『60 誤判対策室』(ロクジュウ ごはんたいさくしつ)は、石川智健の小説である。
講談社の『小説現代』2015年6月号から8月号まで「ロクジュウ」のタイトルで掲載され、2015年10月29日に『60 tとfの境界線』(ロクジュウ トゥルーとフォルスのきょうかいせん)に改題して単行本が発売された。さらに文庫化にあたり、加筆・修正の上『60 誤判対策室』に改題し、2018年3月15日に講談社文庫版が発売された。
2018年5月6日から6月3日まで、WOWOWでテレビドラマ化され放送された。
国策により設立された「誤判対策室」に配属されたベテラン刑事、若手弁護士、そして女性検察官が、3人を殺害した容疑で逮捕され、裁判員裁判で死刑が確定した男性が行ったとされる殺人事件を冤罪が疑われるとして再調査を行い、死刑が執行される直前まで死刑囚の無実を粘り強く証明する闘いを描いた司法ミステリーである。
石川智健はインタビューで、「勤務する会社の法務部にいる親しい弁護士から話を聞き、さらに裁判や死刑制度を調べていくうちに衝撃を受けて、"冤罪"をテーマにした法廷ものを書こうと思った」と執筆理由を語っている。
ベテラン刑事の有馬英治、若手弁護士の世良章一、女性検察官の春名美鈴の3名は、国策で設置された「誤判対策室」に配属された。誤判対策室の任務は、裁判員裁判において死刑が確定した人物の無実の訴えを受けて再調査し、冤罪の可能性を探る調査を行うことである。
誤判対策室に配属されてから半年が経ったある日、有馬は行きつけの小料理屋の女将である中倉綾子から不穏な話を聞く。最近、店を訪れた酔った二人組の男性客の一方が、3人もの人間を殺したことを仄めかし、その事件で無実の人間が逮捕され死刑囚となったので自分は捕まらない、と語っていたというのである。有馬は該当する殺人事件を洗い出し、2011年に起きた母子殺人事件に行き着く。逮捕された古内博文は、空き巣に入った家で女性とその子ども2人を殺害し家に火をつけたとして、既に裁判員裁判において死刑が確定していた。
誤判対策室は早速調査を開始。小料理屋を訪れていた連れの男が、判子の押し売り詐欺を働くも未だ逮捕されていない大窪日出喜ではないかということを突き止める。調べていくうちに、死刑囚・古内の娘である矢野琴乃が大窪の詐欺に加担し、しかも琴乃の夫である矢野高虎が小料理屋で殺人を仄めかした男である可能性まで出てくる。
有馬たちは当時殺人事件を捜査していた警察の実況見分調書、司法解剖を担当した鑑定医の鑑定書、検察が裁判所に提出した証拠資料を洗い直す。しかし、近く古内の死刑が執行されるという情報を入手する。古内への死刑執行を阻止すべく、誤判対策室は懸命の調査を続ける。
2018年5月6日から6月3日まで毎週日曜 22時 - 23時にWOWOWプライムの「連続ドラマW」で放送された。全5話。主演は舘ひろし。
2019年11月8日よりAudibleで配信された。ナレーターは後藤敦。
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