京丹後市(きょうたんごし)は、京都府北部地域にある市。北西で日本海に面し、京都府および近畿地方の最北端である経ヶ岬が市内の丹後町にある。
日本海に突き出す丹後半島の大部分を占めており、自然の美しさや、ズワイガニの高級品「間人(たいざ)ガニ」など海産物に恵まれている。日本海側気候であり、豪雪地帯に指定されている。
市域を京都丹後鉄道宮豊線が横断するが、空港や新幹線駅からは遠く、公共交通機関では東京都からは片道6時間程度かかり、時間的に「東京から最も遠い町」の一つである。このため2022年、航空会社のピーチ・アビエーションおよびバス会社のWILLER(ウィラー)と連携し、従来は来訪者の9割以上を占めていた近畿地方以外からの観光誘客と、ふるさと納税拡大を取り組みを始めた。
2018年(平成30年)、沖縄国際映画祭 JIMOT CM REPUBLIC 全国46都道府県部門において、大宮町常吉地区をモデルにSDGsのgoal11「住み続けられるまち作り」を題材に制作したCM「便利さよりも安心できるまち京丹後」でグランプリを受賞した。
確実な記録がある世界で最高齢の男性である木村次郎右衛門を始め、2013年2月時点で100歳以上の長寿者が全国平均の約2.5倍となる60人在住している。市では同年齢以上を「健康大長寿」と称したうえで、これを活かした自治体や医療関係者および市民向けのシンポジウム「健康大長寿のさとづくり全国交流会」を2008年11月に初めて開催した。また、2013年度からは食習慣を調査し市民向けに広報するとともに「長寿のまち」としてアピールするとしている。2016年3月には市と京都府立医科大学が長寿に関する研究を行う施設を京丹後市立弥栄病院内に共同で設置し、京都府立医科大学附属北部医療センターとも連携して市内の高齢者を対象とした調査が10年間かけて行われる予定となっている。 2017(平成29)年からは、長寿の要因を探るため、65歳以上の高齢者を対象に2000項目にわたる健康調査を実施し、青森県の弘前大学と協同で「京丹後長寿コホート研究」で実施、青森県弘前市「岩木健康増進プロジェクト」と連携した同市岩木町との地域比較を行っている。 また、(株)Peach AviationとWILLE(株)と共同し健康長寿に関連した旅行商品を開発した。
市名は丹後国に由来する。平成の大合併において、京都府内では既存の市名との重複を避けるためもあって「京」を冠する所が多いが、当市の場合は合併する自治体の中に「丹後町」があったため、他町への配慮からか重複がないにもかかわらず「京」を冠している。一般的に都市名の重複を避ける等のために冠する側になる旧国名が、冠される側になった珍しい例である。
丹後半島の大部分の海岸線は、切り立った複雑な断崖によって形成されている。
京都府の最北部に位置しており、市制施行時点の人口は約67,000人だった。旧峰山町役場に市役所が置かれたほか、その他の5つの旧町役場はそれぞれ市役所庁舎となった。現在の京丹後市は全域がかつての久美浜県に含まれる。
京都丹後鉄道宮豊線には、市名を冠する駅としては京丹後大宮駅がある(2015年3月まで丹後大宮駅)。同線には峰山駅、網野駅、久美浜駅と旧町名を名乗る駅も存在する。なお、高速道路や地域高規格道路などとしては山陰近畿自動車道(鳥取豊岡宮津自動車道)の一部が敷設されている。
旧町名は大字として住所表記に残された。峰山町、大宮町が中郡、網野町、丹後町と弥栄町が竹野郡、久美浜町が熊野郡であった。合併による市制施行によりこれら三つの郡は消滅した。
平成22年(2010年)国勢調査より前回調査からの人口増減をみると、5.87%減の59,044人であり、増減率は府下26市町村中20位、36行政区域中30位。
日本海に面する市域一帯には、峰山町に扇谷遺跡、途中ケ丘遺跡、弥栄町に奈具遺跡など弥生時代の大遺跡があり、日本海側における文化の一大中心地であったと見られる。
古墳時代の4世紀中頃には、網野町に日本海側最大の前方後円墳である網野銚子山古墳(全長198メートル)、丹後町に神明山古墳(全長190メートル)が築かれた。当時は独自の王国(丹後王国)があったとの説もある。
峰山町丹波は8世紀始めには丹波国丹波郡丹波里といわれたところで、丹波国の中心地であったと見られる。その後、713年に分置された丹後国となった。
主要な延喜式内社としては多久神社(峰山町丹波)、大宮売神社(大宮町周枳)、竹野神社(丹後町宮)、奈具神社(弥栄町舟木)、網野神社(網野町網野)などが鎮座する。
関ヶ原の戦いの功績により丹後全域が京極高知の領国(丹後藩)となった。
高知の三子により3藩に別れ(丹後三分割)、峰山には京極高通により峰山藩が置かれる。宮津藩京極家は改易、舞鶴藩京極家は但馬へ転封となる中、峰山藩京極家は丹後の所領を幕末まで守り通し、京極高知の丹後藩の伝統を伝える存在として知られた。また峰山藩京極家からは幾人もの若年寄が出て、江戸幕府の中枢で活躍した。
現在の久美浜町には久美浜代官所が置かれ、山陰地方の天領を統轄した。のち、幕末から明治の一時期には久美浜県が設置され、県庁が同代官所跡に置かれたこともある。
※2020年(令和2年)5月1日時点。
郵便番号は、以下の通り(2004年4月1日に変更)。
マスメディアのうち3社が、市内に取材拠点を置いている(50音順)。
峰山町西山には峰山中継局があり、京丹後市内の一部地域に向けてテレビ・FM放送を送信している。また、久美浜町には難視地域を対象としたサテライト局がある(2011年7月24日に運用終了したアナログ放送では網野町浜詰、丹後町間人、同町徳光にもあった)。京丹後市を拠点とする放送局として、コミュニティ放送の京丹後コミュニティ放送(FMたんご、峰山町丹波)があり、久美浜町と丹後町の一部を除く地域で聴取できる。 テレビチャンネル・ラジオ周波数については京丹後市内テレビ・FM中継局を参照。
ケーブルテレビ・ラジオ周波数(ACTV京丹後局)
丹後地方出身の杜氏は丹後杜氏として知られ、京都・伏見の酒蔵などで高く評価されていた。現在も丹後地方には多数の酒蔵や醸造業企業がある。
少子化による児童数減少の影響から学校再配置計画が進められている。合併時の2004年時点では小学校は31校あったが、少子化で2018年2月時点では19校に減少。閉校・統合に伴う移転による小学校跡地・施設は14か所ある。市は同年4月に2校、2019年春には更に2校の小学校統合を計画している。市は既存施設を使い産業振興や地域活性化を図るとしている。
中心となる駅:峰山駅
2011年6月18日より、65歳以上の市民は京都丹後鉄道(2015年3月までは北近畿タンゴ鉄道)全線を上限200円で利用できる「高齢者上限200円レール」の取り組みを行っている。当初は土曜・日曜・祝日のみの適用だったが同年10月より毎日利用可能となる(お盆と年末年始は除く)。2012年10月からは京丹後市に加え宮津市・与謝野町・伊根町にも拡大。
市内全域を、丹後海陸交通(丹海バス・本社:京都府与謝野町)が担当している。また、大宮町(2008年より)、丹後町(2014年より)、弥栄町、久美浜町には京丹後市営バスが運行されている。
2006年10月1日より、丹後海陸交通との協働により市内の一部地域にて「上限200円バス」の運行を開始した。2007年10月1日からは丹海バスの上限200円の運行エリアを市内全域に拡大したほか、市営バスでも上限200円として運行を開始。2013年10月1日からは、京丹後市に加え宮津市・与謝野町・伊根町にも運行エリアを拡大している。
2014年7月14日より、新たに丹後町にて市営バスの実証運行を開始した。電話による予約運行(デマンドバス)で、必要とする区間を運行するもの。予約受付とバス運行は丹後町のNPO法人が行う。
京丹後市と京都市・大阪市を結ぶ昼行路線が運行されている。いずれも丹後海陸交通が運行するが、大阪線は阪急観光バスとの共同運行である。
※太字は京丹後市内の停車地。京丹後市外の丹後地域の停車地は省略。
峰山町の一部と、大宮町の一部で2021年6月30日に定額乗り放題AIシェアリングモビリティサービス「mobi(モビ)」の運行を開始した。
乗車プランには月額(サブスクリプション)制のほか、1回乗車プランが設定されている。
利用者は、専用のアプリから利用が可能(スマートフォンを利用しない場合は電話から予約できる)で、AIルーティングによる最適ルートでの誘導を可能としている。同居家族を6名まで追加(別途追加料金)でき、送迎の負担軽減や、高齢者の免許返納後の代替交通として期待されている。
網野町と久美浜町で2015年10月1日、「EV乗合タクシー」(通称・丹タク(たんタク))の運行を開始。丹後海陸交通が運行事業者となり、各町で1台ずつ運行した。
乗車は網野町・久美浜町全域、降車は京丹後市全域と豊岡市の市街地周辺。町内は1人500円(小学生は半額)、旧町を超えると旧町毎に250円が加算される。予約制だが駅受け(網野駅・久美浜駅)は予約なしでも利用可能。人を乗車させるだけではなく、「買い物代行、見守り代行(1人暮らし高齢者の安否確認)、図書館代行(本の借受、返却を代行)、病院予約代行、小荷物輸送サービス」を行う新たな「乗合デマンド型」の輸送サービスを行うとした。
しかし、利用者数の低迷や、開始時はタクシー事業者が無かった両町に民間のタクシー事業者ができたことなどから、2020年3月31日をもって終了した。
市内各所で天然温泉が湧出しており温泉施設が豊富である。
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