『サイレントメビウス』(SILENT MÖBIUS)は、麻宮騎亜が『月刊コミックコンプ』(角川書店刊)において1988年から連載(途中からコミックドラゴンへ移行)していた漫画。
サイバーパンクな未来で戦う美少女達を描いた麻宮騎亜の代表作である。本編は全12巻。さらに、キャラクター個々のサイドストーリーを収録した『サイレントメビウス テイルズ』 (Silent Möbius Tales) 全2巻がある。
本作の前史で、主人公たちの親たちの戦いである「第一次妖魔大戦」を描いたスピンオフ作品『メビウスクライン』 (Möbius Klein) がコミックドラゴンにおいて併載されていたが、いわゆる角川騒動の余波で連載が中断を経てそのまま打ち切りとなり、同作は「本作の第0巻」としてコミックス全1巻にまとめられた。
1991年8月17日には劇場版アニメが公開され、翌年1992年7月18日には2作目も公開されている。のちにテレビアニメも制作され、1998年4月7日から同年9月29日まで全26話がテレビ東京系で放送された。
麻宮騎亜の漫画家20周年企画としてカバーイラストは新作の描き下ろし、カラー原稿は本文中再現収録、各巻にカラーイラストギャラリー掲載、設定資料&新規取材企画ページ掲載、というシリーズ全話が収録された『サイレントメビウス 完全版』が徳間書店から2006年4月下旬より毎月2巻ずつ刊行された。
メインキャラクターの1人である彩弧由貴の誕生日を記念し、Webラジオが2010年9月10日から同年10月1日までの期間限定(全4回)で配信された。その後、同年10月11日に公開録音イベントが催され、10月15日に「公開録音SP」全1回として追加配信もされている。
オリジナルシリーズの後世代の話である『サイレントメビウス ネオス』が2005年末より連載が開始される予定だったが、作者の入院や雑誌自体の発刊中止により、執筆されなかった。
2011年2月より、ぶんか社からコミック文庫として『テイルズ』『クライン』を含む全8巻が刊行された。
2013年8月から2018年7号より、『月刊ヤングマガジン』にて本作から17年後の世界を舞台とした続編『サイレントメビウスQD」(サイレントメビウス クアドリガ)が連載された。
2015年12月より、講談社から前出のコミック文庫を元にした電子書籍版が配信されている。
本作品は1982年公開の映画『ブレードランナー』の設定を踏襲しており、“酸性雨が降りしきる近未来”という舞台設定や、飛行能力を持った警察車両(空飛ぶ車)の名称が「スピナー」であったり、護身用の拳銃が当該作の作中に登場する通称“デッカードブラスター”を模したデザインであることや、キディが追っていたのが本作中では「メガダイン」と呼称される人造人間で、レプリカントと同様に寿命が設定されているなど、至るところにそのテイストがある。
人口は増加の一途をたどり、環境破壊による酸性雨が降りしきる近未来のTOKYO。2000年を過ぎた頃から、人知を越えた不可思議な事件が起きるようになっていた。3rd-AT(サード・アトラクション)と呼ばれ一般人に秘匿されていたそれらの事件は、妖魔(ルシファーホーク)と呼ばれる異世界(ネメシス)の住人たちが引き起こす事件であった(連載当初は妖魔が直接関与しない3rd-ATも発生しており、妖魔は「何でもあり」な3rd-ATの一部でしかなかった)。
妖魔は異なる秩序が支配する宇宙に存在する「邪界(ネメシス)」から来ており、自分の世界の秩序に従った魔法を使えるが、こちらの宇宙に来るには、こちらの宇宙の秩序に合わせ、自分の姿を人間に近づける必要がある。妖魔は、2000年以前にも稀に来ており、妖魔とかかわりを持った者(とその子孫)も異世界の秩序=魔法が使える。ギゲルフ・リキュール(香津美の父)もそうした者の一人であり、香津美に邪界との扉を開く「鍵」としての能力を与えたとされる。
2023年、頻発する妖魔事件に対し、ラリー・シャイアンは「Attacked Mystification Police Department(対妖魔用特殊警察、通称AMP―アンプ)」を結成し、これに対抗する。女性は「何も生み出さない戦いのなかでも次代に繋がる命を生み出せる」との思想から、AMPは女性だけで構成されている。2026年時点(漫画第1巻)のAMPのメンバーはラリーに加えて、主人公・香津美・リキュール、キディ・フェニル、レビア・マーベリック、闇雲那魅、彩弧由貴の6人。彼女たちは各々が持つ特殊な能力を駆使し、妖魔に対抗する。
第1作は、1991年8月17日より松竹系にて公開された。「六次元英雄伝説」と題され、併映作品は『アルスラーン戦記』。
第2作は、1992年7月18日より松竹東急系で『サイレントメビウス2』のタイトルで公開された。「NEO英雄伝説」と題され、併映作品は『アルスラーン戦記II』と『風の大陸』。
括弧内( )に特に説明のないスタッフは、第1作・第2作共通。
1998年4月7日から同年9月29日までテレビ東京系で放送。全26話。
舞台 サイレントメビウスのタイトルで、2017年3月29日から4月2日にかけて新宿シアターサンモールで上演された。脚本・演出は細川博司、総合演出は松多壱岱が担当。
出典:
河崎実監督による実写オリジナルビデオ作品を中心とした、幕末の日本が舞台のサイレントメビウスの外伝作品群。登場する本編と同じ名前を持つキャラクターは本編キャラの前世とされている。
2000年頃、オリジナルシリーズの後世代の話である『サイレントメビウス ネオス』がアニメ化も含めて企画された。これは他の連載もあり実現に至らなかったが、2012年ごろ複数の出版社に企画を打診した結果、『月刊ヤングマガジン』(講談社)にて、17年後の世界を舞台とした続編『サイレントメビウスQD(クアドリガ)』が2013年8月から2018年6月まで連載された。
単行本は全5巻。
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