『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』(げきじょうばん ウルトラマンオーブ きずなのちから おかりします)は、2017年3月11日より全国松竹系映画館にて公開された日本の映画作品。特撮テレビドラマ『ウルトラマンオーブ』の劇場版作品である。
キャッチコピーは「大集結!
テレビシリーズの後日談に位置づけられており、ウルトラマンオーブの新形態オーブトリニティが登場するほか、本格的な他のウルトラ戦士との共闘が描かれる。
ウルトラ戦士側のゲストとして、前作『ウルトラマンX』からは主人公の大空大地役である高橋健介、2017年で放送50週年を迎えた『ウルトラセブン』からは主人公のモロボシ・ダン役である森次晃嗣がそれぞれ出演している。ウルトラマンエックス・ウルトラマンゼロ・ウルトラマンギンガ・ウルトラマンビクトリーも、オリジナルキャストが声を務めている。
ゲスト悪役として、宇宙魔女賊ムルナウ役をお笑い芸人の椿鬼奴、ガピヤ星人サデスの声を山寺宏一がそれぞれ務めており、山寺は『ウルトラマンG』以来27年ぶりのウルトラシリーズへの出演となった。そのほか、お笑い芸人のジャングルポケットや、主題歌を担当するDa-iCEの工藤大輝と花村想太などが、ゲスト宇宙人たちの声を務めた。
魔王獣の脅威が去り、平和を取り戻した地球。SSPのもとに、かつてオフィスを訪れた少女・ユウカが謎の端末エクスデバイザーを携え、再び訪ねる。ウルトラマンエックスと名乗るその主は、「バディである大空大地を捜し出してほしい」とSSPに語りかけ、3人は彼の依頼を引き受ける。SSPは無許可で街に貼り紙をしているところを渋川に見られた矢先、エックスを狙う邪悪な魔女・ムルナウの派遣した宇宙人軍団に狙われ、絶体絶命の危機に陥るが、そこにウルトラマンゼロから宇宙を揺るがす危機を知らされ、姿を消したウルトラマンギンガとウルトラマンビクトリーを捜索していたガイに助けられる。ガイは単身ムルナウの待つ洋館へ向かうが、屋敷で彼を出迎えたのは、ガイとはすっかり腐れ縁となったジャグラーと、かつてガイに倒された宇宙人ガピヤ星人サデスだった。
かつてオーブとの戦いに敗れ、体の半分を機械化して復活した宇宙人。非常にハイテンションかつポジティブな性格で、ムルナウの用心棒としてオーブとの再戦を熱望している。武器は右腕に装備した水平二連突撃銃ガピヤ・スネイクと長剣ガビヤ刀から繰り出すサデステイン。また、必殺パンチギャラクティカ・サデスファクションという技も持つ。非常に強力な再生能力を持ち、一度はオーブトリニティのトリニティウムブレイクによってバラバラになった状態から復活した。
ムルナウの洋館の庭にてラジカセで音楽を流しながらエクササイズをしていたところをガイと再会し、人間大のまま彼との戦闘に突入する。巨大化した後、オーブとの戦闘ではバーンマイトとの格闘対決はほぼ互角で、ストビューム光線をものともせず、ハリケーンスラッシュとの武器対決ではオーブスラッガーランスを弾き飛ばし、カラータイマー点滅まで追い込む強さを見せる。しかし、戦いに夢中になりすぎていることを見かねたムルナウが差し向けたヒッポリト星人カリスト、テンペラー星人バチスタ、ガッツ星人ドッペルが乱入し、オーブを連行されてしまったために決着はつかなかった。
その後、デアボリックとオーブやウルトラマンエックスの戦闘に「2対1なんて卑怯」と主張して乱入する。この時はサンダーブレスターにフュージョンアップしたオーブの前に劣勢になるも、エックスがデアボリックによって宝石にされたことに動揺したオーブの隙を突き、ギャラクティカ・サデスファクションでオーブを倒す。
オーブがオーブトリニティとなってからはトリニティウムブレイクで体をバラバラにされるが、再生能力で体を再生させ、デアボリックキャノンでオーブに大ダメージを与えて追い詰める。しかし、ウルトラセブンが加勢に現れると劣勢となり、最後はオーブのトリニティウム光輪によってデアボリック共々体を両断され、悔いなく戦えたことに満足しつつ倒された。
『ウルトラマンタイガ』第6話には、弟のガピヤ星人アベルが登場した。
ムルナウがダークリングの力で召喚したサイボーグ怪獣。全身のありとあらゆる部分に武装が施されているほか、強力な装甲による高い防御力を兼ね備えている。
右腕ジェムアームから照射するジュエリックブレーズで、あらゆるものを宝石に変えてしまう。また、左腕アサルトアームや上半身の多砲塔からミサイルなどを発射し、サデスの両腕を背部から接続させることによって口からせり出す砲塔デアボリックキャノンは、ウルトラマンオーブ オーブトリニティが長時間の戦闘で疲弊していたとはいえ、一撃でトリニティウムシールドを突き破りオーブトリニティを吹き飛ばすほどの威力を持つが、切断技に弱くウルトラセブンのアイスラッガーには真っ向から切り裂かれている。
出現してまもなく全身の武器を乱射して大規模な破壊活動を行い、破壊した市街地を宝石へ変えていった。ウルトラマンオーブやウルトラマンエックスとの戦いでは、サデスが乱入した隙にジュエリックブレーズでエックスを宝石に変える。その後、オーブトリニティとなったオーブとも他の宇宙人たちの加勢も相まって互角の戦いを繰り広げた末、デアボリックキャノンで追い詰める。しかし、セブンの加勢で劣勢になり、もう一度オーブへデアボリックキャノンを発射するもサデス共々トリニティウム光輪で真っ向から切り裂かれ倒された。
『ウルトラマンタイガ』第4話「群狼の挽歌」に登場。
ヴィラン・ギルドが入手していた侵略兵器。数本のレーザー光線を頭部から放つほか、左腕には破壊光弾を連射可能な特殊砲を装備している。特殊な方法で、怪獣爆弾に高圧縮され、ヴォルクに奪われ、売りつけられるはずだったが、ヴォルクが暗殺者に殺された後、爆弾が起動し、元の大きさに戻る。その後、復活したフーマに倒される。
『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』第14話「黄金の脅威」に登場。
アブソリュートタルタロスが開いたナラクより出現した。全身に銃火器、左腕にはアサルトアームを装備している。グリッタートリガーエタニティのエタニティゼラデスによって倒される。
監督はテレビシリーズメイン監督の田口清隆が務め、撮影は前作『劇場版 ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』と同様にテレビシリーズ最終回と並行して行われた。『X』と同様に、重くシリアスなテレビシリーズ最終回とは対照的に娯楽重視でコメディテイストの明るい作品とすることが目指されたが、ストーリーの大きな流れがあった『劇場版X』に対し、本作品ではさまざまな要素を並べることで意図的に場面があちこちに飛ぶ内容となっている。田口は本作品のコンセプトを、「ウルトラマンフェスティバルのようにおもちゃ箱をひっくり返したようなものにしたかった」と述べている。
初期案では、『ウルトラマンオーブvsウルトラマンX』として何らかの理由で悪側に堕ちた『X』の防衛チームXioが『オーブ』の世界に攻め込んでくるという展開も検討されたが、『X』側のレギュラーが多いことから、大地とエックスのみが登場する形式となった。
どのウルトラ戦士も形態数が多いため、そのうちゲストの登場形態は必要最低限に抑えられている。田口は、エクシードXはダークサンダーエナジーを浄化するという設定ゆえに登場の必然性がなく、ギンガストリウムやギンガビクトリーなどは、ギンガを『(無印)ギンガ』の代表、ビクトリーを『ギンガS』の代表としてそれぞれ位置づけているため、登場させなかったとしている。一方、エックスやビクトリーがパートナーの怪獣に話しかけるカットを入れることにより、最低限の描写で相棒怪獣の存在感を強調している。
セブンの登場シーンは、前作『X』の劇場版で登場したウルトラマンティガが伏線を張っての登場であったことから、本作品の劇中でガイがハワイから理屈なしに帰ってきたムードを引きずってフラッと登場させたと語っている。監督の田口は、『バットマンVSスーパーマン』におけるワンダーウーマンのようにしたと語っている。
新規敵キャラクターのサデスとデアボリックは、『X』『オーブ』の怪獣との差別化や、テレビでは描写しづらくなった切断技をみせる意図などから、サイボーグ怪獣となった。
特撮では、映画『巨神兵東京に現わる』で考案された伊原式と呼ばれるワイヤー操作によるビル倒壊ギミックが用いられている。
2017年3月11日・3月12日の興行通信社国内映画ランキングでは第7位、2017年3月10日・3月11日のぴあ映画初日満足度ランキングでは92.0点で第2位をそれぞれ記録した。
最終興収は約2億円が見込まれている。
2017年4月15日から同年6月3日まで、『ウルトラマンゼロ THE CHRONICLE』内で後述の劇場版『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』のスピンオフテレビ作品『ウルトラファイトオーブ 親子の力、おかりします!』が全8話に渡って放送された。物語は劇場版のラストから直結した内容であるが、作中でエメリウムスラッガーが誕生するなど劇場版との時系列が異なる描写がある。1話につき約3分間であるが、内容によって前後しており、これに合わせる形で『ゼロ THE CHRONICLE』本編の尺が調整されている。
監督の坂本浩一や脚本の足木淳一郎など、2015年に放送された『ウルトラファイトビクトリー』のスタッフが再集結し、制作された。坂本はテレビシリーズや『THE ORIGIN SAGA』でもオファーを受けていたが、スケジュールの都合から参加できなかった。
『ゼロ THE CHRONICLE』の次番組『ウルトラマンジード』に向けてウルトラマンゼロとウルトラマンベリアルの存在感が強調されており、レイオニクスなどの設定も用いられた。その一方、ベリアルの要素を持つサンダーブレスターはあえて外されている。そのほかの登場ウルトラ戦士は、『ウルトラファイトビクトリー』との差別化を意図している。レイバトス以外の登場怪獣は、スーツが現存しているうえで商品化されているものの中から、歴代ウルトラ戦士との対戦の組み合わせを考慮して選考された。歴代ウルトラ戦士と怪獣の対決シーンは、過去の作品のオマージュとなっている。
また、本作品では色調を調整して独自の世界観を表現している。テレビシリーズとは別班であることから操演は使えず、爆発はすべて合成で処理された。
元々は、初めてライトニングアタッカーとエメリウムスラッガーを映像に出すという企画から始まり、エメリウムスラッガーが登場するため、セブンとゼロも登場することとなった。テレビシリーズにゼロは登場していないものの、ニュージェネレーションヒーローズ全員の成長に一役買っていることとなり、先輩としてのゼロの立ち位置を継続するものとなった。
レイブラッド星人の遺伝子を受け継ぐレイオニクスの1体。魂を操る能力を持ち、手で印を結びながら「ウジュイカ、レエガミヨ」と呪文を唱えることで、死んだ怪獣の魂を怪獣墓場から亡霊怪獣として蘇らせることができる。レイブラッド星人同様に全宇宙の支配を目的とし、それに邪魔なウルトラ戦士を根絶やしにするため、惑星ヨミでこれまで彼らに倒された怪獣たちを次々と蘇らせて差し向ける。自身の戦闘力も高く、腕から放つ光線レイバトスシュートを主な武器とするほか、身体を貫通するほどの攻撃を受けてもすぐに再生する不滅の力をもつ。
一度はオーブを退け、怪獣墓場でギガバトルナイザーを復活させて怪獣100体の復活を企むが、エメリウムスラッガーへのフュージョンアップを習得したオーブには劣勢を強いられ、再生が追い付かないほどの連続攻撃の末、ギガバトルナイザーと共に撃破される。
それでもなお満身創痍の状態で半ば再生を遂げ、最後の力を振り絞ってウルトラマンベリアルの復活を試みるが、失敗に終わったことでベリアルが復活済みであることを悟り、突如現れたウルトラマンジード(プリミティブ)のレッキングバーストを受けて完全に消滅する。
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