応援歌(おうえんか)は、団体(主に学校やスポーツチーム)およびその団体に属する人や選手を励まし、士気を鼓舞・応援する目的の歌のこと。応援曲(おうえんきょく)とも呼ばれる。
日本国内においては数の上で学校の応援歌が相当数なものであり、広義としては校歌や寮歌(日本特有の歴史背景・文化面から捉えて、校歌や応援歌を広義として寮歌に含まれるとする解釈もある)とともに学生歌(学校歌)の一部であるといえるが、それぞれの定義が曖昧であり、応援歌なのか学生歌なのか、または寮歌なのか区別が困難な曲も存在する。
なお、受験や失恋などのような人生や日常生活上のことに関して個人を鼓舞・応援するための歌はここでいう応援歌とは区別して「応援ソング」と呼ばれることが多い。またサッカーの応援では応援歌の類を「チャント」(chant)と呼んでいる。
元々は、後述する大学の応援歌のように球団公認となっている球団歌や応援歌などを用いるのがメインであったが、1978年に広島東洋カープの私設応援団が初めて選手別応援歌を制作した(最初に制作した選手は山本浩二)。その後、1980年代にはすべての球団において、選手別応援歌が存在するようになった。現在ではレギュラー選手のほとんどに、選手別応援歌が存在する。
1980年代には既に存在する曲の替え歌が多かったが、次第に私設応援団が作詞・作曲するオリジナルの曲が多くなっていった。また一部のチームにおいては、球団主導でプロのミュージシャンに作詞・作曲・編曲を依頼し、選手別応援歌のカセットテープやCDが発売されるまでになった。ただし球団主導で作った選手別応援歌のクオリティが低い場合には、私設応援団がそれとは異なる応援歌を自作して球場で演奏するという現象もしばしば生じた。そのため2000年代前半になると、球団主導で選手別応援歌を作るパターンは次々に廃止されていった。
2004年には、阪神タイガースの私設応援団「中虎連合会」が、応援歌CDの売り上げなどによって得られる著作権絡みの収入を違法に得ていたことが発覚する。そのため2005年以降、阪神の選手別応援歌については、ヒッティングマーチ管理委員会(2008年に、「ヒッティングマーチ委員会」に改称)が著作権等を一元管理することになった。これに伴い、阪神タイガース・広島東洋カープ・読売ジャイアンツ・中日ドラゴンズの応援歌CDを発売していたコロムビアミュージックエンタテインメントが、応援歌CDの発売予定を中止した(阪神は前年の2004年より発売中止、過去販売分も全て廃盤になった)。
演奏には一般的にトランペットのB♭管が多く使用されている。そのため選手別応援歌で一番多い音階調は、変ロ長調となっている。かつてはトランペットのほかに、トロンボーンも使用されていたが、2000年ごろからあまり使用されなくなった。東北楽天ゴールデンイーグルスなどでは、トロンボーンが現在も使用されている。
2020年からは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、球場でトランペットを演奏したり、声を出したりする応援はされていなかった。多くのチームでは、応援団が録音した応援歌を場内のスピーカーで流して、ファンがそれに合わせて手拍子で応援するという工夫がされていたが、2023年には例年通りのトランペット演奏や声出し応援が復活した。
Jリーグの場合、クラブ公認の応援歌と、サポーターによる応援歌(チャント)の二つのタイプがある。前者はオリジナル曲をクラブにゆかりのある著名なミュージシャンが制作する場合が多い。後者は選手や状況によって様々な応援歌が存在するが、FC東京の「東京ブギウギ」のように既存の楽曲を使用するケースが目立つ。選手応援歌は替え歌が多い。
J-POPや日本のロック音楽が利用される場合もある。どこからが応援歌か否か、という定義は明確にはなされていない。 歌詞とまったく無関係なのに応援歌として使われることも多々ある。例としては、1996年にデビューしたSPEEDの楽曲が学校で起用されるなどといったことがあった。また最近ではSMAPやB'zがテレビ朝日のスポーツ番組の主題歌を使用しており、その曲が応援歌として扱われることも多くある。
変わったところでは、日本テレビの番組である24時間テレビのチャリティマラソンではランナーを元気付けるため、たくさんの応援歌が流れる。
日本人の拍手は表拍(ダウンビート)が多いとされる。 日本、日本人の音楽には最初の1拍を打つ表拍の曲が多いと指摘されることがある。
一方、海外、西洋人は裏拍(バックビート (音楽用語))で拍手して応援する場合も多いとされる。例)クイーン (バンド)「ウィ・ウィル・ロック・ユー」
等
甲子園では
等が使われることもある。
戦前の大相撲の応援歌といえば、軍歌が該当した。しかし日本全体でリベラル色が強まった昭和30年代にはモダンな雰囲気の「相撲部屋応援歌」が製作された。
大学でも学歌や校歌以外に応援歌・マーチが存在する。
プロ野球や他のスポーツの応援で多用されるものには既存曲の替え歌(歌詞のみを変更したもの)が多いが、大学の応援歌は独創的なものがほとんどで、古い大学の応援歌・寮歌・学生歌などは中学校や高校が付属校・系列校に限らず、歌詞を自校用に変えて応援歌に用いているものも多い。
通常は歌詞つきを前提にしたもの。歌名として固有の独創的な曲名が付けられているものの他にも、単に「応援歌」(××大学応援歌)もしくは「第一応援歌」(××大学第一応援歌)などとなっているものもある。数としては後者の方が多い。また、既存曲を流用した替え歌的なものも存在する。
広義では応援歌に含まれるが主に歌詞がないインストロメンタルな楽器演奏のみの場合や若干のコールのみの曲を示す。誕生した当初はもっぱらマーチと呼んでいたが、純音楽用語としての本来的なマーチ(行進曲)とは運用が異なることから後年は単に応援曲と呼ぶ例も多くなってきている。近年では複数のマーチやファンファーレを連続的に演奏する傾向が強まっており、それを「チャンスパターン」と呼んでいる。
基本的にはブラスバンドによる演奏のもとで行われ、応援者が歌詞を交えてコールを行う例も多い。これを指揮するのは一般的には応援団(部)内のリーダーと呼ばれる団員(部員)が行う場合が基本形で、そのような場合は団(部)の幹部が務めるのが通例となる。単独または複数人による振りを演じ、形には各団(部)毎に独自の趣向を凝らしている。空手の正拳突きを取り入れているものが多く、習得するために団員(部員)を空手部に修行に出すところもある。
現在プロ野球の応援でよく見られる打者ごとに演奏曲が変るヒッティングマーチ形式の応援も、元々は大学野球、特に東京六大学野球の応援で最初に野球応援に導入されたマーチ応援が起源で、それが流行して徐々に広まっていって現在の形になったものである。大学野球などでは一般的には、『選手個人を応援するのではなく、学校・チームの応援・母校の代表の応援である』との解釈から、マーチ等はその学校独自のものを作って演奏する。一方プロ野球などはマーチ応援導入初期の頃は大学野球応援の模倣であったが、次第にエンターテイメントとしての楽しみ方・盛り上げ手法の一つとしての応援という風潮が強まっていき、応援参加者に飽きさせないためのバラエティ面からの必要性と、日本国内のアマチュア野球に多く見られるチーム主体の文化とは異なったチームは個の集まりと捉える傾向の違いにより、現在のような選手個人毎に応援する形式に定着していった。
なお、歴史が浅い大学の応援部・応援団や、大学自体の歴史に関わらず団体としての設立が浅い応援部・応援団では、逆輸入的にプロ野球や高校野球の応援を模倣してヒッティングマーチ形式の応援を取り入れているパターンも多く見られる。ヒッティングマーチ形式の応援は既存曲の流用がやりやすいため、演奏の構成や準備が容易であることと、全く知らない参加者にも容易に受け入れやすいというメリットがある一方で、チームとしての独自性は発揮・維持しにくい。
以下は、当該大学のオリジナルマーチ一覧(歴史的に意義がある場合を除き、オリジナル曲という観点から既存曲を流用したものは最初の採用校であっても対象外)。
新制大学認定時に旧制高等学校などから昇格した大学、それらを吸収・併合した大学の多くは、旧制時代の寮歌(寮歌自体は旧制時代に限らないが、数や歌の認知度において旧制のものが多い)をそのまま継承しているところがほとんどで、それらの寮歌も応援歌として愛用しているところが多い(詳細は寮歌の項を参照)。
校歌を応援歌として使用する場合もある。その場合も、1.そのまま歌う、2.アップテンポにアレンジ、3.完全にマーチとしてアレンジしてマーチング校歌として演奏する など応用例がいくつかある。
基本的には、大学に準じた情況となっているが、大学よりはオリジナル度は低く、有名な応援歌や寮歌などをそのまま拝借している場合や、プロ野球応援を模倣する例も多い。これらの学校の場合、多くは吹奏楽部を持っていることから、応援における演奏は吹奏楽部が担当するのが通例となっており、プロ野球のようにトランペット単独の応援スタイルを採るケースは極めて稀なケースになる。なお、プロ野球などの応援によく見られる相手チームの攻撃がアウトになったときに当該選手を茶化すような演奏や声援なども以前はよく行なわれていたが、教育的観点から好ましくないという理由で高野連が規制・指導したことから、現在は習慣的に行なわれていない。
日本の高校野球などで行なわれるマーチ応援自体は必ずしも全てがプロ野球応援の模倣ではないが、打者ごとに演奏される曲が変わるヒッティングマーチ形式の応援はプロ野球応援からの伝播・模倣である。
近年では高校でも、大学ばりに応援用のオリジナルのマーチを作曲(多くの場合、吹奏楽部・ブラスバンド部としても有名校である)するスポーツ強豪校なども現れている。
朝日新聞が2008年の第90回全国高等学校野球選手権記念大会全国大会に出場した代表55校を調査したところ、応援歌として以下のような楽曲が採用されていたという(カッコ内は使用していた学校数)。
また、テレビ朝日のバラエティ番組『アメトーーク!』が2017年の第99回全国高等学校野球選手権大会について調べた、応援歌の人気曲は以下の通りであったという。
その他、以下の応援歌が有名である。
※歴史的に意義がある場合を除き、オリジナル曲の要覧という観点から既存曲(一般流布曲)を流用したものは最初の採用校であっても対象外とする。
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