「ツイスト・アンド・シャウト」(Twist and Shout)は、フィル・メドレーとバート・ラッセルによって書かれた楽曲。1961年にトップ・ノーツによってレコーディングされ、シングル盤として発売されたが、1962年にアイズレー・ブラザーズによってカバーされるまで、本作がチャートインすることはなかった。アイズレー・ブラザーズによるカバー・バージョンは、全英シングルチャートで最高位42位、Billboard Hot 100で最高位17位を記録した。アイズレー・ブラザーズの他にも、ビートルズをはじめとした多数のアーティストによってカバーされている。
アメリカのR&Bボーカル・グループであるトップ・ノーツは、1961年2月23日にアトランティック・スタジオで「ツイスト・アンド・シャウト」のレコーディングを行なった。編曲はテディ・ランダッツォ、プロデュースはフィル・スペクターが手がけた。リード・ボーカルはハワード・ゲイトンで、伴奏はサクソフォーン奏者のキング・カーティス、ギタリストのバッキー・ピザレリ、ドラマーのパナマ・フランシスによるもので、バッキング・ボーカルでクッキーズが参加している。
『オールミュージック』のリッチー・アンターバーガーは、トップ・ノーツによる演奏について「単調でありふれたR&Bのメロディを持ったラテン系のレイブ」と評している。作曲者の1人であるバート・バーンズは、本作のレコーディングとスペクターによるプロデュースに対して不満を持っていた。
アイズレー・ブラザーズによるカバー・バージョンは、1962年5月にシングル盤として発売され、B面には「スパニッシュ・ツイスト」が収録された。プロデュースは、作曲者であるバーンズ(名義はバート・ラッセル)が手がけた。アイズレー・ブラザーズによるカバー・バージョンは、オリジナルよりもテンポを大幅に遅くしていて、3つの上昇するコードでチャチャを思わせるリズムを刻んでいる。また、ボーカル・パートは大幅に作り変えられ、リード・ボーカルの呼びかけに対して、ハーモニー・ボーカルで応えるというコールアンドレスポンスの形式が採られた。
アイズレー・ブラザーズによるカバー・バージョンは、アメリカのBillboard Hot 100で最高位17位を記録し、バンドで初めて上位20位以内にチャートインしたシングルとなった。また、オリジナルも含めて本作が初めてチャートインした例ともなっている。
ビートルズによるカバー・バージョンは、アイズレー・ブラザーズによるカバー・バージョンに基づき、リード・ボーカルはジョン・レノンが務めた。1963年に発売した1作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』に収録された。
1963年2月11日にEMIレコーディング・スタジオで行われた録音のレコーディング・エンジニアはノーマン・スミスが担当した。アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』の録音に向けて、同日午前10時から約3時間のセッションを3回繰り返し、10時間弱でシングルで既に発表されていた4曲を除く10曲を録音するという計画が立てられた。当日風邪をひいていたレノンは、牛乳と咳止めドロップを飲んで録音に臨んだ。2テイク録音されたうちのテイク1が採用されたが、これはテイク2の録音中にレノンの声が出なくなったためである。
1976年、レノンは本作の録音について「死にそうだった。ずっと歌いっぱなしで、もういつもの声じゃなかった。紙やすりのようにザラザラで、情けない気分になった…。だってもっと上手に歌えたんだから。でも今は平気。この曲を聴くと僕が全力を尽くしていたのがわかると思う」と語っている。
ビートルズによるカバー・バージョンは、アメリカで1964年3月2日にトリー・レコードよりB面に「ゼアズ・ア・プレイス」を収録したシングル盤として発売され、1964年4月4日付のBillboard Hot 100より4週連続で第2位を記録した。アメリカで唯一ミリオンセラーとなったビートルズのカバー曲で、全国レコードチャートで唯一トップ10入りしたビートルズのカバー曲となっている。その後、ヴィージェイ・レコードから発売された『Introducing ... The Beatles』やキャピトル・レコードから発売された『ジ・アーリー・ビートルズ』に収録された。なお、日本でも1964年4月25日臨発としてシングル盤が発売されたが、B面には「ロール・オーバー・ベートーヴェン」が収録された。
イギリスでは『プリーズ・プリーズ・ミー』に収録された後、4曲入りのEPとしてリカットされた。このEPは全英シングルチャートで第1位を獲得した。ビートルズ解散後の1976年6月25日に発売されたシングル盤『バック・イン・ザ・U.S.S.R.』のB面にも収録された。カナダでは1964年2月3日に発売された同国での2作目のオリジナル・アルバムの表題曲として収録された。
2007年に全英シングルチャートの判定基準が改訂され、ダウンロード販売された楽曲もチャートに登場するようになった。2010年にiTunes Storeにおいてビートルズの全楽曲がダウンロードできるようになると、本作を含めたビートルズの数曲が到達を果たし、中でも本作は最高位48位を記録した。
本作はビートルズの解散後に発売された『ロックン・ロール・ミュージック』、『リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス』などのコンピレーション・アルバムや『イマジン (オリジナル・サウンドトラック)』に収録された。
本作は、1963年10月にロンドン・パレイディアム劇場で開催された『Sunday Night』や1963年11月4日に行なわれた王室主催の音楽演奏会『ロイヤル・バラエティー・パフォーマンス』で演奏され、1964年2月に『エド・サリヴァン・ショー』に出演した際にも演奏されたほか、1964年夏の全米ツアーから1965年の全米ツアーまで、オープニング・ナンバーとして本作の短縮バージョンが演奏された。
1977年に発売された『ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ!』には1965年8月30日のハリウッド・ボウル公演での音源、1995年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』には『ロイヤル・バラエティー・パフォーマンス』での音源が収録された。
※出典
ソルト・ン・ペパは、1988年に発売したアルバム『A Salt with a Deadly Pepa』で「ツイスト・アンド・シャウト」をカバーした。。後にシングル・カットされ、全英シングルチャートで最高位4位を記録し、オランダのシングル・トップ100では最高位5位を記録した。
チャカ・デマス&プライヤーズは、ゲスト・ミュージシャンとしてジャック・ラディックスとタクシー・ギャングを迎えて「ツイスト・アンド・シャウト」のカバー・バージョンを録音した。このカバー・バージョンは、1993年に発売されたチャカ・デマス&プライヤーズのアルバム『ティーズ・ミー』に収録された。1993年12月6日にシングル・カットされ、全英シングルチャートで第1位を獲得した。
『オールミュージック』のリック・アンダーソンは、チャカ・デマス&プライヤーズによるカバー・バージョンについて「楽しいノベルティ」と評している。
『ビルボード』誌に寄稿したラリー・フリックは、「誰がこのビートルズのエバーグリーンを、レゲエの復興のための素材になると考えただろうか?その素質はあり、リスナーが想像するよりもはるかにうまく機能している」とし、「ジャック・ラディックスとタクシー・ギャングの力を借りて、チャカ・デマス&プライヤーズは、おなじみの歌詞をしゃべったり、乾杯したりしながら、速くて陽気なアイランド・グルーヴをふざけた調子で跳ね回っている。先見の明のあるプログラマーは、これでフレッシュで涼しいそよ風のようにプレイリスト上を流れることに気づくだろう」評している。
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