天理市(てんりし)は、奈良県北中部に位置する市。中心部に天理教関連の施設が集中していることなどから、宗教都市として知られている。名称は天理教に由来する。
奈良県北中部に位置する。市域を東西に西名阪自動車道、名阪国道が貫き、南北軸と交わる交通の要衝となっている。
奈良県を参照。
昭和60年代の人口統計(1986年9月時点)で天理市の人口は約65,000人であったが、4分の1程度の天理市民が天理教の宗教関係者とみられている。天理教の信者が多い町でその他の住民人口に数千人の天理教の修養科生などが含まれると考えられる。
市街地のほぼ半分を天理教関係の宗教用非課税施設が占めることから、固定資産税などの減収の問題があり、これを補う形で1967年以来教団から天理市への多額の寄付が続けられている。寄付の金額は、1985年の水準でみると、天理市の総地方税収に近い額となっており、一般寄付ではなく、使途制限つきの「指定寄付」にあたる形で、毎年の予算編成の際に天理市と教団の協議の上で、その年度の都市計画事業などの内容によって寄付額が決められている。また、10年ごとに開催される天理教祖祭に近い年度では、寄付金が急激に増える傾向がある。
このように、天理市は教団との関係なくして自治体として維持できず、天理市は教団と一体化した天理市の発展を強調しているが、天理教本部では市長選挙、市議会議員選挙で候補者を立てない方針をとっており、教団と自治体が一体化し、教団が行政の一部を担って信者を住民として統治するような事態には至っていない。
天理教の2代真柱・中山正善が、1960年(昭和35年)に名誉市民となっている。
由来は天理教に由来する。21世紀の日本で、市名に宗教名が冠されている唯一の市である。同教の本部が市中心部の丹波市町にあったこと、同教が市制施行時に一帯に普及していたことによる。県に対する合併申請書類の一つ、市名選定の理由書は、次のように述べている。
天理市は誕生時から自らを「宗教文化都市」と位置付け、市民憲章や世界連邦都市宣言などでもその性格を強調している。法学者の石村耕治は、この点は憲法論的に疑問がないとは言えないと指摘している。1977年に奈良県・天理市・天理商工会が作成した「天理市広域商業判断報告書」では、天理市はバチカンやメッカのような日本唯一の宗教都市であるとし、教団と一体化した天理市の発展を強調している。
かつて、天理市民ではない天理教信徒が天理市の市名を、山辺郡をそのまま市名にした「山辺市」に変更するよう求めて天理市長を訴えたが、この訴えは却下された。
市内中心地には、宗教法人天理教教会本部、宗教法人天理教、財団法人天理教維持財団、天理大学、天理医療大学(天理大学に併合)、天理高等学校・中学校・小学校・幼稚園などの学校法人、天理教校、天理大学附属天理図書館(国宝や重要文化財を収蔵)、天理大学附属天理参考館(国宝や重要文化財を収蔵)、特別養護老人ホームやすらぎ園等の教団関連施設があり、市中心部のほぼ半分を占有し、1995年時点では拡大を続けている。施設の中には市民に開放されているものがあるが、ほとんどは信徒向けである。現在の建物は、信者宿泊施設の「詰所」をはじめ、天理よろづ相談所病院など福祉と医療、学校教育、信者の宿泊、教務などの諸施設として使用されている。2014年(平成26年)時点で、26棟が完成している。
天理教の施設群は「おやさとやかた」と呼ばれ、町の中心部に建物群を作るプランは、教祖の中山みきの言葉がまずあり、それを受けた2代目真柱・中山正善が決意し 、同輩の建築家・内田祥三と奥村音造とともに教会本部を中心に、約870m四方に68棟を建て巡らすという広大な「おやさとやかた構想」によって建設された。1954年(昭和29年)から着工され、現在も構想は継続しており、建設中である。
このように、天理市内で教団が多くの土地を占有することから、公共事業には天理教との協力が欠かせず、市建設部と教会本部で構成される「親里委員会」が設置され、協議を行って進められている。天理教幹部と市長・助役・総務部長の非公式会合も、毎月持たれているようであり、法学者の石村耕治は「天理市の都市計画は、市発足当初から今日まで一貫して教団の手中にあったといっても過言ではない」と指摘している。
その他の建造物に、天理教の教祖百年祭を記念し建設された親里競技場があり、野球場、フィールドホッケー場、ラグビー場は地元の天理高等学校野球部、天理大学ラグビー部が使用している他に、各種大会や全国大会が開催されている。
こどもおぢばがえりと称する天理教の祭りが、毎年開催されている。
市の中心部には天理教関連の施設が多く、宗教都市の様相を呈しているが、市全体的には農業地帯である。 特にいちごの栽培が盛んである。
人口増に対応した商業活動も活発であり、大型ショッピングセンターも設置された。
また、「天理ラーメン」という、ひとつのジャンルとなった、トンコツ、鶏ガラをベースにニンニク、豆板醤で味付けされ、具には炒めた白菜、豚肉を使用した彩華ラーメンや、天理スタミナラーメンが有名である。
市北部にはシャープの総合開発センターがあり、研究所およびLSI・液晶ディスプレイの工場が置かれている。
大阪から電車、車で1時間程度の距離であることから、ベッドタウンとしての役割を担っており、特に近鉄天理線沿いを中心に新興住宅地が現在も拡大し続けている。
奈良県農業協同組合(JAならけん)
上記の各支店・出張所、およびイオンタウン天理内にJAバンクATMが設置されている。
(※2014年6月現在)
日本郵便株式会社
ゆうちょ銀行
その他簡易郵便局を除く各郵便局にATMが設置されており、天理・天理親里館の各郵便局ではホリデーサービスを実施。
天理市内の郵便番号は「632-00xx」(天理郵便局の集配担当)となっている。ただし、長滝町は「632-0123」、福住町は「632-0122」、山田町は「632-0121」(以上3地区は針ケ別所郵便局(奈良市針ケ別所町)の集配担当)となっている。
1990年代後半 - 2000年代前半に掛けては増減が激しい時期があったが、近年は微減傾向である。
小学校
中学校
高等学校
大学
ホール・集会場
公民館
図書館
体育施設
奈良市、桜井市、大和郡山市、磯城郡田原本町、三宅町、川西町
このほか、当市北部の大和郡山市に近い地域では大和郡山市コミュニティバス「元気治道号」の伊豆七条町・伊豆七条町セレモニー琴前・新庄町各停留所も利用可能となっており、近鉄郡山駅・JR郡山駅へアクセスできる。
また、当市南部の桜井市に近い地域では桜井市コミュニティバス「西北部循環線」の大豆越停留所が利用可能となっており、桜井駅へアクセスできる。
文化財や史跡が散在。
天理中学校・天理高等学校・天理大学出身。2014年10月10日 天理市が委嘱。
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