『A』(エース)は、日本のテクノユニットである電気グルーヴの7枚目のオリジナルアルバム。
1997年5月14日にキューン・ソニーレコードよりリリースされた。
解説
前作『ORANGE』リリース前後から、所属事務所の消滅による移籍、マネージャーの失踪、レコード会社に対する不信などのトラブルが続き、メンバー間でフラストレーションが溜まっており、「電気グルーヴをなめてる世間に対してリベンジをしてやる」という強い意志によって作られた。石野と砂原は(最も売り上げた『VITAMIN』の売り上げを上回る)「22万枚以上は売り上げたい」という目標を立てたが、先行シングルとしてリリースされた「Shangri-La」のスマッシュヒットのおかげで累計売上34万枚と過去最高の売り上げを記録した。
「電気グルーヴにおける『ヘッド博士の世界塔』(フリッパーズ・ギターのアルバム)を作るまでは電気を解散させるわけにはいかない」と以前から発言していた砂原良徳はこのアルバムの出来に満足し、次作であるアルバム『VOXXX』のレコーディング中に音楽性の違いから脱退を表明。1999年4月2日付で正式に脱退した。以降のグループメンバーは石野卓球とピエール瀧の2人組という形態となる。
同年7月29日には2枚組でアナログ盤がリリースされている。
リリース履歴
収録曲
CD盤
LP盤
曲解説
- かっこいいジャンパー - WICKED JUMPER
- この曲をライブ で演奏する際、緑レーザーによる演出が行われている。この演出は、ビデオ「野球ディスコ」で確認できる。
- VOLCANIC DRUMBEATS
- 山木秀夫の生ドラムをフィーチャーしている。後に、PVが制作された。
- ポケット カウボーイ - POCKET COWBOY
- さくらももこ原作のテレビアニメ『コジコジ』(TBS系列)の前期エンディングテーマとして使用された。シングル版とはミックスが多少異なる。
- ユーのネヴァー - NEVER
- 曲名の元ネタは元ピンク・レディーの歌手であるミーの楽曲「NEVER」から名づけられた。
- パラシュート - PARACHUTE
- 瀧が作詞にかなり苦戦した曲。
- ガリガリ君 - GARIGARI KUN
- 赤城乳業の同名商品であるガリガリ君からタイトルを採った曲。後にガリガリ君の懸賞で、天久聖一の自作ポエムをフィーチャリングしたリミックス曲を収録したCDがプレゼントされた(非売品)。
- 猫夏 - CATY SUMMER
- インスト曲。30周年記念アルバム『30』で海猫夏としてリメイクされている。
- あすなろサンシャイン - ASUNARO SUNSHINE
- この曲のために瀧はボイストレーニングを受け、本格的な発声練習をしてレコーディングに臨んだ。石野卓球によれば「自信作の曲が出来たから瀧がどう歌うのかと思ったら歌い出しから「あすなろサンシャイン」だから大爆笑した(笑)」と回想している。
- Shangri-La
- ベブ・シルヴェッティの「スプリング・レイン」をサンプリングした先行シングル曲。日産・テラノのCMソングとしても使われ、電気グルーヴ最大のヒットとなった楽曲である。シングル版とはミックスが異なる。
- SMOKY BUBBLES
- 卓球と砂原がスタジオで遊んでいる時に出来た曲。
- ループ ゾンビ - LOOP ZOMBIES
- ライナーノーツにはDie ZimmermännerのWeil Die Moral Schläftからのサンプルを含むとあるが、実際に収録されたサンプルはDie ZimmermännerのZitronenmamas großer Traumであり、明らかな誤記である。隠しトラックとして、漫画家の天久聖一による敬礼ボイスが収録されている。
参加ミュージシャン
- 山木秀夫 - ドラムス(2曲目)
- 田中フミヤ - ターンテーブル(6曲目)
- 太宰百合 - エレクトリックピアノ、アコースティックピアノ、キーボード(5,7,10曲目)
- 佐々木久美 - ボイス(5、7曲目)
- 村山達哉 - ストリングスアレンジ(8曲目)
- 金原千恵子 - ストリングス(8曲目)
- 天久聖一 - 敬礼ボイス
- 安藤裕子 - イングリッシュボイス
- MIJK VAN DIJK - ジャーマンボイス
脚注
注釈
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