のぞきからくりは、江戸時代から明治にかけて盛んに行われていた大道芸のひとつで、客にレンズ越しに情景を描いた絵を覗かせ、「からくり節」ないし「覗き節」と称される節回しに乗せて説明を加えながら、紐を操作するなどして絵を次々と差し替えながら見せる見世物。
表記は平仮名で「のぞきからくり」とするのが一般的であり、かつて江戸では「のぞき」、上方では「からくり」とも呼ばれたというが、逆とする説もある。しかし、「覗きからくり」、「覗機関」と書くこともあり、さらに「覗眼鏡」とも称した。また、仕掛けの中に仕込む絵を指す、「覗き絵」、「眼鏡絵」、「からくり絵」といった表現で、この見世物に言及することもある。
幅1メートル余り(三尺余)から1.8メートル(一間)ほどの屋台の前面に5-6個の覗き穴があり、中を覗くと、仕掛けられた絵がレンズで拡大されて見える。屋台を挟んで左右に男女の演者が立ち、鞭で屋台を叩いて調子を取りながら、「からくり節」に乗せて演者の男女で掛け合うなどしながら物語を進めた。こうした演者は「口上師」などと呼ばれた。見物料金は、1899年(明治32年)の福岡県田川郡で、大人2銭、子ども1銭という記録がある。
のぞきからくりは、映画の興隆とともに人気が衰え、昭和初期には既にわずかな数が残るだけとなっていたとされる。新潟県新潟市西蒲区(旧 巻町)の巻郷土資料館には、全国で唯一とされる実演可能な往時ののぞきからくりが現存しており、新潟市指定有形民俗文化財となっている。
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