『うたわれるもの』は、2002年4月26日に Leaf(アクアプラス)より発売されたアダルトゲーム。本ページでは、このゲームの一般向け移植作品他、本作を原作とする漫画およびドラマCD、アニメ作品についても解説する。
本作品は主人公「ハクオロ」の視点による一人称形式で書かれており、ゲームの流れとしてはアドベンチャーゲーム部とシミュレーションRPG部を交互に繰り返す形である。シミュレーションRPG部の難易度は標準と高難度(PSP版のみ)から選ぶことが出来、PCのDVD版ではさらに難易度を大幅に変更することができる。登場人物達は獣のような耳・尻尾・翼・能力などを持つ。開発スタッフによれば、アイヌ文化をモチーフにしたとされる。
当初はCD-ROM版が発売され、後にDVD-ROM版も発売された。定価はどちらも税抜き8,800円で声優の音声はない。2006年10月には後述のアニメ版声優を起用した、PlayStation 2版『うたわれるもの 散りゆく者への子守唄』(戦闘パートは『サモンナイト』シリーズのフライト・プランが担当)が発売された。
PS2版は約2か月で10万本以上を売り上げ、大手通販amazon.co.jpの2006年ゲーム総合部門売り上げランキングではファイナルファンタジーなど人気シリーズタイトルにつぎ、異例の第4位を記録した。
2006年4月から、朝日放送(ABCテレビ)を幹事局に、UHFアニメの形態でテレビアニメ版が放送された。また、本作品は『夢使い』と共に初めてABCテレビで放送されたUHFアニメでもある。テレビアニメ放送中に開始され、当初はすぐに放送終了を予定していたインターネットラジオ『うたわれるものらじお』が関係者ですら予想外だったと語るほどの人気番組となり、さまざまな波及効果が見られたことも話題となった。
2007年12月2日にパシフィコ横浜にて開催されたイベント『アクアプラスフェスタ2007』にて、OVAの制作が決定との発表が行われた。
2008年11月29日に東京厚生年金会館にて開催された『アクアプラスフェスタ2008』で、PSPに移植されることが発表された。
2018年1月29日に、セガゲームスが『うたわれるもの 散りゆく者への子守唄』のHDリメイク版を、繁体中文版とハングル版に翻訳してアジア地域で発売することを発表した。アジア地域ではPS4版のみの発売となり、PS Vita版は発売されない。
2018年4月26日にはPlayStation 4とPlayStation Vita向けに、HDリメイク版が日本で発売された。
2019年10月18日には『うたわれるもの ロストフラグ』公開記念として、シミュレーションパートはカットされているが、アドベンチャーパート全編を体験することができる『スマホで読むうたわれるもの』がシリーズ3作品同時にAndroid版、iOS版でそれぞれ無料公開された。
アクアプラスの公式ホームページにて『うたわれるもの2(仮)』の制作が進められていることが発表された。
その後、『うたわれるもの 偽りの仮面』として、2015年9月24日に発売予定と公表された。プラットフォームはPS4・PS3・PS Vita。10月からはアニメも放送開始。
さらに完結編となる『うたわれるもの 二人の白皇』も制作された。
その後、外伝作品となる『うたわれるもの ロストフラグ』がサービス開始、『偽りの仮面』『二人の白皇』のスピンオフとなる『モノクロームメビウス 刻ノ代贖』が発売、『偽りの仮面』のスピンオフとなる『義賊探偵ノスリ』が発売。
シリーズ間の時系列は以下の通り。
『義賊探偵ノスリ』は『偽りの仮面』の途中(メインメンバーが全員揃ってから、ヤマトによるトゥスクル侵攻前の間)、『うたわれるもの ロストフラグ』はこれらの時系列に含まれない外伝作品となる。
「うたわれるもの」という企画の発端は、まずシミュレーションRPGを作ろうという話があり、それと同時に企画・シナリオ担当の菅宗光が獣耳が出てくるゲームが作りたいということから、この二つをあわせて企画が生まれた。また、和風の話を書きたかった菅によればアイヌ文化をモチーフにさせてもらったとのこと。 ただ、市場的に獣耳という部分を特化させるのはどうかということから、獣耳を主張した菅宗光以外のスタッフからは「なんで獣耳?」との声も上がっていた。しかし、やがてシナリオが固まってくると、獣耳なしでは成り立たないストーリーになっていたので、いつしか反対の声も聞こえなくなっていった。また原画・キャラクターデザイン担当の甘露樹も以前は獣耳の特化傾向に抵抗があったとのことだが、今はそんな違和感もなく普通に書いているとのこと。 本作に章などの概念が無いことについて、ディレクターの鷲見努はシナリオ重視の作品だったからとインタビューで答えている。詳しくいえば、菅の書いたシナリオに、その他の部分を当てはめていく作業ですべてを作ったからとのこと。
また制作当時、アイヌ文化の資料が少なくて苦労したとのエピソードが笑いをまじえて語られている。甘露・菅曰く、いざ制作となると資料が少なく、買うにしても数が少なくて高価なものが多かったため、資料を経費で購入することはできないかと考えるも、制作当時はあまり期待されていなかったためか経費を出してもらうことはできなかった。そこで、図書館で十冊くらい借り、二週間後に返し、またすぐに借りるというのを繰り返して制作していったとのこと。また、馬の役割を担うウォプタルという二足歩行の爬虫類は、登場するキャラクター達が動物のような耳をしているゆえ一線を画すために、甘露樹の機転によって生まれた。そうしたウォプタルや獣耳を描くために恐竜図鑑や動物図鑑なども借りて勉強したとのこと。
ここではないどこか、今ではないいつか。
時は戦国時代。國は分かれ争い、民草が飢え苦しむ時代。ある山奥ののどかな辺境の村に、瀕死の怪我を負った男が運び込まれた。
彼は村人に助けられる以前の全ての記憶を失っており、さらに自分が顔につけている仮面はどうやっても外す事の出来ない不可思議で不気味な代物であり、彼の混乱に拍車をかけた。彼は村人達に獣のような耳や尻尾がある事や、製鉄や化学肥料などの高度な知識が自分にあることを疑問に思い、自分自身と目覚めた世界の微妙な齟齬を訝しみつつも、おおらかで穏やかな村人たちの雰囲気に村の暮らしを徐々に受け入れつつあった。
新たに『ハクオロ』という名を村長から授かった彼は、村の生活を豊かに発展させ、村を襲った災厄を退け、村人達の信頼を勝ち取ってゆき、既にこの村の無くてはならない家族となっていた。しかし戦乱と貧困の風は、この平和な山村にまで吹き付け、人道に反する重い税を押し付けた藩主に反発したことが原因で、村人に強く信頼されていた村長が殺害されてしまう。
ハクオロの中に生まれた、深く静かな怒り。多くの者が死ぬと知りながら、取り返しがつかぬと知りながら、彼はその怒りを解き放った。ハクオロは指導者として謀反を起こし、暴虐の限りを尽くした圧制国家を打ち崩して、新たな国トゥスクルを建国する。
戦いは終わったかに見えたが、まるで何らかの作為が働いているかの如く、次々とトゥスクルとハクオロの元に戦の業火が降りかかる。大きく拡大していく戦の火。ただ平和だけを望む自分の存在や行動が、結果的に戦渦を広げている事に苦悩するハクオロ。しかし、もはや彼に逃げ道は何処にもない。人の身には余る知識と知略、積み重なっていく重責と不条理な現実。そしていまだ深い霞に隠されたままの自分自身の正体。多くの苦悩を抱えつつも、ハクオロはトゥスクルの『皇』として、いまだ終わる兆しの見えない戦争の日々に身を投じる事となる…。
美しい自然に彩られた、幽玄の世界。そこで「彼」は目覚めた。それは人の想い全てを呑み込む、大いなる戦いの始まりだった。さまざまな者たちが、さまざまな思いを響かせ合い、一つの歌を奏で始める。
それは、散りゆく者への子守唄
科学技術水準は「古代」における産業革命以前の様相を呈しており、機械技術と呼べるレベルのものは作中に登場する最先進國でも存在しない。蒸気機関もいまだ開発されておらず、原始的なカラクリがちらほら見える程度。作中に登場する主な移動手段は、陸路では徒歩またはウォプタル(「ウマ」と呼ばれる二足歩行トカゲ)に直接搭乗するか、あるいは荷車や馬車を牽かせるなどである。作中に登場する中で有効な集団攻撃手段となりうる「法術」の使用と「飛行」が可能である唯一の種族、オンカミヤリュー、および國家であるオンカミヤムカイは、自分達を厳しい戒律で縛り、道を外れるものと法術技術の流出を防いでいる。そのためこの世界での戦争行為は、短期間で戦局を左右する方法が存在しないため、血で血を洗う戦國時代の真っ只中である。
地方によっては奴隷制があり、基本的に國の法は國、ひいては國の皇が自由に決定している。トゥスクルやカルラゥアツゥレイのように、圧政や虐待に耐えかねた民や奴隷が反乱を起こし、そのまま皇を討ち新たな皇を立てて國を興す事例も発生しており、結果的にいつまでも戦乱が終わらない連鎖が続いている。「オンカミヤムカイ」は國家間調停者として、ウィツァルネミテア信仰を足がかりに國師(ヨモル)を各國に派遣し、同盟を組ませるなど無益な争いを未然に防ぐよう働きかけている。
作中に登場する宗教には、ウィツァルネミテア信仰とオンヴィタイカヤン信仰の2つが登場しており、大半はウィツァルネミテアを信仰している。また、これら2つの信仰が崇める神はそれぞれ対立しているため、数や勢力で劣るオンヴィタイカヤン信仰は冷遇される傾向にある。ウィツァルネミテアを信仰しているオンカミヤムカイは「調停者」を自負しており、教えを広めるだけでなく、國や部族間の仲介をし当事者同士を結びつける役目を自らに課している。
両者とも神話自体は共通しており、「オンヴィタイカヤンがヒトを創造し、そのヒト達をウィツァルネミテアが解放した」と語られている。
作中には動物の耳、尻尾などが生えている「亜人間」たちが登場する。登場人物はハクオロ以外すべて亜人間であり、彼らを中心としてストーリーが進むことになる。彼らは種族ごとに外見または能力的に特徴があり、基本的には種族ごとに集落、國を形成している。また彼らは火神・水神・土神・風神(ヒムカミ・クスカミ・テヌカミ・フムカミ)と呼ばれる「神」を1人1柱ずつ宿している。母性遺伝がかなり強いようである。「我らの血は母親から受け継ぐものだろう」というセリフや、耳の外見が違う異母兄妹が登場するように、耳や尻尾などの特徴は母系遺伝である。ただし女性に優秀な男性と子を成し、その血を受け継がせることを務めとしている種族も存在することから、父性遺伝子も機能していることが分かる。
以下に代表的な種族を列挙する。
※担当声優は「日本語」は日本語版アニメおよび家庭用ハードゲームでの声優、「英語」は日本国内版Blu-ray Disc BOXにも収録されている英語版アニメでの声優を記載。なお英語版声優のリンクは、片仮名書きはウィキペディア日本語版の、アルファベット書きは英語版ウィキペディアの記事へリンクしている。
コンシューマ版の追加シナリオに登場するキャラクター達。OVAで初登場した。タイムボカンシリーズの三悪がモチーフであることが制作サイドから公言されている。
PS4、PS Vita版のダウンロードコンテンツで追加される『偽りの仮面』『二人の白皇』のキャラクター。本編には一切関わらない。
本作品の世界は「古代」でいう日本列島が主舞台であり、他の大陸も存在するが未登場である(存在はしているが混沌としている)しかし、「古代」とは違い地軸が異なり、陸の形もわずかに違う。作中の地図では「古代」の千葉が最南端になっており、東北側が東、近畿側が西である。また、クンネカムンの首都は「古代」の石川県金沢市と一致する。
「現代」では、大陸の中央にシケリペチムがあり、その東方にケナシコウルペ(後のトゥスクル)、北西にはクンネカムン、南西にはオンカミヤムカイがある。ケナシコウルペの東にクッチャ・ケッチャがあり、南にナ・トゥンクがある。クンネカムンの西にはエルムイやヌンバニ、ハップラプをはさみ、ノセシェチカがある。大陸中央北側の沖合にはサハラン島がある。この島はクンネカムンの領土であり、硫黄の匂いが漂う劣悪な環境。また、生体兵器の失敗作が廃棄されている場所でもある。
全くの異世界で進行する物語であるように見える本作品だが、実際には未来世界の日本が舞台となっている。そして、作品世界の起源は終盤で明かされている。スタッフによれば本作品に登場する時代設定は、3つに大別される。過去から順に史実との接点である「古代」、後述するアイスマンが発見され亜人間達が生まれた「創成期」、そして「現代」(本編)である。「古代」及び「創成期」についての概要と、最後の「現代」に至るまでの過程を記述する。本作品に於ける時代設定では、現実世界の「現在」が「古代」に相当する。
Leaf東京開発室による作品。
音楽はLeaf大阪開発室が担当。
2006年4月よりUHFアニメおよびCS放送として、各局から逐次放送された。2009年5月よりBS11でも放送された。全26話。
DVD-BOX各巻に1話収録の映像特典短編アニメ。全4話。テレビアニメ本編には収録されなかった、原作ゲームでのコミカルなエピソードを映像化した内容になっている。
OVAシリーズ全3巻。テレビアニメ版で放送されなかったエピソードが描かれ、第1巻はウルトリィと赤ん坊フミルィル(声 - 竹達彩奈)を巡るエピソード、第2巻はコンシューマ版追加キャラのカムチャタール一味のエピソード、第3巻はトウカとアルルゥが山中で迷ったエピソード。
テレビアニメ版の主だったスタッフは『ティアーズ・トゥ・ティアラ 花冠の大地』を担当することが決定していたため、PS2版のオープニングアニメーション担当スタッフにシフトした。そのため、先述のイベント内で公開された設定資料によるとテレビアニメ版とはキャラクターデザインが変わっている。野田康行と森山雄治はふたりエッチ(川上とも子版)で制作コンビを組んでいる。
第3巻の発売日は当初2010年4月23日とされたが、後に2010年6月23日発売に延期された。
『うたわれるものらじお』関連の作品に関してはうたわれるものらじおを参照。
すべて販売元がバップ、発売元はIMAGICAイメージワークス。片面2層、映像は16:9で音声はドルビーデジタル。DVD-BOX版はそれぞれ本編のDVD2枚と特典映像のDVD1枚の構成である。
2008年1月23日にBlu-ray Disc BOXが発売された。これはUHFアニメ作品としては史上初である。型番VPXY-15931、販売元バップ、発売元IMAGICAイメージワークス。
うたわれるものの漫画化第一号。ストーリーを追ってゆくのではなく、後日談や外伝的エピソードを盛り込んだ内容となっている。『電撃G's magazine』(メディアワークス、現アスキー・メディアワークス刊)2005年11月号より2007年1月号まで連載、単行本全2巻。
うたわれるものの漫画化第二号。前作とは違い、ストーリーを順に追ってゆく構成となっている。『電撃「マ)王』(メディアワークス→アスキー・メディアワークス刊)2007年12月号から2010年10月号まで連載。全26話。単行本全3巻。
うたわれるものの漫画化第三号。毎回主人公を代えた、各キャラの日常の内容。『電撃G'sコミック』(KADOKAWA刊)2018年5月号 - 2018年11月号まで連載。全6話+特別編。単行本全1巻。
まずPC版発売後にスタジオDNA(現・一迅社)、宙出版、ラポートより発売された。後にPS2版の発売とほぼ同時に一迅社より『うたわれるもの コミックアンソロジー 特別編』の題で発売、さらにPS2版の発売後には同じく一迅社より『うたわれるもの 散りゆく者への子守唄 コミックアンソロジー』として発売されている。
結城心一による表紙ではエルルゥがフォークを持っているのが定番になっている(「散りゆく者」Vol.6の表紙では持っていなかった)。
発売元 - ランティス / 販売元 - キングレコード
全て発売元はフィックスレコード、販売元はキングレコード。
※「うたわれるものらじお」関連のCDはうたわれるものらじお#関連グッズを参照。
シルバーブリッツのカードゲーム、Lyceeに参戦している。
対戦型格闘ゲーム『AQUAPAZZA』にプレイヤーキャラクターとして「ハクオロ」と「トウカ」と「カルラ」と「オボロ」が(オボロは業務用初期では背景に登場していたが、後にプレイヤーキャラクターに昇格)、パートナーキャラクターとして「ウルトリィ」と「カミュ」が登場。他にもハクオロのサポートキャラクターとして「エルルゥ」と「アルルゥ」、オボロのサポートキャラクターとして「ドリィ」と「グラァ」が登場している。ステージBGMとして、原作で使用された「うたわれるもの」(ヤマユラの里)と「采配をふるう者」(トゥスクル城)のアレンジ版が使用されているほか、背景に「ベナウィ」と「クロウ」と「ユズハ」と「ムント」が登場。(オボロでストーリーモードをクリアした際、ユズハのみ音声付きの台詞有り)
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