2021年の福岡ソフトバンクホークスでは、2021年シーズンについての福岡ソフトバンクホークスの動向をまとめる。
この年の福岡ソフトバンクホークスは、工藤公康監督の7年目のシーズンである。チームスローガンは「鷹く!」。
昨季は3年ぶりのリーグ優勝、7年連続のクライマックスシリーズ進出、4年連続の日本一を達成したチームに一軍ヘッドコーチとして小久保裕紀が9年ぶりに復帰。一軍首脳陣はヘッドコーチ以外前年と変わらない体制で工藤公康監督7年目のシーズンを迎えた。
長年主力としてチームを支えてきた内川聖一が昨季は一軍出場なしに終わり、出場機会を求め退団したものの、柳田悠岐や中村晃をはじめとした主力野手に前年ブレークした栗原陵矢や周東佑京と選手層の厚さは健在。ジュリスベル・グラシアルやアルフレド・デスパイネ、セットアッパーのリバン・モイネロも開幕に向けて無事に来日し、打線とリリーフ陣は順当なメンバーが揃った。
先発陣は昨季13先発で防御率2.65を記録したマット・ムーアがMLBへ復帰。その穴を埋めるべく日本ハムから自由契約となっていたニック・マルティネス、新外国人のコリン・レイを獲得したものの、2名とも来日が開幕に間に合わなかった。また、エースの千賀滉大がふくらはぎのコンディション不良、昨季開幕投手の東浜巨が新型コロナウイルスに感染した影響で開幕に間に合わず、一昨年先発として新人王を獲得し前年はリリーフに回っていた高橋礼を先発へ再転向させたが、開幕ローテーションには不安を残した。
それでも過去4年間そのような苦境を何度も選手層の厚さで乗り越えて日本一を達成した実績が評価され、解説者による開幕前の順位予想では優勝候補に挙げられた。
開幕4連勝スタートも開幕5戦目を大竹耕太郎の乱調で落としたのを皮切りに、4月2日からの対西武3連戦では石川柊太・高橋礼・和田毅が揃って崩れ、ダイエー時代の2004年以来となる本拠地福岡での対西武3連戦3連敗を喫し、チームは5連敗。先発陣の不安が露呈し、千賀滉大と東浜巨の復帰が待たれたが、千賀は4月6日の対日本ハム戦で一軍復帰を果たすもピッチャーライナーを捕球した際に左足首を痛めて再び離脱。東浜もシーズン初の実戦登板となった4月2日の二軍戦で打球が直撃し、復帰計画が遅れることとなった。ただ、津森宥紀・泉圭輔・嘉弥真新也・モイネロ・森唯斗らリリーフ陣、柳田悠岐・栗原陵矢・グラシアルら打線が先発陣をカバー。4月末に守護神の森が利き腕でない左肘の炎症で離脱、5月上旬にはグラシアルが靱帯損傷を伴う骨折で離脱したものの、チームに合流したニック・マルティネスが5月度の月間MVPを獲得する活躍もあり、チームは5月を終え首位に立っていた。
しかし、代役で抑えを務めていたモイネロがキューバ代表として東京五輪予選に出場するため離日。隔離期間も含め1カ月以上の離脱となり、森も回復が思わしくなく手術に踏み切り、抑えは岩嵜翔が務めたものの、泉と嘉弥真の不調がありチームは8回のセットアッパーに苦悩した。打線では春先好調であった甲斐拓也と松田宣浩が失速し、中村晃と今宮健太は開幕から不振が続き、同じく不振であった開幕1番打者の周東佑京は骨折で離脱。5月下旬から始まったセ・パ交流戦においても、中日、DeNA、ヤクルトの3球団相手に1勝もあげられず(7敗2分)通算5勝9敗4分の11位、2012年以来9年ぶり、球団史上3度目となる交流戦負け越しを記録するなど失速し(交流戦球団史上最低勝率を記録)、リーグ戦に戻っても得点力は低下し、前半戦を首位から4ゲーム差の4位で終えた。
後半戦は千賀とマルティネスの二枚看板が投手陣を牽引し、打線では前半戦不振であったアルフレド・デスパイネが復調し、チーム成績では防御率3.25・493失点・打率.247がリーグトップ、564得点・132本塁打もリーグ2位と優れた数字を残したが、セットアッパーのモイネロが故障に加え家族の都合もあり後半戦は10試合の登板にとどまった。さらに代役で抑えを務めていた岩嵜が後半戦に入り調子を落とし、板東湧梧は奮闘したものの抑えとしての登板では救援失敗が目立ち、2年ぶりにセーブを挙げた甲斐野央も安定感を欠いた。9月に入りようやく守護神の森が一軍復帰を果たすも苦しい投球が続き、後半戦はゲーム終盤の逃げ切りに失敗する試合が目立った。
先発では、前半戦ローテーションの一角を担った武田翔太が右手示指腱鞘炎の影響で後半戦は1試合も一軍で投げることができず、和田も2度の左肩痛による離脱で後半戦は4試合の先発にとどまった。前半戦6先発で防御率2.03を記録し期待されていたコリン・レイは家族の都合で退団し、後半戦での巻き返しを誓っていた東浜も不本意な投球が続き、千賀・マルティネス・石川に続く先発投手が奮わなかった。
野手は三森大貴やリチャードといった若手が出場機会を増やしたもののレギュラー奪取とまではいかず、不振の主力を使わざるを得ない状況に陥り、盤石と思われた選手層にもほころびが生じた。
シーズン最後まで歯車が噛み合わず、特に1点差試合で12球団ワーストの勝率.296と接戦での弱さが露呈。10月23日の対楽天戦に敗れレギュラーシーズン4位が確定し、5年連続日本一の可能性が消滅。Bクラスは2013年以来8年ぶりで日本一翌年のシーズンとしては球団初、シーズン負け越しは2008年以来13年ぶりと7年目を迎えた工藤政権では初の屈辱となった。60勝62敗21分の勝率.492という成績に終わり、シーズン最終戦の翌日である10月26日に工藤公康監督の退任が発表された。
本節では、前レギュラーシーズン終了から本シーズン開幕までの支配下選手・育成選手の登録・抹消について記述する。なお、抹消の去就は、球団職員又はスポーツ関係・芸能関係の職業に転身した場合等、去就が公のものとして扱われるもののみを記載し、空欄は前述以外の一般職業に転身もしくは去就不明を示す。また、退団区分は自由契約・任意引退・詳細不明である場合については、記載しない。
本節では、本シーズン開幕から終了までの入退団について記述する。
7月19日から8月12日まで、2020年東京オリンピック開催により公式戦が中断された。
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