第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(だい96かいとうきょうはこねかんおうふくだいがくえきでんきょうそう)は、2020年(令和2年)1月2日から1月3日まで開催された、96回目の東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)である。令和最初の箱根駅伝。
第95回大会の上位10校(シード校)と予選会通過校10校、これにオープン参加の関東学生連合チームを合わせた全21チームが参加。第1回大会優勝校の筑波大学が26年ぶり、創価大学が3年ぶりの出場。一方、初出場から33年連続で出場していた山梨学院大学、同じく初出場から11年連続で出場していた上武大学の他、城西大学と大東文化大学が予選会で敗退となっている。
※ナンバーカードの数字はNo.1-No.10が前年順位、No.11-No.20は予選会順位の順。
優勝候補は、前回優勝の東海大、前回その東海大に5連覇を阻止された青学大、11年連続3位以内の成績を収めている東洋大、昨年の出雲駅伝で大学初の優勝を果たした國學院大、スーパールーキー・田澤廉を擁する駒大の5校で、「5強」として注目された。
エントリー変更は青学大・帝京大・國學院大・拓大・東国大・早大の6チーム。
早大・中谷雄飛と東海大・鬼塚翔太が序盤から集団を引っ張り、最初の1kmを2分45秒、5kmを14分23秒で通過するハイペース。4.5kmで国士大、5kmで順大、7kmで法大が集団から脱落すると、3年連続1区区間賞を狙う東洋大・西山和弥も10.5kmで脱落する波乱の展開となる。
その後もぽつりぽつりと選手がふるい落とされ、六郷橋手前で先頭集団は9人に絞られる。すると六郷橋の下りに入った18.7kmで國學院大・藤木宏太がスパート。一時は後続に10mの差をつけたが、20kmで2位集団から創価大・米満怜が飛び出し、残り400mで藤木を抜き去りトップでタスキリレー。米満は1区歴代2位タイの1時間01分13秒を記録。創価大史上初めての区間賞獲得・中継所トップ通過となった。
藤木は5秒差の2位、日体大・池田耀平が8秒差の3位、連覇を狙う東海大・鬼塚は10秒差の4位で続いた。これまで9人しか記録していなかった1時間01分台のタイムを今大会だけで8人が記録するというかつてない高速レースとなった。
26年ぶりの箱根路となった筑波大は西研人が1分33秒差の11位と健闘。東洋大・西山は一時17位まで後退する苦しい走りで、トップと2分02秒差の14位と大きく出遅れた。2区に留学生を擁する4校のうち創価大は先頭で通過したが、日大は15位、拓大は17位、国士大は20位と後方からのスタートとなった。
エントリー変更はなし。
先頭争いは最初の1kmで創価大・國學院大・日体大・東海大の4校が集団となったが、2.5kmで早大・青学大・中央学大の5位集団も追いつき、7人の大きな先頭集団が形成された。後方では14位でタスキを受けた東洋大・相澤晃が猛烈なペースで突っ込むと、5.6kmで東国大・伊藤達彦に追いつき、激しく競り合いながら前を追っていく。
國學院大・土方英和が引っ張る先頭集団からは、9kmで日体大、14.7kmで中央学大、15kmで創価大が脱落。権太坂以降は早大・太田智樹が引っ張り、ハイペースのまま4人の激しい鍔迫り合いが続く。21.5kmで東海大・塩澤稀夕が前に出たが、集団の中で力を溜めていた青学大の1年生・岸本大紀が残り600mでスパート。懸命に食らいつく塩澤を突き放し、トップでタスキリレー。岸本は日本人1年生最速となる1時間07分03秒を記録した。1秒差で太田、2秒差で塩澤、3秒差で土方が続いた。
帝京大は、星岳が終始先頭集団には付かなかったものの、あまり離される事なく、先頭集団から脱落していった日体大、中央学大、創価大を次々とかわし、27秒差の5位で襷リレー。
相澤と伊藤は横並びで競り合いながら10.9kmで明大、14.1kmで駒大、19.5kmで日体大をかわしていく。二人の併走は15kmに渡って続いたが、20.5kmで相澤がスパートしついに伊藤が後退。相澤は20.8kmで中央学大をかわし、トップと38秒差の7位でタスキリレー。第85回大会で山梨学大のメクボ・ジョブ・モグスが記録した区間記録を7秒更新する、1時間05分57秒の区間新記録を叩き出した。伊藤も2区歴代3位タイとなる1時間06分18秒をマークし8位に浮上する。
4人の留学生は三者三様の結果となった。拓大のラジニ・レメティキは伊藤と並ぶ2区歴代3位タイの快走で7人を抜き11位に浮上。国士大のライモイ・ヴィンセントは途中で靴紐が2回ほどけてしまうアクシデントがあり、区間4位と好走したが1区の出遅れも響き、5人抜きで16位に浮上するのがやっとであった。創価大のムソニ・ムイルは区間11位、日大のチャールズ・ドゥングは区間12位と振るわなかった。
2区ではこれまで6人しか記録していなかった1時間07分を切るタイムを今大会だけで4人が記録。21人中19人が1時間10分を切る好タイムをマークした。
エントリー変更は駒大・法大・順大・拓大・東国大・明大・筑波大・日大・国士大・早大・中大・関東学生連合の12チーム。
青学大・鈴木塁人は5kmを13分48秒、10kmを27分52秒という猛烈なペースで突っ込む。早大の1年生・井川龍人がただ一人食らいついたが、4.4kmで突き放されると7.3kmで國學院大にかわされその後もズルズルと後退していく。
後方では、8位でタスキを受けた東国大のイエゴン・ヴィンセントが鈴木以上のハイペースで飛ばし、9kmを過ぎて2位に浮上。鈴木は笑みを浮かべながら前に出るよう促し、11.3kmで首位逆転。ヴィンセントはさらにペースを上げると最後まで力強い走りで駆け抜け、トップでタスキリレー。青学大・森田歩希が持つ区間記録を2分01秒も更新する、59分25秒の驚異的な区間新記録を叩き出した。これはハーフマラソンに換算すると世界歴代6位(58分34秒)に相当する大記録である。東国大も史上初めての区間賞獲得・中継所トップ通過となった。
2位の鈴木は終盤ややペースを落とし、18.9kmで國學院大・青木祐人に逆転を許す。しかし鈴木も懸命に食らいつき、残り500mでスパート。1分21秒の差の2位でタスキを繋ぐ。5秒遅れて青木が3位で続いた。鈴木は従来の区間記録にあと6秒、青木もあと8秒と迫る好タイムをマークした。
上位争いでは、帝京大・遠藤大地が快走。25秒前を行く東海大を7.7kmで捉えると、ヴィンセントにはかわされたものの8.9kmで早大をかわし4位に浮上。食らいつく東海大を突き放し、1分39秒差でタスキリレー。従来の区間記録を3秒上回る1時間01分23秒の区間新記録(区間2位)をマークした。東海大は5位に後退し、青学大との差は51秒に広がった。
中位争いでは、駒大のスーパールーキー・田澤廉が評判通りの走りを見せた。13位でタスキを受けると序盤こそゆったりとしたペースだったものの、9.3kmで3人の9位集団をかわすと、13.3kmで創価大と東洋大の7位争いもまとめてかわし、18.2kmで早大・井川も抜き去り7人抜きで6位に浮上。田澤も従来の区間記録を1秒上回る1時間01分25秒の区間新記録(区間3位)をマークした。
その他中位争いでは明大・手嶋杏丞が12位から7位に浮上。早大・井川は失速が止まらず8位まで後退。7位でタスキを受けた東洋大・𠮷川洋次は区間13位と振るわずトップと4分差の10位に後退、この時点で往路3連覇が絶望的となった。
エントリー変更は東海大・青学大・駒大・國學院大・中央学大・創価大・中大の7チーム。
先頭の東国大・佐伯涼はリードを活かし落ち着いた走りを見せる。2位争いは青学大・吉田祐也に國學院大の1年生・中西大翔が3kmで追いつきハイペースで競り合うが、6kmを過ぎて吉田が中西を引き離していく。
吉田は区間記録を上回るハイペースを維持したまま、13.8kmで佐伯を抜き去り首位奪還。そのまま終盤まで快調なペースで押し切り、トップでタスキリレー。東洋大・相澤晃の持つ区間記録を24秒も更新する1時間00分30秒の区間新記録を打ち立て、東国大に1分02秒の差をつけた。
3位の國學院大は中西が区間3位の好走を見せるも1分28秒の差がついた。4位争いは東海大・名取燎太と帝京大・岩佐壱誠が12kmから激しく競り合い、名取がわずかに競り勝ってタスキリレー。名取は区間2位の走りを見せたが青学大との差は1分58秒まで広がった。
中位争いは6位駒大から11位中央学大まで2分40秒の間にひしめく混戦が続くが、東洋大は渡邉奏太が序盤から足首に痛みが出てペースを上げられず、まさかの区間最下位に沈み14位まで転落。トップと8分14秒の大差がつき、総合優勝争いから脱落した。
エントリー変更は日体大の1チームのみ。
先頭の青学大・飯田貴之は序盤から区間記録を大きく上回るペースで突っ込んでいく。1分28秒差で追う國學院大・浦野雄平も前半から突っ込み、3km過ぎで東国大・山瀬大成をかわし2位に浮上。4位争いは東海大・西田壮志が4.5kmで帝京大を引き離しペースを上げる。後方では14位でタスキを受けた東洋大・宮下隼人と、18位でタスキを受けた法大・青木涼真が快調なペースで順位を上げていく。
浦野は小涌園前の定点で飯田との差を1分09秒まで縮めるが、その後は一転して飯田が差を広げ、1分33秒の差をつけて青学大が3年ぶりの往路優勝を往路新記録で飾った。飯田は従来の区間記録を14秒更新する1時間10分40秒の区間新記録(区間2位)。浦野は飯田を捕らえきれなかったものの、大学史上最高の2位でフィニッシュ。自身の区間記録を9秒更新する1時間10分45秒(区間3位)をマークした。
東海大・西田は8.2kmで東国大・山瀬をかわしたが、9km過ぎから右脇腹を押さえ苦しい表情になると、下りに入ってもペースが上がらず、20.3kmで山瀬が再逆転。東国大は3分17秒差の3位と大躍進した。4位東海大は青学大と3分22秒の差がつき、連覇に黄色信号が灯った。
明大は鈴木聖人が4人抜きで5位に浮上。1区で見せ場を作った創価大は大学史上最高の7位。駒大は6位から8位に後退した。
東洋大・宮下は15.7kmから中央学大・畝歩夢と激しく競り合い、トップと7分59秒差の11位でフィニッシュ。宮下は従来の区間記録を29秒更新する1時間10分25秒の区間新記録で区間賞を獲得した。しかし東洋大は第83回大会以来13年ぶりの往路二桁順位となった。5位明大から12位中央学大まで2分06秒の間に8校がひしめく混戦で復路を迎えることとなった。
13位の中大以下9チームが復路一斉スタート。中央学大・畝歩夢と中大・畝拓夢の双子対決は、兄の歩夢が3秒差で制した。法大・青木は3人を抜き16位でゴール。過去2大会を上回る記録で走り切ったが区間4位に終わった。26年ぶり出場の筑波大は19位(20番手)でフィニッシュした。
青学大・國學院大・東国大・東海大の4校が従来の往路記録を更新し、史上初めて全チームが5時間40分以内でゴールした。
エントリー変更は東海大・創価大・日体大・関東学生連合の4チーム。
先頭の青学大・谷野航平は、下りに入ってしばらくは時計を何度も確認するなどペースを掴みきれずにいたが、小涌園を過ぎると自らの走りを取り戻し一気に山を駆け下る。谷野は区間3位(6区歴代6位)の好走を見せ、國學院大との差を2分16秒まで広げた。
4位の東海大・館澤亨次はスタートして300mで東国大をかわすと猛烈なペースで山を上り、芦之湯の定点を区間記録より49秒も早いタイムで通過。下りに入っても失速することなく駆け抜け、青学大・小野田勇次の持つ区間記録を40秒も更新する57分17秒の区間新記録を叩き出し、2位國學院大にわずか5秒差まで詰め寄った。
シード権争いでは、11位でスタートした東洋大・今西駿介が今年も快走。序盤の山上りで拓大・早大をかわしてシード圏内に入ると、15.7kmで創価大・葛西潤、19kmで帝京大もかわし4人抜きで7位に浮上。従来の区間記録を23秒上回る57分34秒で駆け抜けた。中央学大は1年生の武川流以名が1年生歴代最速タイム(6区歴代8位)で駆け下り12位から9位に浮上。一方、創価大は7位から10位、拓大は10位から11位、早大は9位から12位に後退。10位と11位の差は1分36秒。
9人の一斉スタート組からは、日大・宮﨑佑喜が早々に飛び出すと下りに入っても快走を続け、最後は芦ノ湖を2分以上前にスタートした拓大・早大と競り合いながら13番目にタスキリレー。区間4位(6区歴代7位)の好走であった。最後尾の筑波大は中継所直前でコースを間違えるハプニングがあったが、無事にタスキを渡した。
6区でも好記録が続出し、館澤をはじめ7人が57分・58分台を記録、14人が60分を切るタイムをマークした。
エントリー変更は東国大・明大・東洋大・帝京大・駒大・創価大・日大・神奈川大・国士大・関東学生連合の10チーム。
先頭の青学大・中村友哉は序盤から積極的に飛ばしていく。中盤以降はややペースが落ち15km過ぎには脇腹を押さえる仕草もあったが、区間4位でまとめトップを堅持する。逆転を狙う東海大は、1年生の松崎咲人が2.2kmで國學院大・木付琳に追いつくと、10kmに渡る併走の末12.5kmで木付を突き放し2位に浮上する。松崎は区間3位の快走で、青学大との差を2分01秒まで縮めた。突き放された木付は終盤失速し、青学大と3分24秒の差がついた。
中位争いでは明大・阿部弘輝が激走。前半からハイペースで押していき、11.6kmで東国大に追いつき12.5kmで突き放して4位に浮上すると、ラスト3kmでさらにペースを上げる圧巻の走りを見せ、従来の区間記録を36秒も上回る1時間01分40秒の区間新記録を樹立した。
シード権争いは、9位の中央学大・吉田光汰に15km手前で創価大・右田綺羅が追いつき併走するが、その後ろから早大の1年生・鈴木創士が猛追。12位でタスキを受けるとほぼ同時にスタートした拓大・日大を突き放し、18.1kmで右田をかわしてシード圏内に入ると、20.2kmで吉田もかわし9位に浮上。鈴木は1年生歴代最速タイム(7区歴代8位)で3人抜きの快走を見せた。中央学大は10位、創価大は11位に後退。10位と11位の差は37秒。
エントリー変更は明大・拓大・順大・国士大の4チーム。
前回4区で辛酸をなめた青学大・岩見秀哉は区間記録を遥かに上回るペースで前半から突っ込む。区間記録保持者の東海大・小松陽平も10kmを前回より20秒早いタイムで通過するが、岩見との差はわずかに広がる。岩見は中盤以降も粘りの走りを見せ区間2位(8区歴代5位)の快走。小松は前回同様後半に追い上げ今年も区間賞を獲得する快走を見せたが、青学大との差は1秒しか縮まらなかった。
6位争いは18km手前で東洋大・駒大・帝京大の3校が激しく競り合い、帝京大・鳥飼悠生が2校をまとめて突き放し6位に浮上。鳥飼は区間3位の好走を見せた。駒大は8位に後退。9位の早大は太田直希が区間4位の走りで後続との差を広げる。
シード権争いは、創価大・鈴木大海が中央学大・藤井雄大との37秒差を13.2kmで追いつき、遊行寺坂の上りで一時は30mの差をつける。しかし藤井も粘って18km過ぎに追いつき、残り1kmでスパート。戸塚中継所では10位中央学大、7秒差の11位で創価大がタスキリレー。拓大も1分半以内でタスキリレーしかろうじてシード権争いに残った。
最後尾の筑波大は残り54秒で無事にタスキを繋ぎ、第89回大会以来7年ぶりに戸塚での繰り上げスタートが無かった。
エントリー変更は東海大・國學院大・東洋大・早大・中央学大・創価大・順大・法大・筑波大の9チーム。
青学大・神林勇太は大きなストライドを活かし、区間記録を上回るペースで軽やかに飛ばしていく。東海大・松尾淳之介もハイペースで前を追うが、その差はじわじわと広がっていく。最後まで快調なペースで押し切った神林は区間記録にあと12秒と迫る1時間08分13秒(9区歴代3位)の好タイムで区間賞を獲得。一方の松尾は横浜駅前の定点までは2分半ほどの差で粘っていたが、残り3kmで失速。トップとの差は3分42秒まで広がり、この時点で万策尽きる形となった。
上位争いでは東国大・相沢悠斗が快走。5位でタスキを受けると56秒前を行く明大・村上純大を15km過ぎに捉え、さらに2分以上前を走っていた國學院大・茂原大悟も20km過ぎに逆転。区間3位の走りで3位に浮上した。村上は7秒差の4位で続いたが、茂原は終盤急失速し相沢から1分05秒も離された。
中位争いでは、9位でタスキを受けた早大・新迫志希が好走を見せ、駒大を14.5kmで捉えるとラストスパートで突き放し8位に浮上。駒大は3秒差の9位に後退。
中央学大と創価大によるシード権争いは10kmまで7秒差のまま推移していたが、その後は中央学大の主将・有馬圭哉が創価大・石津佳晃をじわじわと引き離し、鶴見では55秒の差をつけた。有馬は区間2位(9区歴代7位)の快走。石津も区間6位と粘りを見せアンカーへタスキを繋いだ。しかし、12位の拓大は10位と3分近くの差がつき3年連続のシード権が厳しくなった。
鶴見中継所では日体大・日大・筑波大が繰り上げスタート。日体大はわずか20秒間に合わなかった。医学生ランナーとして注目された筑波大・川瀬宙夢は道中最後方という苦しい展開ながら区間14位と健闘した。3校が繰り上げとなった一方、国士大は第88回大会以来8年ぶり、関東学生連合が第92回大会以来4年ぶりにゴールまで一本のタスキを繋いだ。
エントリー変更は青学大・明大・國學院大・東洋大・駒大・拓大・順大・法大・神奈川大の8チーム。
先頭の青学大・湯原慶吾、追う東海大・郡司陽大はともに区間記録を上回るペースで飛ばし、その差はほとんど縮まらない。湯原は終盤に失速したものの区間5位でまとめ、青学大が2年ぶりの総合優勝を飾った。最後まで快調なペースを刻んだ郡司は区間記録にあと9秒と迫る走りを見せ、3分02秒差の総合2位でフィニッシュ。東海大は初の復路優勝を飾り、青学大の復路6連覇を阻止した。
3位争いは大混戦となった。東国大・内山涼太と明大・河村一輝の争いに14kmで國學院大・殿地琢朗が追いつくと、区間記録を大幅に上回るペースで飛ばしてきた帝京大・吉野貴大も17.5kmで加わり、4人の集団となった。21.7kmから殿地がロングスパートをかけて3人を振り切り総合3位でフィニッシュ。3秒差の総合4位で吉野、さらに4秒遅れて総合5位の内山が続いた。河村は最後に引き離され、内山と19秒差の総合6位でゴールした。國學院大は大学最高記録を2年連続で更新、帝京大は大学最高タイ、東国大は初のシード権獲得、明大は5年ぶりのシード権獲得となった。吉野は従来の区間記録を16秒更新する1時間08分43秒の区間新記録(区間2位)をマークした。
早大・宍倉健浩と駒大・石川拓慎による7位争いはタスキを受けた直後から20km以上に渡って併走が続き、残り600mからのスパート勝負となった。最後は宍倉が競り勝ち、早大は2年ぶりにシード権を獲得。駒大は総合8位に終わった。
シード権争いでは、11位でタスキを受けた創価大・嶋津雄大が激走。吉野をさらに上回る猛烈なペースで突っ込み、9km過ぎで中央学大・石綿宏人をあっという間に抜き去ると、その後もペースを落とすことなく20km手前で東洋大もかわし、総合9位で初のシード権を獲得した。嶋津は従来の区間記録を19秒更新する1時間08分40秒の区間新記録を樹立し区間賞を獲得した。
東洋大は6区の控えであった1年生の及川瑠音を急遽10区に起用したが、区間19位と苦戦。辛うじて総合10位に踏みとどまったものの、東洋大の連続総合3位以内は11年で途切れた。石綿も区間18位と振るわず、10位と1分59秒差の総合11位で6年ぶりのシード落ちとなった。そのほか拓大が3年ぶり、法大が4年ぶり、順大が2年ぶりにシード権を失った。
なお、優勝した青学大は従来の総合記録を大幅に上回る10時間45分23秒、2位の東海大も10時間48分25秒と史上初めて10時間50分切りが複数校出ただけでなく、シード権を獲得した東洋大までの10校すべてが11時間を切るタイムをマークした。さらに復路のゴールタイムも史上初めて全チーム(繰り上げ含む)が5時間40分以内のタイムとなった。
第96回大会は往路4区間・復路3区間で区間新記録が生まれ、最下位の筑波大のタイムも11時間16分13秒と過去に類を見ない高速レースとなった。
一方、繰り上げスタートが先述の通り復路の鶴見中継所での3チームのみに留まったほか、優勝した青学大と最下位の筑波大とのタイム差は30分50秒と、高速化が顕著になった第87回大会以降に限れば2番目に短いタイム差であり、ハイペースのレースとしては実力差が大きく広がらない結果となった。
優勝校のみならず全てのチームが高速化した原因として、複数のメディアがナイキ(NIKE)の厚底ランニングシューズの影響を指摘した。出走した全210選手中85%弱の178人が着用し、区間賞獲得者では10区の嶋津以外全員が着用していた。
今大会の予選会には43大学(大学校を含む)がエントリーしている。
第96回箱根駅伝予選会総合公式記録
第96回箱根駅伝予選会個人記録
※予選会上位10校が本大会出場。
「第96回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会 要項」における参加資格は以下のとおりである。
天皇陛下即位の礼(10月22日)挙行日程を考慮し、今大会のみの対応として、予選会日程を例年より1週繰り下げた10月の第4土曜日とした。
予選会
本大会
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