北朝鮮による日本人拉致事件(きたちょうせんによるにほんじんらちじけん)とは、北朝鮮工作員などによって多くの日本人が、日本国内やヨーロッパから北朝鮮に拉致された事件である。
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(通称、「救う会」)では、それぞれの拉致事件を次のように分類している。
(1) 工作員日本人化教育の教官とその配偶者にさせるために拉致されたケース
(2) 拉致した日本人を工作員として使おうとしたケース
(3) 実行犯工作員が当人になりすますために拉致する、いわゆる「背乗り拉致」
(4) 北朝鮮の工作活動に遭遇したため連れ去られた「遭遇拉致」
(5) 以上にあてはまらない、もしくは拉致目的が不明なケース
2002年(平成14年)9月、内閣総理大臣の小泉純一郎が北朝鮮を訪問したことで実現した日朝首脳会談において、北朝鮮の最高指導者である金正日は、1970年代から1980年代にかけての拉致事件の背景として、
の2点を挙げた。
元北朝鮮工作員で脱北した安明進は、日本人拉致の原点は北朝鮮の掲げる最高目標「朝鮮半島の赤化統一」にあり、「最高目標のためには手段を選ばず実行」する方針にもとづき、工作員を南の分断国家である韓国へ送り込んで、韓国各界に協力者をつくり、増殖させながら革命に向けた工作活動を展開することにあると指摘している。
平壌留学の経験もある関西大学の李英和は、1950年代から1960年代にかけては、日本から在日韓国・朝鮮人が拉致されたケースが少なくなかったと述べ、具体例として、平壌留学中に出会ったある在日男性から次のような告白を聞いたことを証言している。
李英和は、在日が忽然と姿を消しても日本人ほどの騒動にはならないという計算も働いていただろうと分析している。なお、李英和は帰国直前の1992年11月に朝鮮社会科学院の教官から、詳細な「拉致講義」を受けている。
しかし、1974年の在日韓国人による韓国大統領暗殺未遂事件、すなわち文世光事件で状況は一変する。
金正日は、小泉に対し、以下のように特殊機関の一部が日本人拉致した事実を認め、謝罪した。ただし、1977年、北朝鮮の工作員たちに対し「マグジャビ」(手当たり次第)に外国人を誘拐するよう命じたのは金正日その人であった。
そして、処罰したとされるのが、チャン・ボンリムとキム・ソンチョルであった。2人は1998年、職権濫用を含む6件の容疑で裁判にかけられ、チャンは死刑、キムは15年の長期教化刑に処せられたという。しかし、この2人は対外情報調査部の副部長であって、作戦部副部長ではない。チャンとキムは1997年8月の「調査部事件」で粛清された2人であって、拉致問題とはまったく関係のない人物であった。また、対外情報調査部は工作船を有しておらず、工作船を用いた拉致は労働党作戦部でなければ実行不可能である。したがって、日本人拉致問題の責任を負うべきは、拉致の指示を出した金正日自身以外では、作戦部長の呉克烈だったはずである
日本側の安否確認に対しては、北朝鮮側は地村保志、浜本富貴恵、蓮池薫、奥土祐木子の4人の生存を明らかにし、横田めぐみ、田口八重子、市川修一、増元るみ子、原敕晁、松木薫、石岡亨、有本恵子の8人を「死亡」と発表した。 さらに、日本側も把握していなかった曽我ひとみの拉致・生存と、横田めぐみの娘の生存も明らかにした。 久米裕、曽我ミヨシについては入国自体を確認できないとした。
日本政府が認定した拉致被害者は久米裕、横田めぐみ、田口八重子、浜本富貴恵、地村保志、蓮池薫、奥土祐木子、市川修一、増元るみ子、曽我ひとみ、曽我ミヨシ、松木薫、石岡亨、有本恵子、原敕晁、田中実、松本京子(肩書・年齢は当時、敬称略。被害者家族の決断により実名報道されている)の17人。このうち、浜本、地村、蓮池、奥土、曽我ひとみの5名は日本に帰国している。
2007年(平成19年)4月12日、警察庁はこれに加え北朝鮮工作員と結婚した日本人女性の子供2人(当時長女が6歳と長男が3歳)が1974年(昭和49年)6月中旬に行方不明になった事案について、複数人の工作員関係者からの証言などから「北朝鮮による拉致被害者と断定した」と正式発表した(2児拉致事件)。よって同事案は政府認定拉致被害者にかかる拉致事件と同様に政府認定の拉致事件であるが、被害者たる子供2人が朝鮮籍であり、日本国民であることを要件とする拉致被害者支援法の認定基準には該当しないため、子供2人は拉致被害者としては認定されていない(2020年12月現在)。
(1)1980年(昭和55年)拉致
(2)1980年(昭和55年)5月頃拉致
※ 警視庁公安部は「よど号」実行犯の妻である森順子・若林佐喜子を国際手配し、北朝鮮に対し所在確認と身柄の引き渡しを求めている
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