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大局将棋


大局将棋


大局将棋(たいきょくしょうぎ)は、古将棋の一つ。知られている将棋としては駒数と盤面が最大のものである。

概要

自軍・敵軍それぞれ402枚(合計804枚)の駒を使用する、世界的にも最大規模の盤上遊戯である。

泰将棋(本将棋・中将棋・大将棋・大大将棋・摩訶大大将棋を含む)・天竺大将棋・和将棋からほとんどの駒を取り込んでいるため、これらよりは時代が下ると思われる。これらの将棋に含まれている駒以外にも多数の駒が追加されており、この内のいくつかは他の現在伝わっていない変種から取り込まれたものと思われる。また、泰将棋までの大型将棋類は駒名に仏教・神道・民間信仰の影響が見られるが、大局将棋ではそうした宗教的要素は薄まっている。

歴史

発見と背景

1990年頃に関西将棋会館内の将棋博物館で未整理資料の中から発見された大橋家の古文書『大局将棋駒』に記載されており、江戸時代に考案されたと考えられている。『大局将棋駒』を含む「大橋家文書」は関西将棋会館内の将棋博物館の閉館後、一時は大阪商業大学アミューズメント産業研究所への移管も検討されたが、最終的には大橋家の血縁者に返還された。『大局将棋駒』に記されたルールの内容は遊戯史研究家の梅林勲によって解釈された。大局将棋について詳述された最初の文献は『世界の将棋』(将棋天国社、1997年)であり、同書には梅林の解釈による駒の動きが記されている(後述「#ルール」節の記述は当該文献の改訂版を典拠としている)。

『大局将棋駒』の内容は、駒の名称と配置の図に駒の動きが点で付記されているのみであり、詳しいルールや制作経緯等は残されていない。また、棋譜も現存しておらず、当時盤駒が作成された証拠もないため実際に指されたかどうかは不明である。

将棋研究者の古作登は、江戸時代当時の将棋家元大橋家と囲碁家元本因坊家との間で勢力争いがあったことを指摘した上で、大橋家が「これまで最大の泰将棋をしのぐスケールの将棋を作ることで認められ、家格を高めようとした」と分析し、制作時期を18世紀後半と推定している。また、古作は「対局には長時間を要するため遊戯としての面白みに欠けていること」「大局将棋について解説した文書が他に見つかっていないこと」から、あくまで壮観な駒の配置の将棋を創作して権威を示すために作られたものであり、実際に遊ばれることはなかったとしている。

後述するテレビ番組『トリビアの泉』などのメディアにおいて紹介されるまで、大局将棋はほとんど知られていなかった。例えば、1991年の日本映画『王手』(赤井英和主演、阪本順治監督)の終盤では、若山富三郎演ずる元真剣師が設けた対局で用いられた泰将棋(作中での名称は平安大将棋)が世界最大の将棋および盤上遊戯として紹介されていた。

盤駒

先述の通り、考案された当時に盤駒が作成された証拠は無い。現在は復元された駒が少なくとも2組あるのみで、1組が大阪商業大学に所蔵されている。

対局例

2004年5月19日放送のフジテレビ系『トリビアの泉』で「将棋には804枚の駒を使うものがある」というトリビアとして紹介され、番組では伊藤博文六段と安用寺孝功四段(段位はいずれも当時)による対局が行われた。駒の動き方を示すルールブックに目を通しながら指し、数度の休憩休眠を挟み、対局時間32時間41分(計3日間)の末、3805手で先手安用寺が勝利した。対局後、安用寺は「もう二度とやりたくない」、伊藤は「負けて悔しさはない」と語っている。これが史上初の大局将棋の公式対局とされ、この放送以降、大局将棋の存在が公に知られるようになった。

ルール

本節の内容は、特記なき限り梅林・岡野(2000)を出典とする。

基本ルール

  • 縦横36マスずつに区切られた将棋盤の上で行う。
  • 自分から見て手前の十一段を自陣、反対に相手から見て十一段を敵陣という。
  • 競技者双方が交互に、盤上にある自分の駒を動かす。駒は取り捨てであり、すなわち本将棋とは違い持ち駒という概念はない(取った敵駒を使うことは出来ない)。
  • 駒は209種類あり、それぞれ動きが決まっている。
  • 玉将、鳩槃、鳩盤、天狗、鳳師、麟師、大将、鉤行、鵬師、中師、獅鷹、奔鷲、大師、大旗以外は敵陣に入ると「成駒」になれる。
  • 自分の駒を動かすとき、動く先に相手の駒があるとき、その駒を取ることができる。
  • 成るのは移動が完全に終了した後である(二歩移動できる駒に関しては二歩目を移動した後)。
  • 玉将を取られても太子が残っていれば負けにはならない。太子には初めから存在する太子と、醉象の成駒としての太子があり、最大で3枚の王が存在しうる。
  • 最後の一枚の玉将または太子を詰ませた方が勝利となる。
  • 大将、副将、角将、飛将、猛龍、飛鰐(飛将の成駒)は、それぞれ特定の方向に、自分よりも格の低い駒ならばいくつでも飛び越えて、その飛び越えた駒の味方の駒も含めて全てを取ることが出来る。駒の格は次の順。
    1. 玉将、太子
    2. 大将
    3. 副将
    4. 角将、飛将、猛龍、飛鰐
    5. その他の駒

初期配置図

初期配置は以下の通りである。なお、上から12段にある駒は後手駒、下から12段にある駒は先手駒である。

脚注

注釈

出典

参考文献

  • 増川宏一『<大橋家文書>の研究』法政大学出版局、2021年7月5日。ISBN 9784588300530。 

関連項目

  • 無限チェス - 無限に広いチェス盤で行われるチェス。

外部リンク

  • 研究所の紹介(大阪商業大学、アミューズメント産業研究所) - 復元された盤駒の1組を所蔵
  • 将棋ったーβ - 大局将棋 のルール - 大局将棋の対人対局が可能なサイト

Text submitted to CC-BY-SA license. Source: 大局将棋 by Wikipedia (Historical)