『globe』(グローブ)は、音楽ユニットglobeの1枚目のフルアルバム。1996年3月31日発売。レーベルはavex globe。
デビューシングル「Feel Like dance」から5thシングル「FREEDOM」までを収録したglobeのデビューアルバム。
初回限定盤のみ特殊プラスチックケース仕様のポスター型ブックレットとなっている。
小室哲哉は「僕の音楽活動の中で得たもの全てを投入しました。最初の0秒から57分03秒までアルバムのどこを切り取って聴いて頂いても、恥ずかしい所はありません」と断言するほどの自信を見せていた。
オリコンにおいて、初週(集計された日は発売日の3月31日のみ)と2週目でそれぞれ100万枚以上を売り上げ、発売2週目で売上200万枚を突破、5週目には300万枚を突破する。いずれも当時の最速記録である。また、2週目の売上としては歴代最高となる105万枚を記録している。1996年5月、当時オリコンにおけるアルバムの歴代最高売上記録を保持していたMr.Childrenの4thアルバム『Atomic Heart』の累積売上343万枚を突破して記録を更新する。1996年6月、日本レコード協会から4ミリオンの認定を受けた最初の作品となった。1997年2月にはオリコン史上初となるアルバムセールス400万枚を突破した。発売元のエイベックスによる売上枚数は1997年4月26日までの時点で455万枚。オリコン集計では413.6万枚で歴代アルバム売上7位、オリジナルアルバムに限れば日本歴代3位の売上記録となる。
第38回日本レコード大賞アルバム大賞受賞。
「GONNA BE ALRIGHT」「MUSIC TAKES ME HIGHER」はクラブ向けのリミックスを施したLP盤として発売する予定があり、実制作がされていたが発売はされなかった。
結成当初は世界展開を意識していたが、本作の制作と周囲からの反応は「日本市場に向けた20世紀の日本人の音楽」にメインコンセプトにする切っ掛けとなった。
2016年12月21日に96kHz/24bitのハイレゾリューションオーディオとして鈴木浩二の手によりリマスタリングされ、配信リリースされた。
2022年10月15日からは、新たに音楽サブスクリプションサービス・Apple Musicで、空間オーディオに対応したミックスでの配信が開始された。
1996年2月末日の段階でリードシングル「FREEDOM」とアルバム用の楽曲が出来ていなかったため、軽井沢のスタジオで10日間スタジオに寝泊まりしながら、残りの楽曲を完成させた。その間は3人が同じ部屋にいながら、同じテーマを共有していた。閃きで浮かんだメロディを元に小室が仮歌を歌いながら曲を作っている間に、マーク・パンサーがラップ詞を集中的に15分で書いて、その間にKEIKOが小室の仮歌を聞きながら展開を覚えて、レコーディングに入ることを繰り返すことで楽曲のクオリティを作り込むことに集中し、曲順は最後の3日間でまとめた。合宿初日の夕食の際に小室はチーフ・マネージャーとして伊東宏晃を指名し、約2年間活動を共にした。
ギターを担当した松尾和博は「globeがどんなプロジェクトなのか」「どのパートでどんな音・ボーカル・ラップが入るか」を知らされていなかったため、「何も入れない状態で渡せない。採用されるかどうかわからないけど、とりあえず入れておけ」という思いから、即興で大量のテイクを部分別に録音した。
全体の歌詞のテーマは「身近なことから世界的なことまで幅広い事柄」を対象にしている。
「ALL INSTRUMENTS EXCEPT GUITARS by TETSUYA KOMURO」はギター以外の全ての楽器・ドラム・ストリングスを小室がシンセサイザー・コンピューターを駆使して演奏したという意思表示であり、その手法の集大成が本作のテーマでもある。そこから派生して生まれたコンセプトは「最少人数のスタッフ、最少編成のパート、最先端の音作り」というものであり、その手法は視聴した石野卓球が「電気グルーヴと作り方が近かった」と驚いたという。小室は「ダンスミュージックという枠に拘らず、今ある音楽ジャンルを全て押し詰めこんだ結果、日本人としての血・ナショナリティが出てしまったかもしれない」と振り返っている。
「今までの評価に値するKEIKOの実力を引き出し、証明する」「日本人としてのメンタリティがあるマークが英語を歌うことで、外国語が生活の中に普通にあり、外国語に対して日本人だから劣っている訳ではないことを感じて欲しい」というメンバーのプロモーションの意味合いも込められているため、小室は「『2人はここまで表現出来るんだよ』というのを具象化できたアルバム」と振り返っている。
アルバムジャケット・ライナーノーツ・プロモーション写真の撮影はサンタモニカの海辺と古いホテルで行われた。使用されたホテルは偶然にもTM NETWORKのプロモーション写真撮影で使用されたのと全く同じ場所だった。そこで小室は意図的にTMの時と同じホテルの入り口とその壁を背景に写真を撮った。撮影は朝から晩までかかった。
雰囲気は「自然体」「渋くておしゃれ」「シックで新しく」を志向した。
「コンパクトなCDだから、ポスターで包んでしまおう」という意向から、ポスターを広げると中からCDケースが現れる仕組みになった。梱包が手作業だったため、プレス工場からは泣きのクレームが入った。
音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「KEIKOのエモーショナルでソウル風な歌い方を聴いた時には、ダンスやヒップホップという枠以上の奥深さを感じてしまった」と評されている。
三田格は、「時代を謳歌し、堪能している様な曲は1曲もない」「何故かYMOの『BEHIND THE MASK』が2度もモチーフとして顔を出している」「全体はアース・ウィンド・アンド・ファイアーやソフト・セルの作風を1986年頃のストック・エイトキン・ウォーターマン調にまとめたという感じ。特に『Regret of the Day』は『Secret Life』そのまんま」「ビーイングブームやDREAMS COME TRUEよりも派手に騒がれている気がするのは、サウンドプロダクションが生演奏ではないのにやたら売れたということが最大の理由なんでしょうか?」と評している。
Owlapps.net - since 2012 - Les chouettes applications du hibou