『時効警察』(じこうけいさつ)は、毎週金曜日23時15分 - 翌0時10分に、テレビ朝日系「金曜ナイトドラマ」枠で放送された日本の刑事ドラマシリーズ。主演はオダギリジョー。
本項では以下の各シリーズと、特番作品について扱う。
時効(公訴時効)が成立した未解決事件を“趣味で”捜査する総武署時効管理課の警察官・霧山修一朗の活躍を描くコメディミステリードラマ。主人公らの恋愛描写があり、作品紹介では「脱力系コメディ」と表現されている。なお、殺人事件(人を死亡させた罪であって死刑に当たる罪)の公訴時効は、第2シリーズ放映後に刑事訴訟法が改正(2010年4月27日施行)され、撤廃されている。ヒロインの麻生久美子は、この作品が民放の連続ドラマ初出演となった。
2006年に放送された第1シリーズは第23回「ATP賞テレビグランプリ2006」ドラマ部門において最優秀賞を受賞。
作品のトーンを主導したのは、3シリーズおよびスペシャルあわせて9本の監督と脚本を担当した三木聡で、他に4本を演出した園子温らの個性も反映されている。この他、主演のオダギリジョー・熊本課長役の岩松了が脚本・監督を担当したエピソードも存在する。
2006年1月から第1シリーズが金曜ナイトドラマ枠で放送され、連続ドラマシリーズはいずれも同枠で放送されている。ただし一部地域は『探偵!ナイトスクープ』放送のため時差放送。
2007年4月13日より第2シリーズにあたる『帰ってきた時効警察』(かえってきたじこうけいさつ)が放映。
2019年8月21日、第3シリーズ前にドラマスペシャル『時効警察・復活スペシャル(時効警察はじめました 零号)』(じこうけいさつふっかつスペシャル〈じこうけいさつはじめましたゼロごう〉)が9月29日に放送されることが明らかになった。
2019年9月12日、第3シリーズにあたる『時効警察はじめました』が10月11日から放送されることが明らかになった。
2019年9月24日、公式HP内で第3シリーズの新キャストの過去を扱った特別ドラマが『時効警察とくべつへん』として10月19日からビデオパス、AbemaTVで動画配信される事が発表された。
基本的には「物語の序盤で霧山が興味を持った時効事件の真相を一話かけて解明する」という毎回完結形式である。各話で取り上げられる事件に相互の関連はないが、人物やキャラクターの関連した登場は見られる。
刑事ドラマとしてのスタイルはコメディーでありながら倒叙物に近い形式(犯人自体はたいてい予告編で次回のゲストとして紹介される人物の役柄だったり、アリバイや証拠不十分で逮捕されなかった事件発生当時の容疑者だったりと、ほとんど明かされている状態)。犯人であると着目する理由としては、霧山は人の動作を見て判断している(便秘である・髪型が変わる・雨が降り出す・メガネが曇る等)が、その観点は独自性が強い。
物語の中には随所に視聴者の笑いを誘う要素がでたらめとも言えるほどに散りばめられており、その中にはちょっとした伏線が含まれていることもあるので、細部まで見逃せないものとなっている(この手法は同局の『TRICK』でも使われている)。また、パロディやもじり、昔の映画などを彷彿とさせる表現も多く、この点でも『TRICK』と共通している。ゲストキャラの回想シーンに学生時代が登場する場合、通常若手俳優が演じるところをゲスト当人が演じている。
登場人物のほとんどが独特のノリを持っており、奇抜な言動・行動が多い。なお、ヒロインの三日月はツッコミを受け持つことが多く、レギュラーの中では最も常識家で正常な感性の持ち主として設定されているが、それでも若干前のめりで騒々しい(名前と正反対であると本人も自認)女性として描かれ、演じる麻生はDVD特典映像(「帰ってきた」2巻)の中で「この番組に出るまでは、もっと神秘的なイメージの女優だった」と冗談まじりに語っている。また回を重ねるごとにキャラクターが崩壊するレギュラーメンバーも多い。
番組自体はハイビジョンで製作されているため、基本的にアスペクト比は16:9(ただしHOMEなどの一部地域では超額縁放送)であるが、過去の事件のあらましを振り返るシーンのみは4:3となっていたが、第3シリーズでは全て16:9に変更された。
総武市をはじめ、西総武市、上総武市、北総武市、総府武中市、羚羊市などを管轄下に置く警察署。「成動 協同 自主」が署訓であったが、「明朗 団結 親切」が署訓となった。そして、昼夜を問わず管轄内の安全維持に奮闘している。5階建てという設定だが、1階以外の階は映ったことがなく、更に第2シリーズの最終話では、何故か穴のあいた1階の天井から空が見えていた。署内には刑事課、交通課、鑑識課とともに、時効管理課なる部署が存在しており、霧山はこの時効管理課に所属している。
なお、総武署の所在地は「総武市元官町一丁目七番地一号」とされているが、総武市など総武署の管轄地域は架空の自治体であり、もちろん総武署自体も実在しない。
総武署管轄地域のモデルとなった場所として総武警察署ホームページによれば「犬吠埼や塩砦といった温泉や、総武警察パトカーの乗り物がある遊園地などもあり、レジャーも存分に楽しめます。稀有な名前を持つ店舗が多いのも、この地域の特色。また、多数の飲み処や、雑誌に掲載された飲食店もあり、食文化がめざましく発展しています。教育施設も豊富で、朝日ヶ丘大学や総武女子芸術大学など、ハイレベルな教育機関が存在。有名人も多数輩出し、近年急速に注目度が高まっている地域です。」となっている。
総武警察署と、周辺の警察署管轄内で発生し時効になった事件に関して、資料整理および遺留品の返却をする部署。実際には存在しない。
英名:LIMITATION TASK FORCE
各シリーズの脚本・監督担当は放送日程を参照
この番組では、話数表示に漢数字を使っている。
「時効警察はじめました」の特別ドラマ『時効警察とくべつへん』が、2019年10月19日0時15分からビデオパス、AbemaTVで配信されている(全4回)。
この作品の象徴とも言えるアイテム。霧山が事件の真相を解明した際、事件の当事者(基本的に犯人)に渡す「この件は誰にも言いません。」と書かれたカードである。
手渡す際には相手の名前及び霧山の署名が書かれた上で、霧山の認印が押される(回によっては霧山と三日月の連名で、2人の認印が押される場合もある)。多くは時効を迎えているので、霧山の捜査はあくまで趣味であり、「事件の真相を知るのが目的であること」及び「真相については誰にも口外しないこと」が保証される。が、もちろん持っているからといって何か特別なことが起こるようなものではない。
このカードは霧山が個人的に製作したもので、自宅や署内のロッカーに大量のストックが存在することが劇中で明らかになっている。文面は共通だが外枠に色のバリエーションがあり、毎回異なる色のカードが登場する。また、渡す相手によってたびたびカード形態を変化させている(下記参照)。なお、時効になっていない事件でこのカードをもらったのは第2シリーズ終了時点で1人だけである。
『時効警察』のホームページ内にある霧山の日記には、この「誰にも言いませんよ」カードのPDFファイルが各話別に用意されており、厚紙にプリントすることで劇中のカードを色使いまで忠実に再現することができる。また、DVDには「誰にも言いませんよ」カード9枚が初回封入特典としてついている。
総武警察署は「そーぶくん」という独自のマスコットを持っており、番組では劇中のみならず、スポンサーの紹介などいたる所に登場する。そーぶくんのデザインは警視庁のマスコット「ピーポくん」に酷似しているが、頭の角がピーポくんの1本に対しそーぶくんは2本であること、ピーポくんの全身がオレンジ色・頭部が水色という配色が逆転していること(そーぶくんは全身が水色・頭部がオレンジ色)、目が点状となっていることなど、いくつかの相違点がある。総武警察署ホームページでは家族としておじさん・おばさん・いとこが紹介されているが、なぜか両親や兄弟の存在は示されていない。なお、中学時代はテニス部で活躍していたらしい。
「時効警察はじめました」から「そーぶくん」に代わる総武警察署の新マスコットキャラクター。「そーぶくん」と見た目はそっくりだが、体がメタボ気味で、2本の角がなくなっている。「そーぶくん」が太ったわけでなく、まったく別人であると2019年9月4日のTwitterでつぶやいている。語尾に「そーぶ」をつける癖を持っている。
第1シリーズ第一話にて又来が購買部の横の廊下で拾ったもので、時効管理課全員でじゃんけんをして負けた霧山が記入させられた。その後三日月がそれをこっそり拝借し(三日月は「ガメる」という表現を使う)、妻の欄に自分の名前を書いて一人悦に入ったりした。その後の話でもたびたび登場し、三日月の妄想をかき立てる。第1シリーズ最終回では三日月が霧山と自分の印鑑まで捺印するに至ったが、ある時風に飛ばされて紛失してしまい、三日月は悲嘆に暮れる。しかし、第1シリーズラストにて再び又来によって新しい婚姻届が拾われ、じゃんけんで負けた霧山が記入するという光景が繰り返されることとなった。なお、その新しい婚姻届(婚姻届2)は再び三日月の手に渡った。ちなみに、霧山が婚姻届に記入をするとき、三日月の目には婚姻届が輝いて見えるようである。
総武警察署員の制服は一般的な警察官と同じ濃紺のものだが、時効管理課課員と三日月の5人(第2シリーズでは真加出を加え6人)に限り、なぜかコスプレグッズのような明るい青色のものを着ている(三日月のもののみ他より色合いが鮮やかである)。この色違いの制服は三日月も着ていることから時効管理課に限ったものではなく、かと言って時効管理課以外の署員で着ているのは三日月ただ1人ということもあり、どのような理由で差異が生じているのかは定かでない。三日月に至っては、第1シリーズの四話・五話ではネクタイではなくなぜかリボンをしている。
物語内ではほぼ毎回のように奇妙な張り紙が貼られた場所が登場する。書かれている内容も特にストーリーとは無関係ではあるが凝ったものばかりであり、そのあまりのシュールさは視聴者の笑いを誘う。
時効管理課にかかっている黒板には、毎回様々なことが書かれている。その日の時効件数や「STOP the 時効!」といった標語など。中でも目を引くのは「十文字 正正…」という記録。これは又来が十文字に思い切り叩かれた回数を記録したもので、回を追うごとに増えている。ただし『帰ってきた…』では、思い切り叩かれかけた所を上手く又来がよけたため、誰か(おそらく真加出であろう)が早とちりしてつけたと思われる記録1回分を真加出が消している。
登場人物が使う携帯電話は、関東地区でスポンサーを務めるNTTドコモが放送開始当時に最新機種としてリリースしたFOMA 902iシリーズである。特に霧山が使う携帯電話は、演じるオダギリジョー自身がCMキャラクターを務めるF902iとなっており、放送枠内では同機種のCMが流れた(関東地区の場合)。また、着信音も作品のメインテーマや悲鳴など一風変わったものが使われたこともある(第1シリーズのみ。第2シリーズは普通の着信音で統一)。なお、第3シリーズでは普通のスマートフォンに代わっており、着信音の演出も無くなっている。
「いつでも捨てられる紙袋の方がすき」という理由だけで使用する真加出のアイテム。そのロゴは日本産の煙草の銘柄である。
ドラマのエンディングに出てくる「このドラマはフィクションであり、登場人物、団体名等は全て架空のものです」のテロップでは、“フィクション”にかけた駄洒落を含む前置きが毎回付けられている。なお、第1シリーズ最終回では劇中の小ネタに沿った文章に変更されている。
また、オープニングではドラマの放送開始時間である11:15をさした鳩時計の映像が時差放送局も含めて流れている。KHBでは独自のエンドテロップ(時効警察 終)に1:10の時計が描かれていた。
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