第93回東京箱根間往復大学駅伝競走(だい93かいとうきょうはこねかんおうふくだいがくえきでんきょうそう)は、2017年1月2日から1月3日まで開催された93回目の東京箱根間往復大学駅伝競走である。第92回大会の上位10校(シード校)と、2016年10月に行われた予選会の上位10校に加え、関東学生連合チームを合わせた全21チームが参加して行われた。87回連続で出場していた中央大学が予選会で敗退したことで話題となった。
第92回大会の上位10校(シード校)と予選会通過校10校に加えて、オープン参加の関東学生連合チームを合わせた全21チームが参加して行われた。
※ナンバーカードの数字はNo.1-No.10が前年順位、No.11-No.20が予選会順位の順。
この大会では第4区、及び第5区の区間距離の見直しが行われた。小田原中継所の変更は11年ぶりである。
前回の変更が行われるまで小田原中継所は往路、復路ともに鈴廣前であった。しかし、片道1車線である中継所付近の交通の混雑緩和を図りつつ、かつ第4区を短縮してトラック専門の中長距離選手に出場機会を広げ、第5区を延長することでマラソン選手の育成を図るという理由で、第82回大会から第4中継所(往路)を本町のメガネスーパー前に移転していた(復路の第6中継所は変更されていない)。これについては、鈴廣の施設拡張工事に伴い往路側の駐車場に位置していた第4中継所のみ使用不可となったことも理由の1つとして考えられている。
その後第92回大会までこの距離で行われたものの、次第に第5区の距離延長によって選手の負担が増大したとして、各大学の監督から見直しを求める声が続出し始めた。また大会結果にも影響が出ており、この11大会の第5区で棄権が3人出たほか、第5区で区間賞を取った大学が優勝するケースが増加していた(11大会中7大会が該当)。
このような状況を鑑みて関東学生陸上競技連盟は2016年2月25日声明を出し、第4中継所を工事が既に完了した鈴廣前に戻すことが決められた。連盟は理由として、第5区の選手に対する生理学的負担が大きく、後半に低体温症や低血糖症の症状に陥る例が多数発生していることや、総合成績に対する第5区の貢献度が大きすぎること、また、第4区の距離を短くしたことでマラソンに順応できる選手の芽を摘み取っている可能性があることを挙げている。
青学大が総合3連覇を達成。3年連続で往路・復路完全優勝を果たした。また青学大は2016年度の出雲駅伝と全日本大学駅伝を制しており、「大学駅伝三冠」を達成した。往路・復路をともに制しての三冠達成は史上初の快挙であった。
今大会の2位から10位までは順に、東洋大、早大、順大、神奈川大、中央学大、日体大、法大、駒大、東海大が入り、この上位10校が第94回大会のシード権を獲得した。神奈川大と法大がシードに返り咲き、山梨学大と帝京大がシード権を手放した。
当日エントリー変更は駒大、帝京大、大東大、拓大の4校。
スタートからしばらくは牽制が続きスローペースで進んでいたが、4.8kmの田町の交差点から東洋大・服部弾馬が一気にスパート。この仕掛けに日大・石川颯真と東海大・鬼塚翔太は反応したが、4位集団とは一時4秒の差がついた。しかしこの集団も早大・武田凜太郎が引っ張ってペースを上げ、7.2kmで再び先頭に追いついた。
蒲田の定点までは18人の大集団で進んだが、その後はぽつりぽつりと選手が脱落し、先頭集団は六郷橋の上りで13人、残り1km地点で6人まで絞られた。壮絶なスパート合戦の末、残り400m地点で服部と鬼塚が後続を振り切り、最後は1秒差で服部が区間賞を獲得。東洋大、東海大、早大、青学大、神奈川大、駒大の順でタスキリレー。
16位の日大までは1分以内という大接戦になったが、優勝争いに加わると目された山梨学大は伊藤淑記が服部の仕掛けに対応できず5km過ぎで集団から遅れ、2分53秒差の20位と大きく出遅れた。
当日エントリー変更は東洋大の1校のみ。
先頭の東洋大・山本修二に1.5kmで青学大・一色恭志や駒大・工藤有生らが追いつき、東洋大・東海大・早大・青学大・神奈川大・駒大の6校が集団走を展開。神奈川大・鈴木健吾が積極的にペースを上げて集団を揺さぶり、権太坂の上りにかかった14.2kmで東海大のスーパールーキー・關颯人がまず脱落すると、15.8kmで東洋大・山本、早大・永山博基も脱落。16.3kmで青学大・一色も後退し、最後まで食らいついた駒大・工藤も17.9kmで振り切られ、鈴木の独走状態となった。最後までハイペースで押し切った鈴木は後続に38秒の差をつけ、大学史上初めて戸塚中継所をトップでタスキリレー。1時間07分17秒の好タイムで区間賞を獲得した。2位は青学大、3位は55秒差で駒大が続いた。
後方からは14位でタスキを受けた拓大のワークナー・デレセ、15位でタスキを受けたリオ五輪代表の順大・塩尻和也、17位でタスキを受けた創価大のムソニ・ムイルがごぼう抜きを展開。デレセが4位、塩尻が7位、ムイルが10位まで順位を上げた。
トップでタスキを受けた山本は区間11位と振るわず8位まで順位を下げ、關も権太坂以降大きくペースを落とし11位まで後退。山梨学大のドミニク・ニャイロは右くるぶしの故障明けでペースが上がらず、18位に浮上するに留まった。
当日エントリー変更は帝京大、上武大、国士大の3校。
前回3区区間賞の青学大・秋山雄飛が13.1kmで神奈川大の1年生・越川堅太を捉え首位逆転。14.2kmを過ぎて徐々に越川を引き離し、区間賞の走りでトップでタスキリレー。
上位争いでは、早大・平和真が好走。6位でタスキを受けるとハイペースで突っ込み7km過ぎに帝京大をかわすと、駒大・下史典を2kmの併走の後10kmを過ぎて引き離し、さらに21km手前で神奈川大・越川を逆転。区間2位の走りでトップと1分22秒差の2位に浮上する。
中位争いでは、東洋大・口町亮が20.2kmで駒大・帝京大との4位争いから抜け出し8位から4位に浮上。創価大は10位から7位、大東大は12位から9位に浮上した。中央学大の1年生・横川巧はスタートから積極的に飛ばして湘南大橋の定点では6人を抜いて8位まで浮上したが、ラスト3kmで急失速し5人に抜き返され13位でタスキを繋ぐ。
一方、駒大・下は区間8位に留まり5位に後退。拓大は今滝春彦が区間最下位に沈み4位から17位に転落した。
当日エントリー変更は駒大、東海大、順大、山梨学大、中央学大、法大、神奈川大、拓大の8校。
距離変更で20.9kmとなった4区。全日本大学駅伝MVPの青学大・森田歩希が区間2位の走りを見せ、早大との差を7秒広げ1分29秒差とした。
上位争いでは東洋大・櫻岡駿が3kmで神奈川大をかわし3位に浮上。中位でも激しく順位が変動し、帝京大が6位から4位、創価大が7位から5位、順大は栃木渡が区間賞の走りで10位から6位にジャンプアップ。拓大・宇田朋史も7人抜きで17位から10位に浮上した。
一方、当日エントリー変更で4区に入った駒大のエース・中谷圭佑は、6月から悩まされていた右足底痛の影響もあり中盤から失速。まさかの区間18位に沈み5位から9位に後退。駒大は往路優勝争いから脱落した。その他日大が8位から13位、大東大が9位から15位に後退している。
20.8kmに短縮された5区では今大会唯一の当日エントリー変更無し。
青学大・貞永隆佑と、前回5区5位の早大・安井雄一による往路優勝争いとなった。貞永が大平台の定点で1分56秒差に広げるも、小涌園前以降は安井が一気に差を詰める。芦之湯では1分19秒差、元箱根では45秒差に迫ったが、貞永が逃げ切り往路3連覇を果たした。早大は33秒差の2位で往路を終えた。
6位でタスキを受けた順大・山田攻が3人を抜いて2分24秒差の3位。東洋大が2分40秒差の4位。4区でブレーキとなった駒大は大塚祥平が区間賞の走りで4分01秒差の5位まで巻き返した。神奈川大が4分26秒差の6位に入り、第80回大会以来13年ぶりとなる往路一桁順位でのフィニッシュとなった。
シード権争いでは、中央学大・細谷恭平が区間3位の走りで11位から7位に浮上。後方では16位でタスキを受けた上武大・森田清貴が大塚と3秒差の区間2位と快走。8人を抜いて往路過去最高の8位でフィニッシュし、悲願の初シードに望みを繋いだ。2区ムイルの好走で波に乗った創価大は2回目の出場で往路9位と躍進した。優勝した青学大から7位中央学大まで4分35秒、8位上武大から14位拓大まで1分23秒の間にひしめき、優勝争いもシード権争いも混戦模様となった。
監督と選手の親子鷹同士の対決で注目された山梨学大・上田健太と大東大・奈良凌介は、上田が区間7位でまとめ16位に浮上した一方、奈良は区間19位と失速し15位から18位に後退した。
明大・國學院大・大東大・国士大・学生連合の5チームが復路一斉スタートとなった。
当日エントリー変更は山梨学大、中央学大、明大、創価大、国士大の5校。
前回6区区間2位の青学大・小野田勇次に早大・石田康幸が追いつけるかが焦点となったが、小野田は序盤の山上りで石田との差を1分に広げると、下りも軽やかに駆け抜け区間2位の走りでトップを堅持。石田は下りが緩やかになった終盤にペースが落ち区間12位と振るわず、青学大との差は2分08秒に広がった。3位の順大・橋本龍一は区間10位、4位の東洋大・堀龍彦も区間13位に留まり、優勝争いは青学大と早大の一騎打ちとなった。
シード権争いでは、6区区間記録保持者の日体大・秋山清仁が今回も激走を見せ、自身の区間記録を8秒更新する58分01秒を叩き出し、13位から7位にジャンプアップした。12位でスタートした法大の1年生・佐藤敏也も区間3位の力走で8位に浮上。
一方、5位でスタートした駒大は物江雄利が区間18位に沈み、9位まで後退。上武大が8位から13位、創価大が9位から14位とそれぞれ順位を落とした。しかし5位神奈川大から10位帝京大まで2分09秒、帝京大から15位東海大まで1分34秒の間にひしめく大混戦が続く。
当日エントリー変更は青学大、早大、東海大、日体大、山梨学大、帝京大、大東大、明大、創価大、法大、国士大、日大の12校。
旧4区区間記録保持者の青学大・田村和希と前回9区区間賞の早大・井戸浩貴の対決となった。田村は前半から快調に飛ばし、二宮の定点でその差を2分52秒まで広げる。しかし15kmを過ぎて表情が非常に険しくなりペースも急落。脱水症状を起こして蛇行する状態となってしまう。それでも田村は区間11位で踏ん張りトップでタスキリレー。
追いかける井戸は終盤にペースを上げて区間3位の好走。青学大との差を1分21秒まで縮めた。3位争いは東洋大・小笹椋が順大をかわし3位に浮上。順大は1年生の難波皓平が苦しい走りで6位まで後退し、日体大・城越勇星が区間2位の快走で7位から5位に浮上した。
東海大は石橋安孝が区間賞の走りで15位から11位に浮上し、10位帝京大と54秒差まで追い上げシード権争いに加わった。一方日大は石垣陽介が区間最下位のブレーキで11位から16位まで急落。往路で健闘した上武大と創価大も6区・7区がともに振るわずシード権争いから大きく後退した。
6区で大ブレーキとなった国士大は、7区でも巻き返すことができず平塚中継所で繰り上げスタートとなった。平塚での繰り上げは2年連続。
当日エントリー変更は青学大、早大、東洋大、順大、日体大、駒大、大東大、創価大、上武大、國學院大、日大の11校。
前回8区区間賞の青学大・下田裕太は区間新記録を狙ってハイペースで突っ込む。遊行寺坂の定点では前回大会の自身の記録を22秒上回っていたが、向かい風の影響を受け終盤はペースを上げられず。それでも前回と全く同じ1時間04分21秒をマークし、区間2位に2分以上の大差をつける断トツの区間賞。2位早大との差は5分32秒に大きく広がった。
シード権争いは、東海大・春日千速が17.8kmで帝京大・宇佐美聖也を捉えシード圏内の10位に浮上。しかし宇佐美も粘って2秒差で続く。9位駒大から11位帝京大までわずか18秒差の大接戦となった。その後ろでは創価大・米満怜が区間3位の力走で15位から12位に浮上、10位と2分09秒差で初シードに望みを繋ぐ。
戸塚中継所では国士大が繰り上げスタートとなった。
ちなみに、7区まで区間賞を獲得した大学が全て異なっていたが、これは第77回大会以来16年ぶりの珍事であった。
当日エントリー変更は東洋大、早大、日体大、明大、法大、神奈川大、上武大、拓大、國學院大の9校。
最初で最後の三大駅伝出場となった青学大・池田生成が区間2位の快走を見せ、後続との差をさらに広げ優勝を盤石なものにした。
その後方では東洋大・野村峻哉が激走。戸塚中継所では1分06秒の差があった早大・光延誠を17.4kmで捉え、トップと6分30秒差の2位に浮上。野村は池田を8秒抑え、区間賞を獲得した。
3校によるシード権争いは、駒大・片西景が区間4位の好走で8位に浮上し、東海大・川端千都も区間5位と好走。帝京大の1年生・平田幸四郎は区間8位と健闘したが、10位東海大との差は45秒に広がった。一方で日体大・室伏穂高が区間14位と振るわず6位から9位に後退。6位法大と7位中央学大も区間二桁順位に留まった結果、6位法大から11位帝京大まで6校が1分25秒の間にひしめく混戦模様となった。12位の創価大は10位と3分29秒の差がつきシード権は絶望的となった。
鶴見中継所では山梨学大・学生連合・明大・日大・国士大の5チームが繰り上げスタートとなった。山梨学大は途中棄権による繰り上げを除けば第64回大会以来29年ぶり、明大は第67回大会以来26年ぶりの繰り上げとなった。
当日エントリー変更は青学大、東海大、順大、中央学大、法大大、國學院大、日大の7校。
2年ぶりのアンカーとなった青学大・安藤悠哉が区間4位の好走で東洋大・小早川健との差を広げ、3連覇のフィニッシュ。史上4校目の大学駅伝三冠を達成、往路・復路両方を制しての三冠は史上初の快挙となった。
7分21秒差で東洋大が2位、早大は復路9位と失速し8分16秒差の3位。順大は作田直也が区間賞の快走で早大との差を1分30秒も縮め、16秒差まで追い上げ総合4位。神奈川大は総合5位で第81回大会以来12年ぶりにシード権を獲得した。
中央学大は村上優輝が区間3位の好走を見せ、総合6位で大学史上初の3年連続シード。日体大は小野木俊が区間2位の走りで2つ順位を上げ2年連続の7位に入った。法大は総合8位で4年ぶりのシードを獲得。駒大が9位に入り、往路15位から巻き返した東海大が総合10位でシード権を獲得した。
帝京大は主将の加藤勇也を起用したが序盤からペースが上がらず区間19位。東海大と3分24秒差の総合11位で、2年連続のシード権獲得とはならなかった。3年ぶりのシード落ちとなった山梨学大は部内にインフルエンザが蔓延し主力を複数欠いたことが響き、大学史上最低の総合17位に終わった。
学生連合の東国大・照井明人が参考記録ながら区間賞を獲得した作田を2秒上回るタイムを記録。第89回大会の中大・永井秀篤以来4年ぶりに”幻の区間賞“が発生した。
なお、この区間ではアクシデントが発生しており、ゴール直前の国道1号日比谷交差点での交通規制が徹底されておらず、ワゴン車(トヨタ・ハイエース)が規制の中を強引に通過しようとして神奈川大・中神恒也と接触事故寸前になるという事態が発生した。ワゴン車に気付いた中神が減速して車を避けたため負傷者などは出なかったが、警視庁は「規制のタイミングが遅れた」と説明し、警察官の増員を検討している。
第93回箱根駅伝予選会は2016年10月15日、陸上自衛隊立川駐屯地から立川市街地を経て国営昭和記念公園内をゴールとする全長20kmのコースで行われた。 本大会出場権を得ることができる予選会上位10校を目指し過去最多の50校(大学院、大学校含む)、エントリー全675人のうち、各校10 - 12人の計589人が参加した。 レースは各校上位10人の合計タイムで争われ順位を決定した。
その結果、上位10校となった大東文化大学、明治大学、創価大学、法政大学、神奈川大学、上武大学、拓殖大学、國學院大学、国士舘大学、日本大学が本大会出場を決めた。創価大学と國學院大学は第91回大会以来2大会ぶり、国士舘大学は第90回大会以来3大会ぶり、その他の7校は第92回に続いての出場となった。一方、第92回大会出場校のうち、中央大学、城西大学、東京国際大学は今大会の出場権を逃し、城西大学は初出場の第80回大会から続いた連続出場記録が13で、中央大学は1925年の第6回大会から続いた連続出場記録が87で途切れた。
「第93回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会 要項」および「競技注意事項」における出場資格は以下のとおりである。
「第93回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会 要項」における順位決定方法は以下の方法で行われる。
各校上位10名の合計タイムにより10校を選ぶ。
「第93回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会 要項」および「競技注意事項」による注意事項(抜粋)
今大会の予選会には50大学(大学院、大学校を含む)がエントリーしている。
リンク(箱根駅伝公式サイト) (PDF)
「第93回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会 要項」による注意事項(抜粋)
第93回 箱根駅伝予選会総合公式記録
第93回 箱根駅伝予選会個人記録
本大会
予選会
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