『梅切らぬバカ』(うめきらぬバカ)は、2021年11月12日に公開された日本映画。監督・脚本は和島香太郎。加賀まりこと塚地武雅が親子役を演じ、加賀にとっては『濡れた逢びき』以来54年ぶりの映画主演作となる。文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020」長編映画の実地研修完成作品および第24回上海国際映画祭 GALA部門正式出品。
老いた母親と自閉症を抱えるの息子の日常と、彼らと関わる周囲の人たちも交えた人間模様を描く。タイトルは「樹木にはそれぞれ特徴や性格があり、それらに合わせて世話をしないとうまく育たない」という戒めから転じて「人間の教育においても自由に枝を伸ばしてあげることが必要な場合と手をかけて育ててあげることが必要な場合がある」という意味のことわざ「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」に由来する。
老婦人の山田珠子は、重度の自閉症を抱える息子の忠男と二人で暮らしていた。隣家に越して来る里村一家。奥まった里村家に続く路地には、山田家の梅の枝が大きく張り出し、邪魔になっていた。梅の枝を切ろうとすると、忠男がパニックを起こすことを知る里村一家。
高齢の珠子は、49歳になった忠男の将来を案じ、近所のグループホームの世話になることを決めて別居した。知的障害者ばかりが暮らすホームは、町の人々から煙たがられ、郊外への移転を求められていた。夜分にホームを抜け出し、母の家に帰ろうと無心に歩き出す忠男。
里村家の息子で小学生の草太は、塾帰りの夜道で顔見知りの忠男と出会った。忠男を誘い、遊び始める草太。乗馬クラブの可愛いポニーを連れ出し、引いて歩いていると、厩務員に見つかり、忠男だけが捕まってしまった。
忠男の騒ぎのせいで、グループホームの移転問題が加速した。責任を感じ、自分だけ逃げたことを両親に打ち明ける草太。草太の父の茂は親としての責任を感じ、山田家に謝罪に赴いた。そこには、息子の草太と妻の英子も来ていた。日ごろ、家のことを全く省みない茂が、謝罪に訪れた姿を見て、夫を、父を、見直す英子と草太。
忠男は実家に戻り、珠子の寂しい一人暮らしも、とりあえず終りを告げた。
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