ヴェルメンティーノ (Vermentino) は果皮の色の薄いワイン用ブドウ品種であり、おもにイタリアワインでみられる。サルデーニャ島およびリグーリア州で広汎に栽培されており、ピガート (Pigato) の名はおもにリグーリアとコルシカ島の一部で用いられているほか、ピエモンテ州ではファヴォリタ (Favorita) の名称で知られ、ラングドック=ルシヨンでも生産が増加している。葉は深緑色の五角形である。果実は琥珀のような黄色で錐状の果房を成す。このブドウの樹は、より強い反射光の恩恵を受けることができる海に面した傾斜地でよく栽培されている。ブドウ国際品種目録 (VIVC) では現在、この品種の原産地はイタリアとされている。
ヴェルメンティーノで作られるワインでもっとも有名なものは、おそらくサルデーニャ島北部のオルビア=テンピオ県で生産されているDOCG ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ (Vermentino di Gallura) とヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ・スペリオーレ (Vermentino di Gallura Speriore) だろう。ガッルーラのこの地区では、ヴェルメンティーノは14世紀からしばしばアラテラウ (Arratelau) の名で栽培されてきたという。同島の他地域では、このブドウは甘口やスパークリングなど、さまざまな種類のワインに使用されている。
ヴェルメンティーノの発祥については諸説あり、ようやく近年になってからDNA型鑑定によってそれまでの仮説を覆しヴェルメンティーノがリグーリア州のピガート (Pigato) およびピエモンテ州のファヴォリタ (Favorita) と同一種であることが確認された。プロヴァンス地方東部、ニース周辺の品種であるロッロ (Rollo) とも同一種であるかは明らかになっていない。同地域ではこの品種とヴェルメンティーノは両方ともロール (Rolle) という別名で通っている。
イタリアのD.O.C.認定ワインとなっているものは以下の通りである:
フランスのAOCワインとなっているものは以下の通りである:
このブドウはスペインでもアンダルシア州のウエルバ県、グラナダ県、アルメリア県で少量ながら栽培されている。
アメリカ合衆国では、カリフォルニア州、バージニア州、ノースカロライナ州での栽培がみられる:
オーストラリアでは、ヴェルメンティーノはヨーロッパの産地と同じく海岸に面した南オーストラリア州のマクラーレン・ヴァレーや、イタリア系農場主がタバコに代わる産業として1970年代からブドウ栽培を始めたビクトリア州のキング・ヴァレーで生産が盛んである。
ヴェルメンティーノは以下の別名でも知られている:
アゴステンガ (Agostenga) 、アゴステンガ・ブラン (Agostenga blanc) 、ブルスティアーノ (Brustiano) 、ブルスティアーノ・ディ・コルシカ (Brustiano di Corsica) 、カルブ (Carbes) 、カルベッソ (Carbesso) 、ファヴォリタ (Favorita) 、ファヴォリタ・ビアンカ (Favorita bianca) 、ファヴォリタ・ビアンカ・ディ・コネリアーノ (Favorita Bianca di Conegliano) 、ファヴォリタ・ダルバ (Favorita d'Alba) 、ファヴォリタ・ディ・アルバ (Favorita di Alba) 、ファヴォリタ・ディ・コネリアーノ (Favorita di Conegliano) 、フォルメンティーノ (Formentino) 、フォルマンタン (Fourmentin) 、ガルベッソ (Garbesso) 、グロス・クラレット (Grosse Clarette) 、マルヴァジア・ア・ボニファシオ (Malvasia a Bonifacio) 、マルヴァジア・グロッサ (Malvasia Grossa) 、マルヴァジエ (Malvasie) 、マルヴォワジー (Malvoisie) 、マルヴォワジー・ア・グロ・グラン (Malvoisie à Gros Grains) 、マルヴォワジー・コルス (Malvoisie Corse) 、マルヴォワジー・ド・コルス (Malvoisie de Corse) 、マルヴォワジー・プレコス・デスパーニュ (Malvoisie Précoce d'Espagne) 、ピッカボン (Piccabon) 、ピガ (Piga) 、ピガート (Pigato) 、ロール (Rolle) 、ロッセーゼ (Rossese) 、シビルコウスキ (Sibirkovski) 、ウヴァ・サパイオラ (Uva Sapaiola) 、ウヴァ・ヴェルメンティーノ (Uva Vermentino) 、ヴァランタン (Valentin) 、ヴァルレンティン (Varlentin) 、ヴァレザーナ・ビアンカ (Varresana bianca) 、ヴェネンティノ (Vennentino) 、ヴェルランタン (Verlantin) 、ヴェルメンティーニ (Vermentini) 、ヴェルメンティーノ・ビアンコ (Vermentino bianco) 、ヴェルメンティーノ・ピガート (Vermentino Pigato) 、ヴェルマンチヌ (Vermentinu)
ヴェルメンティーノと共通の別名をいくつか有するものの、コルシカのワイン用品種ブルスティアーノ・ビアンコはヴェルメンティーノとの類縁関係が認められていない。トスカーナ州のブドウ品種ヴェルメンティーノ・ネロは、果皮色変異体である可能性があるものの、厳密な類縁関係は未確認である。
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