水戸市(みとし)は、茨城県の県央地域に位置する市。茨城県の県庁所在地で、中核市、保健所政令市、中枢中核都市に指定されている。1889年(明治22年)市制施行。
御三家の一つ水戸徳川家所縁の地であり、水戸黄門(徳川光圀)や偕楽園が知られている。毎年2月には水戸の梅まつりが、8月には水戸黄門まつり、9月には水戸萩まつりが開催される。明治時代以降は納豆(水戸納豆)の生産が盛んになった。
中心部を含む市域の大部分は旧茨城郡(1878年〈明治11年〉より東茨城郡)であり、茨城県の名称は県庁が茨城郡水戸に置かれたことに由来する。市域の一部に旧那珂郡域を含む。
関東平野の東側に位置し、茨城県の県央地域に区分される。
那珂川の周辺は低地となっているが、それ以外は台地が広がっている。日本初の水道専用ダムの楮川ダムがある。
太平洋側気候の三陸・常磐型と東海・関東型の中間的な気候である。夏はオホーツク海気団からの北東気流の影響で最高気温は低めで、真夏日日数は38.0日と関東甲信越以西の県庁所在地では最も少なく、山形市より少ない。猛暑日になることもあまり無い。また、熱帯夜もほとんどない。
冬は晴天が続き、最高気温は関東以西の平均的な値で日中は暖かいが、大平野の中の都市のため放射冷却現象が強くなり易く、朝晩は冷え込みが厳しい。冬季の平均最低気温は東北南部の仙台市や福島市より低い。強い寒気の元で南岸低気圧が通過すると雪になるが、関東地方の中では極端な大雪になりにくい方である。冬の朝晩の冷え込みが強い他は全国的に見ても穏やかな気候と言える。
県内最大の都市であるが、人口は県人口の1割に満たない。各都道府県内における最大都市が占める人口の割合としては、東京都区部を一つの都市とした場合は全都道府県の中で最も低い。
「水戸」の地名は、那珂川の舟運の河港として盛え、水運の戸口とされていた事に由来する。いつから呼ばれていたかは定かではないが、西暦1400年ごろ(室町時代)には既にその名があったと言われている。那珂川の水運は近代まで存在していたが、陸上輸送に代わられた現在は残っておらず、地名だけが残っている。
※細かい境界の変遷は省略。
水戸は商業都市であり、第三次産業が大半を占めている。
天狗党の乱との関連で敦賀市と姉妹都市になり、その後、敦賀市の仲介により彦根市とも親善都市となる。彦根市とは桜田門外の変で関係がある。(大老井伊直弼は彦根藩主の家系、井伊を討ったのは水戸藩浪士を中心とした集団。)更に、彦根市の仲介により高松市とも親善都市になる。なお、江戸時代に高松を治めた高松松平氏は、水戸徳川家の分家である。
中心市街地は水戸駅周辺であり、常磐線北側の台地上を上市(うわいち)、水戸駅から東の下町を下市(しもいち)という。繁華街は北口方面に形成され、その中心を国道50号が東西に貫く。国道50号は片道二車線で右側レーンが通行路、左車線は一部バス専用レーンの時間帯がある。南口は再開発により、ホテルや商業施設が並ぶ。
水戸駅北口には駅ビルEXCELや北口再開発ビル「MYM(マイム)」(丸井水戸店、宮町1丁目、1993年(平成5年)2月27日開業)があり、そこから延びるメインストリートでは、ボンベルタ伊勢甚水戸店跡が周辺建物を含め再開発され、向かいにあった水戸京成百貨店(現・京成百貨店、泉町1丁目)が2006年(平成18年)3月17日に移転して開業した。
しかし、2003年(平成15年)2月20日に泉町1丁目の百貨店「ボンベルタ伊勢甚水戸店」が閉店し、2005年(平成17年)10月31日にはダイエー水戸店が閉店、2009年(平成21年)3月31日にはLIVIN水戸店が閉店、そして旧ダイエー水戸店跡に2007年(平成19年)10月19日に開業した「MIMO」(ミーモ) が2013年(平成25年)4月21日に閉店した ほか、サントピアも閉店するなど大型店が相次いで閉店している。
なお、移転で空いた旧水戸京成百貨店ビルを伊勢甚本社が取得し、泉町1丁目北地区市街地再開発準備組合による再開発事業の対象地の中核となっていて、2023年(令和5年)7月には水戸市民会館が移転した。
再開発事業の開始までの間の暫定利用としてそのビルを一部利用し、水戸ショッピングストリート キミットとして2008年(平成20年)1月25日にオープンしたが2011年(平成23年)3月の東日本大震災発生でその後事実上の閉店となった。
ユニー水戸店と隣接の田原屋水戸店跡と共に商業施設やマンションの入る25階建て程度かそれ以上の超高層ビルの建設計画が構想されていたが建築資材値上がりの影響などで計画が実現せず一部が駐車場として利用されるだけになっていたため住友不動産と2年間無償で水戸市が一部を借りることで合意が成立し2009年(平成21年)2月21日に「南町自由広場」がオープンした。2015年(平成27年)以降にプロバスケットチームである茨城ロボッツがM-SPOとしてオープンしている。
水戸駅南口では南口駅ビルエクセルみなみがビックカメラを核店舗として 2011年(平成23年)5月25日に開業した ほか、2006年(平成18年)にはCOMBOX310、ヤマダ電機LABIをキーテナントとする「水戸サウスタワー」 が2008年(平成20年)にオープンした。 また、ホテル、高層マンションなどが複数建設された。
赤塚駅周辺ではマンションや複合高層施設が立地している。南口には2005年(平成17年)3月25日にカスミフードスクエア水戸赤塚店(河和田1‐1)、同年4月22日にはヨークベニマル赤塚店(姫子2-30)が開業し、スーパーを核として商業施設が整備されている。 茨城県庁周辺は、県の公共施設や商業施設が立地するほか、国道50号水戸バイパス沿線では、特に大塚町からけやき台にかけてロードサイドショップが立ち並ぶ。2020年3月に米沢町のビクター水戸工場跡地にヨークベニマルやユニクロ、無印良品が入店するヨークタウン水戸が開業。平日朝、夕方及び土日祝日は周辺道路において渋滞が発生している。渋滞対策としてさくら通りを中心に道路拡張工事を行っている。2022年3月8日には福岡市に本社がある一蘭が元吉田町交差点側にあったかっぱ寿司跡地に茨城県初出店を果たす。 内原駅周辺は、県央地域最大の郊外型ショッピングセンターであるイオンモール水戸内原(中原町字西135)が2005年(平成17年)11月11日に開業し、この周辺にも家電量販店や飲食店などといったロードサイドショップが増えている。
かつての「水戸市立山根小学校」は廃止され、それまでの山根小学校区は「水戸市立双葉台小学校」の学校区に統合された。ただし、「山根市民センター」は引き続き運営されている。また、山根地区の住民組織である「山根自治連合会」は、「双葉台地区住民の会」とは独立して活動している。
「内原」の地名は、満蒙開拓青少年義勇軍の訓練所があったため、戦時中、全国的に知られた。
水戸市内には、約1300の町内会・自治会がある。町内会と自治会は単に名称の違いであり、内容や活動が異なるものではない。町内会・自治会は、「防犯灯の設置・管理」「自主防災・互助活動」「環境整備・ごみ置き場の管理」「レクリエーションなどの親睦行事」 などの活動をしているが、各町内会・自治会によって活動内容は異なる。各町内会・自治会に対する加入世帯は、数世帯から600世帯に及ぶものまである。世帯数が多い町内会・自治会は、その下に班を組織し、回覧板の回覧のほか、地域活動を行う単位としている。水戸市内の2022年(令和4年)6月1日時点における町内会・自治会への加入率は、52.9%である。
各町内会・自治会は、「地区会」に所属している。各地区会の名称としては、「○○をつくる会」(9地区)、「○○住民の会」(7地区)、「○○連合会」(7地区)などが主にある。地区会では運動会や祭りの開催などを行っている。地区会は、おおむね小学校区単位に組織され、当該地区内の町内会・自治会、社会福祉協議会支部、高齢者クラブ、女性会、PTA、子ども会育成会、民生委員、防犯協会などで構成される。地区会は、34あり、市民センターを拠点に活動している。
「水戸市住みよいまちづくり推進協議会」(略称: 水住協、住み協、住協)は、「地区会」の代表者などで構成され、各地区会の連携を図っており、住みよいまちづくりを行政と共に推進することを目標に掲げている。水戸市住みよいまちづくり推進協議会は、かつて水戸市におけるコミュニティ活動の母体をなしていた「水戸市自治連合会」と「水戸市民憲章推進協議会」という2つの住民組織を統一しようという機運 によって、1996年(平成8年)に設立 された。
地区会の一覧である。
全日制の課程のみが7校、定時制の課程と通信制の課程の併設が1校。
全日制の課程のみが7校、通信制の課程のみが1校。
市立の小学校は全部で32校ある。関東地方では珍しく標準服を採用している学校が半分近くを占める
計36園。市立19園、私立16園、国立1園(茨城大学教育学部附属幼稚園)
水戸市に所在する主な文化施設は以下の通り。
千波湖湖畔の千波公園、偕楽園を中心にそれら周辺の桜川緑地、沢渡川緑地、逆川緑地、紀州堀緑地に、東町運動公園、茨城県立歴史館、茨城県民文化センターなどを含めた300ヘクタールの区域は茨城県と水戸市により「偕楽園公園」と総称されている。この総称「偕楽園公園」は千波湖から放射状に伸びた公園・緑地が市街地に食い込む形状を持ち、中心市街地に近い都市公園としてはアメリカ合衆国ニューヨーク市のセントラル・パークの340ヘクタールに次ぐ世界第2位の面積を持つものと茨城県と水戸市により広報されている。
総称「偕楽園公園」は1999年(平成11年)7月2日の橋本昌茨城県知事(当時)の記者会見で発表された。だが、千波公園、偕楽園とその周辺の公園・緑地を一体の大規模公園として整備することはそれ以前からなされている。その始まりは都市化により消失の危機にある偕楽園の借景を長期的かつ総合的に整備しようとする考えからで、1972年(昭和47年)から茨城県、水戸市及び国などの関係者により検討が開始された。この検討は1973年(昭和48年)に「千波湖周辺地域大規模公園構想」としてまとめられた。この構想で主体者が茨城県又は水戸市となる都市公園事業、河川事業など様々なパーツが組み合わさった総面積約300ヘクタールが整備すべきエリアと設定され、以後これをたたき台として、整備計画が練られていった。1986年(昭和61年)12月には先の構想に見直しを加えた長期的な整備の基本方針「千波湖周辺整備計画」がまとめられた。この計画では整備を進める際に、「1.国際庭園モデル都市 -都市の機能と景観の調和」、「2.街との融合と一体化」、「3.地域の活性化に結びつける」の3つを目指すことを基本コンセプトと定め、以後これに沿った公園整備が進められていった。1993年(平成5年)の「全国都市緑化フェア(=開催時名称「グリーンフェア’93いばらき」)の開催会場として偕楽園及び千波湖周辺が選定されると、これを目指し偕楽園下の桜川沿岸(現在の「四季の原」などがある偕楽園拡張部)と千波公園の整備が一気に進んだ。1999年(平成11年)の総称「偕楽園公園」の発表は、上述に記した経過で整備されてきた300ヘクタールの公園・緑地のイメージアップと利用促進を図る為に設置した「千波湖周辺地域大規模公園利用促進懇談会(座長:中村良夫京都大学教授)」の意見を取り入れたものである。
2016年(平成28年)、水戸市は1986年(昭和61年)の策定から30年がたった「千波湖周辺整備計画」を時代の変化に合わせて見直した「水戸市偕楽園公園(千波公園等)整備基本計画」を発表した。この計画では観光面の役割も強調されており、拠点性・回遊性に優れたにぎわいのある公園づくりが計画目標のひとつにあげられた。これに呼応するように2019年(令和元年)6月、茨城県は偕楽園周辺の魅力向上計画案策定をリゾートホテルなどを運営する株式会社星野リゾートに委託した。同年11月、千波湖に円形の橋を設置し偕楽園や歴史館との回遊性を高めるなどの星野リゾートが策定した計画案が発表された。
市立公民館は、原則として各市立小学校の学区ごとに設けられている。
博物館法に基づいて登録を受けた施設。
博物館法に基づいて要件を満たした施設。
各種施設。
市内に港湾はなく、東海村・ひたちなか市・大洗町の茨城港(常陸那珂港区・大洗港区)が市に最も近い場所に位置する。
車で約35分の位置に茨城空港(小美玉市)がある。
茨城空港以外では東京都大田区の東京国際空港(羽田空港)、千葉県成田市の成田国際空港、福島県須賀川市の福島空港などが利用されている。この内国内線では、地上交通の便がよく就航都市数が多い東京国際空港が多く利用されている。
地上波テレビ放送において、他の関東地方は民放5キー局+NHK(総合、教育 [Eテレ] )+独立ローカル局一局の8局地域となっているが、水戸を初めとする茨城県北部は、5キー局+NHK(水戸総合+東京Eテレ)のみのエリアである。2020年(令和2年)現在、水戸市内でケーブルテレビも開局していない。
ラジオは、LuckyFM 茨城放送の他、関東広域圏の各放送局の放送対象地域となっている。
水戸テレビ・ラジオ放送所も参照。
「新水戸八景」として1996年(平成7年)に制定された以下の8名所。
その他
日本三名園つながりで金沢市や岡山市と合同イベントを実施することがある。行政(市役所など)より、中央郵便局や観光協会の間で実施される事が多い。
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