2021年東京都議会議員選挙(2021ねんとうきょうとぎかいぎいんせんきょ)は、2021年(令和3年)7月4日に施行された東京都議会議員選挙である。
4年前の前回の都議選で、小池百合子都知事が率いて大勝し都議会第1党となった地域政党「都民ファーストの会」の消長や、公明党との協力関係を復活させた自民党が、都議会第1党と自公で過半数の議席を獲得できるかが焦点となった。また、共闘態勢を構築し一部の選挙区で候補者調整に成功した共産党と立憲民主党が、どこまで議席を伸ばせるかも注目された。主な争点として新型コロナウイルス感染症や東京五輪・パラリンピックへの対応、新型コロナウイルス流行の収束後も視野に入れた経済対策が挙げられた。
告示直前に閉会した第204回国会で公職選挙法の特例法として成立した特定患者等の郵便等を用いて行う投票方法の特例に関する法律(コロナ郵便投票法)が6月23日から施行されたことにより、新型コロナウイルス感染症療養者らが郵便投票できる制度が全国で初めて適用された選挙となった。
一部の自治体では、新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場と同じ建物に投票所が設けられ、期日前投票とワクチン接種が同時並行で行われた。
議員定数
前回は強烈な「小池旋風」に乗って55議席(追加公認を含む)を獲得し、都議会第1党の座を掴んだが、今回は前回の50人より3人少ない47人の公認となった。都議選告示日、荒木千陽代表は小池に代表に復帰してもらい、全面支援を得たい考えを明かした。しかし小池は、都民ファ候補に応援メッセージを送るなどにとどめ、特定政党の支援を明言しなかった。
自民党は「小池旋風」の前に過去最低の23議席と歴史的惨敗を喫した前回の60人と同数を擁立した。
前回、公明党は長年続いてきた自公連携を見直し、都民ファーストの会との選挙協力を行い選挙戦に挑んだが、今回の都議選では「自民党と選挙協力をする」と発表。今回は全42選挙区のうち、公明の公認候補が出馬しない21選挙区で、公明が自民の候補を応援する見通しとなった。
前年の都知事選で統一候補を擁立した共産党と立憲民主党は、今回の都議選でも1、2人区を中心に候補者を一本化できるよう調整した。
日本維新の会は13人を擁立。他党との選挙協力は基本的に行わないとした。
れいわ新選組の山本太郎代表は、「とにかく数を立てようという戦略には立っていない」と説明し、少数精鋭で議席獲得を目指すとして3人の擁立にとどめた。
嵐の党は公認2人、推薦3人を擁立。立花孝志党首は「都民ファーストの会さんは非常に優秀な方が多い」と候補者らの資質を高く買い、都民ファーストの会に国政政党である自党への参画を呼びかけた。
選挙前の各党議席数は、都民45、自民25、公明23、共産18、立民8、維新1、ネット1、無所属5(欠員1)。
各会派等の構成
6月25日に告示され、42選挙区・定数127に対し、平成以降最多の271人が立候補。前回の259人から12人増。また、女性として届け出た人数は、前回の65人を上回る74人で過去最多を更新した。
立候補者数が最も多かった選挙区は世田谷区の18人となった。葛飾区選挙区では、定数4に対し13人が立候補したことで、定数3以上の選挙区では最も倍率が高い3.25倍となった。東京スポーツは、この候補者乱立の要因を11月の同区議選の前哨戦になっている背景があるためとの見方を示した。
都議選立候補予定者に対するNHKのアンケート調査では、「新型コロナウイルスの対策・対応」や「小池知事の評価」、「東京オリンピック・パラリンピックの在り方」、「少子高齢化の対策など福祉政策」などが今回の最大の争点として挙げられた。
主な争点に対する政党の姿勢
新型コロナウイルス対策として都内に発令されていた緊急事態宣言が6月20日に解除され、21日から23区と一部を除く多摩地域の大半で「まん延防止等重点措置」に移行。新型コロナウイルスの影響の中、さまざまな制約を迫られた選挙戦となった。
各党の党首は候補の応援に出たが、菅義偉自民党総裁だけが街頭での応援に立たなかった。
小池都知事が告示直前に過労で入院した後、各種情勢調査で都民ファーストの支持が増える現象が見られた。小池は1週間ほど入院し6月30日に退院。選挙戦最終日、都民ファーストの候補者の支援に入り注目をさらった。
葛飾区選挙区では、都議選の4カ月後に行われる区議選を見据えて、諸派・無所属候補らが知名度浸透を兼ねた運動を展開した。
7月4日投票、即日開票された。投票率は42.39%と前回より8.89ポイント低下。過去最低だった1997年の40.80%に次いで2番目に低い投票率となった。小平市選挙区は無投票。都議選で無投票当選が生じたのは1963年の八王子市選挙区以来58年ぶりとなった。
都民ファーストの会は改選前の45議席から31議席まで減らし、33議席を獲得した自民党が都議会第1党を奪還したが、目標としていた自公両党での過半数には達せず、自民党の獲得議席は38議席を獲得した2009年東京都議会議員選挙を下回り過去2番目に少ない結果となった。前回都民ファーストの会と組んだ公明党が今回自民党との選挙協力を復活させたこともあり、自民党内では選挙戦当初から「前回23議席の倍増は固い」との楽観論も飛び交っていたが、選挙戦最終日には過労を理由に入院していた小池が都民ファーストの会の候補を激励。都民ファーストの会は1人区で3議席を獲得するなど、最終盤で追い上げた。立憲民主党と共産党は今回、1~2人区を中心に候補者のすみわけを行い、立憲民主党は改選前の8議席から上積みして15議席に達した。現有議席数と同じ23人を擁立した公明党は8回連続の全員当選を果たした。
自由民主党 都民ファーストの会 公明党 日本共産党 立憲民主党 日本維新の会 東京・生活者ネットワーク 無所属
公職選挙法の規定により、定数1の選挙区(7選挙区)では欠員が出た場合、定数2以上の選挙区(35選挙区)では2人以上の欠員が出た場合に補欠選挙が実施される。
2023年10月までに、江東区・品川区・大田区・中野区・北区・板橋区・八王子市・府中市・立川市・足立区・目黒区の各選挙区で欠員が発生している。欠員が発生したすべての選挙区の定数が2人以上であるが、このうち大田区と立川市では欠員が2人に達したため、大田区では2023年6月4日に、立川市では同年10月15日にそれぞれ欠員補充の補欠選挙が実施された。また、目黒区においても欠員が2名に達したため、補欠選挙が実施される予定(後述の知事選との便乗選挙になるか、それとは別途に実施されるかは未定)。
江東区・品川区・中野区・北区・板橋区・足立区・八王子市・府中市の各選挙区における欠員補充の補欠選挙は2024年7月7日に行われる東京都知事選挙と同日に「便乗選挙」の形で実施が決定している。
また2025年1月までに第50回衆議院議員総選挙が実施された場合、欠員がある選挙区では便乗選挙となる。
自民党の菅義偉総裁は目標に掲げた自民、公明両党合わせての過半数に届かなかったことについて「謙虚に受け止めたい」との認識を示した。自民関係者は今回の不振の原因を「五輪開催による新型コロナウイルス感染拡大への不安や、ワクチン供給不足が響いた」と分析した。都連関係者は、小池が投票日前日の7月3日に突如都民ファーストの会の応援に入ったことについて「完全に約束違反。やられたよ」と述べ、「応援するなら自民、公明両党の候補者も平等にしてほしいと、二階(俊博)幹事長らからお願いしてきたのに」と内幕を明かした。
全員当選を果たした公明党の山口那津男代表は「コロナの感染状況の中で全員当選を果たすことができた。まさに奇跡的とも思える結果だ」と述べた。
第2党となった都民ファーストの会の荒木千陽代表は「第1党を譲り渡し、責任を感じている。命がけで浸透を図ったが、まだまだ足りなかった」と述べた。
前回、前々回に続く伸長ぶりの議席数を得た共産党は、都議選での立憲民主党との共闘を「両党にとっての成果」ととらえ、次期衆院選でも立民との選挙協力を目指す考えを示した。
立憲民主党都連の長妻昭会長は、現有議席から大幅に議席を増やした結果に「議席を伸ばして、都議会で役割を果たせる最低限の陣立てができた」と一定の評価を示した。一方で立憲民主党の獲得議席数は都民ファーストの会や共産党を下回り、都議会第5党に留まった。枝野幸男代表は「自民党に代わる選択肢は我々しかないんだ、ということが十分に届ききっていない選挙になってしまった」と反省の弁を述べた。また、立民幹部は都議選全体を見て「勝者なき選挙で終わった」と総括している。
1議席に留まった日本維新の会では松井一郎代表が「やはり東京は厳しい。コロナで組織がなく伝わりにくかった」と述べた。
議席を獲得できなかった国民民主党の玉木雄一郎代表は「結果は大変厳しく、厳粛に受け止めている」と述べた。
同様に議席を獲得できなかったれいわ新選組の山本太郎代表は「選挙結果から言えば敗北。一方でボランティアの方々が中心的役割を担った」などと述べた。
日本経済新聞社は自社で実施した出口調査から「支持政党なし」と答えた無党派層の投票先が分散したことが、自民が伸び悩み、都民フが持ちこたえる要素になったと分析した。
フジテレビ解説委員の平井文夫は、今回の都議選は事前調査に基づくメディアの予測と結果が逆に出る「アンダードッグ効果」だったとの見方を示した。
都民ファーストの会から立候補して当選した木下富美子議員が、選挙期間中の2日に無免許の状態で車を運転して事故を起こしていたことが、投開票翌日の5日に報道されたため、都民ファーストの会は同日、木下を除名処分にした。その後、木下は同年11月22日に議員を辞職した。
11月7日に投票が行われた葛飾区議会選挙(定数40)には、本選挙で葛飾区選挙区から立候補して落選した9人中6人が立候補したものの、小川優太が37位で当選したのみで他5人は落選した。
「2021年のテレビ特別番組一覧#2021年東京都議会議員選挙」を参照
「2021年のラジオ (日本)#2021年東京都議会議員選挙」を参照
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