江ノ島線(えのしません)は、神奈川県相模原市南区の相模大野駅から神奈川県藤沢市の藤沢駅を経由して、同市の片瀬江ノ島駅を結ぶ小田急電鉄の鉄道路線である。駅ナンバリングで使われる路線記号はOE。線形の関係上、JR東日本の東海道線と接続する藤沢駅でスイッチバックを行う。なお、実際の小田原線からの分岐は相模大野駅から0.2 km小田原寄りの相模大野分岐点である。
相模原市南部の交通・商業拠点である相模大野から、大和市を経由して湘南エリアの中核市である藤沢市に至る。相模野台地を南北に貫き、直線が多く、曲線は少なめだが細かいアップダウンはそれなりにある。江ノ島線の東側は少し離れたところを境川の中流から下流が、西側は大和市から南で引地川が並行しているが、ともに渡らない。藤沢の先は方向転換して平地を進み、海に面した境川の河口に行き着いて、終点の片瀬江ノ島となる。
東京方面に向かう通勤通学路線であるとともに、湘南を代表する観光地である江の島エリアへのアクセスを担う。また、神奈川県を南北に縦断することから、東急田園都市線・相鉄本線・相鉄いずみ野線・横浜市営地下鉄ブルーライン・東海道線といった東京・横浜方面から放射状に延びる多数の鉄道路線との乗り換えが可能である。藤沢駅では小田急グループの江ノ島電鉄(江ノ電)と連絡している。新宿駅 - 藤沢駅間の移動においては途中経路は大きく異なるものの、JR東日本の湘南新宿ラインと競合関係にある。
特急ロマンスカーや快速急行、急行といった優等種別が小田原線新宿駅・町田駅方面と直通で運転されているが、各駅停車は相模大野駅発着の線内折り返し列車がほとんどである。各駅停車はすべて6両編成、快速急行と急行は10両編成で運転される。2022年3月12日のダイヤ改正で、片瀬江ノ島駅発着の小田原線直通列車は早朝の上り急行新宿行1本と特急ロマンスカーを除き廃止となり、快速急行と急行は原則として藤沢駅発着となった。また、各駅停車も早朝・深夜の一部の列車を除き、スイッチバックが必要な藤沢駅で系統分断された。
通過線を含む2面6線の相模大野駅を発車するとすぐに小田原線から分岐し右手に大野総合車両所を見て南東を向き、間もなく東林間駅へ。さらに林間都市として開発された住宅街を直線で抜け、大和市に入り右へカーブし南を向くと東急田園都市線と接続する2面2線の中央林間駅に到着する。
中央林間駅を発車すると住宅街を走りながら再び南東を向き、2面2線の南林間駅へ。さらに間もなく鶴間駅に到着。鶴間駅を発車すると住宅街を直線で抜け、国道246号(大和厚木バイパス)を跨ぎさらに東名高速道路をくぐると大和市の中心街へ入る。高架を上ると地下を走る相鉄本線と交差し2面4線の大和駅に到着する。
大和駅を発車するとしばらく市街地を高架で走り右へカーブし南を向く。この先は国道467号と平行し桜ヶ丘駅へ。この先も国道467号と平行し、東海道新幹線と交差すると高座渋谷駅に到着。発車するとしばらくして藤沢市に入る。2面4線の長後駅は藤沢市北部だけでなく綾瀬市南東部の住民の足も担っている。長後駅を発車するとしばらくして南東を向く。昭和40年代から宅地開発の進んだ湘南台地区に入ると間もなく相鉄いずみ野線・横浜市営地下鉄ブルーラインと接続する2面2線の湘南台駅に到着する。
湘南台駅を発車するとしばらく住宅街を走り、六会日大前駅へ。発車して右手に日本大学湘南キャンパス・日本大学藤沢高等学校が見えるが、この先は住宅と畑の混在する区間を走り、急勾配を駆け下りる。さらに勾配を上ると善行駅に到着する。その直後に江ノ島線唯一のトンネルを抜け、しばらくして左へカーブし国道1号をくぐると藤沢本町駅へ。ここから先は藤沢市の市街地を走る。日本精工の工場が右手に見え、左へ急カーブし東を向くと東海道本線をオーバークロスし、坂を下ると右手から片瀬江ノ島方面からの線路が合流、東海道本線・江ノ島電鉄線と接続する2面3線の藤沢駅に到着する。
この区間も相模大野 - 藤沢間と同じく住宅地が広がっている。かつて急行停車駅だった本鵠沼・鵠沼海岸の2駅は相模大野 - 藤沢間の急行通過駅と同じくホーム有効長が最大6両分しかない。
スイッチバックし藤沢駅を発車すると相模大野方面の線路を右上に見ながら左にカーブして南西を向く。この先の地域は鵠沼と呼ばれ、江戸時代は天領(幕府直轄領)、明治以降は別荘地であったが、関東大震災以降政治家や実業家、上級軍人が転居してくるようになり首都圏有数の高級住宅街へと成長した。住宅街を直線で抜けると本鵠沼駅に到着。発車するとこの先で左へ大きくカーブし南東を向く。鵠沼海岸駅を発車すると車内からは見えないが完全に相模湾・国道134号と並走する。片瀬地区に入り、正面に竜宮城を模した建物(片瀬江ノ島駅舎)が見えると2面3線の片瀬江ノ島駅に到着する。駅舎を出ると境川、境川にかかる弁天橋を渡り右へ曲がると関東随一の景勝地・江の島である。
当初、小田原線からは座間駅(現在の相武台前駅)で分岐する予定だったが、当時の駅付近には農業地が多かったため、当時山林が主だった相模大野からの分岐となった。
藤沢 - 江ノ島間については、免許を申請した段階で、既に江ノ島電気鉄道(現・江ノ島電鉄)の藤沢 - 江ノ島 - 小町(鎌倉)間の路線(現・江ノ島電鉄線)や大船 - 江ノ島 - 茅ヶ崎間の建設予定線があった。
特に後者とは片瀬江ノ島駅付近で交差するため、当初は江ノ島電気鉄道の予定線が開業した場合には撤去するという条件の仮設線として建設された。当時としては巨額の18,000円を投じて建設された片瀬江ノ島駅の竜宮城を模した初代駅舎も、この計画の関係上、名目上は本設ではなく仮設駅舎として建設された。
しかし、着工した段階で後者の免許の期限(1930年1月)が迫っており、また江ノ島電気鉄道には着工に入るだけの資金もなくその失効が確実視されていたため、実際には小田急電鉄は本設物として同区間を建設し、予定通り免許が失効して本設物扱いに変更され、同時に片瀬江ノ島駅の仮設駅舎は本設駅舎に変更された。また、大野方面から藤沢市街地へは用地買収の手間が掛からない西側から入ることにしたが、ここからまっすぐ江ノ島へ進むと江ノ電と完全に並行することになり、経路重複を避けるよう鉄道省から指導されていたため、藤沢駅でスイッチバックを行って西側を進むルートをとった。
1984年、桜ヶ丘駅 - 高座渋谷駅間において、江ノ島線で初めてロングレールが敷設されたのを皮切りに、1997年までに江ノ島線全線でロングレール化が完了した。
江ノ島線では特急(ロマンスカー)、快速急行、急行(朝夕のみの運転)、各駅停車の4つの種別の列車が運行されている。
日中の1時間毎の運行本数をまとめると、以下のとおりになる(2022年3月12日改正時点)。
小田原線新宿駅 - 藤沢駅・片瀬江ノ島駅間に朝方から日中の上下と夕方の上りに「えのしま」が運転されている。2004年12月11日の快速急行新設に伴うダイヤ改正以降、平日日中はほとんど運転がなく、土休日はおおむね2時間に1本程度の運転である。夕方の下りに「ホームウェイ」が運転されている。なお、2016年3月26日のダイヤ改正より、江ノ島線内での50000形「VSE」の定期運用が始まり、ロマンスカー全形式が江ノ島線に乗り入れることとなった。
また、2018年3月のダイヤ改正より東京メトロ千代田線と直通運転を行い、北千住駅 - 片瀬江ノ島駅間を運行する「メトロえのしま」が土休日に下り2本、上り1本設定されている。車両は地下鉄直通が可能な60000形「MSE」が使用される。
2004年12月11日に登場した種別である。小田原線内・江ノ島線内ともに急行より停車駅を減らし、速達化を図っている。日中は1時間に3本の運転で10両編成で運転されている。江ノ島線内では過去に運行されていた湘南急行と停車駅が同一となっている。
江ノ島線の快速急行は、平日・土休日共に全ての列車が新宿駅 - 藤沢駅間の運転である。さらに快速急行の大部分は藤沢で片瀬江ノ島発着の各駅停車と接続する。
2018年3月16日までは片瀬江ノ島駅発着の列車は平日に下り2本・上り1本、土休日に上下1本のみ運転されていたが、2018年3月17日のダイヤ改正で運行形態が変更され、土休日の江ノ島線直通列車の本数が83本に増発され、うち18本を除き片瀬江ノ島発に変更された。この改正で平日の片瀬江ノ島駅発着は廃止され、停車駅に登戸駅が追加された。しかし、2022年3月12日のダイヤ改正で片瀬江ノ島駅発着は全廃となり、土休日も含めて全列車が藤沢駅折り返しとなった。
1959年4月に登場した種別である。朝夕に新宿駅・町田駅・相模大野駅 - 藤沢駅間、新宿駅 - 大和駅間に10両編成で運転されている(新宿駅 - 大和駅間は平日上り早朝のみ1本で、相模大野駅から快速急行として運転)。土休日夜間の上り急行の一部は、大和駅で特急に追い越される。
2016年3月25日までは終日運転されていたが、2016年3月26日のダイヤ改正で、日中の快速急行が1時間あたり20分間隔3本の運転となるのに伴い、日中は新宿駅直通・線内運転ともに廃止となった。また、同ダイヤ改正で、本鵠沼駅及び鵠沼海岸駅に停車する急行は平日上り1本下り2本、土休日は上り4本下り2本に削減された。さらに2018年3月17日のダイヤ改正で、平日朝上りに相模大野駅で種別変更し、小田原線内は快速急行として運転する大和駅・藤沢駅・片瀬江ノ島駅発の列車が設定された。この改正で片瀬江ノ島発着は途中で種別変更する列車のみとなり、新宿駅まで全区間を通して急行で運転する片瀬江ノ島発着の列車は全て廃止された。2022年3月12日のダイヤ改正では、土休日に限り全区間を通して急行運転を行う片瀬江ノ島発の列車が設定された。
2018年3月16日まで片瀬江ノ島駅発着の急行のうち、6両編成の列車は本鵠沼駅と鵠沼海岸駅にも停車していたが(列車番号は2500番台)、2018年3月17日のダイヤ改正より全ての急行列車が10両化されたことに伴い、この2駅は通過となった。
大半が相模大野駅 - 藤沢駅間、藤沢駅 - 片瀬江ノ島駅間の折り返し運転だが、一部に町田駅発着の列車が存在する。大和駅・長後駅・藤沢駅では特急ロマンスカー・快速急行・急行などの待ち合わせや通過待ちを行う列車がある。平日の日中における町田駅・相模大野駅 - 藤沢駅間運行の列車は、大和駅で快速急行との待ち合わせ(一部長後駅での通過待ち)をする列車と、途中駅での待ち合わせのない列車が交互に運転される。
急行停車駅以外の駅のホーム有効長が6両分のため、すべての列車が6両編成である(2008年3月のダイヤ改正で4両編成の運転はなくなった)。2008年3月14日までは相模大野駅で種別変更し、小田原線内は急行となる列車もあったが、2008年3月15日のダイヤ改正で全て廃止された。
2008年3月15日のダイヤ改正より下り終電および上り初電として、大和駅発着の列車が運転されている。
2016年3月26日ダイヤ改正で、平日朝の新宿駅発片瀬江ノ島駅行きと成城学園前駅発片瀬江ノ島駅行きの2本を除き、小田原線の玉川学園前以東を発着とする各駅停車は廃止となった。この改正で平日日中は全列車江ノ島線内運転、土休日はおよそ20分おきに町田駅発着(時間帯により相模大野発着)も運転されるようになった。さらに2018年3月17日のダイヤ改正で前記の平日朝下り片瀬江ノ島駅行き2本がともに廃止され、小田原線の玉川学園前以東発の各駅停車は消滅した。また、朝ラッシュ時の本数が毎時8本から毎時6本へと減便された。
2018年3月17日より、平日朝1本のみ片瀬江ノ島始発の新宿行が復活したが、2019年3月16日ダイヤ改正で廃止され、新宿発着の列車は廃止された。
2022年3月12日のダイヤ改正で、原則として藤沢駅で運転系統が分割され、全線通しの運転は早朝・深夜の一部列車のみとなった。
め組エクスプレス
江ノ島・鎌倉エクスプレス
湘南マリンエクスプレス
湘南国際マラソン号
湘南マリン号
メトロニューイヤー号
秋のレジャートレイン 江の島号
江の島マリン号
箱根・湘南あじさい号・湘南・鎌倉あじさい号
箱根駅伝応援号
直通は、江ノ島線開業時(1929年4月1日)から1945年6月まで存在した種別である。 この時期の「各駅停車」は新宿駅 - 稲田登戸駅(現・向ヶ丘遊園駅)間のみで運行されており、稲田登戸駅より先へむかう列車は小田原線も江ノ島線もすべて「直通」だった。なお小田原線の「直通」が稲田登戸駅以遠各駅停車だったのに対し、江ノ島線「直通」は玉川学園前駅、新原町田駅(現・町田駅)からの各駅に停車していた。
準急は、1946年10月1日から2002年3月22日まで存在した種別である。晩年は定期列車での設定はなく、年末年始の終夜臨上りでのみ運行されていた。
通勤急行は、1955年3月25日から1971年4月まで存在した種別である。
1957年 - 1960年代に存在した種別で、現在の「快速急行」とは別物である。 鵠沼海岸・江ノ島への海水浴客輸送用の臨時列車で、夏季のみ運行された。
湘南急行は、2002年3月23日から2004年12月10日まで存在した種別である。江ノ島線内では急行より停車駅を減らし、速達化を図っていた。新宿駅 - 藤沢駅間で、10両編成で運行された。また、2003年3月28日までは土休日の一部列車が片瀬江ノ島駅まで乗り入れていた。2004年12月11日のダイヤ改正で、快速急行に置き換えられた。
2000形は全編成が8両編成のため、江ノ島線では運用されない。
女性専用車が、平日朝7:30 - 9:30に新宿駅に到着する上り急行(相模大野から快速急行)の最後部1号車に設定されている。
Owlapps.net - since 2012 - Les chouettes applications du hibou