サンケイスポーツは、産業経済新聞社が発行するスポーツ新聞。略称は「サンスポ」。産経新聞東京本社が関東版・東北版、産経新聞大阪本社が近畿版、東海・北陸版、中国・四国版を発行している。
産経新聞東京本社が発行する関東版・東北版のうち、東北版は東北支局で編集し、読売新聞東京本社仙台工場で印刷している。2015年3月までは産経新聞系列の仙台新聞印刷社で印刷していた。
会社では、サンスポが得手とする競技としてプロ野球・ラグビー・競馬を挙げており、2019年のワールドカップ以降、リーグワン(旧・トップリーグ)を大きく取り上げるようになった。また、同じフジサンケイグループ(FCG)のフジテレビがワールドカップの恒久誘致を実現したバレーボールも得意分野であり、V.LEAGUEやFCGが主催に入っている春高バレーも大きく報じられる。
ただ、フジテレビ・ニッポン放送が放映権を持っている競技が必ずしもサンスポの紙面で大きく取り上げられるとは限らず、ことに野球・ラグビー・バレーボール以外では競合他紙に水を開けられているケースが多い。具体的には、フジテレビが長年スポンサードしてきたF1は、競合紙東京中日スポーツの報道が支持されている関係でサンケイスポーツでの扱いは小さい。
なお、日刊スポーツ・デイリースポーツ・東京スポーツが大きく取り上げているプロレスもサンスポでの扱いはかなり小さい。これについては、フジテレビが全日本女子プロレス (全女) を放送していた1990年代以前に、全女がデイリースポーツの支援を受けていたという事情もある。
題字は1987年(昭和62年)にカラー化される以前は横書きのブロック体(亀倉雄策作)だったが、カラー化以後はフジサンケイグループ共通の丸文字体(馬場雄二作。赤地白抜き)が使われている。
2000年頃までは1面右端の見出し横に縦で「サンケイスポーツ」と書かれていた。後に他のスポーツ紙もこの縦組み題字を使っていたため、そのきっかけともいえた。現在は1面右上に横組みで「サンスポ」、または左下側にやや小さめに日付と「サンケイスポーツ」の文字を入れている。祝日のときは日付の部分にピンクの楕円型の座布団が点く。
大阪本社版は1面題字が現在のロゴに変更されて以降も、欄外の題字は1991年(平成3年)4月までブロック体のロゴを使用していた。なお、大阪本社版の欄外題字は通常面は「サンケイスポーツ」と表記されるが、中央競馬面は「サンスポZBAT!競馬」、公営競技面では「サンスポレース」と表記される。大阪版は欄外の題字は左右寄りに「サンケイスポーツ」と表記されている(東京版は中央に表記される)。
サンケイスポーツは、印刷拠点が他のスポーツ紙と比べて少なめなことから締め切り時間が早く、早版(6版)配布エリア(南関東の一部・北関東・甲信越・静岡・仙台近郊以外の東北地方)において、プロ野球のナイターが21時台前半以降も試合が続いた場合は途中経過しか掲載されないことが多く、結果の多くは翌々日付の紙面に掲載される。また早版では、勝敗表や個人成績などのデータが一昨日時点のものとなっている。
関東版では、東京都を本拠地とし、FCGとの資本関係もあるプロ野球の東京ヤクルトスワローズの記事が比較的充実している。ヤクルトスワローズの以前のオーナー企業は産業経済新聞社で、当時は球団名も「サンケイアトムズ」であった。現在はフジ・メディア・ホールディングスが資本参加し、2014年には本誌増刊扱いで東京ヤクルトスワローズに特化したタブロイド紙『月刊丸ごとスワローズ』を創刊した。
一方で、同じく東京都を保護地域とし、競合のスポーツ報知が大きく取り上げる読売ジャイアンツ(巨人軍)にも太いパイプを持っており、巨人関連のトピックを一面に掲載することも普通にみられる。
2016年からは、本紙特別版扱いで横浜DeNAベイスターズに特化したタブロイド紙『BAY☆スタ BAYSTARS BALLPARK STYLE』を不定期(年4~5回程度)で発刊している関係で、ベイスターズ関連のトピックが一面掲載されることも多い。
なお東京本社版は、本来は紙版の宅配対象地域でない沖縄県でも即売されており、最終版を羽田空港発の日本航空便で那覇空港・宮古空港・新石垣空港へ空輸し、沖縄ファミリーマート・ローソン沖縄の主要店舗などで当日昼以降に販売する。
東北版新設以前から東北のスポーツ情報は掲載されていたが、東北版が新設された背景としては、プロ野球楽天イーグルスが宮城県仙台市宮城野区の楽天モバイルパーク宮城を本拠地に定め、東北エリアにおけるスポーツの話題が増えたためと思われる。サンスポはイーグルスのオフィシャルスポンサーも務めている。またベガルタ仙台のスポンサーも務めるがランク下位の一般スポンサーである(ランク上位の「ゴールドスポンサー」であるスポーツ紙は日刊スポーツ)。
東北版は、通常は中面の東北支局版紙面「サンスポ東北」を除くと東京本社版とほぼ同内容であるが、宮城県内と福島県北部発売分(遅版→7版仙)では、1面をイーグルスやベガルタ仙台関連の記事に差し替えるケースが多くみられる(楽天が好ゲームを展開した翌日や、ベガルタのホームゲームが開催される当日、およびベガルタが試合に勝利した翌日など)。なお、東北版の第2面と芸能面の奇数面(左側)は、最終版(東京7版・大阪12版)と異なり、現在もモノクロ面である(これは、東海・北陸版、中国・四国版も同様である)。
近畿版では創刊当初から、阪神タイガースについて積極的に報道している。またデイリースポーツと並んで飛ばし記事が多いことも特徴的である(特に見出しや記事に関西弁を使用することが特徴)。そのほか地元のオリックス・バファローズ、ガンバ大阪・セレッソ大阪の報道にも力を入れている。
東海・北陸版の紙面は、基本的に近畿版と同一である。愛知県では即売のみの対応で売場も限定されている。名古屋市のJR名古屋駅・名鉄名古屋駅・近鉄名古屋駅・金山駅などの駅売店や、中央競馬開催日に限りウインズ名古屋および豊明市の中京競馬場で即売が行われる。なお、産経新聞印刷大淀工場からの出荷時間の都合で早版(11版)配布地域となっている。
三重県では中日新聞、福井県では中日グループ(北陸中日新聞・日刊県民福井)の販売店を通じて宅配される(一部地域を除く)。
岐阜県ではJR岐阜駅での即売のみだったが、2021年2月頃に納品が取り止められ紙版は入手できなくなった。
中国・四国版の紙面は、近畿版のテレビ・ラジオと公営競技面を中国・四国のものに差し替えている。中国・四国版の1面は近畿版と同一で、広島県内においてもライバル紙の日刊スポーツやスポーツニッポン、デイリースポーツのように広島東洋カープ関連(見出しや記事に広島弁を使用することが売り)に差し替えることはほとんど無い。
産業経済新聞社では2009年(平成21年)10月から『産経新聞 九州・山口特別版』の発行を始めたが、サンケイスポーツ・夕刊フジは山口県・九州各県には宅配されず、子会社の産経デジタルが運営する『産経電子版』による月極のみの販売となる。産経電子版では、産経新聞九州・山口特別版の紙版と、産経新聞および本紙または夕刊フジ電子版とのセット売りを行っていたが、2023年8月の九州・山口特別版の紙版の購読料が3,900円に値上げされたため廃止され、今後は個別に購読申し込みが必要になる。大阪本社の最終版が毎日午前5時に更新される代わりに、テレビ・ラジオ・公営競技の差し替えは原則行わない。
福岡県では即売も行われているが、愛知県と同様に売場が限定されている。大阪本社最終版を当日朝にJR山陽新幹線で輸送し、福岡市の博多駅や福岡市地下鉄天神駅、北九州市の小倉駅など一部ターミナルにおいて販売している。これは、福岡県内に小倉競馬場やエクセル博多などの中央競馬関連の施設があるための配慮でもある。
本紙を母体とする特別版扱いで、予想専門紙『競馬エイト』と、競馬雑誌の週刊Gallopを発刊しているほど競馬に熱心である。その一方で本紙上の競馬面も充実させる方針を取っており、競馬エイトが全国統一版化した後の2014年(平成26年)3月最終週からそれまで東西別々だった競馬面を統合する全面リニューアルを行った。
FCGのフジテレビ(『競馬中継』→『チャレンジ・ザ・競馬』→『スーパー競馬』→『みんなのケイバ』→『みんなのKEIBA』)とニッポン放送(『競馬ニッポン』→『競馬ショウアップ』)で中央競馬中継を行っている関係で中央競馬関連の記事が充実し、GI競走の予想を1面トップに取り上げることも多い(後述)。
大阪本社版では、2022年10月1日号(中京競馬場・中山競馬場開催)から競馬開催日の中央競馬予想記事を分冊化することになった。このように競馬予想欄を分冊化した例は、日刊スポーツ(全国)、中日スポーツ(東海地方・北陸地方・和歌山県・滋賀県・京都府一部)・東京中日スポーツ(関東地方、静岡県東部・伊豆)などがある。
しかし、サンスポは競馬施行者の日本中央競馬会(JRA)としばしばトラブルを起こしている。有名なのが、1992年に起こった「サンエイサンキュー事件」である。
ちなみに競馬エイトは本紙を母体としている関係で、競馬専門紙の業界団体である日本競馬新聞協会から締め出されており、競馬場やウィンズなどにある場立ちの新聞売場で他の競馬専門紙と一緒に売ることは出来ず、競馬エイト専用の売場を設けて売らなければならない。
その一方で、JRAに所属する女性騎手のうち、大手芸能事務所(ホリプロ)とマネジメント契約をしている藤田菜七子をデビュー直後から大きく取り上げてきた。2022年デビューの今村聖奈も同年夏にホリプロとマネジメント契約を交わした後は、扱いが徐々に大きくなってきている。だが、アスリート専門の事務所スポーツビズと契約する古川奈穂と事務所に所属していない永島まなみ・河原田菜々・小林美駒の3人は扱いが小さい。
サンケイスポーツ新聞社という別会社だった時代の名残で、産経新聞社(一般紙の産経新聞に由来する「産経賞」の冠)とは別に「サンケイスポーツ賞」という冠の付く寄贈賞を提供している。現在は東京競馬場で行われるフローラステークスと、阪神競馬場の阪神牝馬ステークスの2本のGII競走が該当する。
サンケイスポーツでは、僚紙の競馬エイトや夕刊フジなどと共に古くから地上波民放テレビ・ラジオ局で放送される競馬中継番組に多くのスタッフを出演させてきた。東日本では同じフジサンケイグループ内の放送局への派遣が主であるが、西日本では過去の様々な事情から新聞系列の異なるラジオNIKKEIに現役・OB問わず多くのスタッフを送り込んでいる。
これは、西日本での競馬中継が本格的に始まった1960年代後半に専門紙大手の競馬ブックが地上波テレビ・ラジオの中継の多くを押さえたことによる。当時はエイトがまだ創刊しておらず、関西で競馬中継を積極的に取り組もうとしていたカンテレ、毎日放送(現・MBSラジオ)、近畿放送(現・KBS京都)のいずれも、競馬ブックの記者を受け入れたのが理由である。
このため同じ産経新聞グループのラジオ大阪で放送されていた『OBCサンデー競馬』(現・『ドラマティック競馬』)に解説者を派遣したものの、1982年、文化放送との企画ネット番組『決定!全日本歌謡選抜』の絡みで競馬中継が打ち切られた。
当時、東海以西の西日本で他に競馬中継を行っていたのはラジオたんぱ第2放送(『中央競馬実況中継』)しかなく、サンケイスポーツ新聞社大阪本社は他の在阪スポーツ紙や競馬ブックも含めた関西地区発行の競馬専門紙などに混じる形で、ラジオたんぱへの解説者派遣を行う。その後、企画ネット終了に伴い1994年(平成6年)からラジオ大阪での競馬中継が再開され、2007年にはケイバブックに代わってカンテレ(『DREAM競馬』→『競馬beat』)への解説者派遣をスタートするが、ラジオNIKKEIへの解説者派遣は2023年現在に至るまで継続されている。
中央競馬予想専門紙『競馬エイト』は本紙を母体とする特別版として発行されているが、トラックマンや編集スタッフはサンスポとは別部隊になっており、サンスポの本紙予想記者であってもエイト紙面上の馬柱に予想が載ることはない。ただし、Webサイト『サンスポZBAT!』は産経新聞社が発行する公営競技関連を扱うメディア(サンスポ、エイト、Gallop、夕刊フジ)の合同という形式が取られており、オンラインでの交流はある。
一方で、ラジオNIKKEI第一放送『中央競馬実況中継』の「今日のコラム」には原則としてサンスポ東京所属の記者が出演する。稀にエイト所属の記者が呼ばれることもあるが、この場合も建前上エイトではなくサンスポ所属と紹介され、なおかつ予想も披露しない。
サンスポ電子新聞(サンスポでんししんぶん)は、サンケイスポーツの紙面イメージがスマートフォンで閲覧することができるサービス。2015年2月から産経新聞社の完全子会社でデジタルメディア部門を担当する株式会社産経デジタル(SANKEI DIGITAL Inc.)によりサービスが開始された。
利用者は東京本社版もしくは大阪本社版のどちらかが選択することができる。毎朝5時30分頃更新。ただし、記事の一部と広告に関しては著作権の関係でマスキング処理されている。風俗面は配信されない。金曜日限定でつば九郎記事も配信している。購読料はAndroid端末が1,500円、iOS端末が1,600円。
なお、産経デジタルではスマホ向けとは別に、自社の『産経電子版』でも販売も行っている。こちらは1ヶ月2,200円で、産経新聞とセットの場合3,740円に割り引かれる。また九州と山口県に限り、産経新聞九州・山口特別版の紙版と本紙・産経新聞・夕刊フジ電子版のセット販売が行われていたが、前述の通り2023年7月で紙版とのセットは廃止となった。
2023年4月1日付より、BSフジを除いた在京民放キー系BSの番組表掲載を再開するとともに、ラジオ番組表を1991年3月以来掲載していた京都ラジオ、ラジオ関西、及びFM専門局とNHKの各ラジオ放送の掲載を終了し、大阪のAM/ワイドFMの民放3局にしぼって掲載するようになった。
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