『学校の怪談』(がっこうのかいだん)は、日本の映画シリーズ。常光徹の小説『学校の怪談』(講談社)及び日本民話の会のコミック『学校の怪談シリーズ』(ポプラ社)が原作だが、内容はほぼオリジナルである。
学校で起こる怪奇現象、いわゆる学校の怪談を題材とした作品。低年齢層を意識したホラー映画ではあるが、薄暗い学校を舞台とした恐怖演出は充分な迫力があり、大人でも楽しめる作りになっている。また、冒険ジュブナイル的な要素を含み、ノスタルジーを感じさせる作風から、年齢問わず人気の作品である。
「学校近辺を舞台とした怪談もの」という共通項はあるが、シリーズ毎の世界観の繋がりはほとんどなく、妖怪たちが出現する原因も様々である。野村宏伸、西田尚美、前田亜季、米澤史織は2つ以上の作品に出演しているが、いずれも役柄は異なる。黒木瞳、津川雅彦、岸田今日子などの大物俳優が脇役で出演しているほか、演出家の野田秀樹が妖怪役で出演している。建て替えが進む古い木造校舎の映像記録としても貴重な存在となっている。夏公開の怪談映画であるが、作品内の季節設定は1・4作目は夏、2作目は春、3作目は秋と統一されていない。
企画はサンダンス・カンパニーの古澤利夫(藤崎貞利)(詳細は『それから』を参照)。東宝から古澤に企画が依頼されたもので、東宝が全額出資した。
全てのシリーズの予告編で流れる「うひひひひひ」の笑い声は声優の田の中勇が担当。
2004年に全4作とメイキングなどの特典映像を収録したDVD5枚と4作品のパンフレットを縮小した冊子4冊を収納したランドセル型のDVD-BOXが発売された。2015年には東宝名作セレクションとして4作品がそれぞれ発売された。
当時小学生の間で広がっていた学校の怪談ブームを受けて製作された。SFXはデジタル合成などの最新技術を最小限に抑え、手作り感のある映像を目指し造られた。
1995年度日本アカデミー賞では脚本賞と美術賞にノミネートされた。
夏休みを翌日に控えた一学期終業式の日の夕方。小学2年生の美夏は絵の具箱を忘れた事に気付き、学校に取りに戻っていた。すると、意志を持ったかのように独りでに跳ねる不思議なサッカーボールを目にする。導かれるようにボールの後を追う美夏は、お化けが出ると子供たちの間で噂になっている旧校舎へと誘われていく。取り壊しが決まっていて立ち入り禁止にもかかわらず、ボールに釣られて中へ入ってしまった美夏は、トイレの中で怪奇現象に襲われ姿を消してしまう。
帰りが遅い美夏を心配した、5年生で姉の亜樹は、一人学校を訪れ、吸い寄せられるように旧校舎へ探しに行く。すると、イタズラのために人体骨格模型を運び出そうと忍び込んでいた同級生の研輔と将太に遭遇する。4年生で双子の兄の均、6年生で少し大人びた雰囲気の香織とも合流し人手が増えるも、転校してきたばかりでクラスメイトと馴染めていなかった亜樹は、研輔たちと口論となり単独で妹探しをする事に。
亜樹と別れ旧校舎から立ち去ろうとする研輔たちだったが、入って来た扉が開かなくなっており、他の方法を試すも脱出する事ができない。やがて、自分たちが旧校舎に閉じ込めらている事に気付くのだった。そして5人の前に次々と怪奇現象が襲いかかっていく。
前作と同じスタッフにより製作された。
前作同様手作り感のある映像を目指している一方で、カナダ・エイリアス社のCG作成ソフト「パワーアニメーター」を発売前に導入し、これを使用するワークステーションとして当時最大の処理速度を持っていたIndigo2を使用するなど、前作では最小限に抑えられたCGを積極的に導入している。妖怪の造形担当に立体物を製作させてからそのデータをコンピュータに正確に入力するという手間のかかる手法を取る事で、CGであっても手作り感を表現している。
岸田今日子は本作および『八つ墓村』で1996年度ブルーリボン賞助演女優賞を受賞した。
田舎の山間部に建つ小学校と隣接する寺には、塾の春休み集中合宿のために都会から来た塾生たちや、地元の子供たちが集り賑わっていた。この村の出身である塾講師の理香は、弟の司を含めた地元の子供たちとふれ合いをさせるべく、合宿を兼ねて生徒たちを故郷に連れ立ったのだ。しかし、理香の思惑通りに事は進まず喧嘩が勃発し、合宿の最終日である4月4日まで仲違いしたまま小学校での肝試しイベントを迎える。
寺の和尚は肝試し前の子供たちに、「30年前の4月4日4時44分。南小学校で、当時の校長先生が何者かに首をもぎ取られて死んだ。それからというもの、4月4日4時44分には、誰もあの学校には近寄らない……」という話を聞かせ怖がらせる。
夕方、肝試しが始まろうとしている最中、理香は指名手配されている泥棒の浅野と遭遇し、騒ぎを起こして肝試しが中止になってしまう。準備のために現地にいた子や、すでに出発していた数名の子供たちを除いて...。
一方、塾生の憲は理香の弟・司に炊飯係を押し付けられ、炊飯器のある小学校へ。居眠りした上に炊飯を失敗した憲は、何かに引き寄せられるように時計台へと向かう。すると、天井からぶら下がる風呂敷が気になり大時計の歯車に足をかけて登ろうとするが、スニーカーが歯車に挟まれて取り出せなくなり、時計が4時44分で停止してしまう。その様子を見届けた赤い服の少女が怪しく笑うと、突如として辺りに暗雲が立ち込め、校内にいた憲と肝試し中の子供たち、そして逃走して来た浅野が学校に閉じ込められてしまった。
そして、30年前、校長が襲われた時に校舎内をうろついていた不気味な茶汲み人形が姿を現し、呼応するかのようにお化けたちが溢れ出すのだった。
監督は金子修介に交替。金子は前作までが「和風」であったのに対し、本作は「洋風」を目指したという。シリーズで唯一鉄筋コンクリートの校舎が舞台となっており、また学校のみならず(鏡の世界ではあるが)街全体が舞台になっているのは本作が初めてである。撮影が行われた小学校は、シリーズでSFXプロデューサーを担当する中子真治の母校。
本作の宣伝に際して学習研究社が協力しており、同社のイマジン学園の広告に映画のポスターを模した広告(ポスターに使われていた黄色い文字の「うひひひひひ」をもじった「わははははは」というもの)が使われることがあった。
槙町小学校には、20年前に亡くなった生徒・タイチが亡霊となって棲んでいる鏡が学校のどこかにあり、運動会の二人三脚で転んだ生徒は目をつけられてしまい、その日の放課後にその鏡の中に引きずり込まれてしまう、という噂があった。
運動会の放課後、八橋先生が図工室で見つけたのは、まさにその鏡だった。これをききつけた彼女の教え子である良、繭子、茜、真琴の4人は、鏡を一目見ようと放課後の学校に忍び込む。4人のうち、良と繭子は二人三脚で転んでしまった生徒だった。すると4人は、学校に残っていた八橋先生と、良の母親の再婚相手の連れ子である悟と柚香と共に、鏡の中で引きずり込まれてしまう。
そこは、全てが反転しており、噂にきくお化けたちが暴れまわる恐ろしい空間だった。7人は最初はそれぞれ仲たがいしていたものの、やがて互いを理解し団結していく。しかしその7人の前に、亡霊となったタイチが現れる。
監督は再び平山秀幸。これまでの作品に頻繁に登場していたモンスター的な妖怪(お化け)の登場機会は少ない替わりに、これまでの作品で脇役妖怪だった幽霊がこの作品のメイン妖怪としていることから、それに比べてより「怪談」らしいものとなっている。前作同様、町全体が舞台となっているが、学校そのものがメインとなるのは終盤のみである。異世界に閉じ込められた子供達(+大人1人)が協力し合って困難に立ち向かい、事件の終息(異界からの脱出)を目指す前回までの3作品とは異なり、子供達はそれぞれが単独で事件に巻き込まれており、その後は(周治を除いて)事態終息まで再登場せず、事態の終息も弥恵と幸一(子供1人と大人1人)の2人で行なっている。設定上、4作品の中で唯一白黒の映像から始まる。
幸一を演じる福田亮太と笑福亭松之助と主演の豊田眞唯は『天才てれびくん』(NHK教育テレビ)の「MTK スリラー」で共演している。
恒と弥恵の兄妹は、夏休みを利用して、海辺の町・戸野崎にやってきた。しかし、やってきたその日、戸野崎は数年ぶりの大型台風に見舞われる。そんなときに、従姉妹のあゆむは「嵐の日には、海から死んだ人の霊が戻って来るんだよ」と語った。
すると次の日から、町の子ども達が次々と消えていった。ある子は海に引きずり込まれ、ある子は正体不明の列車に誘拐され、ある子は女の子の幽霊に攫われた。そして、どことも知れない木造の古い学校でかくれんぼの鬼をさせられるという夢に悩まされ続けていた恒も、とうとう弥恵の前から姿を消してしまう。
以下1作目の『学校の怪談』は1、『学校の怪談2』から『学校の怪談4』まではそれぞれ2から4の数字で表記してある。
ストーリーブック
公式超全集
大百科
小説:映画の小説版となるが、人物設定や話の展開などが映画と少し異なっている。
コミカライズ:『2』と『3』が『コミックボンボン』で連載され後に単行本化された。『学校の怪談4』では子どもが『コミックボンボン』を持っているシーンがある。また、『4』が『なかよし』1999年7月号および8月号に掲載されたが、単行本化されていない。
シナリオ(日本シナリオ作家協会):『2』と『3』のシナリオ台本が1996年9月号と1997年8月号にそれぞれ掲載され、『2』は脚本家、『3』は監督と脚本家のインタビューも掲載された。
その他
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