『サージェント・ペットサウンズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(Sgt. Petsound's Lonely Hearts Club Band)は、クレイトン・カウンツのリミックス・アルバム。ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』とザ・ビーチ・ボーイズのアルバム『ペット・サウンズ』を楽曲ごとにマッシュアップした作品で、パッケージ上では「The Beachles」(ザ・ビーチルズ)という名義が使用されている。
ザ・ビーチ・ボーイズのアルバム『ペット・サウンズ』の発売40周年を迎えた2006年、クレイトン・カウンツが自身のブログ上で『サージェント・ペットサウンズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を公開。本作は、ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』とザ・ビーチ・ボーイズのアルバム『ペット・サウンズ』からボーカルとインストゥルメンタルのトラックを抜き出し、それぞれの収録曲ごとにマッシュアップした作品となっている。
9月8日頃、カウンツはEMIの弁護士から本作の配信に関する停止命令を受ける。カウンツのブログによると、レーベル側は多数の停止通知書を送っていて、その中で「ビーチルズのマッシュアップ作品およびその他のマッシュアップ作品の配信停止」「現時点でのマッシュアップ作品に関する情報(ダウンロードやストリーミングが行なわれた日時、ダウンロード回数およびストリーミング再生数、ダウンロードおよびストリーミング再生した人物のIPアドレス)の提示」を要求されたとのこと。カウンツはマッシュアップ作品の削除を行なったが、IPアドレスの提示を拒否。また、ブログ上で「BOYCOTT EMI / CAPITOL RECORDINGS!」と題した反論を行ない、「Fuck EMI.」と題した新曲の配信を開始。
カウンツは、停止命令を受けて以降も、トラッカーサイト「isoHunt」へのリンクをアルバムのダウンロードを行えるサイトとして提示していた。
『EW.com』のゲイリー・ズースマンは、マッシュアップにあたり楽曲どうしのリズムやキーを揃えようとしていないことを引き合いに、「出来上がった作品は、難解でフリー・ジャズのようなクオリティで、(オリジナルの2作品による音の実験に対する敬意を表しているという点で)啓発的かつ頭痛のするようなものになっている。とにかく、一聴の価値あり」と評した。
『Musictimes.com』のライアン・ブックは、本作について「クレイトン・カウンツは楽曲ごとにマッシュアップするプロジェクトに取り組み、『God Only Knows What I'd Be Within You』のような恐ろしい変異体を生み出した。しかしまじめな話、これは最も挑戦的なアルバムで、それはおそらくカウンツが他のアーティストよりも厳しい制限を自身に設けていたからだろう」と述べている。
『Boing Boing』のコリイ・ドクトロウは、本作について「ザ・ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンド』とビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』をマッシュアップしたノイズ・アルバム」と表現し、「ノイズの大ファンではないが、このアルバムには実に見事な要素がある」と評し、特に好きな曲として10曲目の「Today, Rita」を挙げた。
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