第49回衆議院議員総選挙(だい49かいしゅうぎいんぎいんそうせんきょ)は、2021年(令和3年)10月31日に日本で行われた国会(衆議院)議員の総選挙である。
第48回衆議院議員総選挙で選出された衆議院議員が任期満了を迎える時期が、内閣総理大臣・菅義偉の自由民主党総裁としての任期が終わる2021年9月30日に近かったため、同年後半になると、次期自民党総裁選挙と本総選挙の日程の兼ね合いについて様々な報道がなされた。
7月下旬には、菅内閣の支持率下落を受け、現行法制で最も遅い11月などへの総選挙の先延ばし論が与党内で強まっていると報じられた。これに対し、野党の立憲民主党は任期満了後の総選挙には反対し、一方で解散を伴わない任期満了による総選挙を9月中に閣議決定する案も浮上していた。
しかし9月3日、菅が総裁選挙への不出馬を表明し、総選挙の日程は新首相によって決定されることとなった。
9月29日、菅の後任の自民党総裁に選出された岸田文雄は、10月4日に首相に就任。同日の記者会見で「今月14日に衆議院を解散し、19日に公示、31日に総選挙を行う」と表明した。衆議院議員の任期満了年と同じ年に総選挙が行われるのは2009年以来、12年ぶり。任期満了以降に総選挙が行われるのは、現行の日本国憲法下では初めてであり、また令和への改元後最初の総選挙となった。
新型コロナウイルス感染症の流行が続く中での総選挙となったが、総務省は2020年4月、各都道府県の選挙管理委員会に対し「緊急事態宣言がなされた場合においても選挙は公職選挙法の規定に基づき執行する」と通知しており、選挙が執行できないことは想定していなかった。投票所では入場規制など、対策を行った自治体もあった。
投票が終了した10月31日20時、NHKと民放5大ネットワーク(日本テレビ・テレビ朝日・TBSテレビ・テレビ東京・フジテレビ)をはじめとする各種メディアが出口調査の結果を一斉に報道。自民党・公明党の連立与党は勝利するものの、自民党単独での過半数維持は微妙とされた。野党側については立憲民主党の議席増・日本維新の会の大躍進が伝えられた。しかし、結果的には各社の出口調査は一部を除いて大きく外れる事態となった。
自民党が追加公認2名(東京15区の柿沢未途と奈良3区の田野瀬太道)を含めた261議席を獲得し、公示前の276議席から減らしたものの衆院の常任委員長ポストを独占したうえで各委員会の過半数を握れる「絶対安定多数」(261議席)を単独で確保した。公明党は32議席だった。また、現職議員との兼ね合いによる保守分裂の関係で公認を得られなかったものの小選挙区で当選した細野豪志、平沼正二郎、西野太亮が選挙直後に自民党に入党している。
2020年に結党された立憲民主党と国民民主党にとって、初めての国政選挙となった。立憲民主党は公示前の110議席から96議席に落ち込んだ。小選挙区こそ公示前の48議席から57議席に増えたものの、比例代表は公示前62議席から39議席まで大幅に減らした。立憲民主と共産、国民民主、れいわ新選組、社民の野党5党は全289選挙区の75%にあたる217選挙区で候補者を一本化して臨んだが、この217選挙区で当選した野党5党の候補は野党系無所属を含めても62人(29%)で、公示前の51人から大きく上積みできなかった。比例区では立憲と国民の得票は計約1400万票にとどまり、前回2017年の旧立憲民主党と希望の党の計約2000万票を大きく下回った。共産も得票を減らしており、共闘野党の不振につながった。一方、自民党側にとっては自民が5,000票未満の僅差で逃げ切った選挙区は17に上り、34選挙区が1万票未満の差であったことから、「薄氷の勝利」(自民党幹部)との見方も出た。このほか、国民民主党は3議席増の11議席、れいわ新選組が比例で3議席を獲得。社民は現状維持の1議席に終わった。
日本維新の会は公示前の11議席を大きく上回る41議席を獲得した。地盤とする大阪では公明党と棲み分けた4選挙区を除く15選挙区で全勝し兵庫でも選挙区で1議席を獲得(兵庫県第6区)。比例代表でも旧希望の党との競合で伸び悩んだ前回から500万票近く上積みし、805万票を獲得。比例北海道ブロックを除く10ブロックで議席を確保した。特に比例近畿ブロックでは最多の10議席を獲得、大阪府で全勝したことによって先述の小選挙区で勝利した兵庫6区以外の兵庫県で擁立した全ての選挙区の候補者が比例復活した。
今回の衆院選では与野党の「大物候補」や「高齢・ベテラン候補」が苦戦を強いられた。自民党の石原伸晃元幹事長や、立憲民主党の平野博文代表代行兼選対委員長、辻元清美副代表が比例復活もならず落選。自民党の甘利明幹事長は比例復活したものの、自身の小選挙区での敗北を受け幹事長の辞任を表明した。また、現職の閣僚である若宮健嗣万博担当大臣も小選挙区で敗れ比例復活となった。一方立憲民主党では「無敗の男」との異名を取っていた中村喜四郎元建設大臣や海江田万里元民主党代表のほか、初当選以来17期52年落選することなく連続勝利していた小沢一郎元民主党代表が小選挙区で敗北した(全員比例復活)。また、小沢一郎の次に現役議員として長く当選を重ね、小泉純一郎などYKKトリオと初当選が同期で48年10ヶ月議席を守り続けていた自民党の野田毅元自治大臣、原田義昭元環境大臣、山本幸三元地方創生担当大臣も落選した。
閣僚経験者では自民党の金田勝年元法務大臣、塩谷立元文部科学大臣、桜田義孝元五輪担当大臣、平井卓也前デジタル担当大臣、立憲民主党の中川正春元文部科学大臣が小選挙区で落選した(全員比例復活)。
新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言中に東京・銀座のクラブを訪問した問題で自民党を離党した松本純元国家公安委員長、同じく歌舞伎町の飲食店で遊興していた問題で(旧)立憲民主党を除籍となり、れいわ新選組公認で出馬した高井崇志も落選した。また、公示直前に北朝鮮による拉致被害者に関する不適切な発言をしたため、立憲民主党の公認を辞退し無所属で出馬した生方幸夫が落選した。メディアはこの問題発言が影響したと報じた。
高齢議員では、前述の80歳の野田毅、79歳の小沢一郎、77歳の原田義昭、73歳の山本幸三、72歳の甘利明・中村喜四郎、71歳の中川正春・塩谷立のほか、74歳の自民党三原朝彦、73歳の立憲民主党篠原孝などが小選挙区で敗れ(73歳定年制で比例重複立候補しなかった野田・原田・山本・三原を除いた全員が比例復活)、80歳の衛藤征士郎元衆議院副議長は654票差、74歳の北村誠吾元地方創生担当大臣は391票差まで次点候補に詰め寄られた。自民党は党が内規で定める比例区の「73歳定年制」により小選挙区単独で立候補した24人の内7人が落選している。一方で、立憲民主党の代表の57歳の枝野幸男も自身の選挙区で自民党の牧原秀樹に対して苦戦し、枝野の当確が出たのが日付が変わった後で結果は6,083票差(惜敗率94.65%)で辛くも勝利した。
令和時代に入って2回目の国政選挙かつ初の衆議院選挙であった本選挙で、初めて平成生まれの国会議員が誕生した(東京13区・土田慎、比例東北ブロック(福島2区)・馬場雄基)。
佐賀県では全選挙区で、比例復活を含め、候補者4人全員が当選する珍しい事態が起きた(重複立候補制度#県内の立候補者全員が当選を参照)。
他にも、以下のような呼称が取り沙汰されている。
衆院選の公示を前に、10月16日に動画サイトの「YouTube」に、芸能人16人が投票を呼び掛ける3分36秒の動画「あなたの1票はあなたの声(Your Vote is Your Voice)」が公開された。動画は「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」というプロジェクトとしてどの政党や企業にも関わりのない、市民による自主制作プロジェクトの主催であり、冒頭に「これは広告でも政府の放送でもなく、僕たちが僕たちの意思で作った映像です。僕たちの投票への思いを話します」と話して始まる。内容は各々が若者に対して投票を呼び掛けるメッセージとともに、最後にはそれぞれが「投票します」と語り、「投票はあなたの声だ」という言葉で締めくくられる。なお、日本において芸能人が自ら政治的な発信をすることは珍しく、このように共同で国政選挙の投票を呼び掛けるものは異例とされる。
参加した芸能人は秋元才加、安藤玉恵、石橋静河、小栗旬、コムアイ、菅田将暉、Taka(ONE OK ROCK)、滝藤賢一、仲野太賀、二階堂ふみ、橋本環奈、前野朋哉、ローラ、渡辺謙(五十音順)。
以下の選挙は投開票が予定されていたが、無投票で実施されなかった。
小選挙区289と比例代表176の合わせて465議席をめぐって、1051人(小選挙区・857人、比例代表単独・194人)が立候補した(NHK調べ)。なお、全体の候補者数は、1996年に導入された小選挙区比例代表並立制の下で最少だった2005年衆院選の1131人を下回り過去最低となった。
今回の衆院選に出馬を断念した政治団体は以下の通り。
改革未来党、改新党は党として公式ウェブサイト・総選挙特設ウェブサイトを設置しなかった。
選挙前にメディアなどで発表された各党の情勢および獲得議席数の予測は、以下のとおりである。
選挙戦当初は苦戦が伝えられており、投票終了直後の各メディアによる議席予測でも過半数割れの可能性が指摘されていたが、結果的には小選挙区では189議席と前回選挙(218議席)より減らしたものの、比例代表では前回選挙(66議席)を上回る72議席を獲得し、合計は15議席減の261議席と善戦し、絶対安定多数を単独で維持した。
その一方で幹事長の甘利明が小選挙区で落選し比例復活で議席を確保する事態となったほか、派閥の領袖でもあった石原伸晃や党税調の顧問であった野田毅などのベテラン議員の落選もみられた。その中でも特に大阪府では、現選挙制度導入の1996年以来初めて、連立を組む公明党が候補者を擁立している4つの選挙区を除いて候補者を擁立した15の区全てで小選挙区の議席を失い(自民党が大敗し政権交代が起こった2009年の総選挙では大阪13区で西野陽が当選している)、比例復活も宗清皇一と谷川とむの2人のみとなった。その結果を受けて自民党大阪府連会長の原田憲治(大阪9区)は選挙日に辞任を表明したが、この選挙後の自民党大阪府連所属の国会議員は衆院3人(宗清・谷川と比例単独上位で当選した柳本顕)と参議院の2人(松川るい・太田房江)のみとなっており、12月に選出される予定の原田の後任調整すらも難航していると報じられていた。大阪府議からは「ここから自民が盛り返すには20年はかかる」という声も上がっていた。結局12月4日の大阪府連の大会によって宗清が府連会長に選出された。
小選挙区では擁立した9人全員が当選し、比例代表でも前回選挙(21議席)を上回る23議席を獲得、合計は3議席増の32議席となった。この選挙では前党代表の太田昭宏や前幹事長の井上義久などのベテラン議員が立候補せず引退し、新人が9人当選するなど入れ替わりが見られた。
各種メディアの情勢調査並びに出口調査では議席増(ただし「伸び悩み」と報じるメディアもあった)の情勢が伝えられていたが、実際には改選前の110議席から96議席に14議席減らし、100議席を割り込んだ。ただ、民主党系の政党の獲得議席としては、第46回以降の総選挙で最も多い数となった。野党共闘により候補者の一本化に成功するなどして小選挙区では9議席を上乗せすることに成功したが、10万票以上を獲得しながら僅差で敗れるなど、接戦で競り負けた選挙区が多くなった比例代表は39議席で、2017年の前回選で旧立憲民主党が獲得した37議席から2議席上積みしたものの、解散前の勢力は旧希望の党で比例当選した議員が合流して62議席だったため実質的に23議席減となったことが響いた。
この選挙戦では小沢一郎が18回目、中村喜四郎が15回目にしてそれぞれ中選挙区時代も含め、初めて選挙区で敗れて比例復活となったほか、篠原孝、中川正春といった小選挙区で安定して強さを見せていたベテラン議員が一転して苦戦し選挙区で落選、比例復活となるケースが続出した。さらに大阪府の候補者では、党執行部の辻元清美や平野博文が比例復活もならずに日本維新の会の候補者に敗れて議席を失い、大阪12区では同党の小選挙区候補者としては唯一の供託金没収者まで出した。公明党との候補者棲み分けによって維新が候補者を擁立しなかった大阪16区の森山浩行が大阪府の候補者で唯一比例復活で議席を確保している。
実質的な敗北を受け、枝野幸男代表や福山哲郎幹事長などの執行部が辞任の意向を示した。
各社の情勢調査で既に30議席前後と3倍近く議席を伸ばす情勢が伝えられていたが、本拠地の大阪府(および兵庫県)で公明党と候補者を棲み分け(後述)、擁立しなかった4つの区を除く15の小選挙区全てで勝利するなど、下馬評をさらに上回る41議席を獲得した。前身の政党も含めた過去の戦績と比べると、2012年の衆院選に次ぎ、2014年の衆院選に並ぶ議席を回復。大阪府以外でも兵庫6区で市村浩一郎が当選したことで、2015年の維新の党分裂後では小選挙区で初めて大阪以外の選挙区で当選者を出し、党派別でも自民・立憲に続く第三党に躍進した。比例代表では北海道ブロックを除く全てのブロックで議席を獲得し、特に比例近畿ブロックでは最多の10議席を獲得。先述の通り大阪府で比例復活の対象者がいなかったため、小選挙区で勝利した兵庫6区以外で擁立した兵庫県の選挙区の候補者が全員比例復活した。
大阪府と兵庫県において公明党と候補者を棲み分けた(公明党の候補者がいる選挙区に維新の候補者を擁立しなかった)背景には、大阪市会および堺市議会で母体の大阪維新の会が単独過半数を取れておらず、特に大阪市会において公明党の協力がなければ大阪都構想の住民投票の実施ができなかったことが挙げられる。
小選挙区で擁立した前職6人全員が当選し、情勢調査では議席獲得が難しいとされていた比例代表でも北関東・南関東・東海・近畿・九州の各ブロックで1議席ずつの計5議席を獲得するなど善戦し、合計は3議席増の11議席となった。
情勢調査では議席の上積みという情勢が伝えられたが、小選挙区で沖縄1区の1議席を維持したものの比例代表では北陸信越ブロックで議席を逃すなど議席数を減らし、合計は2議席減の10議席となった。
党代表の山本太郎が比例東京ブロックで当選し国政へ復帰したほか、南関東・近畿の各ブロックで各1議席を獲得し2議席増の3議席となったが、小選挙区では議席獲得に届かなかった。また、比例東海ブロックでは1議席配分されたものの、このブロックでは比例単独候補を名簿に登載しておらず、重複立候補していた候補も選挙区で供託金没収となり比例復活の資格を失ったため1議席を逃し、失った議席は公明党に配分された。
前年に立憲民主党との合流構想で党内が紛糾し、一部議員が立憲民主党に移籍した事や小選挙区で議席を得ていた照屋寛徳の引退などで党勢の衰退から議席獲得が危ぶまれていたが、照屋の後継となった新垣邦男が小選挙区で議席を確保し1議席を維持したが、比例代表での議席獲得はならなかった。
30人の立候補者を立てるも、小選挙区・比例区共に全敗に終わり、議席獲得はならなかった。
いずれの政党も小選挙区、比例代表とも議席獲得はならなかった。
12人が当選したが、自民系無所属の当選者2人(東京15区の柿沢未途と奈良3区の田野瀬太道)が当選直後に追加公認(上記獲得議席表には自民の議席・票数として加算)、細野豪志など3人が2021年内に自民党所属議員として会派入りした。また野党系無所属の当選者5人がその後院内会派「有志の会」を結成した。
当時、リベラル派支持の運動がネット等で展開されており、立民増の予想が多くあった。選挙期間中はリベラル派が重視するジェンダーの平等などをめぐって与野党論戦が行われた。選挙運動期間、ソフトウェア開発会社「サイボウズ」社長の青野慶久らは、選択的夫婦別姓や同性婚に否定的な候補者に対する落選運動「ヤシノミ作戦」を展開。落選させるべきだとし候補者248人をリストアップし、ほぼ半数が小選挙区で落選した。
さらにしんぶん赤旗日曜版が、野党攻撃を繰り返してきたTwitterインフルエンサーアカウント「Dappi」 の運営企業社長が自民党本部事務総長と親戚というスクープを出した(なお選挙終了後、政権批判側だったChoose Life Projectが立憲民主党から資金提供を受けていたことが発覚し、与党側はこれを逆に批判した)。
この予想は、開票時間になっても変わらなかった。出口調査において、NHKは自民党と立憲民主党の議席を「212~253 対 99~141」、日本テレビは「238 対 114」、テレビ朝日は「243 対 113」、TBSは「239 対 115」、テレビ東京は「240 対 110」フジテレビは「230 対 130」と予測。自民党単独での過半数である233議席以上の獲得は微妙と速報された。しかし、結果的には、自民党は追加公認の2議席を含めて「絶対安定多数」(261議席)を確保し勝利。一方の立憲民主党は改選前110議席から14議席減らし96議席となる惨敗となり、各社の出口調査は大きく外れる事態となった。この結果を受けて、NHKの正籬聡放送総局長は11月4日に行われた定例会見で「今回の結果を真摯に受け止めて、しっかりと検証して改善に結びつけたい」とコメントした。元テレビマンで京都芸大客員教授の村上和彦は、自民党支持層は語らずに投票する「サイレント・マジョリティ」型であり、それを見抜けなかったと評した。
また当選した女性議員の比率は公示前の10.1%を下回って9.7%となり、諸外国と比べても特に低迷した。
この選挙結果に、リベラル派やジェンダー論学者は批判を示した。「政治アイドル」の町田彩夏は、関西テレビのインタビューで「差別的な発言をした人が、結局また議席を獲得して、例えば、LGBTQの問題に尽力してきた人が議席を失うというところを見ると、そうした価値観が共有されていないなと思います。私たちは、しょせんマイノリティーというか、少数派だったなというのは、すごく思いますね」と選挙結果を批判した。大正大学准教授の田中俊之は「野党の打ち出し方が悪かった。ジェンダー平等を票につなげるためのアピール方法を間違えた」と指摘し国民がジェンダー平等に無関心だったという指摘を否定した。内田樹は悪い体質の政党が勝ち続けていることが悪影響をもたらしていると批判した。
背景として当時、Z世代論などの「若い世代はSDGs等の社会問題に関心が強いリベラル派である」とする論調があった。メディアは30歳未満が「ジェンダー平等(選択的夫婦別姓など)」を特に積極的に取り組んでほしい社会課題に挙げたと報じていた。しかし実際にはジェンダー平等を強く訴えた野党が伸び悩み、出口調査によれば比例代表で若者世代が最も多く投票した先は、保守勢力である自民党が多く、翌年の第26回参議院議員通常選挙でも若い世代になればなるほど自民党支持が高かった。独身者研究家の荒川和久は、世代論は「おっさん」の決めた枠組みに過ぎないとして、世代論やポリティカル・コレクトネスの全体主義性を指摘している。
その世代論で言えば、ロスジェネがれいわ新選組はともかく日本維新の会を支持する、という世代論からすると一見不可解な動きが見られた。政治学者の中島岳志は維新に批判的な立場から、「小泉政権を支持したフリーター、みたいな図式に似ていて、維新の政策とかではなく、『既得権益からむしり取ってやる』というような主張にすごく心をつかまれている人がたくさんいた」「維新はその『異議申し立て』の先を、労働組合や公務員などに定めた」と考察している。
また10年前の3.11以来、デモ運動の盛り上がりを背景に「デモがない社会からデモがある社会に変わった」として、選挙で負けてもリベラル派が「じつは勝っている」という論法が存在していた。これに対して「早稲田文学」編集主幹の市川真人は「『みんなが選挙に行っていれば勝ったのだ』とかもそうです。しかし実際には、いま投票率が九割になったら、リベラルはさらに負けるでしょう。『支持政党なし』とか『態度未定』を都合よく解釈することが、最大の問題なんです。実際はそのほとんどは、リベラルに対しても保守に対して以上にうんざりしているか、あるいは、たんに政治に興味がない保守層ですよ。しかし、リベラルはそのことに気づかないし、気づきたくない。なぜなら、彼らは自分たちが『正しい』と思っていて、『正しさ』が存在基盤になっている。それが『正しさ』である以上、いつか現実に証明されると信じているから」と警告している。
自由民主党 公明党 立憲民主党 日本維新の会 国民民主党 日本共産党 社会民主党 無所属
本選挙で当選した議員に係る補欠選挙は、解散が行われなければ、2025年(令和7年)3月15日までに選挙を行う事由が生じた場合が最終期限であり、同年4月の補欠選挙が最後となる。
自由民主党 公明党 立憲民主党 日本維新の会 国民民主党 日本共産党 れいわ新選組
2019年の参院選では党名の略称を旧・立憲民主党は「りっけん」、旧・国民民主党は「民主党」としていたが、今回の衆院選では立憲民主党と国民民主党が同じ「民主党」を略称として届け出ていた。そのため、各地の選挙管理委員会に「投票用紙に『民主党』と書いた場合はどうなるのか」との問い合わせが寄せられるなど、紛らわしい同一略称として有権者から戸惑いの声が上がった。総務省選挙課によると、投票用紙に「民主党」と書く場合はそれぞれの得票割合に応じて票を割り振る案分票となるという。「民主党」と書いた投票用紙は34の都道府県で、197万3362票あった。この件について、立憲民主党幹事長の福山哲郎はNHKや同党の神奈川県連に対して、「事務的なミスがあった」とコメントし、2022年開催予定の第26回参議院議員通常選挙において「りっけん」を略称として届け出る予定であることを明らかにした。
また、島根1区では読み仮名がいずれも「かめいあきこ」となる2人(亀井亜紀子と亀井彰子)が立候補したため、案分票が発生するとみられるが、島根県選挙管理委員会は候補者の票の判別方法について「他の候補への公正さを欠くためコメントはできない」とした。
10月30日、北海道函館市港町の期日前投票所で、母親の入場券を持った12歳の少年に投票用紙が交付され投票される事態が発生。
10月31日、北海道札幌市東区の衆院選の投票所で80代女性に小選挙区の投票を2回させるミスが発生。
10月31日、宮城県仙台市の開票所では、ミスやトラブルが相次ぎ、開票作業が大幅に遅れ、小選挙区の開票が確定したのは、翌1日の午前7時半となった。仙台市の開票所では、同日の午後9時40分から開票作業が始まるも、青葉区や太白区、泉区で票の数を数えるのに手間取り、開票作業が大幅に遅れる。泉区の開票所では、小選挙区の投票用紙の数が投票者数より4枚少なく、「持ち帰り票」と判断、それを集計システムに誤まって入力したことで混乱が生じ、翌日の午前3時40分にようやく票が確定。仙台市は、開票作業の時間短縮のため、投票用紙に記された候補者名などを自動で読み取る「読み取り分類機」を導入したが、太白区の開票所では、読み取り分類機を使用して、最高裁裁判官の国民審査の投票用紙を分類したが、一度、分類機にかけた票を誤まって再度分類機に掛けたことで、数え直しを余儀なくされる。一連のトラブルで小選挙区の開票が確定したのは、午前7時半。最高裁裁判官の国民審査の開票が確定したのは、最も遅い太白区で、午前11時2分と大幅にずれ込んだ。
10月31日、栃木県内の各地の開票所では、集計ミスのトラブルなどが連発し、目標としていた確定時刻より大幅に遅れるケースが相次いだ。宇都宮市第1開票所では、比例代表の確定予定時刻だった1日午前1時5分を過ぎても開票作業が続き、予定から2時間以上遅れの同3時10分に確定した。同市選挙管理委員会によると、確定間近になって集計上のミスが発覚。原因の特定と立会人への説明に時間を要した。下野市第2開票所では集計機械の紙詰まりや立会人の作業の慎重さから、小選挙区は1時間近く、比例代表は2時間遅れた。小山市の比例は目標を1時間余り過ぎて午前0時35分までずれ込んだ。新型コロナウイルス感染対策として職員数を前回比で2割削減したことと、疑問票の処理に手間取ったという。野木町でも念入りに点検し、比例が1時間57分遅れ。壬生町では立会人6人が全員初めてで確認作業に時間がかかり、小選挙区、比例とも1時間近く遅れた。一方、宇都宮市選管は1日、第2開票所で総投票者数より投票用紙が17枚多かったと明らかにした。立会人らに説明し、投票総数として集計した。市選管は「珍しいケース。原因の特定は難しい」と説明。県選管はこの影響で栃木4区・栃木2区の確定時間が午前3時51分になったとしている。
第49回衆議院議員総選挙の不在者投票(選挙人名簿のある市町村の外にいる有権者が投票用紙を請求し別の市町村選管を通して各自治体に郵送する制度)では福島県(県内119人)、青森県(青森市内18人)、秋田県(秋田市内13人)、岩手県(盛岡市内9人)、宮城県(仙台市内33人)で投票締め切りまでに不在者投票用紙が到着せず無効となる事態が発生したが、同年10月から土曜配達が廃止されるなど郵便配達事情が変化していることが影響しているとみられ不在者投票制度の改善が必要と指摘されている。
投開票日翌日の11月1日未明、自民党幹事長の甘利明は岸田に対し、自身が小選挙区で落選したことを受け幹事長を辞任する意向を伝えた。これを受けて、岸田は甘利の後任に外務大臣の茂木敏充を起用する方針を固めて、4日の臨時総務会で今回の人事案が正式に了承された。
一方で議席を減らした立憲民主党は翌2日に枝野代表、福山幹事長が今回の責任を取る形で辞任する考えを示した事から、枝野の後任を選ぶ代表選挙を臨時国会の召集日までに行う方向で日程調整した。そして、11月12日の両院議員総会にて枝野の代表辞任が正式に了承されると同時に、後任を決する代表選挙の日程を11月19日告示、30日投開票とすることを正式に決定し、告示日の19日に逢坂誠二、小川淳也、泉健太、西村智奈美の4人(届け出順)が立候補を届け出た。30日の投開票の結果、泉が決選投票において逢坂を破り第2代代表に選任された。その一方で議席、得票共に減らした日本共産党の志位委員長は「責任はないと考える」「党の対応でも(野党)共闘でも政策でも、方針そのものは正確だったと確信を持っている」などと述べ引責辞任はしない意向を示した。
党規により「大型選挙から45日以内に臨時党大会で代表選を実施するかどうか決定する」と規定されている日本維新の会では、議席を大幅に増やしたものの、代表の松井が2020年11月に大阪都構想の住民投票否決による引責で既に市長任期満了(2023年4月)時での政界引退を表明していることから、党代表職についても2022年1月の任期満了に伴い退任する意向を示した。しかし、11月27日の臨時党大会での投票の結果、代表選を実施しないことが決まったため、松井が続投することとなった。
一方、国民民主党は、立憲・共産を中心とする野党共闘の枠組みから脱退することを表明。同じく政府ならびに連立与党に是々非々の立場である日本維新の会と国会運営で連携していく方針である事が明らかとなり、10月9日には国民と維新の両党による幹事長・国対委員長会談を行い、法案の共同提案や改憲議論の促進で連携していく方針を確認した。
今回の総選挙は10月31日に投開票が行われ、初当選した新人議員97人、元職24人に対し、在職1日にもかかわらず「文書通信交通滞在費(文通費)」1か月分満額の100万円(合計1億2100万円)が支給された。日本維新の会を始めとした大部分の政党はこれを問題視。全額返還させ被災地に寄付することや特例法を成立させ国庫に返納すべきなど各党間で協議が進められた。与野党間では文通費を日割り支給にする法案について、次期国会に提出する方針を示した。 同様に3〜4往復分の航空券に引き換えるクーポンの支給、公設秘書の給与についても問題視されている。
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