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京都市営地下鉄


京都市営地下鉄


京都市営地下鉄(きょうとしえいちかてつ)は、京都市交通局が運営する地下鉄。烏丸線・東西線の2つの路線があり、西京区を除く京都市内10区と宇治市を通っている。条例上の正式名称は京都市高速鉄道である。

路線

以下の2路線がある。日本全国の地下鉄事業者で唯一、全ての地下鉄路線が他社線と直通運転を行っている。

歴史

1968年に京都市の諮問機関である交通対策協議会が、その年の11月に出した答申が、京都における地下鉄建設計画の始まりである。その後、1972年10月24日に運輸大臣(当時)から地方鉄道事業(地下鉄烏丸線)の事業免許を取得。工事が進められ、1981年5月29日に地下鉄烏丸線(北大路駅 - 京都駅間)の営業を開始した。

開業当時の京都市営地下鉄の特色は、主要4駅にエレベーターを備えたことで、当時の日本の地下鉄では先進的であった。バリアフリーが広まる前の1972年頃から、車椅子常用者、障害者支援団体が運動を起こして京都市に請願し、京都市会と舩橋求己市長を動かした成果である。京都市は、相対式で設計されていた駅を急遽島式に変更し、将来的に全駅にエレベーターを設置することにした。

  • 1981年(昭和56年)5月29日:烏丸線北大路 - 京都間が開業。
  • 1988年(昭和63年)
    • 6月11日:烏丸線京都 - 竹田間が開業。
    • 8月28日:烏丸線、近鉄京都線と新田辺駅まで相互直通運転開始。
  • 1990年(平成2年)10月24日:烏丸線北山 - 北大路間が開業。
  • 1993年(平成5年)7月1日:市バス・地下鉄共通の「トラフィカ京カード」を導入。
  • 1997年(平成9年)
    • 5月22日:御池駅が烏丸御池駅に改称。
    • 6月3日:烏丸線国際会館 - 北山間が開業。
    • 10月12日:東西線醍醐 - 二条間が開業。京阪京津線が御陵から京都市役所前まで乗り入れ開始。
  • 1998年(平成10年)12月31日:大晦日から元旦の終夜運転開始。
  • 2000年(平成12年)
    • 3月1日:スルッとKANSAI対応カードが利用可能に。
    • 3月15日:烏丸線国際会館 - 近鉄奈良間直通の急行を運転開始。
  • 2004年(平成16年)11月26日:東西線六地蔵 - 醍醐間が開業。京都市外の宇治市に初めて地下鉄駅が開業。駅ナンバリング導入。
  • 2007年(平成19年)4月1日:PiTaPa導入(乗り入れしている近畿日本鉄道、京阪電気鉄道大津線も同時導入)。
  • 2008年(平成20年)1月16日:東西線二条 - 太秦天神川間が開業。京阪京津線の乗り入れ区間を太秦天神川まで延長。
  • 2010年(平成22年)3月19日:同日実施の近鉄全線でのダイヤ変更に伴い、烏丸線・東西線ともに21・22時台の増発や、烏丸御池駅での乗り継ぎ時間の均等化などのダイヤ改正を実施。東西線に直通運転する京阪京津線もダイヤが一部変更される。また、烏丸御池駅での烏丸線・東西線終電の全方向一斉発車作戦を交通局では公式に「シンデレラクロス」と名付けている。
  • 2013年(平成25年)
    • 3月23日:地下鉄全線で交通系ICカード全国相互利用サービスを開始。当時のICカードチャージサービスは1000円単位。
    • 9月16日:台風18号の豪雨により東西線御陵駅が冠水、営業を停止した。
  • 2014年(平成26年)12月20日:烏丸御池駅の烏丸線ホームで可動式ホーム柵の稼働を開始(2015年度には四条駅、京都駅にも設置)。
  • 2015年(平成27年)10月2日:烏丸線・東西線ともに、年末年始及びお盆期間を除いた毎週金曜日のみ終電を30分延長する「コトキン・ライナー」の運行を開始(烏丸御池駅での「シンデレラクロス」も実施)。
  • 2017年(平成29年)4月1日:地下鉄でICOCA、およびICOCA定期券の発売およびICカードでのバス・地下鉄での乗り継ぎ割引を開始(市バスも同時に発売・バス同士の乗り継ぎ割引も開始)。同時に券売機・乗り越し精算機が更新されたことにより、交通系ICカードチャージサービスを東京メトロに次いで全国2番目となる10円単位でのチャージが可能となるように変更。
  • 2021年(令和3年)3月26日:新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策で「コトキン・ライナー」の運行を当面の間休止。
  • 2021年(令和3年)10月1日:各種割引乗車券等の抜本的見直しにより一日券類の価格適正化(値上げ)および廃止、地下鉄昼間回数券とトラフィカ京カードの発売終了。
  • 2023年(令和5年)4月1日:「京都 地下鉄・バス ICポイントサービス『もえポっ』」を導入。これに伴い市バスおよび京都バスとの地下鉄連絡普通券の発売終了、ICカードによる乗継割引およびPiTaPaでの利用額割引廃止。

運賃

烏丸線・東西線を合わせた乗車距離に応じた区間制運賃を採用している。2019年10月1日改定。

乗継割引
  • 烏丸線京都駅 - くいな橋駅間と近鉄京都線 伏見駅 - 向島駅間の各駅を直通乗車もしくは乗り継いだ場合に市営地下鉄・近鉄の運賃合算額から10円または20円の割引がある。
  • 東西線三条京阪駅 - 御陵駅間と京阪大津線(京津線・石山坂本線)各駅との間を直通乗車もしくは乗り継いだ場合に市営地下鉄・京阪の合算運賃から20-90円の割引がある。京阪電気鉄道#運賃の項を参照。
以下の乗継割引はポイントサービス導入に伴い2023年4月1日に廃止された。
  • ICカードで京都市バス(100円循環バスを除く)・京都バスと地下鉄を当日中に乗り継いだ場合、2乗車目の運賃を60円(小児30円)割引く。
  • 「トラフィカ京カード」で京都市バス(100円循環バスを除く)・京都バスと地下鉄を当日中に乗り継いだ場合(複数回可)、偶数回乗車目の運賃を120円(小児60円)割引く。
  • 京都市バス・京都バス・京阪京都交通の市内均一区間(230円区間)と地下鉄を乗り継いだ場合に120円(小児60円)引きで利用できる「バス・地下鉄(地下鉄・バス)連絡普通券」を販売。地下鉄駅などで販売していたが、バス車内では販売していなかった。また、現金精算時には乗継割引が適用されなかった。
特定割引
身体障害者ならびに知的障害者とその介助者(第一種限定)、児童福祉施設等に入通所する児童と介助者は「特定割引普通旅客運賃」の対象となる
回数券・回数割引
以下の回数券を販売している。いずれも大人用・小児用があり、販売額は対象区間運賃の10倍相当。
  • 回数券:普通運賃相当の区間券11枚。終日利用可能
  • 特定割引回数券:特定割引相当の区間券11枚。特定割引対象者のみ利用可能。
以下の回数券は販売終了した。いずれも大人用・小児用があり、販売額は対象区間運賃の10倍相当。
  • 昼間割引回数券:普通運賃相当の区間券12枚。平日の午前10時から午後4時までに乗車(改札)した場合のみ利用可能(日祝日の利用不可)。2021年10月1日発売停止。
また、PiTaPaでの月間利用額が京都市交通局(地下鉄・バス)と京都バスの合算で3,300円(小児1,650円)を超える場合に、請求額を9.09%割引(利用額が3,000円(1,500円)を超え3,300円(1,650円)までの場合は請求額を3,000円(1,500円)に据え置き)する。2023年4月1日廃止。
団体券
25人以上の団体が同一区間を利用する場合、運賃の10%引き(学生団体は20%引き)で販売する。事前申し込みが必要。

このほか、地下鉄一日券、地下鉄・バス一日券も発売されている。

2023年4月1日時点で、6キロ以下の距離の運賃が日本の地下鉄で最も高い。普通運賃は乗車距離によって大阪地区に比べ−8%〜+16%、東京地区に比べ−5%〜+44%の差がある。

車両

現有車両

烏丸線
烏丸線の車両は20 m級車体に両開き4扉を備え、ラインカラーの緑色の帯が巻かれている。
  • 10系
  • 20系(2022年 - )
烏丸線開業当初から運用している10系電車のうち更新時期を迎える9編成を置き換える予定で2021年度から2025年度に投入が計画されている新型車両。京都市交通局の「経営ビジョン」で明言されている。烏丸線に導入予定の可動式ホーム柵に対応すべく自動列車運転装置 (ATO) 対応とされた。
2017年8月31日に「高速鉄道烏丸線新造車両デザイン検討業務」の入札が行われ、総合車両製作所が1円(予定価格500万円)で落札している。
2019年3月5日から18日にかけて外装・内装の最終デザイン案の一般投票が行われ、外装は「前面の造形に曲面を多用した、より近未来的なイメージのデザイン」が、内装は「華やかで雅なカラーデザイン」が選定された。
なお、製造は近畿車輛が6両編成9本54両を受注している。この車両は2022年3月26日から運行開始、近鉄直通運転は4月12日から運行開始している。
東西線
東西線の車両は16 m級車体に両開き3扉を備える準小型車両 で、オレンジ色のラインカラーの帯が車体に巻かれている。
  • 50系

乗り入れ車両

烏丸線
  • 近畿日本鉄道
    • 3200系(1986年 - )
    • 3220系(2000年 - )
東西線
  • 京阪電気鉄道
    • 800系(2代)(1997年 - )

経営状況

2022年度決算は一般会計からの補助金を含んで7億円の経常赤字であり、247億円の営業収益に対し支払利息などの営業外費用に34億円を計上している。東西線開業後は収支が改善していたが、新型コロナウイルス感染症の流行による乗客減少も影響し、2009年度から9年間および2020年度から3年間は経営健全化団体となっている。企業債などの残高は3,403億円に上る。

この経営の厳しさの一因には、地下鉄建設の計画時の予算に比べ、実際の建設費が大幅に増大したことが挙げられる。また、烏丸・東西の両線とも古都と言う土地柄ゆえに、開削工法を採用した工区の多くで、文化財保護法に基づく工事着工前の埋蔵文化財(遺跡)発掘調査が義務づけられ、そのための経費と期間が必要となった。埋蔵文化財の存在するような浅い地層に手をつけないことが可能なトンネル工法であれば発掘調査は不要だったが、費用が割高なことから開削工法が採用された。その結果、文化財調査費用が必要となり、安価な開削工法を用いてもトンネル工法以上に建設費が増大した(2路線合計31.2kmで9537億円)。また、京都市内には強い高さ規制があるため、沿線に高層マンション等を建設する振興策も難しい。

このような問題に対して京都市交通局では、駅業務の一部民間委託や高金利企業債の借換え、京都高速鉄道の直営化などによる各種コストの削減を進めている。また、駅ナカビジネスの展開などによる収益増にも取り組んでいる。なお、この一環で2010年4月より駅に掲示している駅名標付近に「駅名表示板下広告」の掲示を開始した。

営業路線の概要

脚注

注釈

出典

参考文献

雑誌記事

  • 森田久男「障害者運動と福祉政策 京都市地下鉄をめぐって」『佛教大学学報』第31号、1981年。 
  • 『鉄道ファン』通巻233号(1980年9月・交友社)
    • 久保恵信「来春オープンです 京都の地下鉄」 pp. 32-37
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻394号(1981年9月・電気車研究会)
    • 竹田昭三「京都市営地下鉄烏丸線の概要」 pp. 19-24
  • 『鉄道ファン』通巻426号(1996年10月・交友社)
    • 「京都市交通局50系」 pp. 60-61
  • 『鉄道ファン』通巻441号(1998年1月・交友社)
    • 京都市交通局高速鉄道本部「京都市交通局地下鉄東西線建設と路線の概要」 pp. 86-89

関連項目

  • 地下鉄
    • 日本の地下鉄
  • 京都市交通局
    • 京都市電
    • 京都市バス

外部リンク

  • 京都市交通局:地下鉄

Text submitted to CC-BY-SA license. Source: 京都市営地下鉄 by Wikipedia (Historical)