『Wの悲劇』(ダブリューのひげき)は、夏樹静子による日本の推理小説。光文社カッパ・ノベルスより1982年2月に刊行された。日本有数の製薬会社・和辻薬品の会長有する山中湖畔の別荘を舞台に、女子大生・摩子による当主・与兵衛の刺殺事件を描く。アメリカの推理作家エラリー・クイーンが別名義で発表した推理小説「悲劇4部作」(『Xの悲劇』『Yの悲劇』『Zの悲劇』『レーン最後の事件』)へのオマージュとして執筆され、題名の「W」はXYZに次ぐ第4の未知数、悲劇の舞台となる和辻家、そして女性(Women)を表している。
1984年に映画化、また数回にわたりテレビドラマ化されている。
和辻家は富豪一族である。一家が集まった正月のある夜、和辻家の令嬢・摩子が血染めのナイフを手にしながら居間に現れ、「私、おじい様を殺してしまった」と絶叫する。全員が集まると、和辻家の当主・与兵衛が殺されていた。
※年齢等は夏樹(2007)、p.5の「主な登場人物」等から。
角川春樹事務所の製作で映画化され、1984年12月15日に公開された。監督は澤井信一郎。主演は薬師丸ひろ子。本作のストーリーを劇中劇として翻案されている。
『ミステリー Wの悲劇』と題して、TBS系列の「日立テレビシティ」枠で1983年2月23日および3月2日の水曜日21:00 - 21:54に前・後編で放送された。
『Wの悲劇 京都資産家殺人事件』と題して、フジテレビ系列の2時間ドラマ「金曜女のドラマスペシャル」(毎週金曜日21:02 - 22:52)で1986年6月20日に放送された。
『夏樹静子サスペンス Wの悲劇』と題し、テレビ東京系列・BSジャパン共同制作の2時間ドラマ「女と愛とミステリー」(毎週日曜日21:00 - 22:54)として、BSジャパンにて2001年5月20日に、テレビ東京系列にて同年5月23日に放送された。
「夏樹静子・作家40周年記念サスペンス特別企画」として、TBS系列で2010年1月11日(月曜日21:00 - 23:24)に放送された。
岡田惠和脚本により現代風のアレンジがされたオリジナル展開となる。主演の菅野美穂はTBSドラマとしては初主演。視聴率13.3%。
テレビ朝日系列の「木曜ドラマ」枠で、2012年4月26日より6月14日まで毎週木曜日21:00 - 21:54 に放送された。全8回。主演は武井咲。
武井は本作がゴールデンタイムの連続ドラマ初主演。
キャッチコピーの「同じ顔の2人が入れ替わり、事件が幕を開ける――。」のとおり、主人公が双子であり、その2人が人生を入れ替えるというオリジナル要素を加えたストーリーとなっている。
和辻家の子供は産まれるとWという文字を足に刻印する。和辻家は2000億円もの莫大な資産を有し、多くの人間が利権に擦り寄り、手中へ収めるため骨肉の争いに様相を呈してゆく。
和辻家の令嬢・摩子は地位や名誉を望んではおらず、自ら決めた場所で一個人として認められ、自由に生きたいと思っていた。
身動きが取れないしがらみから脱け出すため、自分とよく似たさつきと必然的に出会うことで、運命が大きく動き出す。
「リバイバルドラマ」シリーズとして、NHK BSプレミアムにて2019年11月23日の21時から22時29分に放送された。主演は土屋太鳳。
NHK BS4Kにて2020年1月8日の19時から20時29分に放送。
NHK総合にて2020年2月24日の22時から23時30分に放送。
NHK BSプレミアムにて2021年8月7日の21時30分から23時00分に放送。
夏樹静子『Wの悲劇』(角川文庫、2007) 文庫版
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