エッジワース・カイパーベルト天体(エッジワース・カイパーベルトてんたい、英:Edgeworth-Kuiper Belt Object、EKBO)は、太陽系の中で海王星軌道より遠い天体(太陽系外縁天体、TNO)のうち、エッジワース・カイパーベルトにある天体の総称。単にカイパーベルト天体ともよばれる。
なお、日本学術会議による2007年4月9日の対外報告(第一報告)では、「エッジワース・カイパーベルト天体」および「カイパーベルト天体」を「TNO(海王星以遠天体)」の別名としているが、TNOとはカイパーベルト外の天体も含んだ海王星以遠に存在する天体の総称であり、異なる概念である。
狭義には軌道長半径が約30 au~約48 auの天体を指す。仮説上のオールトの雲や内オールトの雲よりは内側の天体である。小惑星帯(メインベルト)で最大の (1) ケレス(直径約950 km)を超えるものもいくつかあり、総質量はメインベルト小惑星の数百倍と推算されている。
(134340) 冥王星やカロン(冥王星の第1衛星)、 (50000) クワオアーなどがEKBOに含まれる。また、軌道長半径が約48 au以上で離心率が大きい散乱円盤天体 (SDO) をEKBOに含めることがある。SDOとしては (136199) エリスなどがある。
ただし、(90377) セドナは、軌道が非常に大きいだけでなく、近日点 (76 au) でもエッジワース・カイパーベルトよりかなり外側なので、EKBOには含めない。
(2060) キロンなどケンタウルス族や、短周期彗星、海王星の衛星トリトン、土星の衛星フェーベなどは、その軌道および成分などから、元はEKBOだったと考えられている。
直径の大きいものとしては、冥王星とエリスが最大級のものとして知られているが、このどちらがより大きいかははっきりと分かっていない。一方、これまでに発見された中で最も直径の小さいクラスのものとしては、2019年1月に宮古島にて発見された半径約1kmのものが知られており、これほど遠くて小さい天体は巨大望遠鏡を用いても直接観測が不可能であり、小型望遠鏡で掩蔽を観測したことによって発見された。
2006年のIAU総会で、静水平衡、つまり重力でほぼ球形になった天体(惑星・衛星以外)はdwarf planet(準惑星)に分類され、また太陽系外縁天体の新しいサブグループ(正式名称は2008年に plutoid と決まった。日本学術会議は2007年4月9日の対外報告(第一報告)で、日本語名称として冥王星型天体を推奨している)も定義された。EKBOでは(134340) 冥王星、(136199) エリス、(136108) ハウメア、(136472) マケマケが準惑星(冥王星型天体)に属する。今後の観測・研究によって、さらに増えると予想されている。
なお、EKBOを含めTNOは世界各地の創世神話にちなんで命名すると決められている。例えば、クワオワーはアメリカ先住民トングヴァ族の、セドナはイヌイットの創世神話から名づけられた。
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