第95回東京箱根間往復大学駅伝競走(だい95かいとうきょうはこねかんおうふくだいがくえきでんきょうそう)は、2019年(平成31年)1月2日から1月3日まで開催された95回目の東京箱根間往復大学駅伝競走である。95回目の記念大会であり、第94回大会シード校(青山学院大学、東洋大学、早稲田大学、日本体育大学、東海大学、法政大学、城西大学、拓殖大学、帝京大学、中央学院大学)のほかに「関東インカレ成績枠」から1校(日本大学)、2018年10月13日に行われた予選会の上位11校(駒澤大学、順天堂大学、神奈川大学、國學院大學、明治大学、東京国際大学、大東文化大学、中央大学、国士舘大学、山梨学院大学、上武大学)に加え、関東学生連合チームを合わせた、例年より2校多い全23チーム の参加で実施された。平成最後の箱根駅伝。
※今大会より、往路の平塚中継所・小田原中継所での繰り上げスタートがトップ通過から15分に変更された。
第94回大会の上位10校(シード校)のほかに「関東インカレ成績枠」から1校 と予選会通過校11校、これにオープン参加の関東学生連合チームを合わせた全23チーム が参加。
※ナンバーカードの数字はNo.1-No.10が前年順位、No.12-No.22は予選会順位の順。
史上初の2度目の大学駅伝3冠と史上3校目の箱根駅伝5連覇に挑む青学大に、出雲駅伝・全日本大学駅伝で共に3位以内の成績を収めた東洋大・東海大が優勝候補に挙げられた。
エントリー変更は早大・法大・駒大・順大の4チーム。
スタート直後・わずか200m地点で、大東大・新井康平が集団の中で転倒。集団の最後方についたものの、左足を引き摺りながらの走りになってしまう波乱の幕開けとなった。
序盤は1km3分前後のペースで推移していたが、6.7kmから東国大のモグス・タイタスが飛び出して集団が縦長になると、7.2kmで新井が上武大・関東学生連合とともに集団から遅れ始める。7.5kmで集団に吸収されたタイタスは9.7kmで再び飛び出したが、12.1kmでまたも集団に吸収される。ペースの上げ下げが激しい展開のなか、17kmまでに8人が集団から脱落した。
15人となった先頭集団は六郷橋の上りで東洋大・西山和弥が引っ張ると大きくばらけ始め、六郷橋の下りからは西山と中大・中山顕の一騎打ちとなった。19.3kmから西山がロングスパートをかけて中山との差を少しずつ広げ、2年連続トップでタスキリレー。1秒差で中山、6秒差で青学大が続いた。
駒大・片西景は9秒差の7位で鶴見中継所に飛び込んだが、2区の山下一貴がリレーゾーンに現れず、タスキリレーができないまま10数秒ほどタイムをロスするアクシデントが発生した。
大東大・新井は、14kmから左足首の状態が悪化しさらにペースが落ちたものの最後まで走り切り、8分40秒差で無事にタスキを渡した。
エントリー変更は東洋大・早大・山梨学大の3チーム。
先頭は東洋大・山本修二と中大・堀尾謙介が激しく競り合う。その後ろでは9位でタスキを受けた国士大のライモイ・ヴィンセントが、3kmで6人を抜いて3位に浮上。すぐに先頭に追いつくものと思われたが、区間上位のペースで競り合う2人との差はなかなか縮まらず、終盤まで10秒前後の差で推移する。
先頭争いは18.8kmで山本が仕掛けて堀尾を引き離し始めたが、その後ろからヴィンセントがロングスパート。21.6kmで堀尾、22.3kmで山本を逆転しトップでタスキリレー。国士大の戸塚中継所トップ通過は46年ぶり。6秒差で山本、14秒差で堀尾が続いた。
後方からは日大のパトリック・マゼンゲ・ワンブィが激走。区間記録にあと14秒と迫る2区歴代2位のタイムで区間賞を獲得し、13人を抜いて4位に浮上した。順大・塩尻和也も快走を見せ、第75回大会で順大の先輩三代直樹が記録した日本人最高記録を1秒更新し、10人を抜き9位に浮上。
一方、青学大・梶谷瑠哉は3位から8位、法大・坂東悠汰は5位から11位、早大・太田智樹は4位から18位まで後退した。
大東大は1区の遅れが影響し、繰り上げスタートとなった。戸塚中継所での繰り上げスタートは第90回大会以来5年ぶり、大東大にとっては第71回大会以来24年ぶり。
エントリー変更は青学大・拓大・明大の3チーム。
東洋大・𠮷川洋次は、6秒前を行く国士大の主将・多喜端夕貴を700m手前でかわしトップに立つ。
8位でタスキを受けた青学大は、当日変更でエントリーされた主将・森田歩希が快走。13.7kmで単独2位に浮上すると𠮷川との59秒差を徐々に縮め、残り1km地点で𠮷川をかわして首位に浮上。2年ぶりに平塚中継所をトップでタスキリレー。森田は第88回大会で山梨学大のオンディバ・コスマスがマークした区間記録を12秒更新する1時間01分26秒の区間新記録を樹立した。𠮷川は8秒差の2位でタスキリレー。
上位争いでは駒大・中村大聖が7位から3位に、中位争いでは帝京大の1年生・遠藤大地が14位から6位、明大・阿部弘輝が3区歴代4位の走りで17位から12位に浮上。一方、多喜端は区間18位と振るわず11位まで順位を下げ、中大は3位から9位、日大は4位から16位、日体大は13位から18位にそれぞれ後退した。
エントリー変更は東洋大・日体大・東海大・帝京大・日大・順大・大東大・国士大・学生連合の9チーム。
東洋大・相澤晃は1.9kmで青学大・岩見秀哉を捉え、しばらく並走した後、2.5kmで岩見を突き放すと一気に差を広げる。
相澤は神奈川大・大塚倭の持つ区間記録を1分27秒も上回り、さらにほぼ同じコースを使用していた第75回大会で駒大・藤田敦史がマークした驚異的な区間記録をも上回る1時間00分54秒の区間新記録を樹立。2年連続で小田原中継所をトップでタスキリレー。
一方の岩見は低体温症に陥り中盤以降急失速。18.2kmで東海大・館澤亨次が2位に浮上し2分48秒差でタスキリレー。青学大は3分30秒差の3位に後退した。
なお、今大会から往路の平塚・小田原での繰り上げスタートがトップ通過から15分に改正された。戸塚で繰り上げとなった大東大は奈良凌介が区間5位の走りで2人をかわし小田原での繰り上げは回避。山梨学大も繰り上げまであと4秒というところで辛くもタスキリレーするが、関東学生連合は間に合わず繰り上げスタートとなった。小田原中継所での繰り上げスタートは、途中棄権(山梨学大・神奈川大)のあった第72回大会以来23年ぶり。
エントリー変更は駒大のみ。
2分48秒のリードをもらった東洋大・田中龍誠は、東海大・西田壮志の猛追を振り切り、2年連続の往路優勝を果たした。西田は法大・青木涼真のもつ区間記録を26秒も上回る好タイムを叩き出し、1分14秒差の2位でフィニッシュ。
上位争いでは、6位でタスキを受けた國學院大・浦野雄平が激走。大平台の定点で青学大・竹石尚人をかわすと、小涌園の定点手前からは駒大・伊東颯汰と競り合い16.5km手前で単独3位に浮上。青木の区間記録を50秒も上回るタイムで走りぬき、距離が変更された第93回大会以降では初となる1時間10分台のタイムで区間賞を獲得した。浦野の3人抜きで國學院大は往路過去最高の3位でフィニッシュ。
法大・青木は12位でタスキを受けると7人を抜いて5位まで順位を押し上げ、自身の区間記録を上回る快走を見せたが、浦野・西田には及ばず区間3位であった。
一方、前回この区間5位だった青学大・竹石は序盤からペースが上がらず、芦之湯の定点では8位まで後退。山下りで立て直し拓大と順大を抜き返したものの6位でフィニッシュ。トップと5分30秒の差がつき、5連覇に黄色信号が灯った。
シード権争いは今年も混戦。5位法大から10位中央学大まで1分54秒、中央学大から15位早大まで2分34秒の間に各校がひしめく。
16位の日体大以下8チームが復路一斉スタートとなった。
エントリー変更は明大・中大・神奈川大・東国大・国士大・城西大・学生連合の7チーム。
東洋大は2年連続の山下りとなる今西駿介、2位東海大は3年連続で中島怜利、6位青学大は4年連続で小野田勇次が出場。3者とも序盤から快調なペースで下り、函嶺洞門の定点ではこの3人と法大・坪井慧が区間記録を上回るペースで通過。
今西は自身の記録を1分19秒上回る6区歴代4位の好タイムで、東洋大が5年ぶりに小田原中継所をトップでタスキリレー。中島も自身の記録を30秒上回る6区歴代3位の快走を見せ、1分08秒差でタスキを繋ぐ。
小野田は下りが緩やかになった終盤に追い上げ、現在の区間距離(第62回大会以降)になってからは史上初の57分台となる57分57秒の区間新記録を樹立。今西・中島の快走もあり大きく差を縮めることはできなかったが、5分15秒差の5位でタスキリレー。
19.4kmで小野田に逆転を許した法大・坪井も区間4位と健闘。区間5位の帝京大・島貫温太までが58分台を記録するハイレベルな区間賞争いであった。
シード権を争う10位中央学大と11位明大の差は、小田原中継所でわずか9秒となった。
エントリー変更は國學院大・順大・中央学大・中大・東国大・城西大・上武大の7チーム。
先頭の東洋大主将・小笹椋は落ち着いた走りを見せるが、2位の東海大・阪口竜平はそれほど突っ込んだペースではないながらも二宮の定点で48秒差まで追い上げると、その後は区間記録と変わらないペースで小笹を猛追。大磯では19秒差、平塚中継所1km手前では7秒差となり、平塚中継所でタスキリレーした時にはわずか4秒差まで縮まった。阪口は7区歴代5位の好タイムで区間2位。追い上げを許した小笹も区間3位と粘りを見せた。
大逆転を狙う青学大は、区間記録保持者の林奎介が今年も快走。序盤からハイペースで突っ込み1.7kmで國學院大、9.6kmで駒大をかわし3位に浮上すると、自身の持つ区間記録にあと2秒と迫る走りで区間賞を獲得。トップとの差を3分48秒まで縮めた。
シード権争いは、11位の明大・小袖英人が中央学大・吉田光汰を10km手前で逆転しシード圏内に浮上。二宮の定点では14秒の差をつけ9位拓大も目前に捉えるが、低血糖状態に陥り終盤に失速。吉田が16.8kmで再逆転し、平塚中継所では27秒の差をつける。
エントリー変更は東洋大・東海大・青学大・駒大・國學院大・拓大・明大・大東大・城西大の9チーム。
東海大・小松陽平は平塚中継所からわずか300mで東洋大の1年生・鈴木宗孝の背後に取りつくと、横に並んでは鈴木の様子を確認し、再び背後につく動作を繰り返す。細かな駆け引きが続くなか、遊行寺坂を前にした14.6kmで小松がスパート。鈴木との差を一気に広げた。
力を溜めていた小松は終盤の上り坂もハイペースで駆け抜け、大学史上初めて戸塚中継所をトップでタスキリレー。小松は第73回大会で山梨学大・古田哲弘が作った区間記録を22年ぶりに更新する1時間03分49秒の区間新記録を樹立した。東洋大・鈴木は区間3位(8区歴代9位)と粘ったが、小松とは51秒の差がついた。
青学大は1年生の飯田貴之が序盤から区間記録ペースで追い上げ、区間2位(8区歴代6位)の好走。しかし中盤から一気にペースを上げた小松との差は縮まらず、戸塚中継所では4分29秒の大差がつき5連覇は絶望的となった。
シード権争いは、10位でタスキを受けた中央学大・大濱輝が区間5位と快走し、遊行寺坂の定点で拓大を逆転。戸塚中継所では拓大に32秒の差をつける。2年連続の8区となった拓大・白髪大輝は区間14位と振るわなかったが、追いかける明大・角出龍哉が終盤に急失速し区間17位に沈んだこともあり、1分06秒の差で10位をキープする。その後方では8人の12番手集団が形成され、早大・日大・中大などがシードを目指して前を追うも、10位拓大とはおよそ2分の差がつく。
戸塚中継所では城西大が第92回大会以来3年ぶり、上武大が2年連続の繰り上げスタートとなった。
エントリー変更は東海大・法大・國學院大・中央学大・明大・日大・上武大・学生連合の8チーム。
東海大の主将・湊谷春紀は初の総合優勝に向け終始安定したペースを維持。区間2位の快走で大学史上初めて鶴見中継所をトップでタスキリレー。
再逆転を狙った東洋大は、中村拳梧が権太坂以降急失速し区間19位のブレーキ。鶴見中継所ではトップと3分35秒の大差がついた。その後方では青学大・𠮷田圭太が激走。区間記録を狙ってハイペースで突っ込み、中盤以降も粘って9区歴代5位の好タイムで区間賞を獲得。鶴見中継所では2位東洋大にわずか8秒差まで詰め寄った。
シード権争いは、10位の拓大・清水峻汰が区間14位と伸び悩んだ一方、11位の明大・村上純大は区間10位で踏ん張り、鶴見中継所で10位と11位の差は28秒まで縮まった。早大・中大・日体大もそれぞれ追い上げ、9位中央学大から14位日体大まで6校が2分以内の差でタスキリレー。
鶴見中継所では、国士大・山梨学大・城西大・上武大の4校が繰り上げスタート。国士大と山梨学大は3年連続の鶴見繰り上げとなった。東国大は3回目の出場で初めてゴールまで一本のタスキを繋いだ。
エントリー変更は東洋大・青学大・國學院大・中央学大・早大・日体大・国士大・城西大の8チーム。
東海大はアンカーの郡司陽大も安定した走りで区間3位と快走。46回目の出場で初の総合優勝に輝いた。東海大は復路2位ながら復路新記録を樹立した。
2位争いは青学大・鈴木塁人が序盤からハイペースで飛ばし、東洋大・大澤駿を2.2kmで逆転する。鈴木は新八ツ山橋の定点まで区間記録を上回るペースで猛追。結果としてはオーバーペースとなったが、区間2位の走りで総合2位でフィニッシュ。青学大は往路のブレーキが響いて5連覇および2度目の学生駅伝三冠とはならなかったものの、復路で3人が区間賞・残る2人も区間2位でまとめ、東海大を35秒抑え、復路新記録で復路優勝を飾った。
なお、総合優勝・往路優勝・復路優勝の全てが異なる大学となったのは、第82回大会(総合:亜細亜大学、往路:順天堂大学、復路:法政大学)以来13年ぶり。
東洋大は5分54秒差の総合3位で、11年連続の3位以内となった。予選会をトップ通過した駒大は総合4位で2年ぶりのシード獲得。帝京大は星岳が区間賞の走りで2人をかわし総合5位。帝京大は2018年度の学生三大駅伝全て5位の珍記録となった。
法大は復路の5人全員が区間一桁順位と安定感を発揮し2年連続の総合6位。國學院大は往路3位から順位を落としたものの、大学史上最高の総合7位で7年ぶりのシード権を獲得。順大は総合8位で2年ぶりにシードに返り咲いた。
拓大は松岡涼真が区間5位と好走し18kmで中央学大・石綿宏人を捉え20km過ぎに逆転。総合9位で大学史上初の2年連続シード獲得となった。かわされた石綿も区間9位で踏ん張り、中央学大が2年連続の総合10位・5年連続のシード獲得となった。
11位でタスキを受けた明大の主将・坂口裕之は序盤からペースが上がらず、6kmで早大・中大・神奈川大に逆転を許す。坂口はその後低血糖状態に陥り区間最下位のブレーキ。フラフラの状態で22番目にゴールし、総合順位も17位に転落した。
坂口をかわした中大・川崎新太郎と早大・小澤直人は競り合いながら前を行く拓大・松岡を追い、新八ツ山橋の定点では52秒差まで詰め寄る。しかし前との差はそれ以上縮まることなく、並ぶようにフィニッシュ。10位と1分16秒差の同タイムで、中大が総合11位・早大が総合12位となった。早大のシード落ちは第82回大会以来13年ぶり。
総合13位の日体大は第91回大会以来4年ぶりのシード落ち。城西大は総合20位で2年ぶりのシード落ちとなった。
また、優勝した東海大から3位東洋大までが総合タイム10時間50分台となり、史上初めて3校が10時間台でのゴールとなった。さらに、上位10校が総合タイム11時間10分を切るのも史上初となった。
中継所通過時における通過順位 及び 通過時刻
今大会の予選会には39大学(大学校を含む)がエントリーしている。
第95回 箱根駅伝予選会総合公式記録
第95回 箱根駅伝予選会個人記録
※予選会上位11校が本大会出場。
「第95回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会 要項」における参加資格は以下のとおりである。
5年に1回の記念大会にのみ採用されるとされていた箱根駅伝の出場枠であり、今大会が95回の記念大会であることから適用される。
関東学生陸上競技連盟が平成26年4月1日に発表した「東京箱根間往復大学駅伝競走における関東インカレ成績枠の導入について」 による決定事項は次のとおり。
第93回~第97回の関東インカレ5年間の総合得点の累計結果により、「関東インカレ成績枠」として第95回箱根駅伝の出場権が日本大学に与えられることになった。
大会終了後の2019年4月1日付で関東学生陸上競技連盟から「今大会以降、関東インカレ成績枠を適用しない」との発表があり、この「関東インカレ成績枠」は結果として第95回大会のみの適用となった。
予選会
本大会
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