「白雪姫」(しらゆきひめ、低地ドイツ語:Schneewittchen、標準ドイツ語:Schneeweißchen)は、元々はドイツのヘッセン州バート・ヴィルドゥンゲンの民話とされている。
グリム兄弟の『グリム童話』(Kinder- und Hausmärchen)に、KHM53番、エーレンベルク稿(1810年手稿)では43番として収載されている。
話者は、「マリー」ことマリー・ハッセンプフルークである。
タイトルおよび主人公の呼称の日本語訳名は「白雪姫」が一般的である。しかし、Schneewittchenが「雪のように白い子」の意であることから、厳密に正確な日本語訳とするなら「雪白姫(ゆきじろひめ)」が正しい。
ある国に、「白雪姫」と称される容貌に優れた王女がいた。しかし彼女の継母(グリム童話初版本では実母)である王妃は、自分こそが世界で一番美しいと信じていた。彼女が秘蔵する魔法の鏡は、「世界で一番美しいのはだれか」との問いにいつも「それは王妃様です」と答え、王妃は満足な日々を送っていた。
白雪姫が7歳になったある日、王妃が魔法の鏡に「世界で一番美しい女は」と訊ねたところ、「それは白雪姫です」との答えが返ってくる。怒りに燃える王妃は猟師を呼び出すと、「白雪姫を殺し、証拠として彼女の肺臓と肝臓(※作品によっては心臓となっている)を取って帰ってこい」と命じる。しかし猟師は白雪姫を不憫がり、殺さずに森の中に置き去りにする。そして王妃へは証拠の品として、イノシシの肝臓を持ち帰る。王妃はその肝臓を白雪姫のものだと信じ、大喜びで塩茹にして食べる。
森に残された白雪姫は、7人の小人(sieben Zwerge)たちと出会い、生活を共にするようになる。一方、白雪姫を始末して上機嫌の王妃が魔法の鏡に「世界で一番美しいのは?」と尋ねたところ「それは白雪姫です」との答えが返ってくる。白雪姫がまだ生きている事を知った王妃は物売りに化け、小人の留守を狙って腰紐を白雪姫に売りつける。そして腰紐を締めてあげる振りをして彼女を締め上げ、息を絶えさせる。
やがて帰ってきた7人の小人は、事切れている白雪姫に驚き、腰紐を切って息を吹き返させる。一方、王妃が再び世界一の美女を魔法の鏡に尋ねたことにより、白雪姫が生きている事が露見する。王妃は毒を仕込んだ櫛を作り、再度物売りに扮して白雪姫を訪ねる。白雪姫は頭に櫛を突き刺され倒れるが、小人たちに助けられる。
今度こそ白雪姫を始末したと上機嫌の王妃だが、魔法の鏡の答えで白雪姫の生還を悟る。王妃は、毒を仕込んだリンゴを造り、善良なリンゴ売りに扮して白雪姫を訪ねる。白雪姫は疑いもなくリンゴを齧り、息絶える。
やがて帰ってきた小人たちは息絶えた白雪姫を見つける。あらゆる手を尽くすが今度は蘇生する事はなかった。本当に死んでしまったものとして悲しみに暮れ、遺体をガラスの棺に入れる。そこに王子が通りかかり、白雪姫を一目見るなり、死体でもいいからと白雪姫をもらい受ける。
白雪姫の棺をかついでいた家来のひとりが木につまずき、棺が揺れた拍子に白雪姫は喉に詰まっていたリンゴのかけらを吐き出し、息を吹き返す。蘇生した白雪姫に王子は喜び、自分の国に連れ帰って妻として迎える。
白雪姫と王子の結婚披露宴の席。王妃は真っ赤に焼けた鉄の靴を履かされ、死ぬまで踊らされる。
この物語は、グリムの他の物語同様に様々な変遷を経た。
比較民話研究会の岩瀬ひさみの研究では、白雪姫の類話には小人が登場する物が少なく、グリム童話の初版本及び第七版を除けば後述のウィーンのものとされる話と、アイスランドの2話、スイスの1話(後述)のみである。また、エーレンベルク稿やルートヴィヒ・ベヒシュタインの白雪姫、そして「もうひとりのグリム」ことアルベルト・ルートヴィヒ・グリムの白雪姫、ヨハン・カール・アウグスト・ムゼーウスのリヒルディスにも小人が登場する。さらには小人の数を7人と限定するとグリム童話のエーレンベルク稿、初版本、第七版、ウィーンの類話、ベヒシュタインの白雪姫、A・L・グリムの白雪姫しか該当するものがない。
一方、類話には主人公を匿う者として盗賊や山賊が登場する物が多い。たとえば、コルシカ島の類話「アンジウリーナ」では、母親に頼まれてその娘のアンジウリーナを殺すために攫う山賊が登場する(話では結局さらうだけで、殺さずに自分達の隠れ家に連れて行って匿っている)。
なお、類話の中でもかなり古いタイプと見られる話では、娘を見たら必ず殺してしまう十二人の悪い盗賊が登場する。また、Johannes Bolte、Georg Polivka 共著『Anmerkungen Zu den Kinder-und Hausmärchen der Brüder Grimm.(グリム童話註解)』には、自分たちの棲む洞穴にやって来る少女を手当たり次第に殺してしまう七人の小人が登場するウィーンの話とされる類話が収載されている。
さらには、スイスでの類話「まま娘」では、変装した継母に毒が仕掛けられたコルセットで締め上げられて殺されかけた継娘が、匿ってくれている小人の「今度、留守番中に誰かを家に入れたら、フライパンで焼いてしまうぞ」という忠告を守れず、再び変装した継母に毒りんごで殺されかけたために、継娘をフライパンで焼くべきか否かを十二人の小人たちが多数決で決めることにするエピソードがある。
1937年に発表されたディズニー初の長編カラーアニメーション映画である。日本における封切り公開は、第二次世界大戦後の1950年(昭和25年)9月26日。
それぞれ2つの版があり、いずれもハローキティが白雪姫となっている。
「ハローキティのしらゆきひめ」のタイトルで、1993年7月にOVAとして制作。ダニエルが当時まだ正式に登場していなかったものの、王子様はダニエルと似たキャラクターとなっている。内容は、後に制作されたサンリオ世界名作劇場の同名作品よりも原作に近いものとなっている。
サンリオ世界名作映画館のものとは別に「ハローキティの白雪姫」という同名作品があり、ダニエルが王子様であるが、狩人に持ってくるよう命じる証拠品が「心臓」ではなく「血のついた矢」(しかし血のシーンは王女の服に隠れて一切見えない)となっている他、七人の小人ではなく、七人のきこり。毒りんごは半分しか塗らない(毒なんて入ってないと白雪姫に証拠を見せるため)など一部変更されている部分がある。 継母の末路では、王子のキスで目覚めた白雪姫の生存を知って発狂するところを兵士に取り押さえられ、王様の命令により焼かれた鉄の靴を履かせられたが、その描写が映されておらず継母の悲鳴が聞こえるのみで生死も不明。 また、タイトルも名作映画館版では「しらゆきひめ」とひらがな表記であったが、名作劇場版では「白雪姫」と漢字表記となっている。
などとするものもある。
ベヒシュタインの白雪姫では、白雪姫は気高い心の持ち主であるが故、継母である王妃を許し、仕返しも復讐も行わなかったが、一匹の“嫉妬”という名の毒虫に継母は心を苛まれるという結末を迎える。
また、A・L・グリムの白雪姫では、小人の王より九十九に掛けること九十九年の長きにわたって小人の王の城のガラスの棺の中に命なく横たわるものとするという罰を下される。
また、低年齢向けの絵本では継母の最期が描かれないものもある。
白雪姫には欧州各地を中心にアメリカやチリ、インドなどに類話が存在する。ドイツ及びゲルマン語圏よりもゲール語圏(ケルト系)やラテン語圏(ラテン系)に多くの話が残っているのが最大の特徴である。
類話としては以下の話を例として挙げることができる。
以下の書籍の該当頁には、類話の一部が載っているので参照されたい。
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