さいたま市役所(さいたましやくしょ)は、日本の地方公共団体である埼玉県さいたま市の執行機関としての事務を行う施設(役所)である。
かつては浦和市役所の庁舎であった。大宮市・与野市との合併、さいたま市発足に伴い、1976年完成のため旧3市の市役所庁舎で最も築年数が浅い上、延床面積が広かったことから、さいたま市役所の本庁舎となっている。
2000年(平成12年)9月5日に旧浦和市・大宮市・与野市の間で調印された合併協定書では、「新市の事務所の位置は、当分の間、現在の浦和市役所の位置とする」「将来の新市の事務所の位置については、さいたま新都心周辺地域が望ましいとの意見を踏まえ、新市成立後、新市は、交通の事情、他の官公署との関係など、市民の利便性を考慮し、将来の新市の事務所の位置について検討するものとする」とされた。さいたま市は、この合併協定書は市町村合併に関する最も重要な文書であり、内容は最大限尊重されるべきものであるとし、本庁舎整備を重要な課題として検討に取り組んでいる。
2001年(平成13年)5月1日のさいたま市誕生を経て、2002年(平成14年)4月、市は「新市庁舎庁内検討会議」を立ち上げた。他の政令指定都市における市役所の規模や立地条件、市役所と区役所の役割分担、耐震性、庁舎整備基金などについて、2008年(平成20年)度まで基礎的な調査を行った。2008年(平成20年)11月には、将来の庁舎の整備に関して必要な事項を検討するため、市民が参加する検討組織として「さいたま市庁舎整備検討委員会」を設置した。2011年(平成23年)度まで7回にわたって会議が開催され、幅広い意見が寄せられた。
2012年(平成24年)12月、市は地方自治法に基づく附属機関として「さいたま市本庁舎整備審議会」を設置した。同審議会は、学識経験者や自治会代表など24人で構成された。市長の諮問に応じて、本庁舎の整備に関する基本的な考え方、機能、規模、位置、整備の進め方などについて21回にわたる調査審議を行い、2018年(平成30年)5月30日に答申を市長へ手渡した。答申には、本庁舎の全体規模として4万 m2程度が必要であるとの想定が記された。また、位置については、浦和駅・大宮駅・さいたま新都心駅からそれぞれ半径800 mのエリアを候補地区として比較検討を行い、総合的にみてさいたま新都心駅周辺が最も望ましいとした。答申を踏まえ、2019年(平成31年・令和元年)度、市は本庁舎の整備に関する諸条件を満たす土地があるかなどについて調査を実施した。諸条件を基に土地の抽出と評価を行い、同年10月までに、「食肉中央卸売市場ほか街区」(大宮区吉敷町二丁目ほか)、「コクーン2・3街区」(大宮区吉敷町四丁目)、「さいたま新都心バスターミナルほか街区」(大宮区北袋町一丁目)の3つの適地があることを確認した。調査報告書では、財政負担軽減のための民間収益施設との複合化を設定してコストシミュレーションが行われ、各適地のイニシャルコストおよびランニングコストの算出結果や検討課題などが示された。
その後、市は合併協定書やさいたま市本庁舎整備審議会の答申を尊重しつつ総合的な検討を行った。2021年(令和3年)2月、本庁舎整備の方針と本庁舎移転後の現庁舎地の在り方について一定の方向性をまとめ、「本庁舎整備等に係る基本的な考え方」として公表、さいたま市議会2月定例会で市長の清水勇人が説明を行った。ここで、新庁舎の整備場所を「さいたま新都心バスターミナルほか街区」とすることや、合併から30年となる2031年(令和13年)をめどに新庁舎の供用開始を目指すことが示された。整備場所の決定に当たっては、答申の諸条件のほか、財政負担軽減効果や整備スケジュールの視点からも比較・検討が行われた。また、現庁舎地については、消防署や区役所機能を引き続き確保することを前提として、「多様な世代に愛され、県都・文教都市にふさわしい感性豊かな場所」を目指すとされ、ふさわしい利活用のイメージとして「文化芸術拠点」「教育・先端研究拠点」「市民交流拠点」が示された。2021年(令和3年)度には、新庁舎整備等基本構想の検討に向け、市民ワークショップやタウンミーティングを行って意見を収集し、同年10月15日の素案公表を経て、同年12月17日に基本構想が策定された。新庁舎整備の基本理念として、「都市づくりの一翼を担う庁舎」「シンボルとなる庁舎」「SDGsに配慮した環境にやさしい庁舎」などが掲げられた。民間施設との複合化を考慮することとし、これによる財政支出の削減効果が見込まれ、イニシャルコストは合計で約221億円と算定したとされた。また、諸条件を加味した結果、建物はおおむね20階程度(90 - 100 m程度)と想定されるとした。策定と同じ12月17日、清水はさいたま市議会12月定例会最終日の閉会挨拶にて、市役所の位置に関する条例の改正案を提出する予定であることを表明したが、提出時期については未定としていた。2022年(令和4年)4月前半には、新庁舎整備と現庁舎地利活用の検討経緯や市の方針に関して、近隣住民を対象とした説明会を開催した。
2022年(令和4年)4月22日の記者会見で、市長の清水は、同28日に開く市議会臨時会へ庁舎の移転に必要な条例改正案を提出することを発表した。28日から同29日未明にかけて開かれた令和4年さいたま市議会4月臨時会において、「さいたま市役所の位置に関する条例の一部を改正する条例」議案が特別多数議決により可決され、市役所本庁舎の移転が決定した。なお、議案を審議した総合政策委員会では、「将来的に、市役所の所在地については、さいたま新都心にふさわしい住居表示の実施を検討すること」とする付帯決議が可決された。その後、検討状況の周知と意見聴取のため、オープンハウスや市民ワークショップを開催した。同じく2022年(令和4年)度、新庁舎整備等基本計画の策定に向けて必要な事項を調査審議するため、市は新たな「さいたま市本庁舎整備審議会」を設置し、2023年(令和5年)1月25日に第1回会議が開かれた。審議会は全5回の開催が予定されており、2024年(令和6年)2月に基本計画案をまとめる予定となっている。2023年(令和5年)7月には、新庁舎整備等基本計画の検討状況についての中間報告会が開催された。
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