障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(しょうがいしゃのにちじょうせいかつおよびしゃかいせいかつをそうごうてきにしえんするためのほうりつ、英語: Act on the Comprehensive Support for the Daily and Social Life of Persons with Disabilities、平成17年法律第123号)は、日本の福祉法の一つ。障害者総合支援法(しょうがいしゃそうごうしえんほう)と略す。制定時の題名は、障害者自立支援法(しょうがいしゃじりつしえんほう)で、2012年4月1日の改正 で、現在の題名に改題された。
障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする(法第1条)。
出典:
詳細は厚生労働省令で定められている。費用は原則9割給付1割自己負担。
介護の支援を受ける場合には「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」に位置付けられ、それぞれ、利用の際のプロセスが異なる。
地域の特性や利用者の状況に応じて柔軟に実施される。
当事者組織や当事者の関係できる部分を市区町村単位で助成する仕組み。
介護給付費・訓練等給付費などは、市町村に申請して支給決定を受ける必要がある。市町村は審査会の判定に基づいて障害判定区分を認定し、障害判定区分、介護者の状況、障害者(障害児の保護者)のサービス利用に関する意向などを勘案して支給の要否を決定する。
これら決定に不服がある者は、都道府県知事に審査請求をすることで、都道府県の不服審査会を設けることができる。審査請求に対する裁決を得たのち、さらに行政不服審査法による取消訴訟を提起できる(審査請求日から3ヶ月を経ても裁決が出されない場合等も訴訟を提起できる)。
本法の制定前は、障害の種類ごとに身体障害者福祉法・知的障害者福祉法・精神保健福祉法などによって個別に規定されていた。
しかし少子高齢化社会に向け、従来の通院医療費公費負担制度・支援費制度に代わり、受益者負担の原則を導入し、障害者にサービス費用の原則1割負担を求め、障害者の福祉サービスを一元化し、「保護」から「自立」に向けた支援にある。また、同時に日本国政府の財源負担義務を課している。従来の制度と比較して、障害に対する継続的な医療費の自己負担比率が、5%から10%に倍増した。
この制度の導入当時(第3次小泉内閣)の厚生労働大臣であった参院議員尾辻秀久は、ドキュメンタリー番組(NHK教育テレビ、2016年1月16日放送)の中で、「今だから言える話」として、同法制定は、膨らみ続ける支援費制度の費用を『義務的経費』とするための措置であり、障害者に1割負担を求めたのは、抵抗する財務省を納得させるためだったと語っている(同法施行以前は、厚労省担当者が省内を回り、支援費制度のために費用捻出を頼んでいた)。
応益負担の実施により、障害が重い障害者ほどサービスを受けると、結果として受けたサービス分(1割負担)を支払わなければならない。この為、一部の障害者は「日本国憲法第13条・第14条・第25条で保証された生存権の侵害」 として、全国の地方裁判所にて集団訴訟を起こしていた。もし、サービス負担費用が支払えなくなる事態になると、結果として区市町村の地方公共団体に対し生活保護の申請をしなければならなくなるという、「障害者の自立」という法律の趣旨から逸れる事態になっている。
しかし、障害者自立支援法違憲訴訟については、2010年(平成22年)1月7日、原告団・弁護団と厚生労働省が基本合意文書を取り交わし、訴訟は和解へと動き始めている。障害者自立支援法違憲訴訟団は、以下の要望書を鳩山由紀夫内閣総理大臣と長妻昭厚生労働大臣に提出している。4月23日に「国が障害者の尊厳を深く傷つけた」と厚生労働省が謝罪する和解条項が裁判所で成立した。和解の基本合意文書の第一項に「国(厚生労働省)は、速やかに応益負担(定率負担)制度を廃止し、遅くとも平成25年8月までに、障害者自立支援法を廃止し新たな総合的な福祉法制を実施する。そこにおいては、障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする。」との合意内容があり、2012年(平成24年)に障害者自立支援法から障害者総合支援法に改正された。
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