土塁(どるい、英: earthworks)とは、敵や動物などの侵入を防ぐために築かれた、主に盛土による堤防状の防壁である。
日本では古代から近世にわたって、豪族の住居、環濠集落、陣地、城、寺などの周囲にライン状に盛られた。安土、的土(あづち)ともいう。
平地に盛られる土塁は堀と組み合わせて作られ、堀を穿って生じた土を盛土に利用して作られることが多い。これを掻揚土塁(かきあげどるい)という。土塁内側からの高さは低くて約2メートル、高くて3メートルほどある。また、盛土ではなく山の斜面で切土(きりど)をして勾配を造ったものを切岸(きりぎし)をいう。江戸時代以前、こうした土塁や切岸は土居(どい)、土手(どて)と呼ばれていた。
土塁の役割として、防御区画内部への攻撃側の侵入を阻止する障壁、攻撃側からの防御区画内部への視界を遮り射撃を防ぐ、戦術上有利な位置となる高所を守備側に占位させるなどがあげられる。
通常の土塁は、曲輪のライン状に盛られるが、竪土塁(たてどるい)という、山などの斜面の縦方向に盛られた土塁もある。登り石垣と同様の機能である。曲輪の櫓を上げる部分では土塁の幅を広くとる。城によって櫓台は石垣とする場合もある。
土塁の天端や法面にできた平面部分を馬踏(まふみ)といい、人馬が通行可能な幅をとった。一方、基底部を土敷居(つちしきい)という。馬踏に塀や柵を建てた場合、城内側のスペースを武者走り、城外側のスペースを犬走りと呼んだ。犬走りは塀の基礎を安定させるためのスペースであり、1尺5寸程度以上の幅をとる必要があった。
土塁は、その工程によっておおまかに2つの種類が分けられる。
土塁は叩いて固めることで完成時は乾燥すると固く頑丈となるが、土砂でできているものであるため風雨に弱く、叩き締めた状態のままにしておくと土砂が流出して崩壊してしまう恐れがあった。こうした、斜面崩壊を防ぐために土留を施す。
土塁の法面に、草を植えて繁殖させることで土塁崩壊を防いだ。芝を植えたものを芝土居(しばどい、しばどゐ)といい、積土に芝を混ぜ叩き固めたものもある。植えられる草は芝だけでなく、ジャノヒゲ、小笹、熊笹、竹なども植えられた。特に竹を植えたものは豊臣秀吉による御土居(京都府)や津山城(岡山県)にその例があり、津山城では「竹土手」と呼ばれていた。また、熊笹を植えたものは「熊笹土塁」とも呼ばれ、降雪の多い地域の城に例が多い。
また、土留には腰巻石垣(こしまきいしがき)という、底辺部に低く積んだ石垣も用いられた。
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