弥彦山(やひこやま)は、新潟県の西蒲原郡弥彦村と長岡市の境界にある標高634mの山である。
越後平野の日本海沿いに連なり、弥彦山塊、弥彦山脈と呼ばれる山並みの主峰。北は角田山 (482m) 、南は国上山 (313m) に連なる。弥彦山自身も、北に位置する多宝山 (634m) との双耳峰である。一連の山と共に佐渡弥彦米山国定公園に指定されている。
新潟県の広い地域から見ることができ、弥彦神社の祭神・天香山命を祀った山として、古くから人々の崇敬を集め、山全体が弥彦神社の神域となっている。この弥彦山の近くには大河津分水が流れており、下越地方と中越地方の境として目印にもなって来た。
英彦山、雪彦山と共に日本三彦山と呼ばれる。
海岸よりいきなり突き出した山容をしており、かの深田久弥も著書『日本百名山』の後書きにて「名山には違いないが、絶対的な標高が足りなかった」と述べたように、標高の割に非常に秀麗な山容をしている。
地質的には安山岩、玄武岩、流紋岩など種々の火山岩が分布し、海岸側には枕状溶岩も見られるが、海底火山が隆起した物なのかそれとも別の成り立ちなのか、研究は殆どされていない現状である。
登山道は中部北陸自然歩道のコースとなっており、北側は弥彦神社の参道、南側は雨乞山近くの八枚沢に登山口がある。地元の小学生でも登る山であるが、途中に岩場などの難所もある。山稜には『弥彦山スカイライン』(新潟県道561号弥彦岩室線、冬期間は閉鎖)が通り、また、東側には麓から山頂付近まで弥彦山ロープウェイも架けられており容易にアクセスが可能である。ロープウェイの駅には売店、レストハウス、遊園地があり、周辺には弥彦神社の奧社(御神廟)がある。山頂からは日本海や越後平野を一望することができ、佐渡島に沈む夕日は秀逸である。
弥彦山は新潟県のほぼ中央に位置しているため、ここから送信することで新潟県の平野部をカバーできる。さらに、弥彦山から発信された電波は、秋田県の男鹿半島や会津盆地などでも受信が可能である。 このため、山頂付近には新潟県内のNHK、民放各社のテレビ・FMラジオ送信所や、防災無線などの中継所が設置されている。
各種送信所があることから、混信防止のため、日本アマチュア無線連盟新潟県支部では、1970年代より弥彦山でのアマチュア無線の運用自粛を呼びかけている。
送信エリアは、新潟市・燕市・長岡市など越後平野を広くカバーしている。しかし、県内の一部の地域には山間部も多く弥彦山からの電波が届かない地域もある。 また、スピルオーバーが原因で秋田県内でデジタル混信が発生したため、秋田県の送信所である大森山公園に置かれている親局の一部で大幅なチャンネル変更を強いられた。
FM新潟は、NHKの設備と共同使用している。またUX (NT21) は、開局当初からTeNY (TNN) の鉄塔を共同使用していたが、地上デジタル放送開始を機に鉄塔・UHF送信アンテナをBSNの施設との共同使用に変更した(送信局舎は、開局時より単独)。
弥彦山頂上駐車場には「パノラマタワー」と呼ばれる回転昇降式の展望塔があり、約8分かけて85m(展望部は76m)の高さを昇降する客車から越後平野や佐渡島などを360度見渡すことができる。この塔は新潟市中央区にあった「レインボータワー」、愛媛県愛南町にある宇和海展望タワーなどと類似した形状をしている。なお、新潟市のレインボータワーは既に廃業しているが、こちらのパノラマタワーは現在も営業している。
1972年(昭和47年)5月23日、昭和天皇が第23回全国植樹祭出席のために来県した際には、パノラマタワーも行幸先の一つとなった。
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