『帰ってきたウルトラマン』(かえってきたウルトラマン)は、1971年(昭和46年)4月2日から1972年(昭和47年)3月31日にTBS系で、毎週金曜19時から19時30分に全51話が放送された特撮テレビドラマ。
怪獣と戦う防衛チーム・
なお、本作品の主役であるウルトラマンは、後年にウルトラマンジャックという正式名称が設定されたが(詳細は#名称を参照)、本項では放送当時の名称に基づき、基本的に本作品の主役ウルトラマン(ジャック)を「ウルトラマン」と表記し、「ウルトラマン 空想特撮シリーズ」に登場する「ウルトラマン 」を「初代ウルトラマン(初代マン)」と表記する。
本作品が製作された背景には、1970年に再放送された前3作品『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』が高視聴率を得たこと、フジテレビ出版(後に株式会社 万創へ継承)の「飛び出す絵本」をはじめとした関連書籍、ブルマァクのソフビ人形などの関連商品が好調だったことや、『ウルトラファイト』(1970年)の好反響などがあった。
本作品の企画は、1969年4月28日に印刷された企画書『特撮怪獣シリーズ/続ウルトラマン』から始まり、ウルトラマンとMATが復活した怪獣と戦う基本線はこの時点で確立している。同企画書は『ウルトラマン』から約30年後の地球にウルトラマンが帰ってくるという設定で、現存する第3話までの企画書には科学特捜隊から引退して久しいムラマツやハヤタが登場し、ウルトラマンと一体化したバン・ヒデキ(晩日出輝)がベーターカプセルで変身するなど、初代ウルトラマンを強く意識したものであった。
当初は初代ウルトラマンが帰ってくるという設定であったためにタイトルが『帰ってきたウルトラマン』となったが、商品化展開を踏まえると別人にすべきだというスポンサーの都合でこの設定は没となり、最終的に別人となった。『帰ってきたウルトラマン』は生前の円谷英二によって命名されたと言われる。
続く企画書『帰って来たウルトラマン』では、北海道のカドクラ牧場で働くバンを慕う牧場主の子供のカオル、マサユキ姉弟や特訓による必殺技の獲得などの要素が盛り込まれたが、バンはウルトラマンの仮の姿という扱いであった。企画書としてはこれが最終稿であるが、最終的なストーリーはプロデューサーの橋本洋二と脚本家・上原正三との間で詰められた。そして、橋本と上原、熊谷健と円谷一の間で討議が重ねられ、『ウルトラマン』の続編の色が強かった企画案とは違い、ウルトラマンの力を得た未熟な青年がMAT内の摩擦の中で成長していく橋本が得意とする人間ドラマを主体とした物語となった。これにより、企画の決定は1970年末、または1971年早々までずれ込むことになった。そして、1971年2月6日にクランクインしたが、結果として、前年10~11月までに準備しなければならないタケダアワーでの放送は断念され、TBSが直接管理していた複数スポンサー枠の金曜19時台に放送されることになった。
『ウルトラマン』の主人公・ハヤタが人間的な隙のないヒーローとして描かれ、『ウルトラセブン』の主人公・モロボシ・ダンも私生活まで踏み込んだ演出は行われなかった。しかし、本作品の主人公・郷秀樹は、レーサー志望の平凡な一市民として設定され、私生活面では彼の家族的な立場である坂田兄弟がレギュラーとして登場する。また、主人公がウルトラマンとしての能力に慢心したり、超能力を持つゆえにMAT隊員と軋轢を生むなど、日常的な困難を乗り越えるための努力が強調された。変身後のウルトラマンもしばしば怪獣に対して苦戦したり敗北したりしている。こうした作劇が、後年の評論で「人間ウルトラマン」と呼ばれている。これについてメインライターの上原正三は、『ウルトラマン』と同じようなことをやろうとしても模倣にしかなりえないため、差別化として崇高さのある初代ウルトラマンに対し子供と同じ目線にし、『柔道一直線』のような未熟な若者が組織や戦いの中で鍛えられ成長していく様を描いたと述べている。
第1期ウルトラシリーズを放送していたタケダアワーがSF路線や怪奇路線から転換して『柔道一直線』となるなど、当時の子供たちの流行がスポ根ものに移行していったことから、本作品でもその要素が意識されている。
当初は前述のような郷の苦悩と成長などシリアスなドラマ性が強く打ち出された。その中で、
など新たなタイプの秀作が生まれ、新たな試みがなされた。しかし、人気番組『ウルトラマン』の後継作として本作品に期待される視聴率の水準は高いものがあり(TBS側では30%台を期待していた)、1クール目の視聴率はその期待に沿うものではなかった。その原因としては、人間ドラマを中心に置いた内容が幼児たちに充分受け入れられなかったこと、予算的な問題で舞台が市街地や山間部、島嶼になる場合が多く、都市破壊の爽快さを欠いたことなどが挙げられている。
この状況で円谷プロは、アンケート調査や主な連載誌である学年誌での読者調査などのマーケティングを行い、ウルトラマンの強化や宇宙怪獣の登場などが求められているとの結果を得、第18話のベムスターをはじめとし、宇宙怪獣を数多く登場させた。また、ウルトラマンを救うべく、前作の主人公ウルトラセブンを登場させ、万能武器ウルトラブレスレットを与えさせる。このことにより、ウルトラマンのキャラクター強化に成功している。また、第13・14話では大津波と竜巻による東京破壊を映像化し、その高い特撮技術をアピールしたり、当時人気絶頂のキックボクサーで、本作品の前番組『キックの鬼』のモデルでもある沢村忠を本人役でゲスト出演させた第27話や、放送当時高校生であった小林晋一郎から投稿された原案を採用した第34話など対外的な話題作りも、番組の知名度アップに貢献した。3クール目以降はほぼ全エピソードが視聴率25%をマークし、製作費も1話平均550万円にまで増額されることになった。
数々の強化策の一方でドラマ面でも強化が図られ、
など、評価の高い作品が送り出された。特に第31話から第34話は、ちょうど放送月が一致したことで後に一部で「11月の傑作群」と呼ばれたほどで、この時期の視聴率も20%台を順調に維持した。さらに、坂田アキ役の榊原るみが別のドラマへの出演のためにスケジュール確保が困難になり、第37・38話で坂田健と坂田アキはナックル星人に謀殺されて物語から姿を消し、初代ウルトラマンとウルトラセブンの登場というイベントと相まって、ここで内容的にも視聴率的にも一つの頂点を迎えた。榊原るみの降板後のヒロインは村野ルミ子役の岩崎和子に引き継がれた。
ドラマ部分として郷の私生活は、坂田家で1人生き残った次郎と、隣人で次郎の姉代わりとなったルミ子を中心に描かれる。特撮部分の強化策として怪獣とそれを操る宇宙人の2体セットでの登場を増やし、娯楽性が強調された。この時期の視聴率(#放映リストを参照)は常に25%以上で推移しており、第2期ウルトラシリーズでは最高視聴率を記録した時期である。
第51話では、バット星人が地球侵略に出ると同時に、その同族たちがウルトラの国に全面戦争を仕掛ける。MAT基地を破壊され、次郎とルミ子を拉致されるなど、郷=ウルトラマンとMATは最大の危機に陥る。自ら操るマットアローが墜落する寸前にウルトラマンに変身した郷に対し、バット星人は自ら育て上げたゼットン(二代目)とともに襲い掛かる。2体がかりの攻撃でウルトラマンを苦しめるが、ブレスレットの能力と自身が編み出した新必殺技「ウルトラハリケーン」でバット星人とゼットンは倒され、ウルトラマンは勝利する。そして、郷はバット星の艦隊からウルトラの星を守るために次郎とルミ子に別れを告げ、2人にはウルトラマンとしての正体を明かしつつ地球を去ることで、物語は幕を閉じる。
本作品での歴代ウルトラマンの客演は好評を博し、『ウルトラマン』の最終回(第39話)に登場したゾフィーが長兄に当たる「ウルトラ兄弟」という、雑誌上で設定された捉え方がテレビ作品に導入される一種の「逆流現象」につながった。第51話でのバット星人のセリフにはウルトラ兄弟が明確なものとして用いられており、次作『ウルトラマンA』から本格的にその設定が多用されていく。
本作品の具体的な年代は劇中では明示されていない。非日常的な場所でのロケを多用し、「近未来」や「無国籍」を演出していた前2作品と比べると生活感のある場所での映像が多く、放映年代と同じ1970年代初頭の日本が意識されている。これは、前2作は海外販売が前提に制作されていたが、本作品は純粋な日本国内向けに制作されているためである。劇中で映る日付や、語られる第二次世界大戦の体験など、現実の日本と重ねた演出が散見される。また、国外の描写はほとんどなく、MATの他国支部の活動もわずかに語られるのみである。
ウルトラ兄弟などの設定により、作品世界は他のウルトラシリーズ作品と繋がっているとされているが、劇中では前2作の作品世界との関係は明示されておらず、バルタン星人Jr.やゼットンの登場、第38話でのハヤタとモロボシ・ダンの登場で暗示されているのみである。また第51話では、郷秀樹が夢の中で初代ウルトラマンとゼットンの戦いを見る場面に『ウルトラマン』第39話の映像が流用されている。
一方、後述のように次作『ウルトラマンA』第10話で本作品の後日譚、第12話では本作品の第26話での出来事が語られた他、『ウルトラマンタロウ』や『ウルトラマンレオ』では郷が登場することから、第2期ウルトラシリーズはすべて同一世界であることが明示されている。
第51話で郷秀樹が地球を去る時に次郎に伝えた誓いで、次郎はこれを叫びながら郷を見送った。『ウルトラマンA』や『ウルトラマンメビウス』でも使用されている。
監督は円谷英二と縁の深い東宝の本多猪四郎を第1・2話で起用し、作品のオープニングを飾った。本多は第7・9・51話(最終回)でも監督を務めた。
東宝からは他に、筧正典と松林宗恵が参加。また、東映から冨田義治、佐伯孚治、日活から鍛冶昇、国際放映から山際永三、TBSから真船禎と、他の映画会社出身の監督招聘にも積極的であった。冨田は東映との関わりも深かったTBSプロデューサーの橋本洋二の要請により、佐伯は監督した『江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎』第25話「白昼夢 殺人金魚」を円谷プロプロデューサーの熊谷健が気に入ったことによりそれぞれ起用された。筧・山際・真船の3名はその後の第2期ウルトラシリーズでも主力を務めた。
本作品での円谷プロ出身の監督は東條昭平と本作品第32話で本編監督としてデビューした大木淳のみである。しかし、東條は参加第1作となる第33話「怪獣使いと少年」がTBS上層部で問題視されたことから助監督に降格し、本作品での監督作品はこれ1本のみであった。
本作品の脚本陣は、メインライターの上原正三が全51話中20本を担当。前後編の話などを中心に東京が危機に陥る作品が目立つ。しかし、坂田兄妹死亡後のシナリオは第51話を除いて担当していない。後の『ウルトラマンA』でメインライターを務めることになる市川森一は、本作品では6本と少ないものの、セブンや新隊長が登場するターニングポイントとなる話を書いている。上原と市川は同時期の『仮面ライダー』の企画にも携わっていたが、本作品のために離脱した。
また、円谷プロ出身の田口成光は本作品でデビューし、6本のシナリオを執筆。田口は後に『ウルトラマンタロウ』や『ウルトラマンレオ』でメインライターを務めることになる。宇宙人や宇宙に絡む話は主に石堂淑朗が担当。侵略手段が横暴で性格的にも柄の悪い宇宙人を登場させるなど、一種独特な話を好んで執筆した一方、地方色や土着性の強い民話風のストーリーも得意としており、本作品では9本のシナリオを担当。『ウルトラマンレオ』に至るまで、第2期ウルトラシリーズに積極的に関わった。
第1期ウルトラシリーズで監督を務めた実相寺昭雄や飯島敏宏も、1本ずつ担当。また、プロデューサー補の熊谷健と親交のあった小山内美江子も熊谷からの依頼で1本担当している。第1期ウルトラシリーズのメインライターであった金城哲夫も1本担当した。
他社で活躍していた脚本家としては、『隠密剣士』(1962年)や『仮面の忍者 赤影』(1967年)、本作品の放映当時も『仮面ライダー』を担当するなど、宣弘社や東映作品を多数手掛けた伊上勝が第9・49話の2本を担当。また、石堂の紹介で松竹から斉藤正夫が招かれて2本のシナリオ(第45・50話)を担当。
坂田健役の岸田森は、朱川審のペンネームで第35話を執筆したということで大きな話題を呼んだ。また、第34話の原案は当時高校生だった小林晋一郎によるもの(シナリオは石堂)で、小林は映画『ゴジラvsビオランテ』でも同じく人間が作り出した植物の怪獣という原案が採用されている。小林によれば、第1期ウルトラシリーズとの作風の違いに違和感を覚えて1971年6月ごろに作品への要望とともに13本分の怪獣デザインとストーリーを円谷プロに送ったところ、「いろいろあった末」に採用されたという。
その他、新人時代の長坂秀佳が1本担当。
上原は郷秀樹と坂田アキの恋物語を成就させるという構想であったが、榊原が降板を申し出たことによって展開が狂い、中途半端な消し方では視聴者に期待を抱かせるため、坂田兄妹を死の世界へ送ったという。ただし、坂田兄妹の死によって、郷の私生活の面が描けなくなったといい、シンプルなストーリーかつ軽快なストーリー展開になったことで意欲が削がれたことで第37・38話は最終回のような雰囲気になり、第51話はエピローグになったという。
特撮美術は『ウルトラセブン』に引き続き池谷仙克が担当したが、1971年に公開された実相寺昭雄のATG映画『曼荼羅』に参加することとなったため、第12話で降板した。後年のインタビューで池谷は本作品への参加には積極的でなかった旨を語っている。降板後、旧知の特技監督である大木淳が本編を初担当した第32話で大木からの依頼により怪獣キングマイマイのデザインを手掛けた。
オープニングにはクレジットされていないが、着ぐるみ造形は主に開米プロが、一部を高山良策(グドン、ツインテール、ステゴン)、東宝特殊美術部(タッコング、ザザーン、アーストロン)、円谷プロ社内の造形スタッフ(キングザウルス三世)が担当。東宝特美による3体は見た目はしっかりしていたが硬くて動けず、開米プロが改修を行い、そのまま同プロが造形の中心となった。高山は『ウルトラセブン』から引き続いての参加であったが、同時期に『スペクトルマン』も担当していたため3体のみに留まった。
オープニングには未クレジットだが本作品の怪獣(宇宙人)デザインは、特撮班美術の池谷仙克や高橋昭彦のほかに、プロデューサー補の熊谷健(シーゴラス、ベムスターほか)や、米谷佳晃(グロンケン、バリケーン、ヤドカリンほか)、利光貞三(サータン)、末安正博(ゴキネズラ)などが担当。最終話に登場したバット星人は、当時の小学館編集部スタッフによる作とされている。
既述通り、第22話でMAT隊長の途中交代がある。隊長役交代はウルトラシリーズ初の出来事だった。これは2クールから4クールへの番組延長にあたり、加藤勝一郎隊長役の塚本信夫が地方公演のために出演不能となったと憶測が流れ、過去に発売された関連書籍でも舞台公演に関することを理由とした言及がなされ、それ以外にもさまざまな憶測を生んだ。ただし、番組の延長に伴うものではないということが、後に団時朗(郷秀樹役)・池田駿介(南猛役)・西田健(岸田文夫役)の三者会談同窓会の記事で明かされているが、真相は語られていない。
劇中設定としては、加藤隊長が宇宙ステーションに転任し、加藤隊長のかつて上官・伊吹隊長がニューヨーク本部から転任してくるというドラマで交代の事情が説明され、その交代劇がシリーズの1つのイベントとなっていた。
新隊長・伊吹竜役としては、東宝特撮映画の常連で知られ、『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』への出演歴もある土屋嘉男などが候補に挙がったが、最終的には大映映画を中心に活躍していたベテランの根上淳に決定された。大映の二枚目スターとして一般の視聴者にも知名度の高い根上の起用は、子供番組として一般のテレビドラマよりは一段低い扱われ方だった特撮テレビドラマの中での1つのイベントであり、ウルトラシリーズの存在を保護者層にもアピールするものだった。これは、橋本プロデューサーからの「塚本より格下の俳優は起用しないこと」との指示を受けてのことである。
当初予定された新東宝出身の中岡慎太郎がボディビル体型だったが、スマートな団とのイメージが違いすぎるため、『ウルトラセブン』第14・15話でのみウルトラセブンを演じた経緯から菊池英一が演じることとなる。
ゾフィーの命を受け、地球にやって来た宇宙警備隊隊員である。
本作品中では、企画当初の名残で一貫して「ウルトラマン」としか呼ばれていない。そのため、後年の客演時や書籍などでは、初代ウルトラマンと区別するために様々な名称を設定されていた。
『ウルトラマンA』第14話のナレーション、および劇中での北斗星司とヤプールからは
しかし、1984年に公開された映画『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』の公開に先立ち、ウルトラファミリー紹介時に各々に固有名詞の必要が生じた際、円谷プロ社長・円谷皐(当時)によってウルトラマンジャックという正式名称が設定された。以降の書籍・関連グッズなどではほぼこの名称で統一され、「ウルトラマンII世」や「新マン」は別名という扱いになっている。中国で放送された際には『杰克・奥特曼』(杰克はジャックと読む)のタイトルとなる。
その後、映画『ウルトラマン物語』や『ウルトラマンメビウス』でも「ジャック」と呼ばれている。地球人は「ジャック」の名を知らないため、「ウルトラマン」としか呼んでいない。映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』では、こうした呼称の変遷をセルフパロディ化したギャグがある。
「ウルトラマンジャック」という名前は『ウルトラマンタロウ』の企画段階における名前でもあった。他にもかたおか徹治の漫画『ウルトラ兄弟物語』の「ウルトラ一族の大反乱編」(第1巻収録)に登場したウルトラの父の兄の名前も「ウルトラマンジャック」であるが、直接の関連性はない。
歴代ウルトラヒーローの中でも例外的に変身アイテムを用いない。郷が生命の危機に陥ったときに自然に変身する。郷の頭上に天空から十字状の光が降り注ぐと、それに呼応するように郷が右手または両手を斜め上に振り上げ、変身するというパターンが基本であった。意識的に変身する場合は右手を高く掲げることが多い。中盤以降は郷の意志による変身も多く見られるようになる。
第51話では郷とウルトラマンが分離することなく地球を去り、以降のウルトラシリーズ客演の際には完全に郷の意思で変身している。
第18話でベムスターに苦戦するウルトラマンが、ウルトラセブンから授かった万能武器。普段は腕輪としてウルトラマンの左手首に装着されているが、ウルトラマンの脳波に反応して様々なアイテムに変形する。スティック状のナイフ・ウルトラスパークをはじめ、ブーメランや槍などのさまざまな形態に変化させて使用する(個々の説明は後述)。使用時は左肘を曲げてブレスレットを示し、右手でこれを掴んで外す動作が続き、変形させたり直接投げ付ける。一度に複数の用途には使用できず、第20話ではウルトラマンがそのジレンマに苦しむ様子も描かれた。時には武器としてだけでなく、湖を丸ごと蒸発させたり、惑星を丸ごと爆破したり、バラバラにされたウルトラマンの体を復元させるなどの能力も見せている。どの機能であれ、役目を果たすとウルトラマンの意思に呼応するかのように手元に戻る。第31話ではゼラン星人にコントロールされてウルトラマンに襲いかかったが、ゼラン星人が倒されてその制御が解けると再びウルトラマンの左手に収まった。
第24話のキングストロン戦でウルトラブレスレットを外した直後に攻撃を受け地面に落としてしまう描写がある(後に拾い上げキングストロンに投げつける)。内山まもるの漫画版では、ベムスターにウルトラブレスレットを弾かれて地面に落とした際に必死に探す様子が見られた。
ウルトラマンが持つ最大最強の武器であり、『ウルトラマンA』第1話、第13話、第26話で他の兄弟が光線のポーズを取るのに対してウルトラブレスレットを外すポーズを取ったり、第14話でウルトラ4兄弟がエースキラーに各々の必殺技を奪われた際にも奪われたのはブレスレットだった。これらのシーンはブレスレットがウルトラマンの代表的な技であることを示している。その後の第2期ウルトラシリーズ客演時には『ウルトラマンA』第26話で地球に降り立ったシーンではブレスレットを装着しておらず、『ウルトラマンレオ』第34話でタロウブレスレットを装着していたなど装着の状況が一定していないが、これは本作品の撮影終了時にスーツアクターの菊池に撮影用の小道具が記念に贈られ、以降の撮影には使用されなくなったためで、ウルトラブレスレットを武器にするという設定自体は変わっていない。『ウルトラマンメビウス』の劇場版でも使用され、それ以降の劇場版で毎回使っている。また、PlayStation Portable専用ソフト『ウルトラマン Fighting Evolution 0』のストーリーモードのジャック編のプロローグにて「警備隊1のブレスレットの使い手」と解説されている。『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では他の光の国の宇宙警備隊隊員も量産型を標準装備していることが描写された。
美術スタッフの高橋昭彦によるものとされるが、高橋本人は否定している。また、現存するデザイン画は、かつて『別冊てれびくん (1)ウルトラマン』(小学館)や『ウルトラマン白書』で「池谷仙克の筆による」と紹介されたこともあり、高橋は前述のインタビューで「池谷の画だと思う」と語っているも、池谷は否定している。
最初期のデザインは前述のように初代ウルトラマンが帰ってくる予定であったため、ボディのラインの形状は初代マンと同様であったが、マーチャンダイジングを考慮して、当時の円谷プロ営業課長だった末安正博が、初代ウルトラマンの商品化用三面図の赤い部分の縁に細い線を描き加えてデザイン画として高橋昭彦が完成させたという。最初のスーツはこのデザインに基づいて制作され、撮影も進行していた。しかし、マーチャンダイジング的に弱いという判断から本作品の商品化権を取得したブルマァクの要望によりキャラクターを初代マンと明確に差別化する必要に迫られて末安によって首のライン処理や両太腿のラインの角度を変更したデザインが描かれ、すでに撮影済みだった第1話の登場シーンも再撮影された。
基本的に初代マンに準じた形状だが、身体の赤い模様を二重線で縁取っており、首から胸元と腰から膝までの模様が異なるのが大きな特徴である。また、銀色の質感も光沢のあるものであった。中盤以降は、一部の赤い部分のラインの切れ込みパターンを変更しているほか、後頭部から背中にかけてのヒレの部分が大きくなる。
マスクは初代マンのCタイプから原型を取り、開米プロダクションとヒルマモデルクラフトが製作した。商品化登録用の撮影の際に目の取り付け角などが変更され、初代マンやそれに準じた最初のスーツよりわずかに吊り目となっている。目はヒートプレスした塩ビで作られ、目の裏側に透明エポキシ樹脂によって玉模様に点付けして凹凸を作っている。目の位置や目の角度、のぞき穴の位置などが異なるタイプのものが複数存在する。後頭部は番組開始当初では赤色で塗装されているが、番組後半では銀色で塗装されていることもあった。そのほか、スーツの個体差に由来する太腿のラインの切れ込み方や首元のライン取りの差異は多い。特に、『ウルトラマンタロウ』第52話に客演した際には本作品で銀一色だった手袋が赤一色に変更されたため、後頭部と併せてオリジナルとは異質な姿となっていた。
手足の継ぎ目を隠していた初代マンと異なり、手袋とブーツのすそが明確に露出している。これは撮影時のスーツの着脱の容易さを考慮したもので、『ウルトラセブン』撮影時の経験を生かしたものである。ブーツと手袋のファスナーの部分は、デザイン画の時点から赤いラインが入っている。中期から、左腕にウルトラブレスレットを装着する。
飛び人形は大サイズと小サイズはヒルマモデルクラフトの比留間伸志、中サイズは人形工房が製作を担当。原型はバルサの削り出しで、型を石膏でとってFRPで仕上げている。カラータイマーと目には電飾が入っている。スーツの再現ではなく、筋肉隆々にするなどのカリカチュアライズをしているのが特徴であり、従来に比べて胸板もかなり厚くなっている。基本的にはロングショット用だが、第28話のバリケーン戦のようにアップで使用されることもある。離れ目であることから、顔はあまり似ていない。大サイズは3個スペアが作られており、そのうちのいくつかが東宝に渡り、東宝特美でもスペアが作られている。東宝に渡った飛び人形は、ウルトラマンエースやウルトラマンタロウの飛び人形に改造されている。『ウルトラマンA』客演時の飛び人形は発泡スチロールによる新規造形。
『ウルトラマンA』の第26・27話に客演した際にはブロンズ像となった状態を表現するためにラメ入りの水性塗料が全身に塗られたことから、その際に使用したスーツは再利用が不可能と判断され、裁断されて廃棄された。
『ウルトラマンタロウ』第52話客演時のみ手袋やブーツが赤色になっており、これは仮面ライダー新2号を意識したものである。また、『ウルトラマンタロウ』第33・34話や第52話では、胸の模様が本作品の第1話撮影時のNGに近い形状になっていた。
1987年春から同年夏にかけ、明星食品のカップ麺『チャルメラ』のCMにサラリーマン姿のウルトラマンが登場した。設定上は初代ウルトラマンであるが、赤い首回りにワイシャツ姿は似合わないため、首回りが銀色であるウルトラマンジャックのスーツが使用されている。
2022年時点では4クール目に新調され、最終話まで使用されたスーツが現存しており、2021年に開催された『庵野秀明展』にて展示された。
客演回数はセブンの次に多い。『ウルトラマンメビウス』以降の作品では、ウルトラ兄弟のなかでも伝説的存在である「ウルトラ6兄弟」の1人にカウントされている。
一般市民が町で隊員服を見かけてMATの活動を察知したり、子供たちが街中でマットビハイクルに群がったり、隊員と直接面識のない人物(第27話の沢村忠)からもMAT隊員として声をかけられたりするなど、MATの活動内容はかなりオープンになっている。
しかし、その一方で軍内部では組織的に弱い立場であるらしく、常にMATのことを快く思わない上層部や世論から解散の圧力をかけられることもたびたびあった。
次作『ウルトラマンA』第10話ではMATのファイルの存在が語られている。
実動部隊と後方支援部隊(通信・整備)からなり、少数精鋭主義を取っているため、隊員数は少ない。また実動部隊のヘルメットには額部分に番号が書かれている(1番が隊長)。
MAT日本支部は東京湾の海底に位置する。内部には隊員たちが勤務する司令室を中心に、隊員たちのアパートや病院などの居住施設、訓練場、ライドメカの格納庫や整備場、整備場管制室が設けられ、アローやジャイロの発進サイロは地上部に設置されており、チューブ状の通路によって往来。
MATの司令室は基本レイアウトとして周囲に長官席や各種コンソールルーム、出入り口などが等分に配されている。また、前期、中期、後期に区別されており、前期は第1 - 4話、中期は第5 - 36話までのモスグリーンの色で統一されたデザインで、後期は第37話から第51話のホワイトグレーの色で統一されたデザインに変更され、計器類・出入り口通路などのレイアウトと細部も同時に変更された。
他に海岸沿いの灯台や岬の崖にカモフラージュされた地上発進口や書類管理や事務処理用の専門部署(中央区神田錦町二丁目・架空の場所)、レーダー基地がある。
最終回で、隊員たちが出撃した隙を突かれ、バット星人に基地の原子炉を破壊され、ほとんどの施設の機能が麻痺してしまった。
MATは数々の特殊装備を持ち、状況に応じて使っている。
実動部隊の隊員服は赤に寄った強いオレンジ色が基調色で、胸に黒いV字型の模様が入るシンプルなデザイン。この部分は伊吹隊長のみ袖と胸のラインの上に細い線が入る。高い耐熱、耐寒、耐久性を持つ。
参考文献 - 『円谷プロ画報 (1)』(竹書房・2013年)p.212、213、『帰ってきたウルトラマン パーフェクトファイル』(講談社、2015年)p20-119
参考文献 - 『円谷プロ画報 (1)』p.212、213 ※全てノンクレジット
※ウルトラマン以外ノンクレジット
※ムルチ、ブラック星人、ストラ星人、グロテス星人、ケンタウルス星人、ズール星人については不明。
出典→
本作品より主題歌とBGMを異なる作曲家が担当するという分業体制に入った。主題歌と挿入歌の作曲はすぎやまこういちが担当。「帰ってきたウルトラマン」と「MATチームの歌」をカップリングした団次郎の歌唱によるオリジナルバージョンは原盤権を持つ日本コロムビア(EP盤)と朝日ソノラマ(初版のソノシート)がリリース。競作となる他のメーカーはカヴァー・ヴァージョンを収録した。
カヴァー・ヴァージョンには、子門真人・ヤング・フレッシュの共演とヤング・フレッシュ単独の2種(以上日本ビクター→ビクター音楽産業)、ボニー・ジャックス(キングレコード)、藤井健・ザ・ブレッスン・フォー(CBS・ソニー)、若子内悦郎(東芝音楽工業→東芝EMI)、外山浩爾(ゼール音楽事務所制作・朝日ソノラマ=再版のソノシートおよびソノラマレコード・東宝レコード他)、山形忠顕(テイチク)、三鷹淳(日本コロムビア)によるものがある。なお、カヴァー・ヴァージョンにはカラオケ部分のみオリジナル音源を使用したもの(三鷹版、若子内版、山形版など)がある。
『ウルトラマンレオ』第34話の劇中では、外山浩爾のカヴァー・バージョンが使われていた。
BGMは前作『ウルトラセブン』に続き、冬木透が作曲した。
小学館が雑誌掲載の権利を持っており、小学館の各雑誌に漫画化作品が掲載されている。学習雑誌では巻頭カラー特集で、ウルトラマン、怪獣、MATに関する図解、画報が掲載された他、怪獣パノラマ、MATシュート(輪ゴム式)、MAT隊員手帳などの付録が付けられていた。また、読者向けにオリジナルバッジの有料頒布も行われている。
『東宝チャンピオンまつり』にてテレビ版をベースにした作品が3シーズンにわたって公開された。
筆箱、鞄、ズック靴、ハンカチ、水筒、弁当箱、茶碗、箸、スプーンなどの食器などに、ウルトラマンと怪獣、あるいはマットアローなどを配したイラストに番組ロゴを加えたデザインがあしらわれて商品化された。
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