『ゲゲゲの鬼太郎』(ゲゲゲのきたろう)は、1996年1月7日から1998年3月29日まで、フジテレビほかで全114話が放送された、東映アニメーション制作のテレビアニメ。水木しげるの漫画『ゲゲゲの鬼太郎』を原作とする、妖怪アニメ作品のテレビシリーズとしては4シリーズ目に当たる。
概要
エンターテイメント性に重点を置いた第3シリーズに対して、クールな作風で原作イメージの忠実な映像化に努めている。また、ねずみ男の羽織っている衣の色が初めて原作と同じ黄土色になった。
前番組であった『空想科学世界ガリバーボーイ』が1995年12月24日で放送終了したため、1996年1月7日より放送スタートした。本時間帯としては初めて、日曜9:00 - 9:30(JST)に放送されていた。
前シリーズ同様、目玉おやじ役の田の中勇を除く「鬼太郎ファミリー」の声優陣は一新されたが、第2シリーズで砂かけ婆役でレギュラーだった山本圭子と、同じくゲストとして閻魔大王役だった柴田秀勝の2人が、今作では同役にてレギュラーとして復帰を果たしている。
主題歌には実力派ブルースバンド「憂歌団」を起用。初期シリーズに近いアレンジへ戻し、エンディングも「カランコロンのうた」を使用した。
こうした初期シリーズへの回帰が見られる一方で、原作エピソードの多くが大きく改変され、原型を留めないほどに手が加えられた物語も多い。感動的なストーリーへとアレンジされた物語がいくつも見られる一方で、妖怪側が救われないエピソードも存在する。第57話での佐野史郎、第101話での京極夏彦のゲスト出演(京極は脚本も兼任)も話題となり、いずれも異色作に仕上がった。
全話皆勤は鬼太郎と目玉おやじの2人で、ねずみ男は第49話と第59話のみ未登場。中盤以降は前シリーズでも鬼太郎の宿敵として活躍したぬらりひょんと朱の盆のコンビが再登場し、何度も鬼太郎と戦いを繰り広げた。一方、人間側のレギュラーとしては村上祐子ら3人の小学生が登場するが、次第に登場回数が減少し、2年目に入ってからは第74話と第101話しか登場しなかった。
本作は東映動画のデジタルアニメ第1作でもあり、2年目の第64話から仕上げ以降の作業がデジタル化され、大幅なコストダウンと省力化に成功した。同時に音声もステレオに変更されている。使用したソフトはRETAS! Proで、解像度は144dpiだった。
劇伴音楽は和田薫が担当した。和楽器と管弦楽を併用して妖怪的な雰囲気を演出しているのが特徴となっている。この手法は後の第5シリーズでもサブタイトルにも使用されている。
放送スケジュールは各局ばらばらで、キー局であるフジテレビ系では、日曜朝9時からの枠で放送された。前作と1話差の全114話となり、安定した人気を得た。前作は『地獄編』7話分を含めて全115話であることから、レギュラーシーズンのみで114話は現在まで歴代最多の放送話数である。
本番組は、1998年3月29日の放送分を以って終了。後番組は『ひみつのアッコちゃん(第3作)』が放送された。
放送話数が多いシリーズであるが、レンタルビデオでは全話がリリースされ、全話を収録したDVD-BOX(完全予約限定生産)が2007年11月21日に発売した。
リマスター版が製作されており、2016年、アニマックスで放送され字幕放送も実施。2019年6月からは東映チャンネルで2話ずつ放送。
次回予告は鬼太郎と目玉おやじの掛け合い形式のナレーションが基本だが、48・67・78話予告にはねこ娘、97話予告にはぬらりひょんと朱の盆、101話予告には一刻堂、113話予告にはねずみ男が登場する。決め台詞は鬼太郎の「君の後ろに黒い影」。
キャスト
- 鬼太郎 - 松岡洋子
- 目玉おやじ - 田の中勇
- ねずみ男 - 千葉繁
- ねこ娘 - 西村ちなみ
- 砂かけ婆 - 山本圭子
- 子なき爺 - 塩屋浩三
- 一反木綿、ぬりかべ - 龍田直樹
- 村上祐子 - 前田このみ
- 谷本淳 - 沼田祐介
- 鈴木翔太 - 松井摩味
- ぬらりひょん - 西村知道
- 朱の盆 - 郷里大輔
- バックベアード - 佐藤正治
- 閻魔大王 - 柴田秀勝
- 白山坊 - 大塚周夫
- 憂歌団(本人役、特別出演)
- 吸血鬼エリート - 佐野史郎(特別出演)
- 一刻堂 - 京極夏彦(特別出演)
スタッフ
- 企画:清水賢治→鈴木専哉→石井浩二→原田冬彦(フジテレビ)、木村京太郎(読売広告社)
- プロデューサー:清水慎治→蛭田成一(東映動画)
- 原作:水木しげる
- 製作担当:樋口宗久→杉本隆一→岡田将介
- 音楽:和田薫
- キャラクターデザイン、総作画監督:荒木伸吾、姫野美智
- 総作画監督補佐:芽野京子
- 美術デザイン:浦田又治
- シリーズディレクター:西尾大介
- 色指定:黒田進、板坂泰江、沢田豊二
- 検査:堀内由美、高石峯子
- 特殊効果:中島正之、岡島雄二
- 撮影:ACCプロダクション、東京キッズ、メディアビジョン
- 編集:片桐公一
- 録音:今関種吉
- 音響効果:森川永子(現・ちゅらサウンド)→今野康之(スワラプロダクション)
- 選曲:西川耕祐
- 記録:小川真美子、伊藤好子、梶本みのり
- プロデューサー補佐:有原美千代
- 美術進行:北山礼子→福本智雄→高久博
- 仕上進行:山下紀彦→黒田進
- 広報:小中ももこ→城ヶ崎祐子→為永佐知男(フジテレビ)
- 録音スタジオ:タバック
- 現像:東映化学、ファイン・ネガ・ビデオシステム
- オンライン編集:TOVIC
- 協力:東映アカデミー
- 制作:フジテレビ、読売広告社、東映
主題歌
オープニングテーマ
- 「ゲゲゲの鬼太郎」
- 憂歌団(wea japan)によるオープニングテーマ。作詞は水木しげる、作曲はいずみたく、編曲は憂歌団。
- イントロのフレーズやリズムの取り方など、原曲である熊倉版をそのままブルース調に置き換えたようなアレンジになっている。映像ではイントロ部分のみカラスの声と羽音が効果音として入っている。
エンディングテーマ
- 「カランコロンのうた」(第1話 - 第76話)
- 憂歌団(wea japan)による前期エンディングテーマ。作詞は水木しげる、作曲はいずみたく、編曲は憂歌団。
- オープニングテーマ同様に、原曲をブルース調にアレンジされている。
- 「イヤンなっちゃう節」(第77話 - 第114話)
- 憂歌団(wea japan)による後期エンディングテーマ。作詞は森雪之丞、作曲は岡本朗、編曲は憂歌団、HAKABAS。
各話リスト
タイトルコールは鬼太郎役の松岡洋子が担当。
アイキャッチ映像は以下の通り。
前期(第1話 - 第51話)
- 前半終了:ねこ娘と談笑しながら歩いていた鬼太郎が、ねずみ男が投げ捨てたバナナの皮を踏んで転倒。それを笑うねずみ男だが、転んだ拍子に脱げた鬼太郎の下駄が落ちてきて頭にぶつかる。さらになぜか落ちてきた巨大妖怪オカリナの下敷きになり、鬼太郎とねこ娘に笑われる。16話からSEが追加された。
- 後半開始:妖怪オカリナを吹き鳴らすねずみ男だが、ひどい音で後ろにいたぬりかべが苦悶して倒れ、その下敷きになる。
後期(第52話 - 第114話)
- 前半終了:スケートボードに座り、鬼太郎の運転する妖怪自動車に引かせるねずみ男。前方にぬりかべがいて急停車され、自動車の尻に顔をぶつける。
- 後半開始:今度はローラースケートを履いて妖怪自動車に押させるねずみ男。ねこ娘に呼び止められた鬼太郎が停車した拍子に、ねずみ男だけ前方に滑っていき何かにぶつかる。
放送局
出典は福島テレビ、山陰中央テレビ、高知さんさんテレビを除き1997年6月中旬 - 7月上旬時点。
学習ビデオ
- ゲゲゲの鬼太郎 〜コピー妖怪対鬼太郎〜 不正商品には気をつけろ!
- コンピュータソフトウェア著作権協会による子供向け著作権解説の知的財産権学習ビデオ作品。コピー商品を売る妖怪・輪入道とねずみ男を鬼太郎が退治するストーリー。
映画
- 劇場用映画
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- ゲゲゲの鬼太郎 大海獣(1996年7月6日)
- ゲゲゲの鬼太郎 おばけナイター(1997年3月8日)
- ゲゲゲの鬼太郎 妖怪特急! まぼろしの汽車(1997年7月12日)
- ドームスクリーン映画
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- ゲゲゲの鬼太郎 風雲!妖怪城
- 1996年4月28日公開。京都の東映太秦映画村・ドームシアターで公開されたドームスクリーン作品。
- 3D映画
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- ゲゲゲの鬼太郎 〜鬼太郎の幽霊電車〜
- 1999年3月20日より公開。花やしき他遊園地やイベントで上映の偏光レンズ方式メガネによる3D映画。上映時間約12分。
- 2009年10月3日には『とびだす!3D東映アニメまつり』として再上映された。
- 2010年2月21日には、本作を含む4作品セットのDVD『CG東映アニメまつり』が発売。立体映像ではなく通常映像での収録となる。
- キャスト
- メインキャストは第4シリーズと同様。
- 高坂三太郎 - 日髙のり子
- 小豆とぎ - 塩屋浩三
- 白山坊 - 梅津秀行
- 海和尚 - 川津泰彦
- スタッフ(鬼太郎の幽霊電車)
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商品情報
VHS
- 全28巻(話数順に各4話、27・28巻のみ5話収録)、全話収録。販売は9巻まで。
- 劇場版
- ゲゲゲの鬼太郎 大海獣(VHS / LD)
- ゲゲゲの鬼太郎 おばけナイター(VHS / LD)
- ゲゲゲの鬼太郎 妖怪特急! まぼろしの汽車
- ヒーロークラブ(編集版ビデオ・販売のみ)
- 1の巻 ゲゲゲの鬼太郎大図鑑
- 2の巻 鬼太郎の危機! 倒せ最強妖怪
- 3の巻 妖怪大裁判の罠
- 4の巻 妖怪大集合
- 5の巻 妖怪城の決戦
DVD
販売元:ポニーキャニオン、発売元:東映アニメーション、フジテレビジョン
レンタルDVDは2008年5月30日からレンタル開始。
- BOX
- 劇場版
- 「ゲゲゲの鬼太郎 THE MOVIES」に収録。
CD
発売元はワーナーミュージック・ジャパン。
- シングル
- ゲゲゲの鬼太郎(1996年2月25日発売、品番:WPD6-9072)
- 憂歌団の歌う主題歌とエンディングテーマ「カランコロンのうた」を収録。
- 鬼太郎行進曲 / ゲゲゲの応援歌(1997年6月25日発売、品番:WPD6-9135)
- 鬼太郎役の松岡洋子の歌う「鬼太郎行進曲」を収録。「ゲゲゲの応援歌」は鬼太郎ファミリー役の声優陣によるユニット「ぐうたらーズ」が歌う。
- ゲゲゲの音頭 / 目玉おやじの妖怪数え歌(1997年6月25日発売、品番:WPD6-9136)
- 鬼太郎役の松岡洋子が歌う「ゲゲゲの音頭」と目玉おやじ役の田の中勇が歌う「目玉おやじの妖怪数え歌」を収録。
- ロックだ、ねこ娘 / ねずみうた(1997年6月25日発売、品番:WPD6-9137)
- ねこ娘役の西村ちなみの歌う「ロックだ、ねこ娘」とねずみ男役の千葉繁の歌う「ねずみうた」を収録。
- ぺったらぺたらこ / 吸血鬼エリート(1997年6月25日発売、品番:WPD6-9138)
- 憂歌団の歌う「ぺったらぺたらこ」とエリート役の佐野史郎の歌う「吸血鬼エリート」を収録。それぞれ第33、57話で挿入歌として使用された。
- イヤンなっちゃう節(1997年8月10日発売、品番:WPD6-9146)
- 憂歌団の歌う後期エンディングテーマと挿入歌「ぺったらぺたらこ」を収録。
- アルバム
- ゲゲゲの鬼太郎 オリジナル・サウンドトラックVOL.1(1996年4月25日発売、品番:WPC6-8212)
- 番組主題歌・エンディング(共にTVサイズ)、BGMなどを収録した音楽集。2005年12月21日にコロムビアミュージックエンタテインメントから5000枚限定で再販されている。
- ゲゲゲの鬼太郎 大海獣 劇場版オリジナル・サウンドトラック(1996年7月25日発売、品番:WPC6-8225)
- 劇場公開された同名映画のサウンドトラック。
- ゲゲゲの鬼太郎 ソングコレクション第1集(1996年12月21日発売、品番:WPC6-8260)
- 番組主題歌・エンディング(共にTVサイズ)に加え、先んじてシングル化された各キャラクターのイメージソングを全て収録したアルバム。
- ゲゲゲの鬼太郎 おばけナイター 劇場版オリジナル・サウンドトラック(1997年3月25日発売、品番:WPC6-8287)
- 劇場公開された同名映画のサウンドトラック。ボーナストラックとして「ゲゲゲの応援歌」を収録。
- ゲゲゲの鬼太郎 妖怪特急! まぼろしの汽車 劇場版オリジナル・サウンドトラック(1997年7月25日発売、品番:WPC6-8367)
- 劇場公開された同名映画のサウンドトラック。ボーナストラックとして「ゲゲゲの鬼太郎ソングメドレー」を収録。「イヤンなっちゃう節」のTVサイズ版はこのCDでのみ聴くことが可能。
- ゲゲゲの鬼太郎(2013年9月18日発売、品番:TRJC-1024)
- 15年ぶりに活動を再開した憂歌団の記念企画盤。第4シリーズの主題歌、エンディングテーマ2曲、挿入歌「ぺったらぺたらこ」を完全収録。付属のDVDには憂歌団メンバーが声優として出演した第33話を収録。発売元はタワーレコード。
オムニバス
- テレビアニメ版 ゲゲゲの鬼太郎テーマコレクション(2007年9月26日発売、品番:NECA-30203)
- 第1シリーズから第5シリーズ第26話までの各主題歌を収録。第1、第2シリーズの曲はTVサイズでの収録(ただし、歌詞はフルサイズで掲載されている)で、「鬼太郎オリンピック」は未収録。発売元はインデックスミュージック。
- ゲゲゲの鬼太郎 歴代主題歌集(2019年3月20日発売、品番:COCX-40763)
- 第1シリーズから第6シリーズのオープニング主題歌や、カヴァー・ヴァージョンなどを収録。発売元は日本コロムビア。
参考文献
- 『アニメ版 ゲゲゲの鬼太郎 完全読本』講談社、2006年。ISBN 4062137429。
脚注
注釈
出典
外部リンク
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