ジャルジャル(JARUJARU)は、後藤淳平と福徳秀介からなる日本のお笑いコンビ。2003年にコンビ結成。NSC大阪校25期生。吉本興業東京本社所属。M-1グランプリ2010・2015・2017・2018ファイナリスト。キングオブコント2020王者。
1999年4月。出会いは関西大学第一高等学校のラグビー部。元サッカー部の福徳は日焼けしており、後藤に初めて会った時、真っ白の練習着の胸部分に書かれた自分の名前を指差し、「俺、福徳、よろしく!」と握手を求めた。後藤のそんな福徳に対する第一印象は「吉田栄作みたいな高校生」だった。部員が多かったこともあり当初はほとんど話さなかったが、一年生の時の夏合宿で福徳が練習中に鎖骨を骨折し、一番暇そうにしていた後藤が病院に付き添うことになり、これを機に急速に距離が縮まっていった 。二人ともクラスでは目立たないタイプで、当時から笑いの感性が同じだった。高校3年間でクラスこそ同じにはならなかったが、休み時間になれば保健室へ直行して2人で喋ったり、保健室の先生を笑わせたりすることが楽しみとなっていた。また、授業中にメールを送り合って笑い合ったり、「紙に一言だけ書いて11時になったら見る」という遊びをしたりして、やがて漫才の台本を作るようになった。初めて作ったネタは漫才であり、カセットテープに吹き込んで2人で15分程度喋りそれを聴いて大笑いしたり、校庭の隅でネタ合わせしたりしていたという。高校2年生の終わり頃からお互い芸人を目指そうという話をしていた。
共に部活で忙しくテレビをほとんど見ておらず、バラエティ番組が自由で楽しい時代を知らない。お笑いで唯一ハマったのがふかわりょうの一言ネタ本で(後藤は幼少から嘉門達夫が好きで家族ぐるみで触れており、共にお笑い番組は『吉本新喜劇』は好きだったが他の当時流行っていた番組含めそこまでハマらず内容の意味も理解していなかった )、ダウンタウン台頭以降のお笑い芸人の中では珍しくダウンタウンの影響を受けていないコンビであり、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ)についても「小学生の時に見ていたが当時は意味が分からずハマらなかった。そのおかげで二人とも影響されずオリジナリティを追求出来た。」と福徳は述懐した。
2002年4月、高校卒業後、大学進学と共にNSC大阪校(25期)へ入学。25期は前年の第一回『M-1グランプリ』の影響からか入学者が700人(銀シャリによると900人)くらいおり、入学式の会場のなんばグランド花月が満員だった。 福徳は大学に進学せずにNSCに入ろうとしたが、母親に止められた。NSCに入るかどうか迷っていた後藤に「やろう」と誘ったのは福徳だが、集団面接を前にして福徳が不安になり「やめようか」と言った時に「やろう言うたやんけ」と後藤が止めた。当時、講師を務めていた本多正識は、ジャルジャルの二人に“上品な子たち”という印象を受け、「言葉遣い、表情、所作、小道具の扱い方等々、端々に上品さが伺え、NSCにはあまりいないタイプ」だったという。また、ネタ見せの授業には必ず出席する優等生だった。
コンビ名の由来は、後藤の家で電気を消して寝転がりながらコンビ名を考えている時に、響き重視で“ジャルジャル”と“ジョロジョロ”を思いつき、最終的に文学部の福徳が受けていた大学の語学の授業中に“ジャルジャル”に決定した 。他の候補には、「ナプラコッテ」「ノーコン太郎」があった。略称がJAL(ジャル)である日本航空グループと関係はないが、営業などの掴みとして、「2人とも親がパイロットやったからですよ〜嘘ですけど」や「蛇口から水が出ていた」といった作り話を話していた時期もある。
NSC時代にM-1グランプリに挑むも一回戦で敗退。授業でネタ見せがあるのに、落ちたネタしかストックがなく、高校時代の保健室で遊んでいた雰囲気で適当に遊び半分のコントみたいなものをやっていった結果、ネタを漫才からコントへシフトしていった。当初漫才のネタは後藤が作っており捻り出すように作っていたが、2人でコントのネタを作るようになると息をするように作れるようになった。NSC卒業公演では、プラス・マイナスとジャルジャルが司会を務めるなど当時は彼らが25期の2強だった。当時から型にハマらないスタイルでダウンタウンの再来と称され、 2020年10月21日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBSテレビ)では、銀シャリから同期一の天才と称された。
NSC卒業後は若手が出る劇場への出演を賭けた月に1度行われるオーディションにチャレンジする日々だった。予選で(同期は700人の中)勝ち残った20数組で決勝戦を行ない、上位2組が劇場のレギュラーメンバーと入れ替えるというものでジャルジャルは一回しか行けなかった。大学4回生の時に劇場のシステムが変わり、予選で勝ち残った20数組が吉本の社員の前でネタ見せを行ない、劇場のメンバーを再編する形になり、ようやくジャルジャルはレギュラーメンバーとなった。
NSCや舞台を優先するあまり、二人は大学に居場所はなく、大学卒業の単位がギリギリだった。二人はお笑いを天職だと考えていたため就職活動もしなかった。
2005年には若手を発掘する番組『ゲンセキ』(TBSテレビ)でテレビ初出演。また、BGO上方笑演芸大賞新人賞を受賞。2007年には、若手の登竜門であるNHK新人演芸大賞の演芸部門で大賞を受賞し、”一般ウケするんやな”と周りの見る目が変わったという。
『爆笑レッドシアター』、『めちゃ×2イケてるっ!』(共にフジテレビ)などの全国ネットの番組のレギュラーになる。エルザ調べの女子高生が選ぶ「次にブレイクすると思うお笑い芸人は?」のアンケートで一位に選ばれるなど、順風満帆に見えるも、シュールなネタやコント衣装から連想される「尖っている」イメージに苦しめられ、「ジャルジャルってこういうの(体を張る企画やヨゴレネタ)やらないでしょ」と言われ続けた。M-1グランプリ2010の決勝では、まるで一般的な漫才を揶揄するかのようなネタを披露した結果、反感を買ってしまう。さらに新聞や雑誌のインタビューで、軽いノリや冗談のつもりでついた適当な嘘が原因で、「めちゃイケ」で共演した先輩芸人の岡村隆史(ナインティナイン)「人を小馬鹿にしている」と苦言を呈されることもあったという。後藤は「めちゃイケ」について、「向いてなかった」「とにかく埋もれる、埋もれ上手」と後に語った。
2010年には二人は井筒和幸監督の映画『ヒーローショー』に主演。
同年6月と2011年7月はロンドン、2015年7月はパリにて単独ライブを行なうなど海外公演も行なった。
結成10周年の2012年はマニフェストとして2人揃って金髪で活動した。お年寄りからの評判は悪かった。
2014年10月28日にYouTubeチャンネルを開設。上京当時はトークやバラエティで自己アピールし、番組で前に出ていこうというスタンスで尖っていたが、ネタ動画の投稿を始めたことでネタで評価されればいいと思えるようになったという。
2015年11月、レスリー・キー撮影のヌード写真集『SUPER JARU JARU』を発売。
『M-1グランプリ2015』の決勝に出場し、二人は新たな形のネタを披露するも3位で終わった。
「めちゃイケ」をはじめ、2017年は立て続けにレギュラー番組の終了が発表される。
『M-1グランプリ2017』の決勝に出場、最終組にて登場し、自信作「ピンポンパンゲーム」を披露し会場のみならずネットを沸かせた。老若男女を笑わすことのできる「ピンポンパンゲーム」を福徳は「伝説できるな」と確信したネタだった。しかし、点数がふるわず結果は6位、福徳は会場とその後の『GYAO!』の番組で、M-1ファイナリストが負けた敗因を語り合うという企画でも涙ぐんだ。
二人はマネージャーから勧められ、2018年2月から毎日、Webサイト及びYouTubeの公式チャンネル「JARUJARU TOWER」にコント動画を投稿し始める。年間300本、単独ライブの度に100本ほど新ネタを作り9割をボツにするため、そのネタのタネを投稿している 。総再生回数が2019年5月には一億回、同年9月には二億回、2020年2月には三億回、同年8月には四億回、同年12月には五億回を突破する。YouTubeチャンネルの視聴者は8割9割が男性で、2018年からライブの男女比が1:9から4:6になり男性客が増えた。
ラストイヤーとなった『M-1グランプリ2018』の決勝に4組目で登場。ファーストラウンドで「国名分けっこ」を披露し648点を記録し暫定一位、最終3位で最終決戦に進出。また言葉遊びの漫才を披露するも票を得られず、3位で終えた。その結果を受け、二人は「清々しく終わった。」、福徳は「ラグビー部を引退した日のような感覚。」だったという。 2015年、2017年、2018年の三年は審査員の中川礼二(中川家)との戦いでもあり、頑なにジャルジャルはスタイルを変えなかった。また、2011年から2018年の8年間は、『キングオブコント』の決勝へ行けず、コンビ結成から2020年の優勝までで一番辛い時期だった。
2019年には有料会員制サイト「ネタサロン ジャルジャルに興味ある奴」を開設。きっかけは西野亮廣(キングコング)から「ジャルジャルもオンラインサロンをやるべきや」という助言から。同サイトでは、ネタサロン限定ラジオや過去の単独ライブの映像、Instagramのシークレットアカウントの閲覧、またサロン限定グッズも購入できる。
2020年4月には、日本語学習用の教材映像「Getting to Know Japanese Language & Culture」に起用された。同月には、YouTubeチャンネル「JARUJARU TOWER」に英語字幕を付した「JARUJARU OVERSEAS」も開設されている。
2020年9月26日に開催された『キングオブコント2020』決勝で、合計941点を獲得し、優勝を果たした。同大会へは2008年の第1回大会から出場を続けており、13度目の挑戦での優勝であり、福徳は涙ぐんだ。「コントの賞レースでタイトルをとらないことには、この先ずっとやり続けることはできない」「ラグビー部出身の体育会系のジャルジャルが負けたままではいられない」と挑戦し続けた。昨年は福徳が脚の小指を骨折し動き回れないためネタを変更せざるを得なかった。1本目の「野次ワクチン」は2019年の年末に生まれたネタで観客の反応が良く大衆向け、2本目の「空き巣するのにタンバリン持ってきたやつ」は、10年ぶりにやった没ネタ(ネタのタネ)で観客や投稿したYouTubeでの動画のコメントの反応が良かったなど、劇場やSNSのファンからウケを確認したネタだった。また、事前にNSC時代の講師・本多正識と先輩芸人のあべこうじからのアドバイスを受けていた。
優勝後は、ジャルジャルは「尖っていて扱いづらいイメージ」から「13回挑戦し続けるただのコント好き」だと周りからの評価が変わったという。
毎年開催する単独ライブの東京凱旋公演を記念したWEBプロジェクト「JARU JARU TOWER」に「ネタ帳に書き留めたネタになる前のアイデア『ネタのタネ』が1階ずつ積み上がっていく世界一高いタワーを建設する」という設定で新たに撮影した動画を2018年2月15日からYouTubeの公式チャンネル並びにウェブサイトへ1日1本ずつ投稿中(計8000本を投稿、2039年11月8日にタワーが完成する予定)である。2020年8月23日、1000本目を達成した。年に2回の単独ライブのため300本ネタを作っており、単独ライブでボツになったネタを「成仏させる」という意味でアップしている。「何年経っても楽しんでもらえるような普遍性のある笑い」をモットーにしているという。
JARU JARU TOWERの総再生回数が2019年5月には一億回、同年9月には二億回、2020年2月には三億回、同年8月には四億回、同年12月には五億回、2022年5月には八億回、2023年12月には十億回を突破した。
また、2020年8月2日午後8時2分(奴の日奴の時間)に新チャンネル開設を発表。2020年9月に「ジャルジャルアイランド(JARUJARU ISLAND)」と題したYouTubeチャンネルを開設した。ジャルジャルがネタの中で演じているキャラクターにスポットを当てたコントと現実が融合した動画を中心に配信している。
過去に、川島海荷、松本穂香、トータス松本(ウルフルズ)、モモコグミカンパニー(BiSH)、ヤバイTシャツ屋さん、河野純喜(JO1)、YOASOBI、のん、トリンドル玲奈、ROLAND、朝倉海が出演している。有名人だけでなく、オンラインネタサロン会員(一般人)がエキストラとしてZoomでリモートコントに多数出演している。
YouTubeの動画に寄せられるコメントは参考にしており、『キングオブコント2020』の優勝に繋がったという。
YouTubeで動画投稿する一年後輩のかまいたちによると、芸人から見ても「ネタ動画を毎日投稿することや、108本のコント動画を一気に投稿すること」は異常だという。
2020年12月27日にYouTubeで「100万人行くまでコントし続ける奴」を配信し、当初、企画が3日間にわたることを覚悟していたが、約3時間半でチャンネル登録者を95万人から5万人増やし100万人達成した。
「JARU JARU TOWER」の始動以降、コントのタイトルは全て語尾が「奴」になるように統一されており、過去にリリースしたDVDに収録されていたなどで「奴」がつかないタイトルのコントをアップロードする際は、「奴」をつけたタイトルを改めて付け直している。
チューリップ「ぼくがつくった愛のうた」
M-1グランプリは、第2回(2002年)からラストイヤーの第14回(2018年)まで出場。第6回(2006年)から第14回(2018年)まで9大会連続準決勝に進出しており、その内第10回-11回、第13回-14回(2010・15、17-18)の4度決勝進出。
キングオブコントは、第1回(2008年)から2020年(第13回)まで出場。第2-3回、第12-13回(2009-10、2019-20)の4度決勝進出。第13回で優勝を果たした。M-1グランプリとキングオブコントの両方に4回決勝進出した唯一のコンビである。また、サンドウィッチマン・かまいたちと並んでM-1グランプリとキングオブコントの両方で3位以内の成績を収めたコンビでもある。また、サンドウィッチマンと共にファーストラウンドにおいてM-1グランプリとキングオブコントの両方で1位で通過した経験のあるコンビでもある。
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