福岡市中央卸売市場(ふくおかしちゅうおうおろしうりしじょう)は、福岡県福岡市が開設し、管理運営にあたる中央卸売市場。
2016年に3つに分かれていた青果市場が移転して新青果市場(愛称:「ベジフルスタジアム」)に統合集約されたことから、現在は鮮魚市場、食肉市場を併せた3場で運営されている。
(福岡市中央卸売市場より)
2016年(平成28年)に青果市場・東部市場・西部市場が前述のみなと香椎(アイランドシティ)の新用地に統合集約して移転・開業することによって、旧3市場各跡地の広大な敷地が残されることとなった。福岡市ではこれらの土地を売却することで新市場用地確保の財源とすることを目指すこととなったが、市のまちづくりに寄与する土地利用の誘導や周辺環境への配慮等を考慮する必要があるため、土地価格だけでなく提案内容も評価の対象とする総合評価プロポーザル方式による公募を行うこととした。とりわけ博多区那珂の旧青果市場については8ヘクタールを超す広大な敷地を有し、福岡空港や博多駅とも近接した立地であることから「地域や福岡市の魅力あるまちづくりに寄与する跡地活用が期待される一方、跡地活用に際しては交通や周辺環境等に対する配慮も重要」であるとし、2015年(平成27年)10月に那珂・弥生・宮竹各校区自治協議会及び五十川農事組合により、「青果市場跡地まちづくり協議会」を設立し、地元としての意見をとりまとめる場とした。さらに2016年(平成28年)8月より「青果市場跡地まちづくり構想委員会」を設置し、学識経験者らや地元市民代表らを含む意見募集の場として以降4回にわたり委員会を開催。2017年(平成29年)9月に同委員会により跡地活用の指針となる基本的な考え方を示す「青果市場跡地まちづくり構想」を策定。
2018年(平成30年)1月より事業者の公募を行い、5月までに4事業体の応募があった。応募があったのは①イオンモール株式会社を代表とするグループ、②株式会社イズミを代表とするグループ、③九州旅客鉄道株式会社を代表とするグループ④三井不動産株式会社を代表とするグループの4者で、都市計画、交通計画、景観計画の3つの観点の学術研究者と会計監査専門家、市の財務、農水、住宅都市各部局担当者らでつくる「青果市場跡地活用事業提案評価委員会」(委員長:坂井猛・九州大学大学院人間環境学府教授)による選考の結果、同年7月、このうち④三井不動産を代表とするグループが事業予定者に選ばれると同時に、③九州旅客鉄道を代表とするグループが次順位事業予定者に選ばれたことが発表された。三井不動産を代表とするグループの主な提案内容は「出会いの広場〜そして次の景色へ〜」を事業の基本方針としており、「福岡・九州の魅力向上に資する機能」として九州初となる職業体験施設「キッザニア」、採れたて野菜の加工・調理ができるFarm lab、福岡・九州の食材集積ゾーンである福岡フードマーケットなどの機能を計画していることや、多機能な10の広場(パーク)を設置し、計画敷地面積の40%超にあたる約38,000㎡を広場として利用すること、部活動や地域のお祭りの会場として広場を無償で提供する方針であることなどが高い評価点を得た。用地取得予定価格(提案価格)は190億円。
2020年(令和2年)3月に「福岡広域都市計画」の地区計画として、「青果市場跡地まちづくり構想」と事業者の提案内容を踏まえたうえで、良好な市街地環境の形成を図るため地区施設や歩道、建築物の用途の制限を定める都市計画を決定・発表。地区計画名称は「那珂六丁目地区地区計画」。
2021年(令和3年)7月には開発を推進する三井不動産、九州電力、西日本鉄道の3社連名によるプレスリリースで施設名称が「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」となることが発表。ららぽーとが開業するのは九州地区において初である。10月には「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」の開業時期が2022年4月であることを発表。併せて、テナントとして「西鉄ストア」が手がける「レガネット DAILY ENTERTAINMENT SQUARE」や、旧青果市場の仲卸が運営する「MARKET 351」などを核として約20の食料品店が集う「フードマルシェ」や「TOHOシネマズ」が入居することを発表。また3,000人を超えるを見込んでいることも発表された。
なお、旧東部市場跡地については事業提案公募により2016年(平成28年)7月に公募要綱を公表、10月に事業者が大和リース株式会社に決定し、2018年11月30日に商業施設・医療モール等を含む複合施設「ブランチ(BRANCH) 福岡下原」として開業した 。同社によるブランチブランドの商業施設としては当地の後にも旧横浜南部市場が民営化により一部用地転換した区域にブランチ横浜南部市場を2019年9月に開業している。
旧西部市場跡地については、事業提案公募により2017年(平成29年)1月から3月までのあいだに応募があった2件のうち、6月に社会医療法人財団白十字会 白十字病院を事業者に決定、同じ西区石丸町内にあった病院を新築移転する形で2021年4月に同名の医療施設が開業した。
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