『ああっ女神さまっ』(ああっめがみさまっ)は、藤島康介による漫画。『月刊アフタヌーン』(講談社)において、1988年11月号(同年9月24日発売)から2014年6月号(同年4月25日発売)まで連載された。全308話。
OVAやテレビアニメ、劇場版としてたびたびアニメ化されている。2009年には第33回講談社漫画賞一般部門を受賞した。2020年6月時点で累計2500万部を突破している。
「日常世界に非日常的な存在が現れて活動することにより発生する騒動を描いたラブコメディ」作品で、着想点自体には際立った新奇性は無いものの、日常と北欧神話をベースとした神々や魔族(ただしその存在はどちらかというと、一般に言う所の精霊により近い一方で、人間臭い存在でもあるノルンなど)の絡み方に特筆すべき描写が多く、また徹底したドタバタかと思えば淡い青春物語であったり、SFらしい要素を含んだり、モータースポーツ漫画でもあったりといった多様性も見せる。
原作は長期連載漫画であるが、物語の世界は、時間が少しずつ物語の展開に沿って進んでおり、『サザエさん』のように新学期や季節イベントはあるが時間が1年単位でループしているわけでは無い(大学3年生の時に2年間だけループしていた)。本項の人物説明では、主に「現在(最新巻)の状態」に拠っており、連載初期や登場初期と、やや立場や性格付けが異なる。また、作中世界ではパソコンが主にMS-DOSで動いていたり携帯電話が特に見られなかったり、二足歩行ロボットがまだ開発されていなかったりと、原作開始当初の時代の状況に拠っている。TVアニメ版の作中世界は、ベルダンディーの学生証の生年月日が1985年1月1日であること、二千円札・新500円硬貨(平成13年)・携帯電話が存在するなど、アニメ作品の本放送の時期(2005年前後)となっている(ただし螢一の先輩たちがCDプレイヤーを持っておらず、マーラーが封じられていたCDを「中古レコード屋」に売ったりしている)。また、劇場版に関しては劇中のカレンダーから劇場公開から半年後にあたる2001年前後となっている。
某県の猫実(ねこみ)市にある猫実工業大学とその周辺が舞台。物語は主人公で(連載開始当初)猫実工大生の森里螢一(もりさとけいいち)が「お助け女神事務所」に間違い電話をかけてしまったことから始まる(螢一は、自分が電話番号を間違えたと思い込んでいるが、実際は螢一を救済するために天上界のシステム「ユグドラシル」の機能が働いたことによる必然である)。
間違い電話に気付いて慌てて電話を切ろうとした螢一だったが、電話先の相手は「今からそちらに伺います」と言い残し、次の瞬間に鏡の中からベルダンディーと名乗る容姿端麗の女神が現れた。いきなりのことだったので螢一は驚きを隠せなかった。女神のベルダンディーは慌てふためく螢一に、如何なるスケールの願いであっても「たった一つだけ」叶えると言う。螢一は、それまで女性と縁が無かったこととベルダンディーの美しさに圧倒され、つい、「君のような女神に、ずっとそばにいてほしい」と言ってしまい、ベルダンディーと共に日常を過ごすことになる。しかし、ベルダンディーと学生寮(男子寮)の同室で暮らすことは学生寮の寮則違反にあたるとされ、2人は寮を追い出されてしまう。
この「たった一つのお願い」は大富豪となることも、世界の滅亡を招くことも正に「お望み次第」だったわけだが、「君のような女神に、ずっとそばにいてほしい」という螢一の願い事は叶えられ、2人(?)は様々な幸運(強制力という神秘的な力)に助けられて、一つ屋根の下に一緒に暮らすこととなる。さらにこの同居生活に干渉するべくベルダンディーの姉で薬マニアのウルドと妹でメカフェチのスクルドも押しかけ、螢一は益々「非常識な日常」を送ることとなった。
ストーリーは、螢一とベルダンディーの交際話はもちろんのこと、螢一が所属する自動車部での出来事や、猫実工大の人々の話、女神の活動範囲の侵食(シェア争い)および封じ込めにやってきた悪魔マーラーとの対決(や交流?とその結果起こる破壊と再生)など、様々なストーリーが同時進行の形で展開していく。
「猫実」という地名は千葉県浦安市に猫実(ねこざね)という名で実在し、千葉県習志野市には実籾(みもみ)という地名が実在している。また、習志野市には、千葉工業大学の津田沼校地、日本大学生産工学部の津田沼キャンパスなどが所在している。
原作コミックスにて「猫実工業大学」として描かれているキャンパスは、「早稲田大学理工学部」ならびに周辺の風景が描かれている(コンクリートの筋交いをデザインに用いている「51号館」の他、同大学同学部校舎に隣接している「新宿区立スポーツセンター」の姿も見られる)。アニメ版では「中央大学多摩キャンパス」を彷彿とさせるシーンが登場しているほか、港や海浜公園などに山下公園や横浜マリンタワー・横浜ベイブリッジなど横浜市の風景が散見される。劇場版では大学に通学する際に西武新2000系に似た車両に乗車し鉄橋を渡っているシーンが登場しているが、実際の西武鉄道の主要路線には大きな鉄橋はない。また、TVアニメ版でも西武鉄道の配色に似た黄色の車両が登場している。
原作コミックス版にて「猫実臨海水族館」として描かれている建物は、学校法人桐蔭学園の「鵜川メモリアルホール」と呼ばれる多目的ホールの外観を模している。
TVアニメ版 第2期(『ああっ女神さまっそれぞれの翼』)の第22話で描かれている高校の校舎は北海道釧路北陽高等学校校舎である。
特記のない限り講談社からの発行。
月刊アフタヌーンのカラーページを全てカラーで、A5判サイズで再編集。通常版とフィギュア付属の限定版がある。
『ああっ就活の女神さまっ』のタイトルで、『月刊アフタヌーン』(講談社)において2019年から2021年12月号まで連載。全34話。ベルダンディーが就職活動に挑戦する様子を描く。
これまで、何度か形を変えてアニメ化されているが、メインキャラクターはOVA版以降ほとんど変更されることなく、一貫して同じ声優が担当し続けている。ただし舞台設定はTVシリーズ開始に伴い、一旦リセットされている。アニメ作品の路線や作風はOVA発売時、またはTVアニメの本放送時の原作の作風に沿っている。
1993年から1994年にかけて全5巻が制作・発売された。第5話は原作の最終回として想定したストーリーと原作者本人が語っている。また、アメリカで発売されたレーザーディスク版は両面で完全英語版と完全日本語版の全く同じものが収録されている(ただし、日本語版のオープニングとエンディングのスタッフロールなどのキャプションは日本版と異なる)。
1998年4月6日 - 1999年3月29日に、WOWOWのアニメコンプレックス枠内で全48話が放送された。2007年12月7日からTOKYO MXにてセレクション放送(地上波初放送)。キッズステーションでも放送されている。
この作品はコミックに掲載されていた外伝的なもので、ウルド、スクルド、岩ちゃんをメインに据えて描かれているため、ベルダンディーは脇役に回ることが多く、螢一は声のみの登場である。また、2クール目(第25話)からはマーラーも登場する。ナレーションは『奥さまは魔女』で有名な中村正である。
第1-13話ではベルダンディー役の井上喜久子が産休を取っており、岡村明美が代役を務めた。また、放送当時はまだセルアニメが多かったことに対し、同作では全編がデジタルアニメで制作されているのも特徴である。
OVAまでのスタッフは劇場版の制作に関わっていたためアニメの制作会社が同作のみ異なり路線も違う異色作となっている。
2000年10月21日、松竹洋画系で劇場公開された。興行収入は1.5億円。
同時上映:『エクスドライバー Clip』
サブタイトルは「ああっ○○○○っ(?)」で統一されており、TV本放送時は「ああっ」が付されていなかった第1話についても「ああっ」が付いたものに変更されている。下記の各話リストはDVDのサブタイトルに準じている。
講談社限定版企画として、2011年2月23日発売のコミックス第42巻限定版および、2011年9月22日発売のコミックス第43巻限定版、2013年8月23日発売コミックス第46巻限定版同梱のOVA作品。原作にない完全オリジナルストーリー。
Owlapps.net - since 2012 - Les chouettes applications du hibou