東海ゴールドカップ(とうかいゴールドカップ)は、岐阜県地方競馬組合が施行する地方競馬の重賞競走(SPI)である。正式名称は「岐阜県知事杯 東海ゴールドカップ」。
副賞は、岐阜県知事賞、(一社)日本地方競馬馬主振興協会会長賞、(一社)JBC協会賞 HITスタリオンシリーズ(ウインブライト賞)(2023年)
1971年に「ゴールドカップ」の名称で創設。翌1972年から年末開催、1979年から現在のレース名となった。1997年度から元日施行となったが、2004年度より再び年末開催となり、それ以来東海地区(愛知・笠松)の1年を締めくくる競走として行われている。
負担重量は2019年までハンデキャップであったが、2020年に別定に変更された。
2021年に出走資格をオープンから3歳以上に変更された。また、この年からHITスタリオンシリーズに指定されている。対象種牡馬は2021年がヴァンセンヌ、2022年がノヴェリスト、2023年がウインブライト。
2024年より施行距離をダート2500mに変更する。
1981年12月30日に行われた第10回競走では、ダイサンフジタカ号に騎乗した愛知県競馬組合所属の騎手・井手上慎一が周回を誤認する事象があった。1981年当時の施行距離は笠松競馬場最長の2500メートルで、ゴール板を3度通過・コースを2周してゴールすることとなっていた。また、スタート地点が同じで周回数の1周少ない1400メートル戦が存在していた。
1981年当時の1着賞金は1300万円と現在の4倍以上の賞金を誇る一大レースであった。笠松競馬場には2万8千人を超える観衆が詰めかけたと言われている。有力候補であった愛知のヒカリデュール(翌年JRAに移籍し朝日チャレンジカップ、有馬記念を勝つ)が右前肢の跛行で発走当日に出走を取り消し、本命不在でのレースとなった。1番人気に押し出されたのが、この事件の主役となるダイサンフジタカで、東海菊花賞3着からの参戦であった。この馬もまた後に中央へ転出し当時の800万下条件(現・2勝クラス)を勝つ馬であり、岐阜日日新聞(現・岐阜新聞)本紙予想では「昨今の充実度がすごい。東海菊花賞を3着した実力が爆発しそう」と能力を評価されている。
1981年12月30日 笠松競馬第9競走 サラブレッド系特別オープン 第10回東海ゴールドカップ 馬場:良
1周目の第4コーナーを回って2度目のホームストレッチに差し掛かり、ゴール板を過ぎたところでダイサンフジタカの鞍上・井手上の手が止まり手綱を緩めた。井手上は1400メートル戦と勘違いしたものと思われる。
減速したダイサンフジタカは後続に次々と抜かれ、レースに戻った時には既に余力はなかった。勝ったのはヒカリデュールと同枠の人気薄サンローレオーで、2着ヒミノチカラ、3着シナノセイダイ。結局ダイサンフジタカは5着で入線した。単勝式・複勝式・枠番号二連勝単式の3通りしか馬券発売のなかった時代にあって、枠連「3 - 8」の払戻金4970円はかなりの高配当であった。
本命馬が不可解な減速で馬券外に沈み、的中馬券「3 - 8」のオッズが投票締切直前に大口購入された、との風説を流布した観客がいたことなどから本競走に対する八百長疑惑がかけられ、続く最終10レースの終了時にはファン200人以上が管理事務所を取り囲んで説明を求めた。地方競馬全国協会の公正委員は「スピードを落としたのは井手上騎手のミスによるもので、地方競馬実施規則によるレース後の審議対象『落馬、走路妨害、着順』に該当しないのでレースは成立する」と結論づけたがファンは納得せず、一部は窓ガラスを割ったりゴミを燃やしたりするなど暴徒化。投げられた石で観客1人が負傷し、従業員約100人が競馬場内に缶詰めにされた。岐阜県警察機動隊や岐阜県岐阜羽島警察署の警察官150人が鎮圧に向かうも怒りは収まらず、最終的に深夜になっても居座った約100人は場外に強制排除され、この際警察官に暴行を働いた1人は公務執行妨害の現行犯で逮捕された。
井手上は笠松競馬場での無期限騎乗停止、名古屋競馬場での10日間の騎乗停止処分を課された。後に笠松での騎乗停止も解除されている。
馬齢は2000年以前についても現表記を用いる。
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