『BOOTLEG』(ブートレグ)は、米津玄師のメジャー3枚目、通算4枚目のスタジオ・アルバム。2017年11月1日にソニー・ミュージックレコーズよりフィジカル・音楽配信の形態でリリースされた。タイトルの「BOOTLEG」は「海賊版(海賊盤)」を意味している。
『BOOTLEG』は前作『Bremen』からおよそ2年1ヶ月ぶりにリリースされた。米津が所属をユニバーサルシグマからソニー・ミュージックレコーズへ移してから初めて発表されたオリジナル・アルバムである。本作には「LOSER」「ナンバーナイン」「orion」「ピースサイン」のシングルカットされた楽曲に加え、米津がハチ名義で発表した「砂の惑星」、DAOKO×米津玄師の名義でリリースした「打上花火」の2曲のセルフカバーなど、過去のアルバムと比較して非常に多くの既発楽曲が収録されている。
『BOOTLEG』の初回限定盤は「ブート盤」「映像盤」「通常盤」の3形態で発売され、全形態に共通して「米津玄師 2017 TOUR / Fogbound」12月開催公演のチケット追加応募券、「米津玄師 2018 LIVE / Fogbound」のチケット最速先行抽選応募券が封入された。ブート盤は12inchアナログ盤サイズのジャケットで販売され、CDの他に複数枚のアートイラスト、ポスター、ダミーレコード(アナログレコードを模した装飾)が封入された。CDジャケットの全面は額縁のようなデザインで、内側に挿入したアートイラストとアルバムタイトルのロゴをプリントしたクリアシートによって複数のジャケットワークを購入者が組み合わせられるようになっている。映像盤はCDとDVDの2枚組仕様である。DVDには「ナンバーナイン」を除いた「Bremen」以降に発表されたシングル表題曲、「LOSER」「orion」「ピースサイン」と、映像作家の加藤隆が手がけた「ゆめくいしょうじょ」のミュージックビデオが収録されている。通常盤はCDのみを収録している。
『BOOTLEG』のジャケットカバーには、これまでのリリースと同様、イラストレーターとしても活動する米津が自ら描いた絵が用いられている。絵は薄暗い部屋に立つ首なしの人間と、その肩に留まる巨大なフクロウが描かれている。米津は自らの絵の作風を漫画的だと評していたが、今作ではそこから離れ、絵画への接近を意識して描かれた。米津はジャケットの完成品を知人に見せた際に、絵のタッチがアメリカの画家エドワード・ホッパーのものに似ていると指摘された。米津はそれがホッパーとのファーストコンタクトであり、ホッパーの絵画「ナイトホークス」の題名を当時制作中だった楽曲へ引用した。
2016年に「LOSER/ナンバーナイン」、2017年に「orion」「ピースサイン」がシングルリリースされた。「砂の惑星」は2017年7月21日にYouTube、ニコニコ動画の米津のチャンネルでミュージックビデオが公開され、同年8月31日に配信が開始された。「打上花火」は2017年8月16日にDAOKOの3枚目のシングルとしてリリースされた。 2017年10月10日に東京国際フォーラムにおいて「米津玄師「BOOTLEG」プレミアム全曲先行視聴会」が開催され、アルバムに収録される全ての楽曲の情報が披露された。それまで「fogbound(+?)」「灰色と青(+?)」として情報が伏せられていた楽曲において前者にはファッションモデルの池田エライザ、後者には俳優の菅田将暉がボーカリストとして参加したことが明らかとなった。また、「灰色と青」は同日にミュージックビデオがYouTubeで公開、先行配信が開始された。 アルバムの発売日の11月1日から大阪フェスティバルホールでの公演を皮切りに、15都市20公演を巡るホールライブツアー「米津玄師 2017 TOUR / Fogbound」が開催された。翌年の1月9日・1月10日には追加公演として、自身初の日本武道館でのワンマンライブ「米津玄師 2018 LIVE / Fogbound」が開催され、「LOSER」のミュージックビデオで振付を担当した辻本知彦、その友人のダンサーの菅原小春、「灰色と青」にてボーカリストとして参加した菅田将暉が客演した。
本作は、他の音楽家、媒体の異なる創作物へのオマージュがキーワードとなっている。米津は『diorama』では誰もが聞いたことのない楽曲を追求していた。次作『YANKEE』では前作の方向性を踏襲しつつ、大衆の受容を意識した普遍的な楽曲へのアプローチを見せ、さらに次作『Bremen』ではその方向へさらに踏み込んだ。 本作に収録された楽曲は、いずれも何らかの対象へのオマージュが立てられている。「ナンバーナイン」は多数の漫画家が集結した「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」。「orion」はNHKTVアニメ「3月のライオン」と、ザ・チェインスモーカーズからの影響がラジオ番組内で公言された。「ピースサイン」は読売系アニメ「僕のヒーローアカデミア」と、和田光司の「Butter-Fly」、DAOKOとの共作となった「打上花火」は「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」。「砂の惑星」は楽曲名にフランク・ハーバートの小説「砂の惑星」を冠し、ハチ名義で幾度も使用したVOCALOIDの初音ミクへのオマージュを掲げ、楽曲中に同じVOCALOIDを用いた楽曲を彷彿とさせるフレーズが登場する。その他新録曲にも同じ試みが存在し、オマージュがアルバム全体に通ずるテーマとなっている。
アルバムタイトルは、当初砂丘を意味する「Dune」となる予定だった。しかし前述のオマージュを含んだ楽曲群から、他者の作品からの影響を集めたアルバムに仕上がり、最終的に海賊版を意味する「BOOTLEG」が採用された。
『BOOTLEG』及びアルバム関連曲は、アルバム発売初週にかけて多数のチャートで好成績を残している。
発売日前日、フラゲ日の10月31日に約6.9万枚を売り上げ、同日付けのオリコンアルバムデイリーランキングで1位にランクイン。発売日の11月1日も約3.2万枚を売り上げ、1位を維持している。11月7日に発表された週間アルバムランキングでは初登場1位にランクインし、通作2作目、2作連続で1位を記録した。初動売り上げは16万枚を突破しており、2位以下に10万枚以上の大差をつけて首位獲得を果たした。売り上げ枚数は米津が過去に発表したアルバム作品の初動売り上げを合計した数字を上回る記録である。翌週のランキングでも約3.7万枚を売り上げ、安室奈美恵のオールタイムベストアルバム『Finally』に次いで2位にランクインした。以降も5週連続で週間TOP10入りを果たしている。
Billboard Japan Hot Albumsでは、ランキングを構成する指標(CDセールス・ダウンロード・ルックアップの3部門)の全てで1位を記録し、初登場1位を獲得した。
発売初週にはオリコンやBillboardをはじめとする、20を超えるチャートで『BOOTLEG』及び関連曲が首位を獲得している。
先行配信された「灰色と青 ( + 菅田将暉 )」は10月23日付のBillboardのJapan Hot 100で初登場3位にランクインした。
『BOOTLEG』が発売された初週には、ダウンロードチャートにアルバム収録曲及び関連曲が多数チャートインしている。先行配信されていた「灰色と青 ( + 菅田将暉 )」は前週7位から順位を上げて1位に返り咲いている。DAOKO×米津玄師名義で発売された「打上花火」も前週8位から順位を上げて3位を獲得。その他シングルとして発売されていた「LOSER」「orion」「ピースサイン」はいずれも順位を20位以上上げている。加えてアルバム新録曲6曲が単独でチャートに初登場し、合計11曲が100位以内にチャートインする結果となった。
『BOOTLEG』は全日本CDショップ店員組合が主催する「第10回CDショップ大賞2018」の二次ノミネート作品に選出された。2月8日には、同作品の上位10作品入賞が決定した。米津のアルバムが賞へノミネート・上位入賞を果たすのは1stアルバムから4作連続、4度目であり、これは星野源、サカナクション、back numberと並んで最多の受賞回数である。3月8日の授賞式にて、大賞の受賞が発表された。
Owlapps.net - since 2012 - Les chouettes applications du hibou