第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(だい97かいとうきょうはこねかんおうふくだいがくえきでんきょうそう)は、2021年(令和3年)1月2日から1月3日まで開催された97回目の東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)である。
新型コロナウイルス (COVID-19) の感染拡大により2020年出雲駅伝中止などの影響が出ていたが、関東学連は11月5日、日本陸連の指針に従って参加者の健康チェックなどの感染対策を行った上で、予定通りの開催を決定。但し、感染拡大状況の更なる悪化や、2020年4月から5月にかけて日本国政府から発令された改正・新型インフルエンザ等対策特別措置法32条1項に基づく緊急事態宣言が再発令された場合は、大会を中止する可能性がある事を示唆していた。
また関東学連は12月1日、感染拡大防止の為、沿道での応援の自粛を呼びかける声明を発表。そのため、「応援したいから、応援にいかない。」のキャッチコピーも用いられた。これに伴い、スタート・フィニッシュ地点及び各中継所での各種イベントは中止。1月2日芦ノ湖と1月3日大手町での号外配布と読売新聞東京本社・報知新聞社による小旗配布も中止された。
2020年に世界陸連の広告規定が変更されたことに伴って日本陸連が制定したルールに則り、今大会から選手のユニフォーム(シャツ・パンツ)にスポンサーロゴの掲載が認められるようになった(面積40 cm2以内、かつ幅5 cm以内)。今大会では関東学生連合を除く参加20校中13校のユニフォームにスポンサーロゴが掲載された。
以下は今大会でスポンサーロゴの提供を受けた大学とスポンサー先の一覧である。順位は今大会の総合順位を反映。
第96回大会の上位10校(シード校)と予選会通過校10校、これにオープン参加の関東学生連合チームを合わせた全21チームが参加。前回出場校では、前回まで18年連続で出場していた中央学院大学の他、筑波大学と日本大学が予選会で敗退となった。城西大学と山梨学院大学が2年ぶりに、専修大学が7年ぶりに出場権を獲得した。
※ナンバーカードの数字はNo.1 - No.10が前年順位、No.11 - No.20は予選会順位の順。
出雲駅伝が開催中止となった中、前回優勝の青学大に、全日本大学駅伝で6年ぶりに優勝した駒大、前回2位・全日本でも2位となった東海大、青学大を抑えて全日本3位に入った明大の4校が優勝候補に挙げられた。しかし、青学大はエースの岸本大紀が故障の影響でエントリーできなかった他、前回9区区間賞の主将・神林勇太も大会直前に疲労骨折が判明し、区間エントリーから外れるなど苦しい展開となった。
エントリー変更は東海大・國學院大・東国大・早大・駒大・中大・法大の7チーム。
最初の1kmは3分33秒と近年稀に見るスローペースで幕を開け、東海大・塩澤稀夕や國學院大・藤木宏太が仕掛け一旦ペースが上がったものの、再び3分を超えるペースに戻る。
14km過ぎで山梨学大のルーキー・新本駿と国士大のルーキー・山本龍神が、15km手前で専大・高瀬桂が集団から遅れ始める。ペースの上げ下げが激しく、六郷橋で集団がばらけ始め、最後は塩澤と法大・鎌田航生が競り合い、鎌田が残り1kmでスパートを掛けて塩澤を引き離し、そのままトップで襷リレー。法大は第76回大会の徳本一善以来となる1区区間賞を獲得した。塩澤は5秒差の2位、15秒差の3位で創価大・福田悠一、連覇を狙う青学大・𠮷田圭太は18秒差の6位、東洋大・児玉悠輔は24秒差の9位、3000m障害日本人学生歴代1位の記録を持つ順大のスーパールーキー・三浦龍司は31秒差の10位、前回大会区間2位だった藤木は32秒差の12位、優勝候補である駒大のルーキー・白鳥哲汰は47秒差の15位、明大のルーキー・児玉真輝は1分06秒差の16位で襷リレー。
最下位の山梨学大までは2分06秒差とここ10年としては最も少ないタイム差となった。
エントリー変更は神奈川大・拓大・東国大・専大の4チーム。
東海大・名取燎太が1.4kmで法大・河田太一平を抜いてトップに立つが、トップと47秒差の14位で襷を受けた東国大のイエゴン・ヴィンセントと3位集団から抜け出した創価大のフィリップ・ムルワが猛追し、9.5km付近で名取をかわしてトップに浮上。次第にムルワを引き離したヴィンセントは区間2位となった国士大のライモイ・ヴィンセントに1分以上の差をつけ、1時間05分49秒で前回大会で東洋大・相澤晃が記録した区間記録を8秒更新する走りを見せ、大学史上初めて戸塚中継所をトップで襷リレー。
2位争いは、ムルワが追い上げる名取と日体大・池田耀平を振り切りトップと59秒差で襷リレー。東海大・日体大と続き東洋大のルーキー・松山和希が区間4位の走りで5位に。拓大のジョセフ・ラジニが順位を5つ上げ6位に。1区15位と出遅れた駒大は、田澤廉が7つ順位を上げ8位に浮上。一方、青学大・中村唯翔は4位集団の中で走っていたものの、保土ヶ谷付近で集団から遅れ、トップ東国大と2分13秒差の13位に。田澤・池田と同じく1万m27分台を持つ早大・太田直希も区間13位と振るわずトップ東国大と2分差の10位に転落。トップで襷リレーした河田は序盤からペースが上がらず最後はフラフラの状態になり、区間19位と大ブレーキ。16位まで順位を落とした。
エントリー変更は創価大・東海大・東洋大・駒大・城西大・早大・国士舘大・青学大・國學院大・明大・中大・専大の12チーム。
東海大のルーキー・石原翔太郎がスタートから突っ込んでいく走りを見せ、11.5km付近でトップの東国大・内田光を抜き去り区間賞の走りで第83回大会以来14年振りに平塚中継所をトップで襷リレー。34秒差の2位に、区間3位の走りをした創価大・葛西潤、56秒差の3位に区間2位の走りをした駒大・小林歩、内田は区間9位に終わり東国大はトップ東海大と1分差の4位に後退した。
前年従来の区間記録を更新した帝京大・遠藤大地が区間4位と貫禄を見せ8人抜いて6位に浮上。一方、青学大は順位こそ11位に上げたものの、2区の中村に続いて湯原慶吾が区間14位と振るわずトップ東海大と3分55秒差、10位日体大とは1分19秒差となり総合連覇に黄色信号が灯った。この区間で唯一1万m27分台を持つ早大・中谷雄飛が区間6位と本来の走りができず順位を2つしか上げられず、5000mU20日本記録保持者である中大のルーキー・吉居大和も区間15位に終わり、18位から順位を上げられなかった。
エントリー変更は創価大・帝京大・順大・神奈川大・日体大・青学大・國學院大・城西大・国士舘大・法大・明大・中大・山梨学大・関東学生連合の14チーム。
前回10区で区間新記録を出した創価大・嶋津雄大が5.6km付近で東海大のルーキー・佐伯陽生をかわすと、その後はトップを快走。最後は腿を攣りながらも区間2位の走りで2位・駒大に1分42秒の差をつけ大学史上初めて小田原中継所をトップで襷リレー。区間3位の走りをした早大・鈴木創士が2分03秒差の3位に入り、そこから40秒以内に東国大・東洋大・東海大・順大・帝京大が続々襷リレーをし、トップ創価大から3分以内に8校がひしめく接戦となった。トップで襷を受けた佐伯は嶋津に抜かれた後から失速し区間19位に沈み、6位まで順位を落とした。
シード権争いでは青学大のルーキー・佐藤一世が区間4位の走りで10位に浮上、11位日体大とは1分以上の差を付けた。小田原中継所では9位神奈川大・西方大珠が襷リレーの際中継所手前で転倒するアクシデントがあったが、無事にタスキを繋いだ。
専大は国増治貴が区間最下位と失速するが、繰り上げまであと22秒というところで辛くも襷リレーした。
因みに、区間賞は19位を走る山梨学大のポール・オニエゴが獲得したが、順位を上げずに区間賞を獲得したのは第84回大会4区の国士大・阿宗高広以来の珍事となった。
エントリー変更は創価大・駒大・拓大・明大の4チーム。
『仮想5区』ともいえる激坂最速王決定戦で優勝した創価大・三上雄太が区間2位と実績を裏切らない好走を見せて逃げ切り、出場4回目にして初の往路優勝を果たした。なお、創価大は区間賞無しでの往路優勝であり、この記録は第78回大会の神奈川大以来となる。
前回区間新記録を打ち立てた東洋大・宮下隼人は区間3位ながらも2分14秒差の2位、駒大のルーキー・鈴木芽吹は宮下に終盤まで喰らい付き、区間4位の走りで2分21秒差の3位、帝京大・細谷翔馬は大学史上初めてとなる5区区間賞を獲得する走りを見せ、2分31秒差の4位。王座奪還を目指す東海大・西田壮志は今年も区間7位に甘んじ、3分27秒差の5位。以下、東国大・順大・神奈川大・國學院大・拓大の順でゴール。一方3位で襷を受けた早大のルーキー・諸冨湧が区間19位とブレーキしシード圏外の11位に、留年して5区に出走した青学大・竹石尚人も足の痙攣で数回立ち止まるなどペースが上がらず区間17位のブレーキで青学大は7分35秒差の12位と、第87回大会以来10年ぶりに往路2桁順位に。明大も1区の遅れを取り戻せず7分55秒差の14位に終わり、共に優勝は絶望的になった。
シード権争いは7位順大から15位日体大まで3分07秒、10位拓大から17位国士大まで2分47秒と、一つのミスも許されない混戦となった。
また下位チームの健闘もあったため、復路での一斉スタートは、中大・山梨学大・学生連合・専大の4チームのみにとどまった。
向かい風が吹いていた影響で、学生連合・専大以外のチームが5時間40分を切った一方、5時間30分を切ったのは往路優勝した創価大だけであった(前回大会は12位の中央学院大学までが5時間30分を切っていた)。
エントリー変更は創価大・東国大・順大・拓大・国士舘大・山梨学大の6チーム。
トップでスタートした創価大・濱野将基は、区間7位の安定した走りで小田原中継所をトップで襷リレーするが、創価大と2分21秒差の3位でスタートした駒大の3年生・花崎悠紀が6区歴代3位の57分36秒で区間賞を獲得し2位に浮上。創価大との差を1分08秒まで縮める。一方、2位でスタートした東洋大・九嶋恵舜は区間14位と振るわず4位まで後退する。
シード権争いは、12位でスタートした青学大・髙橋勇輝が区間3位の好走でシード圏内の10位に浮上した一方、10位でスタートした拓大・佐々木虎太郎が区間18位のブレーキで14位に後退。また、4位でスタートした帝京大・三原魁人はレース序盤に右足甲を骨折した影響で区間最下位に沈み、11位早大と17秒差の9位まで転落する。
エントリー変更は創価大・東海大・東洋大・東国大・國學院大・早大・明大・拓大・国士舘大・日体大の10チーム。
創価大・原富慶季が区間2位の好走で、2位駒大・花尾恭輔との差を1分51秒に広げる。
3位争いは600m付近で東海大・本間敬大に東洋大・西山和弥が追い付き並走となるが、9.2km付近で本間が西山を突き放し、東洋大に46秒差をつけて3位で襷リレー。しかし、トップ創価大とは4分26秒差に広がり、東洋大も創価大とは5分12秒の大差がついた。7位で襷を受けた東国大・佐伯涼が原富の記録を2秒抑えて区間賞を獲得し、5位に浮上した。
シード権争いは、青学大・近藤幸太郎が佐伯と4秒差の区間3位の力走で7位にジャンプアップ。一方、6位で襷を受けた神奈川大・落合葵斗は区間17位のブレーキでシード圏外の11位に転落し、早大・宍倉健浩が区間8位の走りで神奈川大と24秒差の10位に浮上した。
エントリー変更は駒大・東海大・東洋大・順大・神奈川大・城西大・日体大・中大・専大の9チーム。
創価大・永井大育がトップを守るも、駒大・佃康平が区間4位の走りでその差は1分29秒まで縮まった。一方、東洋大・野口英希は区間2位の好走で3位に浮上し、青学大・岩見秀哉も区間3位の走りで5位に浮上した。3位で襷を受けた東海大・濱地進之介は区間15位と振るわず4位に後退。
シード権争いはさらに熾烈になり、明大・大保海士が、区間記録まであと10秒に迫る1時間03分59秒のタイムで区間賞を獲得し12位に浮上、同タイムの9位で襷リレーした早大・帝京大との差を1分08秒まで縮める。
エントリー変更は青学大・早大・神奈川大・明大・城西大・法大・関東学生連合の7チーム。
前回9区区間6位の成績を収めている創価大・石津佳晃が、区間記録まであと13秒に迫る歴代4位のタイムで快走し、鶴見中継所をトップで襷リレー。石津は自身初の区間賞獲得となった。駒大・山野力は区間6位に留まり、創価大との差は3分19秒に大きく広がった。
中位争いでは、青学大・飯田貴之が区間2位の好走。東海大・長田駿佑をかわし4位に浮上した。
シード権争いは、権太坂で國學院大・早大・帝京大の8位集団が形成された後、國學院大・高嶌凌也が脱落。高嶌は18km過ぎで11位明大・富田峻平に一度は追いつかれるが、20km手前で高嶌が富田を突き放し、前を行く東国大・加藤純平を捉え9位で襷リレー。10位東国大と11位明大の差は僅か38秒。8位順大まで広げても2分以内の差で最終10区を迎えることになった。11位で襷を受けた神奈川大・高橋銀河は区間最下位に沈み、15位まで転落。10位東国大とは4分以上の差がつきシード権争いから脱落した。
鶴見中継所では、山梨学大・専大が繰り上げスタートとなった。山梨学大は予選落ちとなった前回を挟み4回連続で鶴見繰り上げとなった。
エントリー変更は駒大・東海大・帝京大・早大・順大・國學院大・東国大・中大・城西大・神奈川大・拓大・法大・国士舘大・専大の14チーム。
創価大・小野寺勇樹は大量リードで無理をする必要はなく遅めのペースで走り始めるが、次第に体が重くなり、「ペースを落とさないように踏ん張ろうとしても力が入らない。どうしたら良いのか分からなくなり、頭の中は『やばい、やばい』とパニック状態だった」と失速。駒大・石川拓慎がハイペースで猛追し、13km過ぎの新八ツ山橋で1分57秒差、田町の16.5km地点では1分17秒差、御成門の18.1km地点では47秒差と距離が進むにつれ一気に差が縮まった。そして、20.9km過ぎで石川が小野寺を一気に抜き去り、52秒の差を付けて駒大が第84回大会以来13年ぶり7回目の総合優勝を果たした。また、石川は区間賞を獲得した。なお、10区での逆転優勝は第77回大会の順大以来20年ぶり、往路3位からの逆転優勝は第63回大会の順大以来34年ぶり(往路3位以下とした場合は第82回大会の亜大以来15年ぶり)、全中継所1位通過無しでの総合優勝は第62回大会の順大以来35年ぶりの記録となった。
駒大に抜かれた時に反応できず、ふらつきながらゴールし担架で運ばれた小野寺だったが、創価大は第96回大会に続いて大学史上最高成績を大幅に更新して総合2位となった。東洋大は清野太雅が一時、青学大・中倉啓敦に逆転されるが、残り2km地点で清野が再逆転し、3位で2年ぶりのベスト3入り。往路12位と出遅れた青学大は、区間賞こそなかったものの、2年ぶり6回目の復路優勝で総合4位まで盛り返した。往路・復路・総合の優勝校が全て違う大学となったのは第95回大会(総合・東海大、往路・東洋大、復路・青学大)以来2年ぶり9例目である。王座奪還を狙った東海大は復路10位と伸びず、総合5位に終わった。早大・順大・帝京大の6位争いはスパート勝負になり、早大・山口賢助が抜け出し6位に、その4秒後の7位に順大、9秒後の8位に帝京大が続いた。早大は2年連続のシード、順大は2年振りのシード、帝京大は4年連続のシード獲得となった。予選会1位の順大は7位で、予選会からの出場校では唯一シードを獲得した。國學院大は木付琳が区間3位の走りで9位でゴールし3年連続でシードを獲得した。帝京大・國學院大は大学内の連続シード獲得記録を更新した。
残る1枠のシード権争いは東国大と明大の争いとなったが、東国大・杉崎翼がリードを保ったままゴールし、2年連続となるシード権を確保した。明大の長倉奨美はあと26秒及ばず11位でゴール。優勝争いに絡むと思われていた明大は僅か1年でシード落ちとなった。往路19位に沈んだ中大は復路3位と大きく巻き返したものの、東国大と2分07秒差の総合12位でシード権獲得までは至らなかった。
前回に続いて、復路のゴールタイムが全チーム5時間40分以内となった。
今大会は稀に見る大混戦の箱根駅伝であり、以下の出来事があった。
今大会の予選会は46校が出場した。
今回は新型コロナウイルス (COVID19) 感染防止の影響により大幅な変更が生じた。
予選会
本大会
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