオーバーになった箇所から再びゲームを続行できる「コンティニュー」機能を備えた作品が数多くある。
ただし、一部のゲームではコンティニューを使用すると、ペナルティとしてそれまでのスコアがリセットされる(『スターフォックス』『ロックマン』『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』など)、スコアが減少する(『対戦ぱずるだま』など)、コンティニューをしたことが分かるように1桁目のスコアがコンティニューする度に1ずつ増大する(『ファイナルファイト』『ストリートファイターII』など)、さらに真のラストボスやエンディング、裏ステージなどの出現がコンティニューなしや指定回数以内を条件としている作品もある。
しかし、上記のデメリットがあるとしても、ゲームによってはコンティニューをすることでボーナスアイテムを得られたり難易度が低下するといったメリットをもたらす作品も存在する。このように、通常では先のステージあるいはエンディングにたどり着くことができないプレイヤーを救済する一面を持ったものもある。
家庭用ゲーム初期におけるコンティニューは、特殊な操作や条件を必要とする「裏技」である場合が多かったが、時代が進むにつれて標準機能化されていき、項目を選択するだけで使えるようになっていった(『スーパーマリオブラザーズ』シリーズの場合、『1』の段階では裏技だったが、続編である『2』の時点で選択式となっている)。
アーケードゲームでコンティニューをする場合、ゲームをするために必要な金額と同額、あるいは半額程度が必要になる場合が多い。しかし、古いゲームの割引やクイズゲームなど、1回お金を入れると2回以上のゲーム利用権(クレジット)が投入されるものでは、大抵は1回分のクレジットと引き換えにコンティニューが1回無償でできる(コンティニューせずに初めからやり直すことも可能)。またコンティニューには10-30カウント程度(ゲームによって1カウントの秒数が異なる)の制限時間が設けられており時間内にコンティニューしなかった場合、プレイの継続はできない。コンティニュー画面でクレジットが投入された場合、カウントが最大値まで戻ることが多い。
また、コナミの『麻雀格闘倶楽部』シリーズでは従前のクレジット単位に加え、プレイヤー情報を登録しているe-AMUSEMENT PASSに付帯されている電子マネー機能PASELIを使い、残り持ち点に応じた金額(ポイント)を払うことでコンティニューができる「スマートコンティニュー」機能があり、無料継続にわずかに足りない点数で終わったりした場合で金額面で有利になる場合がある。(プレミアムモードでプレイした場合のみ採用。PASELI決済でも通常のモードでプレイでき、その場合は東風・三麻・半荘戦、ライフ制の有無と残り持ち点棒に応じ1クレジット - 3クレジット(1クレジットあたりの金額は店舗による)で変動することになる) 同じコナミアミューズメントの「麻雀ファイトガール」ではPASELIでプレイすることでスマートコンティニューが可能になっている。
アーケードゲームの場合、ストーリー性が強くて最後までプレイするのに時間のかかるレースゲームや、1プレイ毎にカードを提供しているトレーディングカードゲーム採用型ゲームなどでは、勝敗に関係なく1回のプレイ毎にコンティニューが必要になっており、その代わり、カードなどの外部メディアに、ゲームの進行状況を記録できるものが増えてきている。
セガの一部のアーケードゲームでは「GP制」が導入されており、クレジットを投入し、消費することでGPに変換され、以下の行動で消費される。
店舗設定により100円で加算されるGP量やボーナスのタイプ(ボーナスなしも設定可能)がある。
なお、音楽ゲームではコンティニューができない代わりに、1曲目ではクリアの成否に関わらずゲームオーバーにならない、もしくは対戦相手がクリアすれば自分がクリアできなくても保証される仕様を採用したタイトルが多い(「jubeat」など)。
アーケードゲームにおける「その場復活でコンティニューできる」仕様はタイトーの特許だった(1989年に出願、現在は期限切れ)。これはゲームの仕様を保護するはじめての特許となった。
アーケードゲームは、ゲームセンターに来る全てのプレイヤーのものであるのが原則の為、後ろに並んでいるプレイヤーがいる場合はコンティニューせずに、次のプレイヤーにゲームを譲ってもう一度並び直して(最初から)やり直すことが暗黙のルールとなっている。ただし、あくまで暗黙のルールなので、明記されている店舗は極めて稀である。
こういった背景から、何度も何度もコンティニューを繰り返す行為は連コイン(連続的にコインを入れることから。「連コ」と略されることもある)と呼ばれている場合がある。一方で、一部店舗では「無制限台」と称し、コンティニュー制限がない(=クレジットさえあればずっとできる)筐体が設置されている。この場合、次のプレーを待っている客がいても交代する必要がないとしている店舗もある。
なお、日本国外での連コイン行為はかなり事情が異なる。例えば米国における"1コイン"とは一般的に25セント硬貨であり100円玉の1/4以下の価値しかない。このため海外向けタイトルでは時間辺りの収益が向上するよう、ゲームデザインも連コイン(かつ多人数プレイ)を推奨もしくは促進するよう設計されている事が多い。例えば同一タイトルでも海外仕様では難易度が高く設定されたり、"その場復活"仕様への変更などがある。コンバットライブスではコイン投入の瞬間にプレイヤーの体力が一定量追加される仕様があり、ゲームプレイ(とプレイヤーの熱狂)を途切れさせないように工夫されている。
以上ほぼ登場順。旧式の仕様も引き続き採用されている。
一部ではゲームオーバーになった時点でこれまでプレイしたセーブデータが強制的に消去され、最初からやり直す必要のあるシビアなゲームも存在する。以下、具体例を示す。
ゲームによっては、ゲームオーバーという概念がない作品もある。ここではいくつかの例をあげる。
ゲームによっては独自の文字を表示するもの、独自の表し方をするものがある。例を挙げると
ストーリーの結末までたどり着いたが、クリア時にハッピーエンドになる条件を満たしていない場合、その結末が悪い内容となるゲームも存在する。このようなゲームにおける悪い内容の結末を指して「バッドエンド」という言葉を用いることもある(『ときめきメモリアルシリーズ』『I"s Pure』『テイルズ オブ シンフォニア -ラタトスクの騎士-』など)。バッドエンドになる結末を迎えた時、最後のスタッフロールが無く即座にタイトル画面へ戻されたり、スタッフロールがあっても暗い雰囲気のBGMが流れることでバッドエンドを迎えたことがわかるようになっていることが多い。
また、バッドエンド(を含めてそのゲームで最上級以外のエンディング)を迎えた場合、特に謎解き型のアドベンチャーゲームなどでは、エンディングの中で主人公のモノローグなどの形で再挑戦の余地があることを示唆する言葉やベストエンドへのヒントを示唆する言葉を含むエピローグが流されるゲームもある。前者は「結局事件の真相は謎のままだ」「あの日まで時間を巻き戻せたら同じ過ちは犯さないのに」など、後者は「あの時見た/聞いた(けれど結局調べなかった)○○は何だったんだろう」「あの時不用意に○○してしまったことをとても後悔している」など。
クリア時の条件に関係なく、ストーリーそのものが不幸な結末になっているゲームも稀に存在する(例:『カイの冒険』、『カプコン バーサス エス・エヌ・ケイ ミレニアムファイト 2000』『Conker's Bad Fur Day』及びそのリメイクである『コンカー: Live and Reloaded』)。
ゲームだけでなく、漫画やドラマなどにおいて主人公が不幸な結末を迎えた場合にもこの言葉を用いる事が多い。 『ファンタジーゾーンII オパオパの涙』では、シューティングゲームでは珍しくバッドエンドがある。ちなみに、別作品の『ゴーファーの野望 エピソードII』とは特殊な立ち位置になり、主人公ことオパオパが闇に堕ち、ゲームオーバーになる。
バッドエンドの中でも特に最悪な結末ともいえるもの。主人公が殺されるなどの死に至るバッドエンドを「デッドエンド」 (DEAD END) という。作品により、ストーリーの結末となるものもあれば、結末ではないゲームオーバーとして扱われ再スタートが可能なものもある。
前述の『バイオハザードシリーズ』や『SIREN』などのいわゆる残酷ゲーム、『かまいたちの夜』や『学校であった怖い話』などのミステリー・サスペンスものの他、成人向けゲーム(『Fate/stay night』、『School Days』など)にも見られることが多い。
なお英熟語の dead end は「死亡して終わる」という意味ではなく袋小路や行き止まりを意味する熟語である。
普通の結末。稀に、バッドエンドのような展開をノーマルエンドと表記するなど例外もある(『爆ボンバーマン2』など)。
良い結末。グッドエンドとも言う。その中で最も幸せな結末はベストエンドと言われることもある。
受け手の解釈により、ハッピーエンドともバッドエンドとも解釈できる結末。
最も多い情報を与えるもので、製作者にとって真実の結末。必ずしもプレイヤーやプレイヤーキャラクターにとって最良の結末とは限らない。
髙橋龍也が作った造語で、1996年に発売された『雫』にて発表されたのち、普及した。
ゲームの目的を果たせずに途中で終了となっても“THANK YOU FOR YOUR PLAYING”(遊んでくれてありがとう)といった「終了」を直接宣言しない(『beatmania IIDX』を除く『BEMANIシリーズ』現行作など)、あるいは柔らかい表現にしているゲームも存在する。この手の多くのゲームはそもそもストーリー性がないものだったりする。また、この表現が“GAME OVER”の表記と共に表示されるゲームもある(『beatmania IIDX』シリーズ、『THE KING OF FIGHTERS 2002 UNLIMITED MATCH』など)。
ゲームの内容をすべてクリアし、エンディングやスタッフロールが流れた後、ゲームオーバーと表示され、スタート画面に戻る作品もある(『アレックスキッドのミラクルワールド』、『メタルスラッグ』など)。
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