株式会社CFSコーポレーション(シーエフエスコーポレーション、英: CFS Corporation)は、かつて存在した静岡県・神奈川県を地盤としたドラッグストア(ハックドラッグなど)を展開していた企業。本社機能を神奈川県横浜市港北区新横浜に置き、本店は静岡県三島市広小路町に置いていた。イオングループに属していた。
2016年(平成28年)9月1日付で、ウエルシア薬局株式会社に吸収合併され解散した。
横浜市に本部を置くドラッグストア「ハックイシダ」と三島市に本部を置くスーパーマーケット「キミサワ」が、1993年(平成5年)8月に合併して「ハックキミサワ」となり、2003年(平成15年)8月に「CFSコーポレーション」となった。社名の「CFS」は、Customer(顧客)、First(第一)、Stores(店舗)の略である。
主にドラッグストア「ハックドラッグ」(派生業態のハックエクスプレス・ハックベリーを含む)やイオングループのコンビニエンスストア「ミニストップ」が併設されたハイブリッド業態「れこっず」(2014年撤退)を運営した(詳細は「#展開店舗・地域」を参照)。
「キミサワ」は、薬剤部門の旧社(店)名に「キミサワ薬局」があったこと(店舗の一部は後に「ハックドラッグ」に店名変更)、スーパーマーケットの「スーパーキミサワ」があるためで、創業者の姓と創業の地であるかつて君沢郡(きみさわぐん・きみさわのこおり)と呼ばれた場所に由来する。登記上の本店所在地は、三島広小路駅の南隣にある踏切から近い。建物屋上に時計があり「CFSコーポレーション」の看板が設置されていた。
2000年(平成12年)4月にイオンと業務資本提携を締結。2010年(平成22年)に関係がより強化されイオンの子会社となり、同グループのH&BC事業分野の中核会社として指名されたが、その過程には紆余曲折があった(詳細は「#業務資本提携問題」を参照)。スーパーマーケット事業は2010年(平成22年)8月21日付でイオンの完全子会社であるイオンキミサワへ継承され、2013年(平成25年)3月1日にマックスバリュ東海へ合併された(合併後も店名の「キミサワ」は残っており合併時に23店舗あったが、2021年2月28日のキミサワ加茂川店の建て替えによる一時閉店と新店舗でのマックスバリュへの変更により「キミサワ」の店名は消滅した)。
2015年(平成27年)9月1日、株式交換によりウエルシアホールディングス傘下に移行、翌2016年(平成28年)9月1日付でウエルシア薬局株式会社に吸収合併され解散した。以降はハックドラッグ(派生業態のハックエクスプレス・ハックベリーを含む)の運営は同社に引き継がれ、ウエルシア薬局への店名変更が進められている。
2000年(平成12年)4月、CFSは当時のジャスコ株式会社(現:イオン株式会社)と業務資本提携を実施した。しかし提携の効果が現れず、CFSは2004年(平成16年)10月に提携を解消すると発表し、イオン・ウエルシア・ストアーズ(現:ハピコム)の活動を凍結したが、イオンは「継続している」と主張し意見が対立した。
2006年(平成18年)1月に相互の主張を受け入れて「イコールパートナーシップ」構築を発表、イオン・ウエルシア・ストアーズの活動はCFS側の主張が通り凍結を継続した。
CFSは2007年(平成19年)10月5日、調剤薬局最大手のアインファーマシーズと株式移転により持株会社の株式会社CFSアインホールディングス(仮称)を設立し、経営統合することを発表した(移転比率はCFS1:新会社0.30、アイン1:新会社1.25)。この発表に対し、イオンは同日記者会見を開き、岡田元也イオン社長が「統合比率がCFSに不利」「(イオンに対し)何の説明もなく自主再建を放棄した」「両社の合意条項に違反する」などとCFS経営陣を厳しく非難し、経営統合反対を表明した。
同年11月5日、CFS・アイン両社が株式移転契約を正式に締結。11月16日、イオンと傘下のウエルシア関東(現:ウエルシア薬局)・マックスバリュ東海の3社が共同で、業務提携を軸にアインとの統合を上回る企業・株主価値向上を図る『CFSコーポレーションのV字回復を目指す企業価値向上策の提案』(イオングループ提案)をCFSに送付した。
CFS取締役会が同年12月13日、イオングループ提案の拒否、臨時株主総会の招集(2008年1月22日)、アインとの経営統合議案の提出を決議。これを受け、12月17日にはイオンが臨時株主総会で経営統合議案を否決するため委任状勧誘を開始したと発表、プロキシーファイト(委任状争奪戦)に突入した。
2007年12月29日から翌2008年(平成20年)1月10日にかけて、イオン・CFS両社がそれぞれ株主向け説明会を実施。CFSは同年1月11日「米国の大手議決権行使助言機関2社が『統合比率は妥当』と当社経営陣を支持した」と発表し、既にイオンに委任状を提出した株主に対しても「(株主総会に出席し)賛成しても法的責任は問われない」と再考を求めた。
同年1月22日、CFS臨時株主総会招集。特別決議による採決の結果、アインとの経営統合議案は42.87%の反対で否決された。経営陣同士で合意した経営統合がプロキシーファイトの末に株主総会で否決され破談となったのは、同時期の2007年2月に東京鋼鐵と大阪製鐵の経営統合が東京鋼鐵の株主総会で否決された例に続き、過去2例目となる。
翌2008年(平成20年)3月、CFSはこれまでの強硬姿勢から一転してイオングループ提案の受け入れを始め、現在の15%から30%前後を上限とするイオンの追加出資(経営の独立性に配慮)、アインとの統合計画を主導した石田健二会長兼社長の引責辞任(5月の定時株主総会後)など、イオンとの関係修復・強化に向け調整していると一部で報じられた。CFS側も、3月3日の発表で未だ合意はしていないものの交渉中であることを認めた。
2週間後の3月17日、CFSはイオンとの業務資本提携に合意したと正式に発表した。これにより、アインファーマシーズとの経営統合問題は事実上終結。CFSは同日「イオン・ウエルシア・ストアーズ」に、提携解消による脱会以来約3年3ヶ月ぶりに復帰した。この復帰を機に取り扱い中止していたプライベートブランド(トップバリュ・ウエルシア)の取り扱い再開やイオン銀行ATM設置などの金融サービスの充実を図った。
同年4月3日、CFSはイオン株式会社による株式公開買い付けの開始を発表。5月8日にはイオン株式会社との業務・資本提携契約を締結し、同時に公開買付けの上限を引き上げ、公開買付け期間の延長の旨を合意した。公開買付けは6月3日に終了し、6月11日に増資された普通株式全てをイオンに割当した。
経営統合問題の解決後、2010年(平成22年)3月8日にCFSはイオンとのさらなる提携強化に基本合意した。具体的には以下の通りである。
上記提携関係強化の一環として、同年3月24日にイオンが当社株式に対する公開買付けを開始。当社も同日に第三者割当による新株式を発行すると共に、イオンが行う公開買付けに賛同する意を表明し、本公開買付けに応募するか否かは株主の判断に委ねることを決議した。これによりCFSは同年5月20日付けでイオンの子会社となった。
スーパーマーケット事業については、同年4月6日にCFSが完全子会社の「イオンキミサワ株式会社」を設立し、同年8月21日付けでCFSのスーパーマーケット事業をイオンキミサワに継承すると共に、イオンキミサワの全株式をイオンへ譲渡。これによりCFSはドラッグストア事業に専念することとなった。またこれに伴い、ハックドラッグ・キミサワ両店共通であったポイントカード「カムズカード」はハックドラッグのみで運用されることになり、キミサワでは同一仕様のポイントカード「グラッテカード」の運用を開始した。この「グラッテカード」に関しては、イオンキミサワでもイオンの電子マネー「WAON」に対応したことや、同じ静岡県・神奈川県で「マックスバリュ」を展開するマックスバリュ東海との統合を発表したこともあり、2013年2月28日に廃止された。同年3月1日にマックスバリュ東海へ吸収合併されイオンキミサワは解散、既存店舗はマックスバリュ東海が引き継ぐことになった。継承後も店舗ブランドは保持されたが、2020年(令和2年)から2021年(令和3年)にかけて順次、改装に伴う「マックスバリュ」への屋号変更や閉店が行われたことにより、イオンキミサワで展開ていた店舗ブランドは消滅している。
2011年夏頃には、イオングループのGMS・スーパーマーケット事業の中核会社であるイオンリテール株式会社より、中部地区を中心に展開していたドラッグストア「カラダ・ラボ」を承継して順次「ハックドラッグ」に転換。これを契機に、かつて旧イオン・ウエルシア・ストアーズに加盟していたスギ薬局(現:スギホールディングス)が地盤を固め、イオングループのドラッグ事業ハピコムとして弱体化していた中部エリアの立て直しを、CFSがH&BC事業分野の中核会社として推し進めることとなった。また同時に関東エリアへの本格展開も合わせて進めるとした。
2014年10月には、同じくイオンと提携関係にあるウエルシアホールディングスとの間で、株式交換によりウエルシアホールディングスを完全親会社、CFSを完全子会社として、2015年9月を目処に経営統合を目指すことで合意したと発表した。
翌2015年2月22日、朝日新聞や日本経済新聞などの報道により大量の薬歴未記載問題が判明。各社報道の見出しには「ハックドラッグ」の店名よりも「イオン系ドラッグストア」としてイオンの社名が大きく報じられた。同年2月10日にはくすりの福太郎(ツルハグループ)での薬歴未記載問題が報じられたばかりであり、診療報酬の不正請求を伴うものとして厚生労働省からも問題視される事態となった(詳細は「#薬歴未記載問題」を参照)。
同年4月21日、予定どおり同年9月1日付でウエルシアホールディングスとの間で株式交換による経営統合契約を結ぶことを発表、5月19日の株主総会において賛成多数で承認。9月1日に当初の合意発表通りにウエルシアホールディングスの完全子会社となり、ハピコム参加企業の傘下に収まることで決着した。
翌2016年9月1日、ウエルシアホールディングス傘下のウエルシア薬局を存続会社として吸収合併され解散。「ハックドラッグ」などの既存店舗の運営をウエルシア薬局が引き継いだ。
ウエルシア薬局に合併後は順次「ウエルシア」に屋号を変更し、東京都・神奈川県以外の店舗は全店舗「ウエルシア」に屋号が変更された。
2015年10月30日時点。
CFSコーポレーションが運営するハックドラッグの調剤薬局で、患者の薬剤服用歴(薬歴)を記録せず処方箋医薬品を調剤し患者に処方していたとして、2015年2月22日に朝日新聞や日本経済新聞などで報道された。2013年6月末時点の社内調査で、20店舗でで合計7万8,140件という多数にわたる薬歴記載漏れがあったとされる。
同社への取材の結果「運営する一部の調剤薬局で、薬剤師が患者から聞き取った内容をメモのまま放置しパソコンに入力せず、電子薬歴への転記作業が速やかに行われていなかった」として事実を認めた。報道を受け、CFSコーポレーションは同日にニュースリリースで「薬剤服用歴管理に関するお詫びとお知らせ」を発表。「本件を重く受け止め、調剤薬局全店の薬歴管理状況について自主調査を行う」とした。
薬剤師は医師の処方箋により調剤する際に、患者に薬剤について説明し服薬指導を行うとともに、患者から症状や併用薬などを聴取し、薬のカルテである薬歴として記録し保管する必要がある。また「お薬手帳」に処方薬の記録を経時的に記載する。これらをすべて行うことにより「薬剤服用歴管理指導料」として診療報酬(当時は1回につき原則410円)を請求できる。未記載の場合は副作用などを把握できないまま調剤する危険があるばかりでなく、診療報酬の不正請求が行われていたことになる。
薬歴未記載問題は、同年2月にくすりの福太郎(ツルハグループ)で発覚し、約17万件の記載漏れがあることが2月10日の朝日新聞のスクープにより明らかになった。それに引き続きハックドラッグでも大量の薬歴未記載が発覚した。
大手ドラッグストアの調剤薬局で薬歴未記載が相次いで発覚したことを受け、厚生労働省は日本薬剤師会、日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会の3団体に対し自主点検を要請。その結果、2014年の1年間だけで1220薬局で約81万2,000件に上る薬歴未記載があったことが同年6月24日に判明。最大3億円の診療報酬が不正請求されたとして、厚生労働省は3団体を通じて各薬局に診療報酬の返還を求めるとした。
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